梅光学院大学が地域に及ぼす経済波及効果

梅光学院大学が地域に及ぼす経済波及効果
平成 27 年9月
一般財団法人 山口経済研究所
要 約
梅光学院大学が地域に及ぼす経済波及効果を、学生消費、教職員消費、大学運営
費支出の3つの側面から分析した。
その結果、学生消費が地域に及ぼす経済効果が約8億円、教職員消費が地域に及
ぼす経済効果が約2.5億円、大学運営費支出が地域に及ぼす経済効果が約4億円と
なり、合計14.7億円の経済効果が推計された。
梅光学院大学が地域に及ぼす経済効果(総合)
需要
増加額
1,369.6
地域需要
増加額 A
995.7
(百万円、倍)
生産誘発額
粗付加価値
誘発額
雇用者所得
誘発額
直接効果 ( = A)
995.7
651.6
237.6
第1次間接波及効果
274.1
151.9
68.5
第2次間接波及効果
195.9
130.9
48.8
1,465.6
934.4
354.8
総合効果 B
波及効果倍率 B/A
1.47
雇用誘発数 (人)
100
目 次
1.学生の消費が地域に及ぼす経済効果 …………………………………………………… 1
2.教職員の消費が地域に及ぼす経済効果 ………………………………………………… 5
3.大学運営費支出が地域に及ぼす経済効果 ……………………………………………… 8
4.梅光学院大学が地域に及ぼす経済効果(総合) ……………………………………… 11
5.梅光学院大学の経済効果に関連した付言 ……………………………………………… 13
1. 学生の消費が地域に及ぼす経済効果
梅光学院大学の学生消費が地域に及ぼす経済効果を推計する。
まず、梅光学院大学の学生数(2015 年)の内訳は下表の通り。
学生数は大学生および大学院生(社会人を除く)の総数である。自宅生か自宅外生かの振
り分けについては、下関市内高校出身学生および北九州市内高校出身学生を自宅生とみなし、
その他都市出身の学生を自宅外生とみなした。
学生内訳
国
内
学
生
(人)
自宅生(下関在住)
190
自宅生(北九州市在住)
251
自宅外生
512
留学生
60
合 計
1,013
学生の年間消費額については、下表のように設定した。
国内学生(自宅生、自宅外生)の消費(生活費)については、梅光学院大学生活協同組合
『2014 年学生生活実態調査』より推計した。また、留学生の消費については、日本学生支援
機構『平成 25 年度私費外国人留学生生活実態調査』
(26 年1月実施)の中国地方・九州地方
データから推計した。
国内学生の年間生活費
自宅生
(千円)
自宅外生
留学生の年間生活費
学習研究費(授業料を除く)
(千円)
108.0
84.4
278.4
通学費
住居費
0.0
364.2
食費
324.0
交通費
151.0
48.0
住居費
312.0
教養娯楽費
39.2
127.2
電気、ガス、水道料金
114.0
書籍費
18.4
76.8
保健、医療費
24.0
勉学費
5.4
17.4
趣味、娯楽費
60.0
日常費
67.9
73.2
その他の日常的な経費
90.0
電話代
39.1
61.2
その他
22.1
25.2
427.4
1,071.6
食費
合 計
30.0
合 計
1,062.0
このそれぞれの単価に、当該学生数を乗じて、
『平成 17 年山口県産業連関表』の 108 部門
表に按分格付けししたものが下表である。地域での学生消費額は合計7.4億円となっている。
なお、自宅生消費のうち、北九州市在住学生分については、大学出席日数を 150 日/365 日
とみなし、大学出席日分だけが下関市での消費(地域消費)になるとみなした。
- 1 -
学生の年間消費額
001 耕種農業
002 畜産
(百万円)
自宅生
(下関)
0.8
0.4
自宅生
(北九州)
0.4
0.2
0.4
自宅外生
留学生
14.3
7.1
1.9
1.0
0.2
7.1
1.0
4.8
2.4
2.6
1.3
57.0
14.3
7.8
1.9
7.7
4.2
18.7
2.2
3.5
1.9
39.3
1.6
1.9
3.2
1.1
1.8
9.4
9.4
1.0
1.1
1.3
0.7
3.9
0.6
1.3
0.7
3.9
0.6
003 農業サービス
004 林業
005 漁業
006 金属鉱物
007 非金属鉱物
008 石炭・原油・天然ガス
009 食料品
010 飲料
011 飼料・有機質肥料(除別掲)
012 たばこ
013 繊維工業製品
014 衣服・その他の繊維既製品
015 製材・木製品
016 家具・装備品
017 パルプ・紙・板紙・加工紙
018 紙加工品
019 印刷・製版・製本
020 化学肥料
021 無機化学工業製品
022 石油化学基礎製品
023 有機化学工業製品(除石油化学基礎製品)
024 合成樹脂
025 化学繊維
026 医薬品
027 化学最終製品(除医薬品)
028 石油製品
029 石炭製品
030 プラスチック製品
031 ゴム製品
032 なめし革・毛皮・同製品
033 ガラス・ガラス製品
034 セメント・セメント製品
035 陶磁器
036 その他の窯業・土石製品
037 銑鉄・粗鋼
038 鋼材
039 鋳鍛造品
040 その他の鉄鋼製品
041 非鉄金属製錬・精製
042 非鉄金属加工製品
043 建設・建築用金属製品
044 その他の金属製品
045 一般産業機械
046 特殊産業機械
047 その他の一般機械器具及び部品
048 事務用・サービス用機器
049 産業用電気機器
050 電子応用装置・電気計測器
051 その他の電気機器
052 民生用電気機器
053 通信機械・同関連機器
054 電子計算機・同付属装置
055 半導体素子・集積回路
056 その他の電子部品
057 乗用車
058 その他の自動車
059 自動車部品・同付属品
060 船舶・同修理
061 その他の輸送機械・同修理
062 精密機械
063 その他の製造工業製品
064 再生資源回収・加工処理
- 2 -
消費合計
17.4
8.7
0.0
0.0
8.7
0.0
0.0
0.0
72.2
19.9
0.0
0.0
0.0
32.8
0.0
0.0
0.0
0.0
46.3
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
13.4
15.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
6.5
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
6.5
0.0
同左
生産者価格
11.9
7.6
0.0
0.0
5.6
0.0
0.0
0.0
47.2
12.5
0.0
0.0
0.0
16.7
0.0
0.0
0.0
0.0
42.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
9.6
10.7
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
3.4
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
3.6
0.0
065 建築
066 建設補修
067 公共事業
068 その他の土木建設
069 電力
070 ガス・熱供給
071 水道
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
14.9
9.3
13.1
2.7
1.7
2.4
0.0
0.0
149.2
18.7
11.5
17.2
6.2
9.3
7.4
17.2
0.5
1.3
7.4
4.0
31.3
2.2
1.7
0.9
5.2
0.4
3.7
7.2
2.0
3.9
32.6
42.8
2.8
5.8
3.7
1.0
2.0
0.6
32.6
8.9
3.1
1.3
81.2
44.1
548.7
63.7
072 廃棄物処理
073 商業
074 金融・保険
075 不動産仲介及び賃貸
076 住宅賃貸料
077 住宅賃貸料(帰属家賃)
078 鉄道輸送
079 道路輸送(除自家輸送)
080 自家輸送
081 水運
082 航空輸送
083 貨物利用運送
084 倉庫
085 運輸付帯サービス
086 通信
087 放送
088 情報サービス
089 インターネット附随サービス
090 映像・文字情報制作
091 公務
092 教育
093 研究
094 医療・保健
095 社会保障
096 介護
097 その他の公共サービス
098 広告
099 物品賃貸サービス
100 自動車・機械修理
101 その他の対事業所サービス
102 娯楽サービス
103 飲食店
104 宿泊業
105 洗濯・理容・美容・浴場業
106 その他の対個人サービス
107 事務用品
108 分類不明
合 計
0.0
0.0
0.0
0.0
17.7
11.0
15.4
0.0
0.0
0.0
0.0
167.9
0.0
25.6
45.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
45.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
8.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
41.1
59.7
0.0
0.0
41.4
11.8
0.0
737.7
0.0
0.0
0.0
0.0
17.7
11.0
15.4
0.0
68.9
0.0
0.0
167.9
0.0
25.7
51.1
0.0
0.8
0.0
0.3
0.8
0.0
45.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
8.2
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
41.1
59.7
0.0
0.0
41.4
11.8
0.0
737.7
これを、
『平成 17 年山口県産業連関表(108 部門表)』にて経済効果計測した結果が下表で
ある。学生消費が地域に及ぼす経済効果(表中の、総合効果)は約8億円となった。
学生消費が地域に及ぼす経済効果
需要
増加額
737.7
地域需要
増加額 A
558.9
(百万円、倍)
生産誘発額
粗付加価値
誘発額
雇用者所得
誘発額
直接効果 ( = A)
558.9
375.4
113.9
第1次間接波及効果
152.9
84.0
38.3
第2次間接波及効果
97.7
66.3
24.6
総合効果 B
809.5
525.8
176.7
波及効果倍率 B/A
1.45
雇用誘発数 (人)
- 3 -
54
学生消費経済波及効果フロー
(単位:百万円)
需要増加額(生産者価格)
737.7
×A [県内自給率]
直接効果
県内需要増加額(直接)
558.9
×D[投入係数]
×B[粗付加価値率]
×C[雇用者所得率]
粗付加価値増加額(直接)
原材料増加額(直接)
雇用者所得増加額(直接)
183.5
375.4
113.9
×A [県内自給率]
県内需要増加額
(第1次)
雇用者所得誘発額
(直接+第1次)
113.9
152.2
×F [消費転換率]
×E [逆行列係数(開放経済型)]
×G[消費パター ン]
第1次間接波及効果
生産誘発額(第1次)
家計消費支出
増加額
152.9
110.3
×B[粗付加価値率]
×C[雇用者所得率]
×A [自給率]
粗付加価値誘発額(第1次)
雇用者所得誘発額(第1次)
家計消費支出
増加額
38.3
78.8
84.0
第2次間接波及効果
生産誘発額(第2次)
×E [逆行列係数(開放経済型)]
97.7
×B[粗付加価値率]
×C[雇用者所得率]
粗付加価値誘発額(第2次)
雇用者所得誘発額(第2次)
66.3
24.6
- 4 -
2. 教職員の消費が地域に及ぼす経済効果
梅光学院大学の教職員(およびその家族。以下同じ)による消費が地域に及ぼす経済効果
を推計する。
教職員の消費活動は必ずしも地域内での消費に限らない面もあるが、ここでは、まず教職
員を住所地が下関市内にある者に限定し(住所地が他都市の者は対象外とする)、その上で、
消費活動は地域内で行われるものと想定する。
消費額を推計するに当たり、まず、梅光学院
全体の資料から梅光学院大学における対象者の
教職員の年間消費額
年間人件費を 346 百万円と推計した。この収入
01 農林水産業
のうち、消費に回す比率(消費転換率)を家計
02 鉱業
調査データ等から 0.701 とした。消費額は(346
(百万円)
3.3
03 飲食料品
22.4
04 繊維製品
3.9
百万円×0.701=)243 百万円となる。そして、
05 パルプ・紙・木製品
0.4
これを『平成 17 年山口県産業連関表』の家計消
06 化学製品
2.2
07 石油・石炭製品
5.7
08 窯業・土石製品
0.2
費係数(34 部門)で按分したものを消費内訳と
した。内訳は右表の通り。
09 鉄鋼
10 非鉄金属
0.1
11 金属製品
0.3
12 一般機械
0.1
13 電気機械
2.4
14 情報・通信機器
2.5
15 電子部品
0.2
16 輸送機械
4.2
17 精密機械
0.8
18 その他の製造工業製品
2.4
19 建設
20 電力・ガス・熱供給
4.9
21 水道・廃棄物処理
1.8
22 商業
39.8
23 金融・保険
11.1
24 不動産
45.8
25 運輸
12.6
26 情報通信
12.2
27 公務
28 教育・研究
29 医療・保健・社会保障・介護
0.9
4.8
15.6
30 その他の公共サービス
5.5
31 対事業所サービス
3.6
32 対個人サービス
33.1
33 事務用品
34 分類不明
合計
- 5 -
242.5
これを、
『平成 17 年山口県産業連関表(34 部門表)』にて経済効果計測した結果が下表であ
る。教職員の消費が地域に及ぼす経済効果(表中の、総合効果)は約2.5億円となった。
教職員消費が地域に及ぼす経済効果
需要
増加額
242.5
地域需要
増加額 A
171.9
(百万円、倍)
生産誘発額
粗付加価値
誘発額
雇用者所得
誘発額
171.9
117.2
42.5
第1次間接波及効果
43.9
24.7
10.7
第2次間接波及効果
33.2
21.8
8.2
総合効果 B
248.9
163.7
61.3
波及効果倍率 B/A
1.45
直接効果 ( = A)
雇用誘発数 (人)
- 6 -
18
教職員消費経済波及効果フロー
(単位:百万円)
需要増加額(生産者価格)
242.5
×A [県内自給率]
直接効果
県内需要増加額(直接)
171.9
×D[投入係数]
×B[粗付加価値率]
×C[雇用者所得率]
粗付加価値増加額(直接)
原材料増加額(直接)
雇用者所得増加額(直接)
54.7
117.2
42.5
×A [県内自給率]
県内需要増加額
(第1次)
雇用者所得誘発額
(直接+第1次)
33.2
53.2
×F [消費転換率]
×E [逆行列係数(開放経済型)]
×G[消費パター ン]
第1次間接波及効果
生産誘発額(第1次)
家計消費支出
増加額
43.9
37.3
×B[粗付加価値率]
×C[雇用者所得率]
×A [自給率]
粗付加価値誘発額(第1次)
雇用者所得誘発額(第1次)
家計消費支出
増加額
10.7
26.4
24.7
第2次間接波及効果
生産誘発額(第2次)
×E [逆行列係数(開放経済型)]
33.2
×B[粗付加価値率]
×C[雇用者所得率]
粗付加価値誘発額(第2次)
雇用者所得誘発額(第2次)
21.8
8.2
- 7 -
3. 大学運営費支出が地域に及ぼす経済効果
梅光学院大学の運営費支出(ここでは、人件費を除く経常費用。従って教育研究経費も含
むが、減価償却費、租税公課は除外)が地域に及ぼす経済効果を推計する。
年間運営費を推計するに当たり、まず、梅光学院全体の資料から梅光学院大学における当
該金額を 389 百万円と推計した。そして、この金額を、地方の文系私立大学である立命館ア
ジア太平洋大学(APU)の部門配
分事例(大分県・別府市「大学誘致
大学運営費金額
に伴う波及効果の検証」2010 年)等
(百万円)
購入者価格
生産者価格
0.3
0.2
0.6
0.5
70.7
52.5
4.4
4.4
20 電力・ガス・熱供給
11.9
11.9
21 水道・廃棄物処理
14.0
14.0
を参考に、産業連関表 34 部門に按分
01 農林水産業
格付けした。内訳は右表の通り。
02 鉱業
03 飲食料品
04 繊維製品
05 パルプ・紙・木製品
06 化学製品
07 石油・石炭製品
08 窯業・土石製品
09 鉄鋼
10 非鉄金属
11 金属製品
12 一般機械
13 電気機械
14 情報・通信機器
15 電子部品
16 輸送機械
17 精密機械
18 その他の製造工業製品
19 建設
22 商業
17.2
23 金融・保険
2.2
2.2
24 不動産
1.8
1.8
30.6
33.1
8.1
7.5
13.6
13.6
0.1
0.1
229.9
229.1
1.4
1.4
389.4
389.4
25 運輸
26 情報通信
27 公務
28 教育・研究
29 医療・保健・社会保障・介護
30 その他の公共サービス
31 対事業所サービス
32 対個人サービス
33 事務用品
34 分類不明
合計
- 8 -
これを、
『平成 17 年山口県産業連関表(34 部門表)』にて経済効果計測した結果が下表であ
る。大学運営費支出が地域に及ぼす経済効果(表中の、総合効果)は約4億円となった。
大学運営費が地域に及ぼす経済効果
需要
増加額
389.4
地域需要
増加額 A
265.0
(百万円、倍)
生産誘発額
粗付加価値
誘発額
雇用者所得
誘発額
265.0
159.0
81.2
第1次間接波及効果
77.2
43.2
19.5
第2次間接波及効果
65.0
42.7
16.0
総合効果 B
407.2
244.9
116.8
波及効果倍率 B/A
1.54
直接効果 ( = A)
雇用誘発数 (人)
- 9 -
28
大学運営費経済波及効果フロー
(単位:百万円)
需要増加額(生産者価格)
389.4
×A [県内自給率]
直接効果
県内需要増加額(直接)
265.0
×D[投入係数]
×B[粗付加価値率]
×C[雇用者所得率]
粗付加価値増加額(直接)
原材料増加額(直接)
雇用者所得増加額(直接)
106.0
159.0
81.2
×A [県内自給率]
県内需要増加額
(第1次)
雇用者所得誘発額
(直接+第1次)
58.8
100.8
×F [消費転換率]
×E [逆行列係数(開放経済型)]
×G[消費パター ン]
第1次間接波及効果
生産誘発額(第1次)
家計消費支出
増加額
77.2
73.0
×B[粗付加価値率]
×C[雇用者所得率]
×A [自給率]
粗付加価値誘発額(第1次)
雇用者所得誘発額(第1次)
家計消費支出
増加額
19.5
51.8
43.2
第2次間接波及効果
生産誘発額(第2次)
×E [逆行列係数(開放経済型)]
65.0
×B[粗付加価値率]
×C[雇用者所得率]
粗付加価値誘発額(第2次)
雇用者所得誘発額(第2次)
42.7
16.0
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4. 梅光学院大学が地域に及ぼす経済効果(総合)
以上の、学生消費、教職員消費、大学運営費支出を合計した、梅光学院大学か地域に及ぼ
す経済効果は下表の通り。
経済効果は合計で約 14 億 7,000 万円である。また、雇用誘発効果は 100 人となっている。
梅光学院大学が地域に及ぼす経済効果(総合)
需要
増加額
1,369.6
地域需要
増加額 A
995.7
(百万円、倍)
生産誘発額
粗付加価値
誘発額
雇用者所得
誘発額
直接効果 ( = A)
995.7
651.6
237.6
第1次間接波及効果
274.1
151.9
68.5
第2次間接波及効果
195.9
130.9
48.8
1,465.6
934.4
354.8
総合効果 B
波及効果倍率 B/A
1.47
雇用誘発数 (人)
100
なお、今回分析した学生消費、教職員消費額は、梅光学院が存在することによって新たに地域
にもたらされた個人消費であり、梅光学院大学の運営に伴う支出も、新たに地域にもたらされる
法人消費である。両者合わせて、梅光学院大学が存在することで地域にもたらされた消費創出効
果とみることもできる。しかもこれらの消費創出効果は、一過性のものではなく、毎年継続的に
生み出される。
また、そもそも梅光学院大学の教職員は梅光学院大学がなかったとすれば生まれなかった雇用
であるから、梅光学院大学が雇用している教職員は、梅光学院大学が存在することでもたらされ
た雇用創出効果とみることもできる。
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経済効果の合計額を産業連関表 34 部門別にみると(学生消費の経済効果も 108 部門から 34 部
門に統合)、「不動産」が突出している。つまり、学生のうち自宅外生を対象としたアパート等貸
家産業への経済効果が最も大きい。
そのほかでは、
「対事業所サービス」
、
「対個人サービス」、
「商業」などへの効果が大きくなって
いる。
梅光学院大学が地域に及ぼす経済効果
34部門内訳
百万円
0
50
100
農林水産業
鉱業
飲食料品
繊維製品
パルプ・ 紙・木製品
化学製品
石油・ 石炭製品
窯業・ 土石製品
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
一般機械
電気機械
情報・ 通信機器
電子部品
輸送機械
精密機械
その他の製造工業製品
建設
電力・ ガス・熱供給
水道・ 廃棄物処理
商業
金融・ 保険
不動産
運輸
情報通信
公務
教育・ 研究
医療・ 保健・社会保障・介護
その他の公共サービス
対事業所サービス
対個人サービス
事務用品
分類不明
150
200
250
直接効果
第1次間接波及効果
第2次間接波及効果
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300
5. 梅光学院大学の経済効果に関連した付言
梅光学院大学が立地していることで経済効果を生み出す側面は他にもある。
学生消費については、たとえば入学時などに、家具・家電製品等をまとめ買いするに際して、
下関市内の小売業者から購入するケースが少なくない。日常の生活費以外に、このようなスポッ
ト的な支出もあり、これらに対しても経済効果は創出される。
このようなスポット的な支出は、大学が存在することで数々発生する。たとえば、大学受験に
多くの受験生が下関を訪れる。オープンキャンパス時なども同様であろう。下関を訪れれば、な
にがしかの消費をして帰ることになる。また、梅光学院大学が受け持つ学会の開催に際して、多
数の研究者等が地域外から訪れ、多くの場合、飲食・宿泊して帰る(全国大会、地方ブロック大
会などになると、連泊する参加者も少なくいないはずである)。
さらに、改修・修繕など、設備関係の支出もスポット的に発生する。
今回の経済効果計測は、毎年安定的に発生する需要に限ったものであり、スポット的なもの、
あるいは年により変動が激しいものは計測対象としていない。これらを加えれば、実際の経済効
果はさらに大きくなるはずである。
なお、梅光学院大学が立地している効果は、経済効果以外にも、つまり直接金額換算できるよ
うな次元のもの以外にも、社会的、文化的に様々な効果を発揮している。
たとえば、地域に対しては、地域イベントへの協力、公開講座の開催などを通じて地域活性化
に寄与している。また地域の産業界に対しては、豊富なアルバイト労働力を供給している。
地域貢献分野で特筆すべきは、学生のボランティア活動である。梅光学院大学は下関市と、地
域社会の発展や人材育成等に関する包括連携協定を結んでいる。また、海峡メッセを運営する山
口県国際総合センターとも包括連携協力協定を結んでいる。これらに基づく様々な地域貢献活動
の中で、特に、学生(留学生も含む)によるボランティアでの通訳活動は、地域における様々な
イベントで活躍しており、貢献度は大きい。
また、大学の本業として、専門教育を行うことによって地域の人材育成に貢献しているのはも
ちろんのことである。
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