皮質 図形や光刺激で誘発される後頭葉視中枢の活動電位を後頭葉の

皮質
視覚誘発(脳)電位;visual evoked (cortical) potentials VE(C)P
について
皮質
参考)視能学 P93 他
図形や光刺激で誘発される後頭葉視中枢の活動電位を後頭葉の頭皮上から記録する(生体信号の中では最
も微弱な電位の1つ)
目的 網膜中心部から大脳視中枢に至る視覚伝導路の機能をみる
視覚誘発電位(VEP)は網膜受容器に光刺激を与えたときに大脳皮質に生じる反応で、250ms以内に反応波形が認めら
れる。VEP は刺激の方法により、flashVEP と pattern reversalVEP に分けられるが、波形の発生起源はまだ釈明されて
いない。導出電極の位置や導出法により波形は大きく影響されるが、P100 と呼ばれる 100msの潜時を持った Positive
の大きな谷状の波形が一つの目安となる。視覚神経路の障害の有無や、半盲検査の診断補助として利用される。
検査に影響する因子
屈折矯正の有無・固視不良・瞳孔径・注意・覚醒レベル
対象疾患 視神経疾患(多発性硬化症・視神経炎・虚血性視神経症・外傷性視神経症・眼科腫瘍)
黄斑疾患(中心性漿液性網脈絡膜症・黄斑円孔)
高次中枢での視路障害、弱視の予後診断、心因性視力障害、詐盲 斜視での両眼抑制(場合がある)
補足)他覚的な視力測定
用語
振幅とは・・・波の縦の幅(図①)
潜時とは・・・波の低い位置から高い位置までの時間(横の幅)
知りたい刺激波があらわれるまでの時間(頂点潜時・・・その波のピークの位置)
(図②)
見方
①正常波形を知ること。(ただし、電極を反対にすると波が反対に出る)
図参照
・約 75msec 付近の第1陰性波
・約 100msec 付近の第1陽性波
あるか?
・約 135∼145msec 付近の第 2 陰性波
特に P100msec が最も安定した反応が得られるのでこの波を基準とすることが多い。
振幅に比べ頂点潜時の個人差は少なく、再現性も高い
②波の形の変化をみること
・電位が平坦ではないか?
③左右眼を比較すること
・振幅、潜時(特に陰性波と陽性波)に左右差はないか?
視能学 P94 図 8 に加筆
幅が小さい
異常
潜時が遅れる
微弱な電流なので加算し
て平均化して波形として
記録する
②
①
数字は潜時 上が陰性波
+
説明書より
種類と特徴と波形
フラッシュ(luminance)VEP
・刺激条件により波形・潜時・振幅と
も個人差が大きい。
・固視持続困難な乳幼児、高度の視力
障害、意識混濁、精神発達遅滞や認
知症を伴う症例に適応
transient(一過性)刺激
第
1
陰
性
波
第
1
陽
性
波
第
2
陰
性
波
1 回の反転刺激で誘発され
る電位変化が完全に刺激状
態に戻るまでの刺激の間隔
をあける方法
パターン VEP
・チェックサイズ・画面の平均輝度や
コントラスト刺激条件、その他屈折
矯 正の有無 ・固 視状態 ・瞳 孔径 ・注
意・覚醒レベルなどにより変化する。
・大きなチェックサイズを用いるほど
図形の輪郭に反応する成分は減少
・角膜・水晶体・硝子体などの中間透
光体が透明で、鮮明な像を網膜に投
影できる症例に適応
+
steady-state(定常状態)刺激
反転頻度を速くし、波形の各成
分を融合させて正弦波状の律
動的な波形にする方法
Hz 表示は上記の半分の数字
視能学 P94 図 9 より
網膜電位図;electroretinogram ERG について
参考)視能学 P90 他
光刺激で誘発される網膜の電位変化を記録する
目的網膜機能の検査 全体的な
①眼底が透見不能な白内障や硝子体出血などで、術前に網膜機能を他覚的に評価するために必要不可欠な
検査
②各種の夜盲性疾患の鑑別
③網膜の循環障害の診断
フラッシュ ERG の正常波形
角膜側を陽性(上向き)とする。下図参照
下向きの波・・・a 波:視細胞起源(杆体+錐体)
上向きの波・・・b 波:双極細胞・ミューラー細胞起源
b波に重なる4波・・・OP:律動様小波:網膜内層神経回路網
(アマクリン細胞、網状層間細胞)
(b波の後方に波・・・C 波:網膜色素上皮起源)通常では記録
されない
*フラッシュ ERG では、視神経、網膜神経節細胞やその軸索
の障害は反映されない。
C 波は眼球電位図 EOG では記録される。
視能学 P91 図 3 に加筆
電位差;振幅(μV)
陰性波(周波数・中)
角膜側上向き
(+)の電極をつける
(周波数・低い)
時間経過ミリ秒
(周波数・高い)
200mse 以内
(msec、ms)
1/1000 秒
波長の長い成分
O P s のみ 強 調 され
る
各波形の頂点に至る時間;潜時
視細胞多い
ERG の種類
bright-frash ERG(フラッシュ ERG)
通常の検査はこれのこと。杆体優位だが、錐体・杆体
の混合反応(暗順応下での強い閃光刺激)
閃光(フラッシュ)刺激
Scotopic ERG 杆体系機能のみの評価
a 波がなく、b波のみ
(充分な暗順応下での弱い閃光刺激)
Photopic ERG 錐体系機能のみの評価
(明順応下での閃光刺激)
これが錐体の反応らしい
フリッカー刺激
網膜全体の錐体系機能のみの評価
(明順応下での速い光の点滅刺激)
時間周波数
限局した範囲の網膜病変では異常が検出できないことが多い。
参考)他にドーム型の刺激装置を用いて網膜周辺部まで均一に照射するものを Ganzfeld 型と呼ぶ
パターン反転刺激
視能学 P92 図 6 他
(白黒の市松模様の反転刺激)
視神経乳頭の位置で周囲より振幅が小さい。反応が記憶さ
れる理由としては、刺激視標が盲点より大きいなどによる
多局所 ERG multifocal ERG
多数錐体反応の局所 ERG を記録
visual evoked response imaging
(視野の範囲直径約 50°で多数の
system(VERIS)
6角形刺激)
3D トポグラフ
ィ
眼科検査法ハンドブック第 3 版 P369
フラッシュ ERG 型別分類 視能学 P92より病名記入のこと。
平坦型・消失型(Non‐recordable ERG)
例)網膜色素変性
視能学 P92 参照
波形が全く出現しないもの
陰性型(Negative ERG)
b波の振幅が a 波より小さくなるもの
(原因)視細胞(a 波)に比べ双極細胞層(網膜中層b波)の障害
例)P92 参照
律動様小波異常型
網膜の低酸素状態、軽度循環障害を反映
*OP 低下という分類もある
例)P92 参照
減弱型・準正常(Subnormal ERG)
全ての波の振幅が小さくなるもの
(原因)網膜の限局性障害
・・・b波の頂点潜時は正常
網膜の広範囲障害
・・・b波の頂点潜時は延長
中間透光体の強い混濁
例)P92 参照
増強型(Supernormal ERG)
例)P92 参照
b波の振幅が正常より増大するもの
フリッカーERG の異常波形
例)錐体ジストロフィー
* 注意)英語での分類(基本的には日本語名と一致しない)
視能学 P92 図 5・6