特集 1 老健施設ビフォー・アフター ∼建物老朽化対策、改修・改築に向けて∼ 古い施設ほど改修等の費用が高い傾向にある 建物の改修等にかかる費用額(1 施設あたりの平均) 単位:千円 12,000 費用額 ※ 6,966 6,481 4,697 2,538 2,352 1,701 1,400 959 目 目 年 25 目 年 24 目 年 23 目 年 22 目 年 目 20 目 年 19 目 18 目 年 17 目 年 16 目 年 15 目 年 14 目 年 13 目 年 12 目 年 11 目 年 10 目 年 9 目 年 8 目 年 7 目 年 6 目 年 5 目 年 4 目 年 3 年 目 2 平成 23 ~ 25 年に 15 年目を迎えたということ 3,997 3,280 0 年 具合が生じていると考えられる。 1 設備等の老朽化や時代のニーズ 建物もリノベーションが必要 1,187 1,300 4,190 3,855 3,321 3,292 2,000 年をめどに、内部の設備を含め、なにかしらの不 7,524 5,771 6,000 4,000 9,186 8,642 8,109 8,000 年 ~建物老朽化対策、改修・改築に向けて~ 10,280 9,822 9,965 10,000 21 老健施設ビフォー・アフター 11,220 年 August Vol.26 No.5 開設後経過年数 昭和 63 年 4 月に老健施設が本格的にスタート は、平成 10 年前後に設立された老健施設だ。つ して早 28 年。その前年度のモデル事業をカウン まり、介護保険制度施行後 15 年目を迎えた今年 トすれば、満 29 年。老健施設も来年には 30 歳を は、制度開始時に開設された老健施設が、そろそ 迎えることになる。 ろ改修・改築の必要性を感じ始めてくるころとい 図 1は平成 23 ~ 25 年度の間に改修等を実施 うことになる。折しもこの春には 6 回目の介護報 老健施設の運営も時代のニーズに対応した形態に もって改修に臨めばよいのだろうか ― 。 した老健施設の数を示したものであるが、だいた 酬改定を経たばかり。老健施設の役割については、 変化しなければならないだろう。 図 2 は、古い施設ほど改修費用が高くなる傾 い開設後 13 ~ 17 年経過したあたりで改修等を 国が一定の方向性を明確にしたところである。ま 開設後 13 ∼ 17 年経過した施設の改修等が多い さらに、地震大国日本は、いつ、どこで再び大 向にあることを示したデータである。このことか していることがわかる。つまり、施設建物は 15 規模地震が起きるともわからない。その上、近年 ら、メンテナンスは早めに行ったほうが経済的で 全国各地で多発する異常気象による自然災害…。 あることがわかる。お金をかければ立派なものが 地域高齢者の防災拠点としての役割も求められる できて当たり前だが、財政状況も厳しい昨今では、 老健施設の責任は、ますます重くなるばかりだ。 なかなかそれも厳しいだろう。 そんななか、これからの老健施設はどう変わっ そこで、まずは自施設が今後、何に力を入れた ていくべきか。サービス提供の中味というソフト 運営をしていくか、ポリシーを明確にすることが 面のみならず、その入れ物である建物というハー 重要だ。在宅復帰(=リハビリの充実)なのか、 ド面にも、リノベーションが必要な時期がそろそ アウトリーチなのか、看取りなのか、はたまた認 ろきているのではないだろうか。本特集では、老 知症対応強化なのか。それによって、いま何を優 健施設の“建物”に焦点を当て、考えてみたい。 先して行うべきかがみえてくる。もちろん、防災 た、時代はいよいよ超高齢社会に突入しており、 介護老人保健施設における設備更新や建物の改修等の発生件数 (平成 23 ∼ 25 年度に発生した改修等の件数) 120 建物の増改築 建物付属設備 構築物 医療用器械備品 100 37 80 27 60 28 15 11 11 開設後経過年数 3 0 4 1 14 2 目 目 年 25 年 目 1 24 目 目 22 0 22 目 21 目 年 20 目 6 21 3 11 3 2 19 1 12 12 5 25 0 19 年 目 2 18 目 17 年 目 2 16 年 目 2 6 年 3 0 14 6 32 20 1 12 年 11 年 10 年 9 年 40 26 15 1 目 1 47 31 13 0 目 0 15 4 16 年 1 目 11 目 12 目 13 目 15 45 9 0 目 3 13 年 4 14 10 3 年 11 11 8 目 年 7 目 5 1 5 0 年 目 目 年 3 4 6 0 7 0 2 4 目 3 目 年 年 2 1 年 4 0 5 2 4 0 5 0 2 1 6 年 5 10 6 7 1 8 6 5 5 20 23 4 年 3 23 19 年 8 年 19 40 年 発生件数 ※ 31 15 年目の施設 =2000 年前後に開設 ※:平成 23 ∼ 25 年度に発生した件数 図 1 介護老人保健施設における設備更新や建物の改修等の発生件数 ※平成 27 年度介護報酬改定に向けた「介護老人保健施設の『設備更新や建物の改修・改築』ならび に『通所リハビリテーションの実態』に関する緊急調査」(速報値 n= 377)による 10 ●老健 2015.8 010-011特集1 概要(四)0715.indd ※:平成 23 ∼ 25 年度に発生した改修等の費用 図 2 建物の改修等にかかる費用額(1 施設あたりの平均)) ※平成 27 年度介護報酬改定に向けた「介護老人保健施設の『設備更新や建物の改修・改築』ならびに 『通所リハビリテーションの実態』に関する緊急調査」(速報値n= 377)による 何をテーマに何を優先させるか ポリシーを建物に反映させる に対する整備は、やらねばならない必須事項だ。 本特集では、広島国際大学医療経営学部の宇田 淳教授にお話をうかがい、これからの老健施設の では、これからの社会や地域に求められる老健 建物に求められるものとは何かを再考するととも 施設の役割を最大限に生かしつつ、効果的・効率 に、多床室からユニット型への改修を終えたばか 的に業務を遂行するためには、何をすべきなのか。 りの「伯鳳会プラザ」 (兵庫県赤穂市)のレポー また、建物・設備の老朽化により改築・改修を考 トをお届けする。これを機に、自施設の建物を客 えている施設は、何に留意し、どんな方向性を 観的な視点で見直してみてはいかがだろうか。 老健 2015.8 ● 11 11 2015/07/15 9:27:51
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