平成26年度学校生活全般における体罰の実態把握に関する調査の結果について 県教育委員会では、学校における体罰根絶に向けた取組みの一環として、本 年2月に「学校生活全般における体罰の実態把握に関する調査」を実施した。 なお、県内市町村においても、政令指定都市を除いて同様に体罰の実態把握 調査が実施された。 1 県立学校における体罰調査の概要 (1) 調査の目的 ア 県立学校における体罰の実態を把握し、具体的な事案に対しては適切な対応を講 ずることで、児童・生徒が安全かつ安心して学校生活を送ることができる環境の整 備に努める。 イ 各学校において、教職員間の体罰に関する議論や認識を深め、体罰の根絶に向け た取組みを更に推進する。 (2) 調査対象と調査方法及び調査対象期間 ア 調査対象 ① 県立高等学校 142 校、県立中等教育学校2校、県立特別支援学校 27 校の全て の児童・生徒及び保護者、教職員(外部指導者を含む)を対象とした。 ② 調査対象人数は、児童・生徒が約 135,300 人、教職員等は約 13,200 人に実施 した。 ③ 調査内容は、平成 26 年度の学校生活全般における教職員等による体罰とし た。 イ 調査方法 ① 児童・生徒は各学校で配付された調査用紙を自宅等に持ち帰り、回答を希望する保護 者の記載と併せて、郵送受付期間[平成27年1月30日(金)~2月13日(金)]に県教育 委員会に郵送する。 ② 教職員等は、自己申告と他の教職員等による体罰の目撃情報を校長に回答する。 ウ 調査対象期間 調査対象期間は、平成 26 年 4 月 1 日から調査日(回答記入日)までとした。 2 市町村立学校における体罰調査の概要 (1)市町村における体罰調査 政令3市を除く 30 市町村で県の実施要領を参考に、各市町村教育委員会が定めた 方法で、体罰の実態把握調査を行った。 (2)調査対象及び調査対象期間 ア 調査対象 ① 小学校 329 校、中学校 175 校、高等学校1校、特別支援学校3校の全ての児 1 童・生徒及び保護者、教職員等を対象とした。 ② 調査対象人数は、児童・生徒が約 248,000 人、教職員等は約 15,300 人に実施 した。 ③ 調査内容は、平成 26 年度の学校生活全般における教職員等による体罰とし た。 イ 調査対象期間 調査対象期間は、平成 26 年 4 月 1 日から調査日(回答記入日)までとした。 3 平成 26 年度に神奈川県内で把握されている体罰案件の状況 (1)体罰の発生状況 26 年度に発生した体罰事案は、本調査によって把握された案件のほか、既に県教育 委員会に報告され、対応している案件を加え、次のとおり。 ◇平成 26 年度・体罰発生件数:27 件(県立学校:15 件+市町村立学校:12 件) ◇そのうち、本調査で把握した件数:10 件 (県立学校:7件+市町村立学校:3件) ア 県立学校 県立学校 設置・校種 場 面 高等学校 中等教育 授業中 部活動中 特別活動中 (部活動以外) その他 (昼休み・放課後等) 合 計 県立学校合計 特別支援 合計 前年度 5② 4 ― ― 3③ ― 8⑤ 4 (6) (7) ― ― ― ― (2) 2① ― 1① 3② (2) 11③ 0 4④ 15⑦ (17) ※1 ○数字は今回の調査で新規に把握された体罰案件の件数(内数) ※2 合計欄にある( )内数字は前年度の件数。 イ 市町村立学校 ウ 設置・校種 場 面 市町村立学校 小学校 中学校 市町村立学校合計 合 計 県内総合計 高等学校 特別支援 合計 前年度 合計 前年度 授業中 2① 1 ― 3① (4) 11⑥ (10) 部活動中 特別活動中 ― 4 ― 4 (1) 8 (8) ― 1① ― 1① (2) 1① (4) 2① 2 ― 4① (1) 7③ (3) 4② 8① 0 12③ (8) 27⑩ (25) (部活動以外) その他 (昼休み・放課後等) 合 計 ※1 ○数字は今回の調査で新規に把握された体罰案件の件数(内数) ※2 市町村立学校の合計欄にある( )内数字は前年度の件数(政令3市を除く) 2 (2)調査によって新たに把握された体罰案件の概要 ア 県立学校 N0 職 校種 申告者 1 教諭 高校 生徒 内 容 授業中、机に体を伏せ、携帯電話を操作していた生徒に 背後から近づき、持っていたノートで頭を軽く叩いた。 負傷 なし 授業中、携帯電話を操作している生徒に、「何をしてい 2 教諭 高校 生徒 る」と言って、持っていたテキストで軽く右側頭部を1回 なし 叩いた。 登校指導中、制服のリボンを着用していなかった生徒を 3 4 5 教諭 教諭 教諭 高校 特支 特支 6 教諭 特支 7 教諭 特支 生徒 目撃した 教員 目撃した 教員 注意するため、首元を両手で押さえて注意した。 授業中、突然走り出した生徒を大きな声を出しながら追いか け、興奮した生徒の両手をつかんだところ、生徒が足を蹴っ なし てきたので右足で生徒の右脛を蹴り返した。 授業中何度も同じ言葉を繰り返す障害特性のある生徒に対 し、静かにさせようとして、右手親指と人指し指で生徒の顎 なし をグイグイと持ち上げた。 目撃した 授業中、紙をくしゃくしゃにして握り締めた生徒に対し、手 を無理やり開かせようとして、手首を強く握った。 教員 保護者 なし ランニング中、ゆっくり走っている生徒に対し、背後から背 中を数回強く押した。 なし なし イ 市町村立学校 N0 職 校種 1 教員 小学校 2 教員 小学校 3 教員 中学校 申告者 内 容 目撃した 昼休み中、絵の具のついた手を壁にこすり付けた児童の髪を 児童 つかみ、汚した壁面に顔を向けさせた。 目撃した 体育の授業中、体育館で、指導に従わずソフトバレーボールを 負傷 なし なし 児童 蹴った児童の肩を押して転倒させた。 生徒 特別活動中、ふざけながら渡り廊下を歩いていた生徒を、 左手 やめさせようと左手付近を蹴った。 腫れ 保護者 (3)体罰案件の発生状況の考察と評価 ア 事案の発生件数 ① 県立学校 : 昨年度 17 件が 15 件に減少 ② 市町村立学校 : 昨年度8件が 12 件に増加 ③ 県内総合計 : 昨年度 25 件が 27 件に増加 イ 場面別 ① 県立学校 :部活動中における発生件数が、昨年度7件から4件に減少する一方 で、授業中における発生件数は6件から8件に増加した。 ② 市町村立学校 : 部活動中における発生件数が、昨年度1件から4件に増加した。 3 ウ 考察と評価 体罰により重篤な事案は発生していないものの、昨年と同程度の体罰が発生 しており、教員の意識改革に今後も継続的な取り組みが必要である。 4 今後の取組み 体罰の根絶に向け「体罰防止ガイドライン」に示された体罰の考え方や、体罰を起こさせな い指導体制の確立などについて、引き続き「校内研修ツール」などを活用した、計画的な研修を 実施することで、教職員等の意識改革の徹底を図る。また、特別支援学校については、直接指導 主事を派遣するなど効果的な研修を実施する。 併せて、体罰が発生した際には速やかに学校から教育委員会に報告するよう指導していく。 4
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