高等教育の 「ファーストステージ」 としての日本大学短期

平成27年度 シンポジウム
「高等教育機関として今後短期大学が果たすべき役割とは」
平成27年4月24日(金) 公益財団法人 大学基準協会
高等教育の
「ファーストステージ」
としての日本大学短期大学部
日 本 大 学 短 期 大 学 部
ものづくり・サイエンス総合学科
山 田 賢 治
目
次
◆ はじめに
◆ 日本大学短期大学部の概要
◆ 日本大学短期大学部の現況
◆ 短期大学部(船橋校舎)の特色
◆ ファーストステージ教育における課題
◆ 将来に向けた発展方策
◆ おわりに
2
はじめに(1)
◆ 短期大学の今後の在り方(1)
「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26年8月6日
中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学ワーキンググループ)
⇒ 短期大学の特長
① 学位が取得できる短期高等教育機関
② 教養教育と専門教育のバランスの取れた高等教
育機関
③ 職業能力を育成する高等教育機関
④ 小規模できめ細かい教育を行う高等教育機関
⑤ アクセスしやすい身近な高等教育機関
⑥ 教育の質が保証された高等教育機関
3
はじめに(2)
◆ 短期大学の今後の在り方(2)
「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26年8月6日
中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学ワーキンググループ)
⇒ 短期大学の役割・機能
① 社会基盤の維持・向上を担う職業人材の養成
→ 専門職業人材の養成
② 地域に密着した高等教育機関としての活用
→ 地域コミュニティの基盤となる人材の養成
③ 高等教育のファーストステージとしての期待と可能性
→ 知識基盤社会に対応した教養的素養を有する人材の養成
④ 生涯学習機能の充実
→ 多様な生涯学習の機会の提供
4
はじめに(3)
◆ 短期大学の今後の在り方(3)
「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26年8月6日
中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学ワーキンググループ)
⇒ 短期大学における機能別分化の推進
① 専門職業人材の養成
② 地域コミュニティの基盤となる人材の養成
③ 知識基盤社会に対応した教養的素養を有する人材の養成
→ 短期大学の特色を活かした教養教育と専門教育の提供による
知識基盤社会に対応した人材の養成
④ 多様な生涯学習の機会の提供
→ 資格取得やキャリアアップを目指す社会人に対する学び直し
プログラムの実施
→ 地域のニーズに対応した生涯学習プログラムの実施
5
はじめに(4)
◆ 短期大学の今後の在り方(4)
「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26年8月6日
中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学ワーキンググループ)
⇒ 短期大学が取り組むべき方策(一部抜粋)(1)
● 知識基盤社会に対応した教養的素養を有する人材養成機能
の充実(1)
① 少人数制のきめ細やかな指導で,全人格的な成長を促す短期大
学が若年層に対して教養教育の機会を提供
② 特色ある教育課程・学習指導法の開発や教育改革に関する取組
を一層推進
③ 教養教育と専門教育のバランスのよい教育課程は,学士課程教
育の前半部分としてふさわしい機能を有する
6
はじめに(5)
◆ 短期大学の今後の在り方(5)
「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26年8月6日
中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学ワーキンググループ)
⇒ 短期大学が取り組むべき方策(一部抜粋)(2)
● 知識基盤社会に対応した教養的素養を有する人材養成機能
の充実(2)
④ 専門分野を超えた汎用性のある能力を育成する教育課程を展開
⑤ 短期大学士課程を高等教育のファーストステージとして,4年
制大学への編入学や専攻科を活用した学位取得につながる接続
教育の機能として大きな役割を担う
● 多様な生涯学習の機会の提供(1)
① 短期大学士課程の充実・整備
7
はじめに(6)
◆ 短期大学の今後の在り方(6)
「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26年8月6日
中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学ワーキンググループ)
⇒ 短期大学が取り組むべき方策(一部抜粋)(3)
● 多様な生涯学習の機会の提供(2)
② 多様な非学位課程の展開
→ 多様な人々にとってアクセスしやすい,短期大学の特長を
活用した生涯学習機能を積極的に提供
→ 専攻科・別科や科目等履修生制度,長期履修制度,履修証明
プログラム,昼夜開講制などを活用して,多様な機能を充実
→ 個々の学習ニーズにきめ細やかに対応するプログラムを開
発し,短期長期の多様な非学位課程を編成
→ 非学位課程の修了者には,履修証明プログラムを活用して
8
学習到達度を証明
日本大学短期大学部の概要(1)
◆ 日本大学の概要
⇒ 1889(明治22)年 日本法律学校(現 法学部)
創立 → 2019年 創立130周年
⇒ 学部・学科数: 14学部 85学科
法学部,文理学部,経済学部,商学部,芸術学部,国際関係学部,
理工学部,生産工学部,工学部,医学部,歯学部,松戸歯学部,
生物資源科学部,薬学部,通信教育部
⇒ 在籍学生数(短大・大学院を含む):
約7万7千人(平成26年5月1日現在)
⇒ 卒業生数: 約111万人(平成27年3月)
9
日本大学短期大学部の概要(2)
◆ 日本大学短期大学部の概要(1)
⇒ 1950(昭和25)年 短期大学(現 短期大学部)
を設置 → 2020年 創設70周年
⇒ 学科・専攻科数(1): 6学科・1専攻科
● 三島校舎(国際関係学部併設・静岡県三島市)
ビジネス教養学科 80名,食物栄養学科 120名,
食物栄養専攻 20名
● 船橋校舎(理工学部併設・千葉県船橋市)
建築・生活デザイン学科 80名,
ものづくり・サイエンス総合学科 60名,
生命・物質化学科 40名
10
日本大学短期大学部の概要(3)
◆ 日本大学短期大学部の概要(2)
⇒ 学科・専攻科数(2): 6学科・1専攻科
● 湘南校舎(生物資源科学部・神奈川県藤沢市)
生物資源学科 150名(平成27年度学生募集停止)
⇒ 在籍学生数: 1,114名(平成26年5月1日現在)
11
日本大学短期大学部の現況(1)
◆ 短期大学部(船橋校舎)の状況
⇒ 平成18〜22年度: 入学定員割れ
⇒ 平成23年度: 入学定員の減員 280名→180名
入学定員割れ解消
⇒ 平成24年度: 改組《学科名称変更及び教育
課程の抜本的変更》
⇒ 平成24〜27年度: 入学定員の充足
入学志願者数増加傾向
12
日本大学短期大学部の現況(2)
◆ 短期大学部(三島校舎)の状況
⇒ 平成25年度: ビジネス教養学科へ名称変更
◆ 短期大学部(湘南校舎)の状況
⇒ 平成27年度: 生物資源学科 募集停止
⇒ 生物資源科学部「くらしの生物学科」
(4年制)へ改組
◆ 短期大学部の体制
⇒ 平成28年度以降: 3校舎体制 → 2校舎体制
13
短期大学部(船橋校舎)の特色(1)
◆ 本格的な理工系総合短期大学(1)
⇒ 3学科 10専攻分野(総定員 180名)
● 建築・生活デザイン学科(定員 80名)
1)建築デザイン 2) 建築エンジニアリング
3) 生活デザイン
● ものづくり・サイエンス総合学科(定員 60名)
1) 機械 2) 電気電子 3) 情報 4) 物理学
5) 数学
● 生命・物質化学科(定員 40名)
1) マテリアル科学 2) バイオ・環境科学
14
短期大学部(船橋校舎)の特色(2)
◆ 本格的な理工系総合短期大学(2)
⇒ 併設理工学部の関連学科(総定員 2,020名)
● 建築・生活デザイン学科 → 5学科
土木工学科(220名) 交通システム工学科(120名) 建築学科(240名)
海洋建築工学科(120名) まちづくり工学科(100名)
● ものづくり・サイエンス総合学科 → 8学科
機械工学科(160名) 精密機械工学科(140名) 航空宇宙工学科(120名)
電気工学科(160名) 電子工学科(100名) 応用情報工学科(100名)
物理学科(140名) 数学科(100名)
● 生命・物質化学科 → 1学科
物質応用化学科(200名)
15
短期大学部(船橋校舎)の特色(3)
◆ 4年制大学への編入学
⇒ 併設理工学部の推薦編入学制度
→ 学業成績が上位70%以内であり,船橋
校舎各学科が定める推薦資格・基準を
満たす者は,推薦により編入学が可能
⇒ 船橋校舎各学科からの編入学先
→ 併設理工学部の関連学科
→ 日本大学他学部
→ 他大学
16
短期大学部(船橋校舎)の特色(4)
◆ 卒業生の編入学状況(実績)
卒業年度
卒業者数
平成25年度
160
平成26年度
169
編入学者
数
編入学先内訳
理工学部
他学部
他大学
117
97
11
9
(73.1%)
(60.6%)
(6.9%)
(5.6%)
133
115
10
8
(78.7%)
(68.0%)
(5.9%)
(4.7%)
17
短期大学部(船橋校舎)の特色(5)
◆ 教育課程の特色(1)
⇒ 教育課程編成の理念(平成24年度新教育課程)
● 入学志願者及び入学者の志望動機・進学動機の多様化に対
応するとともに,短期大学部教育の質的向上を意図する多
層的な教育体制を構築する。
→「地域総合科学科」の特色である「多彩な科目とコース展
開」及び「科目・コースの柔軟な選択」を備えた教育課
程を編成
→ 選択の自由度を最大限に高めるため,必修科目を最小限
に設定
→ 種々の教育プログラムは,原則として,正課教育の一部
として位置付け
18
短期大学部(船橋校舎)の特色(6)
◆ 教育課程の特色(2)
⇒ 主専攻分野選択制度
● 専門教育科目区分の中に「分野別専門教育部門」を置き,
その下に複数の専門分野を設定し,各分野を特徴づける専
門科目を選択必修科目として開設する。卒業判定時におい
て,修得単位数が最大である専門分野をもって「主専攻分
野」とする。
→ 1年前学期:学科共通科目の履修
→ 1年後学期:主専攻分野の仮登録
→ 短期大学士(工学,理学)の学位に対する教育課程上の質
保証
19
短期大学部(船橋校舎)の特色(7)
◆ 教育課程の特色(3)
⇒ 修学を支援する補充教育
● 科目区分として「補充教育科目」を置き,高大接続支援科
目や専門教育科目を履修する上での補習・補完科目を開設
し,これらを正課教育として実施
→「補充教育科目」の修得単位は,卒業要件単位数に算入
できない(自由科目)
→「補充教育科目」を履修した学生の単位修得率の向上に
寄与(底上げ教育)
→ 基礎学力の高い学生を対象として,学力の更なる向上
を意図した科目を開設(引上げ教育)
20
短期大学部(船橋校舎)の特色(8)
◆ 教育課程の特色(4)
⇒ グループ担任制度
● 「グループ担任制度」は,従来のクラス担任制度を補完す
るものであり,履修,修学,学生生活,進路,職業選択等
に関する助言・指導を組織的に行う仕組み
→ 学年ごとに少人数の組に分割してグループを編制し,
各グループに専任教員(「グループ担任」という)を
配置
→ 必修科目である基礎ゼミナール,発展ゼミナール,卒
業研究への配属をグループ編制に利用
→ 入学から卒業までの充実した支援体制を構築
→ 長期欠席,退学を未然に防止
21
ファーストステージ教育における課題(1)
◆ 編入学率の向上(1)
⇒ 基礎学力の高い学生の受入れ
● 学生募集方法,入学者選抜方法等の改善
⇒ 退学者・留年者の減少
● 底上げ教育の充実・強化
⇒ 日本大学他学部への編入学の推進
● 全学統一編入学試験の実施の検討
22
ファーストステージ教育における課題(2)
◆ 編入学率の向上(2)
⇒ 他大学への編入学の推進
● 引上げ教育の充実・強化
⇒ 併設理工学部推薦編入学制度の改善
23
ファーストステージ教育における課題(3)
◆ 編入学時単位認定の柔軟化
⇒ 併設理工学部における単位認定方法の改善
● 認定科目のグループ化(大くくり化)等
の検討
⇒ 日本大学他学部における柔軟な単位認定方
法の検討
24
ファーストステージ教育における課題(4)
※ 改善方策を検討する際の参考(1)
⇒ 高校生が進路検討時に重視する項目
① 学びたい学部・学科がある
② 校風や雰囲気がよい
③ 興味や可能性が広げられる
④ 就職に有利
(リクルート「進学ブランド力調査2013」より)
25
ファーストステージ教育における課題(5)
※ 改善方策を検討する際の参考(2)
⇒ 高校の進路指導主事が大学に期待すること
① 分かりやすい学部・学科名称(学部・学
科名称から学ぶ中身が分からない)
② 入試の種類の抑制(入試の種類が多すぎ
て分からない)
③ 就職実績の公開
(リクルート「進学ブランド力調査2013」より)
26
ファーストステージ教育における課題(6)
※ 改善方策を検討する際の参考(3)
⇒ 進路検討で保護者が重要だと思う情報
① 進学費用(学費・生活費など)
② 入試制度の仕組み
③ 学部・学科の内容
④ 将来の職業との関連
⑤ 就職の状況(実績)
(全国高等学校PTA連合会,リクルート合同調査「第6回
高校生と保護者の進路に対する意識調査」より)
27
ファーストステージ教育における課題(7)
◆ 中長期的検討課題
⇒ 社会環境の変化や社会のニーズを踏まえた,
学校法人日本大学としての短期大学部の位
置付けの見直し
⇒ 日本大学の生涯学習機能の強化の観点から,
「日本大学通信教育部」や「日本大学総合
生涯学習センター」との連携
28
将来に向けた発展方策(1)
◆ 国による支援方策(要望)(1)
※ 参考:「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26
年8月6日 中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学
ワーキンググループ)
⇒ 大学に進学することを前提としたファース
トステージ教育を行う短期大学の支援(1)
① 4年制大学と体系的な接続を行う,高等教育
の第一段階(ファーストステージ)としてのモ
デルとなる取組を支援(競争的資金の充実)
29
将来に向けた発展方策(2)
◆ 国による支援方策(要望)(2)
※ 参考:「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26
年8月6日 中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学
ワーキンググループ)
⇒ 大学に進学することを前提としたファース
トステージ教育を行う短期大学の支援(2)
② 4年制大学における編入学の機会について,
一層拡大する具体的方策の検討(1)
● 4年制大学における編入学生の定員化
● 編入学時における柔軟な単位認定
30
将来に向けた発展方策(3)
◆ 国による支援方策(要望)(3)
※ 参考:「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26
年8月6日 中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学
ワーキンググループ)
⇒ 大学に進学することを前提としたファース
トステージ教育を行う短期大学の支援(3)
② 4年制大学における編入学の機会について,
一層拡大する具体的方策の検討(2)
● 前期2年・後期2年の課程に区分する学士
課程の設置(学校教育法等の改正)
→ 前期2年の課程(学士前期課程)は,短期
大学士課程として取り扱う
31
将来に向けた発展方策(4)
◆ 国による支援方策(要望)(4)
※ 参考:「今後の学制等の在り方について(第五次提言)」(平成26
年7月3日 教育再生実行会議)
⇒ 高等教育機関における編入学等の柔軟化
● 多様な生涯学習の機会を提供する観点から,
4年制大学から短期大学への編入学を制度化
(現在制度がない)
32
将来に向けた発展方策(5)
◆ 国による支援方策(要望)(5)
※ 参考:「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26
年8月6日 中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学
ワーキンググループ)
⇒ 多様な非学位課程の開設の推進
→ 履修証明プログラムを活用し,一定の基準に
合致したプログラムを認定する仕組みの検討
→ 非学位課程における学習成果を評価したり,
単位を累積したりすることによって,将来の
学位取得に道を開く可能性の検討
33
将来に向けた発展方策(6)
◆ 短期大学関係団体等が取り組むべき方策(要望)
※ 参考:「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)」(平成26
年8月6日 中央教育審議会大学分科会大学教育部会 短期大学
ワーキンググループ)
⇒ 認証評価団体の役割
→ 短期大学の個性・特色等を積極的に示してい
けるよう,認証評価団体における評価システ
ムの更なる充実
→ 受験生の大学選びにおける認証評価結果の活
用の普及
34
おわりに(1)
◆ 日本大学短期大学部の中長期的将来像
⇒ 知識基盤社会に対応した教養的素養を有す
る人材の養成機関
⇒ 大学に進学することを前提としたファース
トステージ教育を行う短期大学
⇒ 日本大学における生涯学習機能の一翼を担
う短期大学
35
おわりに(2)
御清聴
ありがとうございました
36