大 岳− 八丁原地 熱帯の硫 Ҏの֬源 The origin of Sulfur in Otake-Hatchobaru geothermal area 清崎 淳子 Junko Kiyosaki 福 岡大・院 ・理学研 究科 受 け入れ教 官:千葉 仁 [研究目的] 大 岳 − 八 丁 原 地 熱 地 域 は , ݗ硫 化 系 の 地 熱 活 動 域 で あ る 九 重 硫 Ҏ 山 の 北 西 4km に 発 達 す る 低 硫 化 系 の 地 熱 活 動 域 で あ る 。 こ の 地 熱 帯 に は , 最 大 深 度 3,000m の 調 査 井 をはじめ多くの坑井が掘削されており,地下における熱水や熱水変ࡐにより生成さ れたݐ物の分布状況が把握されている。 本 地 域 に は ,酸 性 変 ࡐ 帯 を 伴 う 小 松 池 地 獄 ,ワ タ ラ セ 地 獄 な ど の 噴 気 帯 が 存 在 し , また,地熱流体としての酸性熱水の存在も知られている。坑井から得られるࠟ料に 含まれる硫Ҏの同位体比を測定することにより,硫Ҏの֬源を明らかにし,酸性熱 水の生成原因および流動状態を把握することを目的としている。 [研究方法] 坑 井掘 削に より 得 られ たコ ア・ カ ッテ ィン グス ࠟ 料よ り, 熱水 変 ࡐ ݐ物で ある 明 礬石・硬石膏・Ҏ鉄ݐを分離し,それらに含まれる硫Ҏの同位体比を測定した。分 析に用いたࠟ料は,坑井データのうち X 線回折結果による変ࡐデータに基づいて抽 出した。今回は,明礬石 4 ࠟ料・硬石膏 2 ࠟ料・Ҏ鉄 ݐ7 ࠟ料について測定を行っ た。 [測定結果] 硫Ҏ同位体比の測定により得られた結果は,以下の通りである。 Sample Alunite(shallow) Range of delta 34 S value( +4.8 +5.4 Alunite(deep) +15.2 +24.4 Anhydrite +12.0 +18.5 Pyrite -4.0 +3.1 ) [考察および今後のӀ題] 大 岳 -八 丁 原 地 熱 地 帯 の 酸 性 熱 水 は 硫 酸 酸 性 で あ る こ と が 知 ら れ て お り , 噴 出 熱 水 の pH の 分 布 か ら は , 北 と 南 に 酸 性 熱 水 の 分 布 域 が 分 か れ て 認 め ら れ て い る ( 島 田 ほ か , 1985)。 ま た , 地 下 深 と 北 に は 比 Ԕ 的 浅 に 酸 性 環 境 下 の 熱 水 変 ࡐ ݐ物 の存在が認められている。 今 回 の 分 析 に よ り , 浅 の 明 礬 石 か ら は +4.8 +15.2 +5.4 34 +24.4 ,深の明礬石からは 34 というδ S 値が得られた。浅では軽いδ S 値を示しており, H 2 S ガ ス の 酸 化 に よ る SO 4 イ オ ン の 生 成 ・ 付 加 と 考 え ら れ る 。 ま た , 比 Ԕ 的 深 か 34 ら の 硬 石 膏 の δ S 値 は +12.0 +18.5 傾 向 は 認 め ら れ ず , -4.0 のδ S 値が得られた。 +3.1 であった。一方,Ҏ鉄ݐは深度に対しての 34 34 共 存 す る 硬 石 膏 と Ҏ 鉄 ݐの δ S 値 か ら 平 衡 温 度 を 算 出 す る と ,327℃ が 得 ら れ た 。 こ の 温 度 は 現 在 の 貯 留 層 温 度 よ り 50℃ 程 ݗ温 で あ り , 今 後 さ ら な る 検 討 を 要 す る 。 コ ア z カ ッ テ ィ ン グ ス と い う 限 ら れ た ࠟ 料 か ら 十 分 な 量 の BaSO 4 沈 澱 物 を 得 る た めには,より純粋なݐ物の分離を丁寧に行う必要がある。必要量を抽出するのが困 難なࠟ料もあるが,今後,ひとつの坑井について浅から深までより詳細な検討 を,地域北と南で行い,酸性変ࡐ帯を形成したメカニズムを明らかにしていく 予定である。 [引用文献] 島 田 寛 一 ・ 藤 野 敏 雄 ・ 古 賀 昭 人 ・ 広 渡 和 緒 (1985): 八 丁 原 地 熱 地 帯 の 酸 性 熱 水 の 成 因 と 対 策 . 地 熱 , Vol.22,No.4,p.16-32
© Copyright 2024 ExpyDoc