福田敏秀 1)、浦上克哉 2) 1) 社会福祉法人こうほうえん 2) 鳥取大学

「もの忘れトレーニング・プログラム」の活用方法に関する検討
福田敏秀 1)、浦上克哉 2)
1) 社会福祉法人こうほうえん
2) 鳥取大学医学部保健学科生体制御学
【目的】
我々は、前回通所サービスにおける「もの忘れトレーニング・プログラム」(以下、
「ものトレ」)の有用性を報告した。今回、追加調査を基に「ものトレ」の活用方法を
検討した。
【方法】
対象者は H26 年3月 N 通所リハビリテーション利用の要支援高齢者 39 人(男 12 人、
女 27 人)
。彼らに H26 年 3 から 9 月、毎週 1 もしくは 2 回「ものトレ」実施。
「ものト
レ」は 1 回 10 分程度、タブレット端末を使いクイズ形式で訓練する。評価は開始時と
3 および 6 か月後、タッチパネル式認知機能評価法(Touch Panel Type Dementia
Assessment Scale:TDAS)を用いて行う。TDAS は ADAS(Alzheimer’s disease scale)
をタッチパネル型コンピュータで簡単に行える。また、感想をアンケートにより調査し
た。
【結果】
対象者のうち 6 か月間継続したのは 28 人(男 11 人、女 17 人)
。彼らの TDAS 平均得
点は 3 か月後、変化なしを比較して 6 か月後は有意に改善した(p<0.05)。TDAS 得点を
下位項目に従い詳細にみると 6 か月後の図形認識に顕著な改善がみられた。
(p<0.05)。
アンケート調査の 3 か月後と 6 か月後の比較では「ものトレ」を継続したいか、自宅で
も行いたいかの問いに「思う」の割合が増した。
【考察】
「ものトレ」の効果には 3 か月を超える継続実施が求められる。介護サービス等のプロ
グラムに取り入れると、確実に継続できるだけでなく意欲向上も見込まれ、より効果的
な認知症予防が期待できる。また、図形認識に改善みられたことから視空間認知能力は
自立した日常生活に重要であり、改善すれが彼らの在宅生活の継続は促される。「もの
トレ」は高齢者の在宅生活を大きく支えるツールとなりえることが示唆された。
【論理的配慮】
説明、協力依頼し同意書で承諾を得た。