背景:ステント圧着不良(ISA)は血管内超音波検査(IVUS)の異常所見の

背景:ステント圧着不良(ISA)は血管内超音波検査(IVUS)の異常所見の一つであり、薬
剤溶出型ステント(DES)留置後とベアメタルステント(BMS)留置後のいずれの場合に
も発生する可能性があり、遅発性ステント血栓症に関連するものと考えられている。DES
留置後に遠隔期 ISA のリスクが上昇するかどうかについては見解の一致をみていない。今
回実施したメタアナリシスでは、DES 留置に伴う遠隔期 ISA のリスク上昇の有無を解明す
ることを目的とした。方法:本研究では、DES と BMS とを比較し、併せて IVUS フォロー
アップを行った無作為化試験 12 件のメタアナリシスを実施した[TAXUS II(n = 469)、
TAXUS IV(n = 187)、TAXUS V(n = 213)
・VI(n = 147)、ASPECT(n = 81)、DELIVER(n
= 65)、SIRIUS(n = 141)、DIABETES(n = 140)
、ENDEAVOR II(n = 250)、FUTURE I・II
(n = 83)、及び SPIRIT-I(n = 58)
]。これらの試験において留置直後とフォローアップの両
方で IVUS 検査を受けた患者は 1,834 例(DES 群 972 例、BMS 群 862 例)であった。結果:
試験間での不均一性は認められなかった[不均一性に関する Q 検定:Chi2:7.69;
(p=0.26)、
I2:22%]
。IVUS 検査を連続して受けた患者 1,834 例中、遠隔期 ISA が認められた者は 85
例であった(4.6%)。DES 群における発生率は、BMS 群よりも有意に高値であった(6.5%
対 2.6%;オッズ比[OR]2.48、95%信頼区間[CI]1.26∼4.87;p=0.008)。この結果は、
DES 留置後における遠隔期 ISA の発症リスクが BMS 留置後と比較して 2.5 倍高いことを意
味している。最長 12 か月間の期間で、ISA と診断された患者ではステント血栓症は認めら
れなかった。結論:DES 留置に関連する遅発性 ISA の発症リスクは、BMS 留置の場合と比
べて高くなる可能性がある。長期間でみた場合の遅発性 ISA の臨床的意義については今後
の解明が待たれる。