保育所民営化の拡大について 平成26年12月 摂津市・摂津市教育委員会 はじめに 核家族化の進行、女性の社会進出や就労形態の多様化などにより保育ニーズが増大す るとともに多様化してきています。また、近隣関係、地域コミュニティの希薄化など子 育て家庭を取り巻く環境の変化により、家庭や地域からの孤立などが生じ、子育て不安 やストレスが解消できず、児童虐待、育児放棄につながる一因となっています。 このような中、保育所はこれまでの「保育に欠ける児童」を預かるだけでなく、園児 や保護者の状況に応じたさまざまな保育サービスの提供と、待機児童解消のための定員 増という、質・量両面の充実、地域の子育て家庭を支える拠点としての役割が求められ ています。 また、国において「子ども・子育て支援法」の制定をはじめ、市町村が実施主体とな り子ども・子育て支援事業計画の策定をはじめ子育て支援施策の充実に取り組んでいく こととなっております。 しかしながら、本市の財政状況は税収が伸び悩む中で社会保障関係経費が加速度的に 増加しているなど大変厳しい状況にあります。さらに公立保育所の運営についても、平 成 16 年度以降、国の三位一体改革により運営経費、施設建て替えへの補助制度が一部 を除き廃止されています。 本市では、平成 26 年 4 月に策定した摂津市第 5 次行政改革において、公共施設を 「機能」の視点で適正配置するとともに、民間に委ねる方が経費面、サービス面共に効 果的な行政サービスは、民営化や民間委託を導入することとしており、保育所民営化の 拡大についても平成 26 年度、27 年度検討、平成 28 年度実施としています。 保育所民営化の拡大について幅広くご意見をいただく場として保護者、子育て支援関 係者、学識経験者等で構成される摂津市子ども子育て会議において協議を重ねていただ きましした。 今般、子ども・子育て会議から「保育所民営化の拡大について」意見書が提出された ことを受け、市として以下の方針を決定いたしました。 1 基本的な考え方 子ども子育て会議では検討部会を設置し、公立保育所の施設の状況や運営経費、待機 児童の現状等に加え民営化実施園の視察を踏まえて、一定、保育所民営化の拡大につい ては理解を示していただきましたが、一方で民営化する場合の留意点についても示され ました。 平成25年度に実施した子ども・子育て支援ニーズ調査からも、就労等に伴う保育所 利用希望は増加傾向にあります。 待機児童の現状、老朽化している公立保育所の現状を踏まえ、保育環境の充実、改善 を図り、年々増加している多様な子ども・子育て支援ニーズへの対応、希望するすべて の子どもに質の高い就学前教育・保育を保証するため保育所民営化の拡大は必要と考え、 まず、公立保育所1園を民営化します。 しかし、公立保育所民営化は、子ども達や保護者、地域の方にとって保育環境の変化 を伴うものです。 そのようなことから、保育所民営化を進めるにあたっては、子どもの利益を最優先に 考え、保護者や地域の方の理解を得ながら、引き続き、地域における子育て支援拠点と しての役割を果たせるよう、慎重かつ丁寧に進める必要があります。 民営化にあたって留意する視点 保育所民営化の拡大にあたっては、施設の老朽化、待機児童が希望されている地域を 考慮して決定します。 また、保護者の方ヘの丁寧な説明をおこなうとともに、保護者の意見、希望にも十分 耳を傾け、その理解を得られるよう努力するとともに、運営先の選定は、選定委員会に 諮り決定します。 運営法人に対しては公立保育所の保育サービスの継承、公立保育所で担えなかった新 たな保育サービスの提供、公立保育所の職員配置基準や保護者負担金の継承、地域の子 育て支援の拠点としての役割を求めていきます。 保護者、運営先、市が連携した取り組みとして、民営化実施まで意見交換を行う場(3 者懇談会)を設置し、園児、保護者にとってもスムーズな移行となるよう運営先、市で 勤務職員の雇用、配置について協議します。民営化実施後も円滑な園運営となるよう 3 者懇談会を継続して設置します。 また、民営化する保育所1園以外の公立保育所のあり方についても引き続き検討し、 公立・民間を問わず摂津市全体の保育水準の向上に努めます。 2 正雀保育所を民営化 平成26年11月現在、市内には117名の実待機児童がおられ、その多くは安威川 以北地域に集中しています。正雀保育所は昭和46年の開設以来、これまで大規模な改 修は行っておらず早急に建て替え等の検討が必要な時期に来ております。 また、建設当時には想定できなかった延長保育や一時預かり、病後児保育などといっ た保育ニーズに対応するためには、新たな保育スペースの確保が必要です。 とりわけ施設を整備する経費については公立保育所施設整備補助金制度が廃止とな ったため、全額市費負担となり、改修には多大な財源が必要となります。 そのようなことから建替え定員増による安威川以北の待機児童解消、多様化する保育 ニーズへの対応、建て替えに伴う財政負担を総合的に判断し、市内4保育所のうち、 正雀保育所を民営化します。 施設名 子育て総合支援 構造 建築年度(認可) 経過年度 鉄筋コンクリート3階建 平成12年 14年 鉄筋コンクリート2階建 昭和46年 43年 センター 正雀(保) 一部木造 平屋建て 鳥飼(保) 鉄筋コンクリート2階建 昭和49年 40年 べふこども園 鉄筋コンクリート2階建 平成24年 2年 正雀保育所民営化の実施時期 正雀保育所民営化の実施時期については、平成28年4月1日とします。 保育所民営化選定委員会の設置 保育所民営化にあたっては、保護者、学識経験者、子ども・子育て会議委員等で構成 する保育所民営化選定委員会を設置し、運営法人選定にあたっての公募要項の作成、審 査、決定を行います。 3 正雀保育所民営化後も継承すべき保育サービス等 ①現行の正雀保育所で実施している保育内容、保育サービス ②1歳児クラスの職員配置基準(5対1) ③保育料以外の保育サービスに対する保護者負担金の現行水準継承 正雀保育所民営化後により期待される新たな保育サービス等 ①保育所入所定員の増 現状90名⇒120名(30名増員) ②保育時間の延長 現状保育時間7時~19時⇒7時~20時 ③地域の子育て支援拠点としての取り組みの充実 ④その他保育ニーズに応じた取り組み 正雀保育所以外の保育所・幼稚園の在り方 民営化を実施する正雀保育所以外の保育所、幼稚園についても、保育、教育ニーズや 市の財政状況、子ども子育て支援新制度の動向を注視し、庁内関係各課で協議し、子ど も子育て会議等でのご意見をお聞きする中で引き続き検討を続けることとします。 4
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