破産法157条の報告書(概要) - 株式会社パートナー・クオリティースタッフ

平成27年(フ)第2480号
破産者 株式会社パートナー・クオリティースタッフ
破産法157条の報告書(概要)
破産管財人
小
畑
英
一
第1 破産手続開始の決定に至った事情
1
破産手続開始申立てまでの経緯
破産者は、設立以降順調に業績を伸ばし、平成 24 年度には売上高が 10 億円を超え
る状況であった。ところが、株式会社もりいち(飲食業)への資金援助を行ったことを
主たる原因として、財務状況が次第に悪化していった。
破産者は、もりいちと共に、再生の途を模索してきたが、平成 26 年 12 月、代表者
個人名義の預金口座に対して仮差押がなされたことに起因し、破産者の預金が事実上拘
束されたことにより、租税債権・労働債権、取引債権等への支払遅滞が起こり、資金繰
りが急速に悪化した。
破産者は、なおも再建を模索したが、平成 27 年 3 月、破産者名義の預金口座に対し
債権差押命令が発令されたことで、従業員およびスタッフへの給与等の支払が困難とな
り、再建を断念した。
平成 27 年 3 月 24 日、東京地方裁判所に破産手続開始申立てを行い、同日、包括的
禁止命令及び保全管理命令が発令され、当職が保全管理人に選任された。
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保全管理業務期間中の業務の状況
当職は、破産手続開始決定がなされると事業継続が困難となり、事業価値の急速な劣
化が生じるため、破産者の弁当事業及び教育事業(家庭教師および個別塾)を、以下の
譲受会社へ事業譲渡を行った。
3
・弁当事業
:株式会社ハートフェルト(4 月 1 日)
・教育事業
:株式会社 SC ホールディングス(4 月 10 日)
破産手続開始決定
平成 27 年 4 月 15 日、御庁から破産手続開始決定がなされ、保全管理人であった当
職が破産管財人に選任された。当職は、破産管財人代理3名および公認会計士を補助者
に選任し、破産管財業務を遂行した。
第2 破産者及び破産財団に関する過去および現在の状況
破産財団の残高は金 60,659,763 円である。
1
第3 破産管財業務の状況
1
資産の換価業務の状況
(1) 売掛金及び貸付金の回収状況
回収可能性のあるものについては、すべてを回収した。
回収不能のもの、債権が小口かつ回収困難なものについては、裁判所の許可を得て、
債権回収会社へ譲渡をした。
(2) その他の資産
預金口座を解約したほか、多数の什器備品その他換価可能な資産を売却した。
(3) 相殺禁止事由及び否認対象行為
相殺禁止事由および否認対象行為の調査を行ったが、該当する行為はなかった。
2
従業員及びスタッフへの未払給与等の立替払請求対応
破産者は、従業員、派遣事業又は家庭教師事業に従事した多数のスタッフ(以下「労
働債権者」という。)に対する給与が未払いであった。
そこで、労働債権者が独立行政法人労働者健康福祉機構に対し立替払請求を迅速かつ
正確にできるように、同機構と連携し対応を行った。
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本社、事業所、社宅の明渡し対応
破産者は、富山、石川、福井、新潟に事業所を賃借していたが、事業譲渡に基づき譲
受人に承継をした物件を除き、すべて明渡しを行い、賃貸人との精算を終了した。
社宅 9 件についても明渡しを完了し、賃貸人との精算を終了した。
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負債の状況
財団債権及び届出された破産債権の状況は以下のとおりである。

優先的財団債権
33,289,620 円及び額未定

普通財団債権
85,505,436 円及び額未定

優先的破産債権
9,284,995 円

普通破産債権
286,279,327 円
第4 損害賠償請求権の査定、その保全処分を必要とする事情
代表者自身が破産手続中であり、経営責任の追及による回収が困難であること等の事
情を総合的に勘案し、損害賠償責任の追及は断念した。
第5 今後の予定
換価可能な資産はこれ以上なく、資産総額を超える多額の財団債権が存するため、遺
憾ながら破産債権への配当ができない状況である。
異時廃止のうえ、優先的財団債権を除く財団債権について按分弁済を行う。
以 上
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