顧 客 心 理 - 社団法人・日本ホテル・レストランサービス技能協会

顧 客 心 理
エッセイ
ホテルメルパルクTOKYO 営業サ−ビスグル−プ グル−プマネ−ジャ−
(HRSテ−ブルマナ−委員会 委員、技能検定委員会 委員)
テーブルマナーマスター認定講師 / 1級レストランサービス技能士 /
日本ソムリエ協会認定 ソムリエ /
国際デュアルビジネス専門学校 教育課程編成委員会 委員 /
共著:西洋料理の食卓作法
川上 元久 (かわかみ もとひさ)
歓迎され、受け入れてほしい 心 理
ケットからお金を出し「ご迷 惑をお掛
技 術 ばかりに片 寄りが ち な スタッフ
け い たしました 。どうぞ お 受 け 取り
も いますが 、心 の 伴 わな い 高 度 なテ
お客さまが初めて利 用するホテル
下さい 。自動 販 売 機は業 者に連 絡を
クニックより、温 か み の あ る 普 通 の
に足を踏 み 入 れたとき、フロントや 、
して 修 理 い たします」と詫 びるなど、
テクニックの 方 が お 客さまの 心に伝
ロビ ー でスタッフに何 かを 頼 ん だと
お 客 さまをたらい 回しに せ ず 、現 場
わるのではな いでしょうか。スタッフ
き、お 客さまは 敏 感にそ の 場 の 空 気
担 当 者が即 応できるよう出 来る限り
の 心 の 在り方 次 第でお客 様を楽しく
や ス タッフ の 表 情 を 感じ取りま す 。
の 権 限 委 譲もなされてい なければ
さ せ るし、不 快 に も さ せ てしま い ま
当 然 お 客 さまは 、歓 迎 さ れ た い 、受
なりません。
す 。申し上 げ た い の は 心 の テクニッ
け入 れて欲しいという欲 求をお持 ち
クを 磨 か な け れば ならな いというこ
で す 。そ れと同 時 に 意 識しな い ほど
とで す 。ハウツー だけで 学 ん だ 心 な
当 たり前 の 期 待 で も あります 。私 た
不安な心 理
ちはたとえそ れがどん なわがままで
い 付 け焼 刃 なテクニックは役に立 た
な いばかりか不 快 感をも生 んでしま
も 受 け 入 れる 心 の 許 容 量 が 必 要 に
ま た 、初 め て の 利 用 な の で 、ど ん
い 、そ の 素 晴らしいレストラン の 毒
なります。
なレストランな の かどん なメニュー
ともなってしまします。
私 た ち は い つ い か な るシ ー ン で
な の か 判ら ず 不 安 な 気 持 ち を お 持
も 、どうす れ ば お 客 さまに 快 適 に 過
ち で す 。情 報 が な い 、あ るい は 不 足
ごして い た だ けるか 、楽しみ 喜 ん で
して い ることから 引 き 起 こさ れ 、助
いただけるかを基 本 的に考えなけれ
長 されるも の です 。お 客 さまの 不 安
ばなりませ ん 。たとえばレストランに
な 気 持 ちを払 拭して喜 んでもらうた
人 間は誰でも自己 中 心 的な考え
お い て お 客さまからメニューにはな
独占したい心理
めに は 、情 報 を タ イミングよく正 確
をしが ち で す 。まして 自 分 が お 客 さ
い カツ サ ンドが 食 べ た いと言 わ れ 、
に提 供し、お 客 さまを自 分 の 親 兄 弟
まの 立 場 のときは な おさらで す 。お
野 菜 サ ンドや ミックス サ ンド の パン
と思う感 覚 を 持 ち 、お 客 さまに 一 瞬
客 さまと接 遇して い る時 間 は 、そ の
が あり、ポ ークソテ ー の 豚 肉 が あ れ
にして自 分を十 数 年 ぶりに会う親 友
お客さまのためのもので あると感じ
ば 当 然 対 応 で きます 。深 夜 、ル ー ム
と感じさ せ る 接 遇 などを 実 践し、お
て い た だくことが 必 要 に なりま す 。
サ ービ ス の 時 間 外 で あっても 、ご注
客さまにとって居 心 地 の 良 い 空 間を
また 、他 の お 客 さまの ためにも 対 応
文があればお客さまにご満 足 いただ
造らな け れば なりませ ん 。そ の た め
する時 間が特 定 の お客さまに集 中し
けるよう精 一 杯 努 力しな け ればなり
に は 、日 常 生 活 で 自 分 自 身 が 喜 び 、
ないようにしなければなりません。
ませ ん 。ご宿 泊 の お 客さまが自 動 販
感 動を感じられる感 性を磨 かなくて
レ スト ラ ン に お い て 常 に チ ー ム
売 機 からコ ーヒー を 購 入しようとし
は なりま せ ん 。細 や か なことに 目 を
ワ ー ク を 保 ち 、サ ー ビ ス の ク オ リ
てお金を入れコーヒー の 缶が出てこ
留 め 受 け 入 れることで す 。み ず み ず
ティを 維 持 することは 困 難 なことで
なく、通りか かった ハウス キ ー パ ー
しい 感 性 は 人 や 物との 出 会 い を 大
す 。スタッフ 同 士 が 尊 敬し合 える人
で ある客 室 係に伝えれば自分 のポ
切 にするも の で す 。よくサ ービ ス の
間 関 係 を 継 続して いくことにより優
30 HRS news 2015 October
れた人 材を育 成していけるのではな
たとえば 、ご宿 泊 の お 客 さまから
修 理 で きることで す 。この ような 事
い でしょうか 。視 野を1 8 0 度に広 げ
チェックアウト時「エアコンの 調 整が
例 は み な さま の ホテ ルや 旅 館 で も
ながら目 の 前 の お客さまを大 切にし
効かなく全く眠 れなかった。どうして
少なからずあるかと存じます。
ていかなければなりませ ん 。
くれるん だ 。」とお 叱りを受 けたとし
お 客 さまの お 叱りに心 が 折 れ 、凹
ま す 。担 当 フロントマンが 丁 重 に お
ん でしまうシ ー ンが あるか もしれま
詫びを行 い 、権 限 の 委 譲で割 引 など
せ んが、私たちにとって
“耳の痛い話
不 満な心 理
をして すぐに 対 処 す る でしょう。勿
を 真 摯 に 聞く”
ことの 中 にホテ ル・レ
論 、割 引 などせ ず お 客 さまを 帰して
ストランにとって の 大 き な ヒントが
サ ービス業にとってやっか いと思
しまった 場 合 は 後 日マネ ージャー が
あるのではないでしょうか。
わ れて い るお 客 さま の 不 満 な 心 理
菓 子 折り等 を 持 参して 1 日がかりで
で す 。ご不 満 を そ の 場 で 声に出して
対 処しな け れ ば なら な い 可 能 性 も
お 客 さまの 心 理を察し、機 転 の 利
言うお 客 さま 、表 情 に 出して 黙って
あります。チェックアウト時にマネ ー
い た接 遇を心 掛 け、会 員 の み なさま
い る お 客 さま 、表 情 に は まったく出
ジャー が 不 在 で も 数 千 円 の 割 引 で
の 仕 事 が 愉しく、有 意 義 な も のとな
さ な い が 心 の 中 で 怒って い る お 客
解 決して い たことを 、菓 子 折りを 購
りますように。
さま、色 々 なタイプ の お 客 さまが い
入 するだけで 数 千 円 使 い 、交 通 費を
らっしゃい ま す 。不 満 を 抱 い た 人 の
使 い 、マ ネ ー ジャー の 1 日 分 の 拘 束
9 0 % 以 上 は 何 も 言 わ ずに立 ち 去っ
費を考 え、お 客さまの 不 快 な 時 間 が
て いくとい わ れて います 。そ の 場 合
長くなることを考えますと・
・
・
私たちはな ぜ 不 満を抱かれたのか
当 然 、苦 情 を 避 けるため の マ ニュ
判らな いまま自 然と顧 客 を 失ってし
ア ル 教 育 では 、すぐに化 け の 皮 が 剥
ま い ます 。満 足 を 得られ な かった お
が れてしまいます 。大 切 な の は お 客
客 さまは 1 0 人 以 上に悪 評 をたてる
さまからお叱りをいただいたおかげ
といわれています。
でエアコンが 壊 れて いることが 判り
期待=接遇 期待通りで満足?期待以上にならない!
「何をしても当たり前な時代」
期待>接遇 クレームが生まれる
期待<接遇 感動が生まれる
HRS news 2015 October
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