山下配布資料

発電用燃料構成の推移
12
石炭
第32回 天草環境会議
石油
天然ガス
都市ガス
原子力
水力
再エネ
10
8
火力発電所の廃棄物問題
EJ
6
4
一橋大学大学院経済学研究科
2
山下 英俊
2015/7/11
0
1
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
発電用燃料構成の推移
石炭
石油
天然ガス
都市ガス
原子力
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
年度
資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」各年版より作成。
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
4
事業用発電と自家発電の合計。「EJ」は1018ジュール。
東日本大震災後の電力供給の変化①
水力
再エネ
3.5
3.0
2.5
EJ
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
年度
資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」各年版より作成。
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
7
事業用発電と自家発電の合計。「EJ」は1018ジュール。
原子力発電所からの供給の減少に対して
火力発電所からの供給の増加と
2010年度 原子力:石炭:石油:天然ガス = 25:27:09:24
2012年度 原子力:石炭:石油:天然ガス = 01:29:19:35
省エネ(電力消費量の減少)で
2010年度 3706 PJ
→ 2012年度 3484 PJ (6%減)
対応している
火力発電所の中でも燃料によって状況が異なる
天然ガスは増加したまま
石油は2012年度までは増加、2013年度は微減
石炭は当初は横ばいで、2013年度に増加
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
8
電力会社別の発電用燃料構成の推移①
50
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
2015/7/11
1,000
500
0
年度
1,500
400
PJ
PJ
600
200
2015/7/11
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
中国
500
200
300
200
100
100
0
年度
200
600
150
400
100
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
2008 2009 2010 2011 2012 2013
17
2008 2009 2010 2011 2012 2013
50
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
2015/7/11
0
年度
150
100
50
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
四国
300
400
2008 2009 2010 2011 2012 2013
13
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
電力会社別の発電用燃料構成の推移④
関西
200
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
PJ
2015/7/11
PJ
2008 2009 2010 2011 2012 2013
100
50
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
PJ
1,200
1,000
800
600
400
200
0
年度
800
PJ
PJ
中部
2008 2009 2010 2011 2012 2013
150
500
電力会社別の発電用燃料構成の推移③
1,200
1,000
800
600
400
200
0
年度
800
2008 2009 2010 2011 2012 2013
1,000
10
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
PJ
PJ
1,500
北陸
PJ
100
PJ
PJ
150
2,000
350
300
250
200
150
100
50
0
年度
200
PJ
2008 2009 2010 2011 2012 2013
東京
2,500
PJ
東北
700
600
500
400
300
200
100
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
300
250
200
150
100
50
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
PJ
北海道
PJ
350
300
250
200
150
100
50
0
年度
200
電力会社別の発電用燃料構成の推移②
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
19
電力会社別の発電用燃料構成の推移⑤
九州
600
60
400
40
200
北海道 石炭+原子力(ガスなし) →石炭増+石油増
東北 石炭+原子力+ガス →ガス増+12年末石炭復旧
東京 ガス+原子力 →ガス増+石油増+13年石炭新設
北陸 石炭+原子力(ガスなし) →石炭増
中部 ガス+石炭(+原子力) →ガス増
関西 原子力+ガス → ガス増+石油増
中国 石炭+ガス+石油(+原子力)
四国 原子力+石炭 → 石油増(需要減)
九州 原子力+ガス+石炭 → ガス増+石油増
20
0
年度
400
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
60
50
40
30
20
10
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
2008 2009 2010 2011 2012 2013
300
200
PJ
PJ
電力会社別に、原子力から火力への代替状況を確認
沖縄
80
PJ
PJ
800
東日本大震災後の電力供給の変化②
100
0
年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013
2015/7/11
2015/7/11
21
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
コストは 石炭 < ガス < 石油
石炭の設備に余力があるところは石炭を焚き増し
石炭を増やせないところはガス、それでも不足なら石油
電力会社別の電灯単価の推移
22
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
電力会社別の経常利益の推移
29
億円
5,000
27
4,000
3,000
円/kWh
25
2,000
1,000
23
0
21
-1,000
19
-3,000
-2,000
-4,000
17
2014
四国
2013
2012
(山下 英俊)
中国
2011
関西
2010
電気事業連合会「電力統計情報」より作成。
2015/7/11
第32回天草環境会議
(「収支総括表」の「経常利益」の値。)
2009
北陸
2008
2007
中部
2006
東京
2005
2004
東北
2003
2002
24
北海道
2001
九州
年度
2000
電気事業連合会「電力統計情報」より作成。(「収支総括表」の「電灯料」の値を
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
「電灯電力需要使用電力量」の「電灯合計」の値で除して算出。)
2014
四国
2013
2012
中国
2011
関西
2010
2009
北陸
2008
2007
中部
2006
東京
2005
2004
東北
2003
2002
北海道
2001
2000
年度
-5,000
九州
26
震災後の電力供給の変化から読み取れること
電気業からの産業廃棄物排出量(推計値)の推移
1,200
石炭火力発電所は、もともと
原子力に次いでベース電源として運用される傾向だった
= 稼働率を上昇させる余地が少ない
震災後の石炭火力発電所の発電量増加は
既存設備の稼働率の改善よりも
東北電力の復旧と東京電力の増設の効果が大きい
1,000
万トン
800
石炭火力を増やせない電力会社は
天然ガス火力と石油火力で補っている
600
400
石油火力は高いので経営悪化 → なるべく使いたくない
石炭火力の設備が増えると、その分石油火力から減らす
200
石炭火力はむしろこれから増える可能性がある
今後の新増設計画 47件 2341万kW
0
年度
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
ばいじん
気候ネットワーク調べ(http://sekitan.jp/data/)
2015/7/11
27
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
肥料・融雪剤
1
魚礁
4
7,000
石炭エネルギーセンター
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
「石炭灰全国実態調査報告書(平成24年度実績)」より作成。
生産量
6,000
その他
5,000
万トン
建築
14
道路路盤材
14
地盤改良材
16
30
8,000
「その他」
157
土木・電力工事用
56
炭坑充填材
48
その他
セメント生産量と廃棄物等の利用量の推移
単位: 万トン
上記以外
0
汚 泥
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等」各年版より作成。
電気事業からの石炭灰の利用量(2012年度)
土壌改良剤
3
燃え殻
石炭灰以外の灰
建設発生土
4,000
副産石膏
3,000
汚泥
石炭灰
2,000
セメント
569
高炉スラグ
セメント生産に
投入される
廃棄物等の種類
1,000
0
2006
38
2007
2008
2009
2010
2011
セメント協会「生産高」および
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
「セメント業界の廃棄物・副産物使用量の推移」より作成。
2012 年度
40
九州電力からの産業廃棄物埋立・利用量の推移
100
2003年以降、年間1000万トン弱で推移(環境省推計)
90
産業廃棄物全体で4億トン程度
ばいじん 8割(石炭火電の排ガスから除去された灰)
燃え殻 1割(石炭火電の炉の底にたまる灰)
汚泥
1割(火電の排煙脱硫装置から排出される)
→ 大半が石炭火力発電所で発生
石炭灰に限ると、近年は年間900万トン弱(業界団体統計)
1995年の515万トンから2012年には905万トンまで増大
80
70
60
万トン
電気事業からの産業廃棄物発生状況
50
40
30
一方で、石炭灰のリサイクルも進展
20
10
0
年度 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
石炭灰埋立
石炭灰再利用
その他埋立
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下
九州電力「環境アクションレポート」各年版より作成。
その他再利用
英俊)
44
「石炭灰100%リサイクル」のからくり①
http://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/coal/japan/pdf/6.pdf
電気事業から発生する石炭灰のリサイクルについて
2004年及び2007年に見直しが実施され
公有水面への埋立をリサイクルとして認めるようになった。
2003年以前
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
45
埋立量は2002年143万トンから2005年44万トンに急減
「その他」は2002年38万トンから2005年140万トンに急増
「公有水面への埋立」とは何か
石炭エネルギーセンターの統計では「その他」に含まれる
九州電力の統計では「その他」とは別に「土地造成」と記載
九州電力の場合
土地造成量 = 松浦と苓北の灰捨て場に埋め立てた量
公有水面への石炭灰の埋立はリサイクルに該当せず
2004年
重要港湾や地方港湾の港湾計画に基づいて行われる公有水面の埋立に
電気事業から発生する石炭灰を利用する場合
当該石炭灰は土地造成材に該当(リサイクルに該当)
2007年
都道府県の免許を受けて行われる公有水面の埋立に
電気事業から発生する石炭灰を利用する場合
当該石炭灰は土地造成材に該当(リサイクルに該当)
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
2015/7/11
「石炭灰100%リサイクル」のからくり①
エネ庁の担当課長による解説
2015/7/11
埋立の割合は、1995年の40%から2012年には3%まで減少
セメント原料(2012年:63%)、土木(15%)、その他(17%)等
セメントは石炭灰だけでなく多くの産廃を原料としている
九州電力も同様の傾向(2014年:石炭灰74万トン、埋立ゼロ)
先ほどの中地先生の講演を参照
要するに既存の灰捨て場に捨てたことを
土地造成という名目で「リサイクル」と呼んでいる
このようなことが公に認められているのは電気事業だけ
処分場に捨てることが「リサイクル」になるのであれば
誰も苦労して本当にリサイクルする必要はない
49
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
53
電気事業から発生した石炭灰の埋立・利用量
1,000
石炭灰の主要なリサイクル用途はセメント原料
しかし
公共事業の削減などで国内のセメント需要は減少傾向
そこで、国内で利用できない石炭灰を輸出している
900
800
700
万トン
「石炭灰100%リサイクル」のからくり②
600
2014年には147万トンを韓国と香港(5万8000トン)に輸出
500
2002年に廃棄物の輸出が可能になって以来
実際に輸出されたのはセメント原料向けの石炭灰のみ
輸出先は2013年までは韓国のみで香港は2014年から
400
300
200
100
0
2012
2011
2010
農林・水産
2009
2008
建築
2007
2006
2005
土木
2004
2003
うち輸出
2002
2001
2000
セメント
1999
1998
埋立量
1997
1996
1995
年度
その他
石炭エネルギーセンター「石炭灰全国実態調査報告書(平成24年度実績)」および
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
59
環境省「廃棄物処理法に基づく廃棄物の輸出確認及び輸入許可について」より作成。
2002年以降、石炭灰の発生量は200万トン以上増加
しかし、国内のセメント向け利用は400万トン台で推移
公有水面埋立と韓国輸出で「100%リサイクル」を達成
2015/7/11
石炭に含まれる微量元素の行方
単位:%
ボイラー
電気
集塵機
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
63
まとめ
排煙脱硫
装置
煙突から
排出
グループⅠ Al, Ca, Co, Cr, Fe, Mg, Mn,
Ni, Si
3.9
95.1
0.9
0.10
グループⅡ As, B, Be, Cd, Cu, Mo, Pb,
Sb, Se, V, Zn
1.7
96.8
1.4
0.07
グループⅢ Hg
0.1
33.3
36.0
30.60
横山(2004)による分析結果
石炭灰「100%リサイクル」は
実態としては輸出や埋立処分によって担保されている
電力会社は排出事業者としての責任を全うすべきである
石炭灰には有害な微量元素が含まれている
安易なリサイクルは汚染の拡散につながる恐れがある
http://www.jcoal.or.jp/coaldb/shiryo/material/3-7Yokoyama.pdf
石炭に含まれる微量元素の多くは
燃焼後に石炭灰(ばいじん)に出てくる
ただし、水銀は3割は大気に排出される
微量元素は、石炭→石炭灰→セメント等のリサイクル品
と移動すると想定される
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
64
石炭火力発電への依存は
二酸化炭素の排出増の側面だけでなく
廃棄物の増加の側面からも
回避すべきである
2015/7/11
第32回天草環境会議 (山下 英俊)
67