BIを中核とした店舗業務支援システムを構築し 顧客

お客様事例 : 小売
株式会社パルコ
BIを中核とした店舗業務支援システムを構築し
顧客・市場ニーズに即した価値創造基盤を実現
創業以来、世代を越えてファッション/文化事業や
新しいライフスタイルを提案
「PARCO」を中心とするショッピングセンター(SC)の開発・運営事業を営
むパルコ。「訪れる人々を楽しませ、テナントを成功に導く、先見的、独創的、
かつホスピタリティあふれる商業空間の創造」を経営理念に、1969年の池袋
PARCO開業以来、都市生活者に対してファッションを軸とした文化事業や新し
いライフスタイルを提案し、世代を越えて顧客に支持されてきた企業だ。
2012年にはJ.フロント リテイリンググループの一員となり、営業や店舗開発
の連動を強化。現在、全国主要都市でのPARCO19店舗の運営をはじめ商業施設
の開発・運営を幅広く手がけ、新たな事業モデルとして、都心型中低層商業施設
の開発を強化し、「ゼロゲート事業」として4店舗をオープンしている。
トレンド遷移の激しいSC業界において、顧客・市場のニーズを的確に汲み取
りながら価値の高いビジネスを展開していくにあたっては、店舗運営や顧客の
購買傾向にまつわる膨大な情報の収集・分析が不可欠だ。既存のシステムが抱
える諸課題を解決し、さらなる価値創造を図るべくパルコが選んだのが、
MicroStrategyのBIプラットフォームである。
生産性向上に向けて解決が必要な、情報分析の3つの問題点
同社が全社的な情報分析基盤の刷新を検討し始めたのは2009年秋。同社 IT推進
導入前の課題
室 室長の中嶋史子氏は、「背景には、成熟業態であるSC事業の競争激化があり
「情報ソースにアクセス可能な端末が限られてい
ます。そうした中で市場をリードしていくためには、スタッフの生産性をさらに
た」、「情報ソースが社内に散在し、一元化できて
高めていく必要があり、これが急務の課題となっていました」と振り返る。ま
た、IT推進室の高森敦史氏は、「限られた時間の中で、スタッフが新たな施策を
いなかった」、「未出店の企業も含め、テナント候
考えていくための情報を、いかに効率的に各スタッフに提供していけるかがカギ
補企業に関する定性情報を共有する機能が欠けてい
になると考えました」と話す。併せて、テナントのスタッフに対してもディベ
た」という問題を抱えていた。売上や顧客購買動向
ロッパーであるパルコの立場から提供できる情報をより効率的に伝えたいという
の分析の前段階で労力と時間を費やしてしまい、エ
ニーズもあったという。
ンドユーザーの生産性に悪影響を与えていた。有用
な情報を部門内に閉じずに共有及び活用可能な、全
社的な情報分析基盤が求められていた。
それまでの情報システムは大きく3つの問題点を抱えていた。1つ目は、情報
ソースにアクセス可能な端末が限られていたこと。2つ目は、情報ソースが社内に
散在し、一元化できていなかったことだ。「当時は別々の情報ソースから取得し
たものをExcel上で2次集計・加工して、といった煩雑な作業を強いられていまし
た。また、PARCOカード顧客の属性・購買データを自社で保有しておらず、分析
導入後の効果
を行う際は都度、カード事業委託先に依頼し結果を受け取る必要がありました」
TRM(テナント事業支援)、BI、CRMを軸とした
と高森氏。中嶋氏も、「売上を店舗別やテナント別に見る際にも、単月と累計し
店舗業務支援システムを構築し、テナントとの関係
か取り出せないため、Excelで手作業で推移表を作成しなくてはならずストレスを
感じていました」と打ち明ける。3つ目は、旧来のシステムには、既にテナントと
強化や煩雑な分析作業の省力化、KPIの認識徹底を
して出店している企業を含む、テナント候補企業に関する定性情報を共有する機
図る新しい情報分析基盤を整えた。社内用のレポー
能が欠けていたことだ。そのため、様々な部門のスタッフが情報を得ても部門内
トに加えて、テナント用レポートの作成機能を追加
にとどまってしまうなどして、有用な情報を全社的に生かせないでいたという。
し、社内・テナントの両者がそれぞれのビジネス状
況を分析・可視化して改善につなげられるように
なった。また、既存のシステム/データとの連携も
BIをはじめ3領域を軸にした店舗業務支援システムを構築
上述の課題を踏まえて、2010年春より新しい情報分析基盤の構想が具体化。店舗
運営事業を統括するストアオペレーション部とIT推進室からメンバーを集めた全社
容易に行えるようになったことで、分析アプローチ
プロジェクトが始動し、新システム「店舗業務支援システム」のRFPが作成された。
が多様化し、デジタルマーケティング施策がより展
パルコが目指すことは、テナントの事業成長を支援して訪れる顧客を楽しませ
開しやすくなった。
ることの追求であり、その目的のもとで新システムをTRM(Tenant Relationship
Management = テナント事業支援)、BI、CRM(顧客関係強化)の3領域で構成し
た。TRMではテナントとの関係を深め、より一層の事業成長支援の強化を、BIで
は煩雑な分析作業の省力化やKPIの認識徹底を含めた分析力
の強化を、そしてCRMではPARCOカードホルダーを軸と
した顧客との関係強化をそれぞれ図る。「各領域でどんな
価値をスタッフヘ提供するかを定義し、そこからシステム
に実装する機能のデザインを詰めていきました」(高森氏)
中核となるBIプラットフォームの選定プロセスは、SIの
提案を基にエンドユーザーであるストアオペレーション部
の評価も取り入れながら進められた。その結果、SC専用の
BIパッケージも含めた複数の候補の中からMicroStrategyが
選ばれた。「採用の決め手は、他の製品に比べて変化対応
力に優れ、ユーザー視点で真に使い勝手のよいBIツールだ
と感じられたからです」と高森氏。加えて、既存の業務
データとの連携の容易さや、表現力に富んだダッシュボー
ド機能、非定型分析の自由度の高いレポート機能も、ユー
ザー部門とIT推進室の双方から高評価を得たという。
店舗業務支援システムの全体像として、テナントシステ
ム、入館客数カウントシステム、POSシステム、PARCO
カード会員属性マスタの各種システム/データを情報ソースとして、ETL工程の後にDWHに格納するデータ管理基盤とDWHに格納
された情報に分析をかけて、用途ごとに最適化されたレポートを出力する情報分析基盤という構成が描かれた。スコープの大きさか
ら、ステージングによる段階的リリースという方針で構築が進められた。MicroStrategyの採用決定が2010年9月で、半年後の2011
年3月には情報分析基盤が完成し、ファーストリリースとなった。
さらに半年後の2011年9月、PARCO店舗スタッフがテナントヘ月次で情報提供するための定型レポート「提供用テナントカルテ」を
リリース。これは、テナント自店の売上推移や、自店でのPARCOカード会員の購買履歴分析、他テナントとの買い回り状況等が月次集
計されたレポートだ。「これまで当社内で用いてきたテナントカルテを、各テナントにおいても活用していただくための新たな施策で
す。MicroStrategyの機能を生かして、A3サイズ1枚でビジネス状況がグラフィカルに見渡せるようにしています」と高森氏は説明する。
翌2012年2月には、PARCOカード会員のRFM分析機能およびデシル分析機能と、テナントの定性情報を記録・共有する折衝管理
システムをリリース。その後もユーザー部門とディスカッションを行いながら、新機能の追加・更新を半年から1年のスパンで実施
し続けている。「ユーザーからの要望を受けて追加した機能としては、2013年3月に、テナントごとに設定した予算を取り込み予実
対比を行う予実管理システムをリリースしています」(高森氏)
BIの活用範囲を広げながら、
デジタルマーケティング施策を本格展開へ
(株)パルコ
IT推進室 室長
中嶋史子氏
こうしてMicroStrategyの導入を基軸に全社の情報分析基盤を刷新したパルコ。その
導入効果はBI利用ユーザーの数が雄弁に物語っている。高森氏によれば、現時点で340
名にIDが発行され、そのうち平均180名が月51回以上のレポートを実行しているとい
う。店舗グループユーザーに限って見れば、店長含む営業スタッフ全員と一部総務経
理スタッフ199名に対してIDが発行され、うち平均150名が月51回以上レポートを実行
(株)パルコ
IT推進室
高森敦史氏
しており、利用率は実に75%に達している。中嶋氏は「分析軸が簡単に切り替えられ
るなど、MicroStrategyの使い勝手の良さが、煩雑な分析作業を省力化でき、このよう
な高い利用率につながりました。使いやすいから利用が進み、さまざまな切り口から
分析をしたいというニーズが喚起されたかたちです」と高く評価する。高森氏も同意
見で「直感的なUIが奏功し、ユーザー教育もわずかで済んだうえ、ユーザー側での主
会 社プロフィール
http://www.parco.co.jp/
本社:東京都渋谷区
資 本金:3 4 3 億 6 7 0 0 万 円
代 表 執 行 役 社 長 :牧山浩三
従業員数:626(2013年2月末日現在)
体的な利用で分析の高度化が進んでいます」と話す。
IT推進室はすでに“次”を見据えており、中嶋氏は今後の計画をこう語る。「顧客分
析の結果に基づいてお客様にDMでアプローチできるようになるなど、本格的なデジタ
ルマーケティングの仕組みが整いました。この基盤の下、今後は社内、店舗、テナン
トのそれぞれが効果的なマーケティング施策を展開できるよう、活用範囲を広げてい
きたいと思います」
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