セラミック平膜を用いた膜分離活性汚泥法の運転条件最適化 株式会社明電舎 打林真梨絵 膜分離活性汚泥法(Membrane Bioreactor;以下 MBR)は活性汚泥法による生物処理に 膜ろ過を組み合わせ、汚泥と処理類の分離工程を最終沈殿池での沈殿に代わり膜ろ過で行 う排水処理方法である。MBR の主な特長は以下の通りである。 ①固液分離を膜ろ過で行うため、固形分流出の懸念がなくなり活性汚泥の管理が容易 ②反応タンクの高 MLSS 運転や、最終沈殿池の省略等により施設全体の省スペース化 が可能 ③ろ過水として、再利用水にも適した良好な処理水が得られる 明電舎では、これまでの上水道・下水道施設向けの電気設備に加え、新規分野の取り組 みとして長年培ってきたセラミック技術を応用することにより、セラミック平膜を開発し た。セラミック平膜は堅牢で物理的・化学的な耐久性が高く、これらを活かした運転・制 御を行うことにより、長期間に渡り安定したろ過性能と処理水質の維持を実現することが できる。 セラミック平膜を用いた MBR は、これまでの MBR としての特長(運転管理項目が少な く維持管理が容易・省スペース・処理水質が安定かつ良好)に加え、セラミック平膜を用 いることにより、以下の特長を併せ持つ。 ①膜表面の平滑さおよび親水性により、少ない風量で洗浄が可能 ②膜エレメントが長寿命 ③膜エレメントの保管が容易 ④廃棄後の膜素材(セラミックス)が工業原料として再利用可能 ただし、MBR は膜の目詰まり(ファウリング)を抑制するため曝気や膜表面での流速確 保を常に保つ必要がある。これにより消費電力が従来法より大きくなる点について、環境 性および維持管理コストの面からその低減が望まれている。また、更なる MBR の普及促進 を図る上で、中大規模合流式下水道への適用が課題となっている。 明電舎では、これらの課題解決にむけて、平成 24 年度より共同研究「膜分離活性汚泥法 の導入促進に向けた技術開発-セラミック平膜を用いた浸漬型 MBR の省エネルギー化・合 流対応の研究-」を実施している。本研究では、セラミック平膜を用いた浸漬型 MBR につ いて、合流式下水道施設への適用手法の確立と、処理水量一立方メートル当たりの消費電 力 0.4kWh 以下の達成を目標としている。 本報告では、上記目標に向けて実施した、合流式下水道における雨天時の流量増大を模 擬した処理流量変動実験による運転特性の評価、ならびに運転条件の最適化による省エネ 効果の検証について述べる。
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