成果論文 - 公益財団法人 高柳健次郎財団

液晶/有 機 ELデ バイスのためのオリゴチオフェン系分子のナノ構造体制御
六車 仁志
オ リゴチオ フェ ン系化 合物 は、有機 分子導
電 体 で あ り、層 状構造 を持 つ 自己組 織 能 を有
す る こ とに特徴 が あ る。オ リゴチオ フェ ンは、
チ オ フェ ン環 と呼 ばれ る硫 黄原子 を含 む炭 素
の五 員環 が数 個 つ なが つ た分子 で あ る。 強 い
共
▽
ハ
▽
田
1。 ま えお き
︶
鮮 杖A
芝浦 工 業 大学 工 学部電子 工 学科
2,FoHIII
冗一π相 互 作用 に よ り、層状構 造 を持 ち、か つ 高
い 結 晶性 を持 つ た めに 、有機 分子 の 中 で は 、
この よ うに、 オ
高 い 電子移動度 を持 つ [1-3]。
は、 オ リゴチオ フェンの 物性 を保 つ た まま、
薄膜化 、細線化 、箱化 す る こ と、 つ ま り、 ナ
ノ構 造 の構 築す る こ とにあ る。 そ の こ とに よ
り、新 た な物性 、デ バ イ ス 、 システ ム創 製 ヘ
の 展 開 が期 待 で き る。 ナ ノ構造化 の 際 に 、従
来 は半導 体 プ ロセ ス を利 用 した の に対 し、本
研 究 のアプ ロー チ は有機 合成 。自己組 織化 に
よる。
しか し、最近 にな って この化 合 物 に も結 晶
4,5]。
多形 が 存在 す る こ とが報 告 され て い るこ
結 晶多形 が電子物性 やデ バ イ ス 特性 に大 きな
影 響 を与 え るた め 、そ の構 造 を制御 す る こ と
は重 要 で あ る。 さ らに、結 晶多形 の メカ ニ ズ
ム を解 明す る こ とは、オ リゴチオ フ ェ ン化 合
物 のナ ノ構 造 体 の 開発 には不可欠 とな る。 し
か し、 この よ うな観 点 での研 究 は ほ とん どな
され てい な い 。 本研 究 で は、オ リゴチ オ フェ
ン化 合物 の 多形 の 制御 とそ の 多形 間 の 転移 の
メカ ニ ズム解 明 を 目的 と した。本研 究 のモ デ
ル 化 合 物 と して 、 図 1に 示 す よ うに
1 - アザ ー
2 , 5 -シ
ジ
5 , 5 '[ "( ‐
2 , 2 , 5 ,トラ
5 -メ
テチ ル ‐
ヽ
′
/ ︲ ヽN ″i \
して は大変魅 力 的 で あ るが、今 後 の発 展 の鍵
\充r鳩 /
リゴチオ フェ ン系化合物 は 、有機 電 子材料 と
く
│コ
/\
図1 化 合物1お よび2の化学構造。
2 , 5 - ジシ
5 , 5 ' "[ 中
( 2 , 2 , 5 , 5 -トラ
テ メ チル _ 1 - アザ ー
ラ シ ク ロペ ン チ ル ) エチ ル ト 2 , 2 ' : 5 ' : 2 " , 5 " 2 ' " …
クォー タチオ フェ ン ( 化合物 2 ) を 用 い た。単
結 晶構造解析 か ら、化 合物 1 は 、チ オ フェン環
の 硫 黄 原 子 が トラ ン ス 位 に 全 て 配 置 す る
‐
ガテ
狙1 - Sα
構想 を持 つ 。 それ に対 し、化合物 2 で
α″r iッ
―湾
は、硫 黄原 子 が シス位 配置す るS ッ ″―
構 造 ( F o m I ) が最 も安 定 な構 造 で あ る こ とが
知 られ て い る。そ の他 に、化合 物2 は 、準安 定
こ とがわか り、
s―
ガ構造 ( F o . 1 . l Iとる
なa 1 1 -筋
I)も
多形 が 存在 す る こ とがわか って きた。
2.実 験
化合物 1と 2の 合成 お よび精製方法 は、文献
[61に記載 され て い る。装置 は、示差 走査熱 量
計法oSC)は 、TA Insmments社 製 (DSC2920)、
赤外吸収 スペ ク トル α的 は、 日本分光社製 、ラ
ラ シ ク ロペ ンプウン) メラウレ] _ 2 , 2 ' : 5 ' : 2 ' ' ,ク5 ' ' : 2 ' ' ' ‐
マ ンスペ ク トル は、Bruker社製 (RFS 100、励
ォ ー タチオ フェ ン ( 化合物 1 ) お よび
Chemagnedcs社製 (CMX-300)、薄膜 X線 は、
日本分光社製 、原子 間力頭微鏡 KAFM)は 、セ イ
コー社製 (NanoPた1000)を 用 い た。薄膜作製
は次 の よ うに行 った。キャス テ ィ ングで は、試
目 o3内■ ︵
OoL ︶ ︰︱
︱︱
Hoaふ■ ︵〇〇H︶
)、
起 波 長 : 1 0 6 4 n I I l固
体核磁 気 共 鳴 は、
料 を ク ロロホル ム溶液 に lE唱 /mLの 濃度 で溶
か し、窒素雰 囲気 中で基 板 上 に溶液 を滴 下 した
の ち、溶媒 を蒸発 させ た。真空蒸着 では 、ます 、
5 mgの 試料 をタ ングス テ ンボー ドに入れ た。
次 に、ベ ー スの真 空度 が 5×10 3 Paに
な るまで
吸引 し、そ の あ と、タ ン グス テ ンボー ドを抵 抗
│
I
X
4
1
C以 上 に加熱す る。膜 の成長速
加熱 によ り 180°
度 は 、水 晶振動子 で測 定 した。
4
3.結 果 と考察
化合物 2の 結 晶構造 は 、次 の よ うに報告 され
てい るE7]。
空 間群 :P2た ,格 子定数 :F19.809
Å,あ=6.158Å,す壬5,749Å,舛 97.20°
, Z=2。化合
物 2は 、中心対称 性 を持 ち、チオ フェン環 の面
内が互 い にほぼ同一 平面 にな り、かつ 硫黄原子
6
8
10
12
14
20(deg.)
16
18
20
図2 化 合物2の膜 のX線 回折パ ター ン。 (a)キャ
ス テ ィ ング膜。 (b)蒸着膜 、基板温度 :18°C。
C。 (b)蒸着膜、基板
(b)蒸着膜 、基板温度 :50°
C。
温度 :80°
が s_ッ″_御,i_戦に配 置 され る。結晶内 の分子
は 、結晶構造 の どの格子 定数 に も一 致 しない 、
別 の相 に出来す る (Fom Hと 定義す る)。一 方 、
のパ ッキ ングは 、2個 のチオ フェン環 が ずれ る
化合物 1の 真 空蒸着膜 につい ては、化合物 2
こ とで重 な り、チオ フェン環 は面 同士が 向か い
で観測 され るよ うな多形 は観測 され なか つ た。
合 つて配置 され てお り、従来 のオ リゴチオ フェ
薄膜 プ ロセス には、熱 プ ロセス を避 ける こ と
ヘ リンボ ン」構造 は消
ンで観測 され るよ うな 「
失 して い る。これ は、末端 のバ ル キー基 のため
がで きないので 、化合物 1と 2の 熱特性 、つ ま
に、パ ッキ ングの 充填度 が低 いた めであ る。図
り、加熱溶 解 と冷却凝 固 の特性 を DSC法 で調
べ た。 図 3に は 、化合物 1と 2の DSCプ ロフ
2に は、化合物 2の 真空蒸着膜 とキ ャス テ ィ ン
グ膜 の X線 回折 パ ター ンで ある。真空蒸 着膜
ァイ ル を示す 。 両者 は、160∼170°
Cで の 吸熱
ー
ピ ク (融解 に伴 う)と 120°
C付 近 の放熱 ピー
は 、成膜 時 の 基板温度 依存性 につい て も示 して
い る。図 2で は、層 間隔 に基 づ くの 2種 類 ピー
ク (団体化 に伴 う)が 観測 され る。他 のオ リゴ
ク (か19.62Åお よび 18.17Å)が 観測 され てい
る。前者 の 面 間隔は、結 晶構造 の格子定数 の一
チオ フェン化合物 の融解温度 は、200°
C以 上で
あ ることか ら、バル キー 基 導入 に よ り、分子 間
のパ ッキ ングエ ネ ル ギー が低 い こ とがわか る。
つ (α
Sin庁19.65Å)にほぼ一 致 してい る (Fom I
と定義す る)。また、高次 の 回折 ピー ク (面指
50°
C以 上 と大 きいの は、結 晶化速度 が小 さい
数 :(300)、 面 間隔 :6.54Å、面指数 :(400)、
こ とを意 味す る。 この 事 実 が 、特 に化合物 2
面 間隔 :4.91Å)も 観測 され てい る。 (2t10)の
ピー クは 、消滅 して い て観測 され ていない。 後
の多形 の様子 を説 明で きる。
者 の 面間隔 で ある 18.17Å(o側 )と 定義す る)
ま た 、 吸熱 ピー ク と発 熱 ピー クの温 度 差 が
1
せ咽出0コ
︼〇一F口 ▲TI1111︺▼ o﹁H︼営ヨo︻口
艶 heatin算レ 1的
W/g
図4 化 合 物 2 の 真 空 蒸 着 膜 のA F M 像 。
支 配的。 ( b ) F o m H が支配的。
(a)Fom Iが
80
2
3物
図合
120
160
Temperattre(° C)
200
D S C プ ロフ ァイル 。 ( a ) 化合物1 。( b ) 化
C付 近 に溶 解 ピー クが観測
化合物 1は 、170°
され る。最初 の融解 ピー ク と 2回 目の融解 ピー
クでは、位置や形状 は全 く同 じである。これ よ
り、化合物 1に は 多形 は存在 しない こ とがわか
C付 近 に溶 解 ピー クが
る。化合物 2で は、1密°
観 測 され る。最初 の融解 ピー ク と2回 目の融解
ピー クでは 、形状 が 異な り、後者 の ピー クでは 、
2つ の 山か らな るこ とがわか る。 また、2回 目
の昇 温時には 、80,90,120°
C付 近 に小 さい融解
ピー クが観測 され る。 これ よ り、化合物 2は 、
融解 した 後凝 固 した場合 、2つ の相 、 つ ま り、
多形 が存在す るこ とがわか る。
図 4に は、Fom Iお よび 工が支配 的 な化合
物 2の 真 空蒸着膜 の原子 間力頭微鏡 に よる表
面形状 で ある。 Form Iが 支配 的な膜表面 (図
4a)で は、大 き さが 840×840 nmの テ ラス状 の
粒 が観測 され た。これ は、単結 晶成長 の ための
核 が表れ てい る と考 え られ る。Fom Hが
支配
的 な膜表 面 (図 4b)で は、大 き さが 370×370 nm
の小 さな球状 の 島 が観測 され 、Fom Hの
それ
とは形 状 が異 な つ て い る。これ は、結 晶成長 時
の分子 のパ ッキ ン グの違 い が表れ て い る。
図 5 化 合 物2 の バ ル クの 光 学頭微 鏡 像。 大
き さ :0.5×
0.5mm。
(a)FoH」
I。 (b)Fo回 五 IL
Fom Iの パ ッキ ン グ密 度 が大 き く、よ り安定な
相 である と言 える。
図 5に は化合物 2バ ル クの Fo....Iおよび
ForIII正
の 光学頭微鏡写真 を示す 。 FoHII Iは
単
結 晶で平均サイ ズ は、o.5 rnmでぁ る。Fott H
は、 多結 晶 でサイズ も 0,1皿m以 下で ある。 不
安 定な相 であ るの で 、これ以 上は結 晶成長す る
ことは難 しい。 パ ウダー の X線 回折 は 、図 2
に示 す薄膜 の もの と同 じで あ っ た。 これ よ り、
多形 は薄膜 だ けで な くバ ル クで も存在す る こ
とがわか っ た。
図 6に 示す よ うに、
2種 類 の相 の存在割合 は、
成膜 時 の 基板 温度 と成膜速度 に依 存 す る こ と
がわかつた。Fom Iは 、よ り低 い基板 温度 とよ
り遅 い成長 速度 で 支配 的で あ る こ とがわか っ
た。 しか し、 この傾 向は、他 の分子 (銅フタロ
シア ニ ン、ペ ン タセ ン)の 多形 とは異 な る。 こ
れ らの分子 の安定相 (Fom I)は 、 よ り高い基
板 温 度 とよ り遅 い 成 長 速 度 で 支 配 的 で あ る
この理 由につい ては 、次 の よ うに考祭す
[8,9]。
る。す なわ ち、FoHn Iと工 間 の転移 エ ネ ル ギ
宮D O 身 じ 0費 潤 〓 oり0く
含︼
I
T中止
0
。
。
0
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如
砲 Fo
︲︵S ︶8
S 餞 0偽
目 o致 戸 中o 燃 一
(a)
40
(d)
代
KT°
c
中げ
_ A
・
Sub
鴫ub=18°
q
ω_人 だ生_Casting
ed
aS Synthesセ
(a) A A↓
60
Substrate Temperame(°
c)
1600
1500
1400
1300
1200
(b)
…
図7 化 合物 2のバ ル ク、 キ ャステ ィン グ膜 、お
よび真空蒸 着膜 のIRスペ ク トル 。
口
0,1
10
Deposition
Rate(nm/S)
図6(a)化 合物2の真空蒸 着膜 のFom正 の存在
合物2の真空蒸着
割合 の基板温度依存性。 (b)化
膜 のFom Hの 存在割合 の成膜速度依存性。
FD お ︼く ︶ooF喪電 o∽つく
合︼
0
。
。
0
2
mん
4燃︺
●0白●︹
SF
︵ヾ 8
︶E o魯
申 軸o
Wavenuttber(cm-1)
° V好
evaporated
1600
― は、気相状態 では小 さく、かつ 、両者 間の エ
ネ ル ギー 差 は小 さいので 、両相 の存在 比 はほぼ
等 しい。 しか し、薄膜 が堆積 し成長す るのは 、
ー
日相状態 であ り、この 時には、転移 エ ネ ル ギ
は大 き くな り、Fom Hへ
の転移 が妨 げ られ 、
1500
1400
1300
Wavenumber(cm■ )
1200
図8 化 合物 1のバ ル クお よび真空蒸 着膜 のIR
スペ ク トル。
結果 として、Fom Iが 支配 的 になる と考 え られ
ち らも全 く同 じであ り、鋭 く明確 で ある。この
1の バ ン
1440cボ
ドは、 二重結合 の炭素原子 の
る。ま とめる と、この結果 か ら、薄膜 の 多形 の
層 は、薄膜 プ ロセス (真空蒸着)の パ ラメー タ
伸縮振動 に出来す るもの であ り、チオ フェン環
の コ ンフォメー シ ョンの状態 を よく表 す。
を制御 す るこ とで意 の まま に制 御 で き るこ と
図 9は 、化合物 1と 2の バ ル クお よび真空蒸
を示 してい る。
図 7は 、化合物 2の バ ル クお よび薄膜 の IR
スペ ク トルで ある。 バ ル ク (図 7a)や キ ャス
テ ィ ング膜 (図 7b)の 1440 cm 1付
近 のバ ン ド
(図 7中 の矢印参照)は 、弱 くて ブ ロー ドで あ
る。 これ に対 し、図 7c,dの バ ン ドは、 よ り鋭
く明確 にな ってい る。一 方 、図 8に 示す よ うに、
着膜 の ラマ ンスペ ク トル である。化合物 1の バ
ル ク ( a 1 1 -α
.上
I I が支配 的な
S所デ
―、図 9 a ) と F o ェ
化合物 2(図 9d)の スペ ク トル の 1480 cm l付
近 の ピー クの位置 と形状 は 、同 じであ り、さら
に、これ らは、ジメチル クォー ター チオ フェン
S―
例rす
(all―
あ る。 一 方 、化合物
) と 同 じ[10]で
化 合物 1の バ ル クお よび真 空蒸 着膜 の 1440
2の バ ル ク (図 9b)と Fom Iが 支配 的な化合
物 2(図 8c)の スペ ク トル の ピー クは、位置 と
cm・付近 のバ ン ド (図 8中 の矢印参照)は 、 ど
1
形状 が同 じであ る。 しか し、位置 が 1470 cm‐
脅eS
含ED お算じと申
(d)
'(ム
(C) A
/ ヒ
C
b=80°
冤 缶
C
条 ub=18°
(b) ▲ ノ \
_
2 bulk
a)小
l bulk
1600
ノし
1500
1400
1300
1)
Wavenumber(cm‐
1200
図9 化 合 物 1お よび2の バ ル クお よび真 空蒸
着膜 の ラマ ンスペ ク トル 。
ー
付 近 に な り、 ピ ク幅 が大 き くな って い る。
図 10は 、化 合 物 1、Fom Iが 支 配 的 な化 合
博
物 2、 Fom工 が支 配 的 な化 合 物 2の C固 体
NMRの チ オ フェ ン環 に 出来す る ピー ク付近 の
ス ペ ク トル で あ る。化 合 物 1と Fo..u IIが
支配
的 な化合物 2の β位 の炭素原子 に由来す る(125
ppm)付 近 のス ペ ク トル が似 て い る こ とがわか
る。Fom Iの 125ppm付 近 のスペ ク トル は一 つ
で あ るが、化合物 1や Fom Iの
の ピー クに分裂 してい る。
それ は、4つ
以 上 、IR、ラマ ン、固体 剛 Rス ペ ク トル よ
り、化合物 2の 多形 は、チオ フェン環 の硫黄原
子 の配置 が こ とな るこ とに よる。す なわ ち、コ
ンフ ォメー シ ョン多形 であるこ とがわかった。
化 合物 2は 、オ リゴチオ フェン骨格 の硫黄原子
が完 全 な Sw切 ―
α″かり切 コンフォメー シ ョンの
最初 の報告 で ある。多 くのオ リゴチオ フェンは
a11-切
r,
S―
』1-切ガで あ る。 一 方、化合物 1は S―
で あ った。
化合物 1と 化合物 2は 構造 が類似 で あ りなが
ら一 方 の み がなぜ Sずノみα″ガッ れが安定 である
か につい ての解 明 を試 みた。温度可変 NMRと
IRス ペ ク トルか ら化合物 1と 化合物 2の 回転
異性 の活性化 エ ネ ル ギー泌Gは それ ぞれ 、22.1
標 準 生成 エ ネ ル ギー
以 上 、 17.3-20.2 kcaVmol、
あ った。経験
6。は両者 とも 0.8-1.2 kca17molで
150
145
140
135
130
125
120
Chenical Shift(ppm)
図 10 固 体NMRス ペ ク トル 。 (a)化合物 1。(b)
化合物 2Fom Iが 支配 的。 (c)化合物2 FoHII正
が支 配的。
的分子軌道法 GM3)の 結果 と併 せ る と、両分子
の 安 定 コ ンフ ォ メ ー シ ョンの違 い はそれ ぞれ
の分子 の電子構造 の違 い でに よるので はな く、
分子回転軸 の慣性 テ ン ソル の違 い 、溶媒効果 な
どの外 的要 因 が深 く関わ っ て い る こ とが推 定
できる。分子 の構造 の み な らず化合物 2の 薄膜
は多形 を示す こ とがわか つ た。これ は、真 空 中
では、溶媒効果 がないた め活性化 エ ネ ル ギー が
低 くな り、コ ンフ ォメー シ ョンの変化 が容易 に
な つたた め と考 察 した。 また 、DSC測 定 か ら
結 晶化 速度 が バ ル キー 基 の影響 で遅 い こ とも
わかった。末端 の修飾 が分子 の構造 の み な らず
薄膜 のモル フ ォ ロ ジー に も影響 与 え る こ とを
意 味す る。
4.ま とめ
未端 にバ ル キ ー 基 を持 つ オ ソゴチオ フェ ン
化合物 の 多形 につい て調 べ た。この 多形 は 、チ
オ フェ ン環 の結合 の 回転 角 が こ とな る コ ン フ
ォメー シ ョン多形 であつた。多 くのオ リゴチオ
フェンが a11-s_α
ttr,をとるの に対 し、化合物 2
の みが S―
ッ″_切す
な沖 配置 を持 つ こ とがわか っ
た。この多形 は、薄膜 プ ロセ ス に よ り制御 で き
ることがわか った。以 上 の知 見は、オ リゴチオ
フ ェ ンの 機 能 発 現 の 分 子 設 計 に 一 つ の 指 針 を
与 え る こ とが で き る。さ らに、高性 能 な有機 ト
ラ ンジス タや 有機 発 光 素 子 を期待 で き る。
謝辞
本研 究 は 、財 団法人 高柳 記 念 電子 科 学 技術 振
興財 団 か ら研 究助 成 を受 けてお ります 。財 団お
よび財 団 の 皆様 に熱 くお 礼 を 申 し上 げます。
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