第三章 正常舌象(四象平衡舌象) 四象がバランス良く、各象が割合に均衡化された舌象は正常舌象である。 「淡紅舌・薄白苔」が正常舌象の中心内容で、淡紅舌は五臓の陰陽平衡を、薄白苔は六腑 の陰陽平衡を示し、 「淡紅舌」と「薄白苔」が同時に存在して五臓六腑の陰陽平衡体質を代表 する。 正常舌象条件 ①.淡紅舌、薄白苔 ②.舌体大小・硬さは中位(不胖・不痩・不硬・不軟) ③.茸状乳頭がある ④.舌体歪みがない、両側歯痕がない ⑤.舌面潤沢・乾湿適度 ⑥.伸舌力がある 大抵正常舌象 正常舌象はあくまでも「大抵正常舌象」であり、四象体質はいくら平衡しても絶対均等分 布にはならない。絶対健康な体質がないと同じように「絶対正常舌象」もない。ヒトはそれ ぞれの体質がある訳は、四象体質のバランスを整える中にある象の勢力がほかの象より強大 になって体質は自然にその象の側へ偏っていく。暑がり体質や、寒がり体質、浮腫出やすい 体質、ほてり・のぼせやすい体質などのように、偏った象はその人その時の体質である。 正常舌象表示法 大抵正常舌象は、 「四象体質変化構成図」において、偏った体質の象がほかの象より大きい、 核心から正常変動範囲内に出ると表示する。ひとつ象だけの偏った舌象は、「正常・鉄板」、 「正常・餅」 、 「正常・豆腐」、 「正常・ルビー」と表示するが、ひとつ以上の偏った象もあり、 それは複雑な大抵正常舌象なので、偏った象の数で表示する(例:正常・豆腐/餅/ルビー)。 「正常・鉄板」:正常体質に実滞側へ偏り舌象 「正常・鉄板」体質構成図 実滞 鉄板・四形象 ◎鉄板舌 虚 寒 発病境界線 陰 虚 水 毒 ◎鉄板苔 ◎茸状乳頭 ◎V字舌面 「正常・餅」 正常体質に水毒側へ偏り舌象 「正常・豆腐」 正常体質に虚寒側へ偏り舌象 「正常・豆腐/餅/ルビー」:正常体質に気陰両虚兼水毒側へ偏り舌象 「正常・気陰両虚兼水毒」体質構成図 多象形象 ◎餅舌 実 滞 虚 寒 陰 虚 ◎豆腐舌 ◎ルビー舌 ◎茸状乳頭萎縮 水毒 発病境界線 以上は少しの例だが、四象体質理論を用いて舌象観察を行うと、どんな舌象にも象の偏り が見える。正常舌象というものは殆ど「大抵正常舌象」である。 正常体質構成図には、偏った体質は図の核心から外へ出ても発病境界線内までと想定して いる。実際には体質と証は紙一重、無病時はただ単に人の体質と考えるが、体質を改善しよ うと、病気を治療しようとするとき、体質を証として決定し、偏った体質も発病境界線を越 えたと想定する。 大抵正常舌象は、陰と陽は大抵平衡状態を保っている体質だが、無病とは限らない。 《素問・ 生気通天論》中に“陰平陽秘、精神乃治”は大抵正常体質を関する説明である。 “精神”は外 観的な精神状態や体調などの意味である。例えば慢性持病者が治療により病気は安定、また は“休眠状態”になって、一時的に精神状態や体調が良く、大抵正常舌象を呈することもあ る。
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