石川県白山市別当谷(ECO+TG+クモの巣ネット)

石川県白山市別当谷(ECO+TG+クモの巣ネット)
施工前(H20 年 6 月)
ECOバインド施工状況(H20 年 7 月)
・発注元 :国土交通省金沢河川国道事務所
・施工位置:N36°07'44.8"
E136°44'41.2"
・施工年度:H20 年度
・施工面積:3,000 ㎡
・緑化目標:現地採取種子による植生回復
・採取種子:イタドリ・アカソ・ススキ
・法面勾配:1:0.5
・法面方位:南東
・地質
:手取層群(砂岩)
・土壌硬度:30 ㎜以上
・ph(H2O)
:6.44
・EC
:0.032ms/cm
・CEC
:2.20meq/100g
・塩基飽和度:27.7%
・標高:1,500m
・年間降水量:2283.5 ㎜(白山白峰観測所,2008 年累計)
・平均気温:記録無し (白山白峰観測所)
タフグリーン工法(基盤吹付)
(H20 年 9 月)
鉄筋挿入工・植生工・高強度ネット張工が計画さている当該斜面には浮
法面の安全対策工として環境負荷の少ない無機質ミネラル固化材(EC
き石等の不安定岩塊が露呈しており,施工時の安全対策が課題であった。 Oバインド)で法面を保護し,鉄筋挿入工を実施している。
配合比は,固化材1に対し砂を9とし,t=5㎝としている。
タフグリーン工法(侵食防止マット)
(H20 年 9 月)
クモの巣ネット施工完了(H20.10)
植生導入工として耐侵食機能が高いタフグリーン工法としている。
採取種子混入による長期待ち受け型の植生回復を目的としていることよ
不安定岩塊の抑止には,鉄筋挿入工と連結した高強度ネットを使用してい
植生基盤厚は2㎝で採取した種子(イタドリ・アカソ・ススキ)を混播し り,積雪への耐性が高い亀甲金網付きの土壌侵食防止マットで植生基盤を保 る。高強度ネットにはクモの巣ネットを使用している。
ている。
護している。
。
H21.5.13 時点(施工後 0 年 7 ヶ月)
積雪・融雪後の上流側斜面の状況である。
施工7ヶ月を経過した全景状況である。
。
積雪・融雪後の下流側斜面の状況である。
豪雪地である当該地においてもマットの破損は確認されず,植生基盤を
植生被覆がない状態で,施工直後に積雪を迎えている。崩壊やマットの
豪雪地である当該地においてもマットの破損は確認されず,植生基盤を
保護している。
破損は確認されず,積雪に対する耐性の効果が伺える。
保護している。
H21.5.13 時点(施工後 0 年 7 ヶ月)
下流側斜面の近景である。
積雪・融雪によるマットの破損は確認されず,植生基盤を保護している。
施工地周辺で多数確認される在来植生であるフキの侵入が確認された。
H21.7.3 時点(施工後 0 年 9 ヶ月)
施工後 9 ヶ月後の状況である。下流側斜面は,継続工事として昨年度同
様の対策工が実施されている。
施工後9ヶ月経過した下流側斜面の状況である。
斜面下部は当年度施工対象箇所である。
法面の安全対策工として環境負荷の少ない無機質ミネラル固化材(EC
Oバインド)で法面を保護を実施している。
H21.7.3 時点 H21.7.3 時点(施工後 0 年 9 ヶ月)
施工後9ヶ月経過した下流側斜面の状況である。
現地採取した種子の発芽が確認され始めた。
採取した種子のイタドリ・アカソ・ススキの実生苗が確認できる。
イタドリ・アカソ・ススキの採取種子以外にも,周辺植生からの侵入種の
着生が確認できる。
H22.7.5 時点(施工後 1 年 9 ヶ月)
施工後 1 年 9 ヶ月後の状況である。
積雪・融雪による破損は見受けられない。
現地採取種子の撒布ゾーンは植生の着床が顕著となっている。
H22.7.5 時点(施工後 1 年 9 ヶ月)
施工後1年9ヶ月経過した下流側斜面の状況である。
融雪水による湧水が顕著に出水している。
現地採取種子の撒布ゾーンは植生の着床が顕著となっている。
左上:ウド(侵入種)
右上:アカソ(現地採取種)
左下:イタドリ(現地採取種) 右下:フキ(侵入種)
H22.8.23 時点(施工後 1 年 10 ヶ月)
施工後 1 年 10 ヶ月後の状況である。
積雪・融雪による破損は見受けられない。
現地採取種子の撒布ゾーンは植生の着床が顕著となっている。
周辺からの植生侵入も確認され,ウドの成長が顕著に確認された。
H22.8.23 時点
H22年度の事業として隣接工区でも同様の工法が施工されている。無機質ミネラル固化材(ECOバインド)を用いた法面の安全対策を施し,鉄筋挿入工を実施している状況である。
環境負荷が少ないECOバインドは植生工との合併も可能なことから,当地区では安全対策工として採用されている。
H23.7.8 時点(施工後 2 年 9 ヶ月)
H20 年度施工
H21 年度施工
H22 年度施工
H20 年度施工
H21 年度施工
H22 年度施工
H20 年度施工は施工後,2 年 9 ヶ月経過,
H21 年度施工は施工後,1 年 9 ヶ月経過,
H22 年度施工は施工後,0 年 9 ヶ月経過した状況である。
H20 年度施工は3回の厳冬期を越冬しているが,斜面変状や工法の破損
H22 年度施工箇所では,湧水の水量が多く,含水による植生基盤のもた
等は見受けられない。また,自然侵入による植生回復が遠望からも伺える。 れが一部に確認されるが,植生マットと高強度ネットにより基盤流出を抑
えている。
H23.7.8 時点(施工後 2 年 9 ヶ月)
不陸凹部への自然侵入が顕著
イタドリ・ヤマハンノキ・ヤシャブシ等
H20 年度施工
H21 年度施工
ウド
タニウツギ
H20 年度施工箇所では,林縁部の母樹の影響などの立地条件にも依存す
種子散布アリアでは,採取した種子のイタドリ・アカソ・ススキの実生苗
青点線は H20 年度施工と H21 年度施工の境界線である。H20 年度施工
箇所は植生侵入が進んでいる。赤点線のエリアは,創意工夫として,採取し が確認できる。また,ヨモギ・フキ・ウド・ヒヨドリバナなどの進入種も確 るが自然侵入が順調に進んでいる。特に不陸凹部への侵入が顕著であり,斜
面勾配や斜面形状による優劣が伺える。厳しい斜面条件の場合には,左写真
認される。
た近隣種子を散布した箇所で,植生被覆が向上している。
の創意工夫のように,採取種子による植生導入が得策と考える。