全国消防救助技術大会について 心をひとつに ―POWER OF JAPAN― 一般財団法人 全国消防協会 1 はじめに 全国消防救助技術大会(以下「全国救助大会」 会場で陸上の部を、東京辰巳国際水泳場で水上 の部を、ららぽーと豊洲会場などで各種イベン トを開催しました。 という。 )は、 「 救助技術の高度化に必要な基本 開催にあたり一つの課題として、開催場所が 的要素を練磨することを通じて、消防救助活動 市街地から遠く、いかに市民の皆様が参加しや に不可欠な体力、精神力、技術力を養うととも すい環境を整えるかということがありました。 に、全国の消防救助隊員が一堂に会し、競い、 このため、公共機関の協力による事前広報や協 学ぶことを通じて、他の模範となる消防救助隊 力消防団体・協力会社など他機関との共催によ 員を養成し、市民の消防に寄せる期待に力強く るイベントの開催、シャトルバスの運行、運営 答えること。」を目的として、昭和47年から毎 要員を約1,000人動員するなど、態勢を整備しま 年開催しています。 した。 この大会に向けて、早いところでは年明けぐ 前日には大雨が降り、陸上会場のグランドコ らいから訓練を開始し、各消防本部や都道府県 ンディションが心配されましたが、大会関係者 内での予選会、そして全国 9 地区支部の指導会 の御努力によりぬかるみに砂を入れるなどして で優秀な成績を収めた隊員が、栄えある全国救 整備していただきました。大会当日は夏の青空 助大会出場となります。 が広がり、猛暑の中での大会となりましたが、 平成23年度の第40回大会は、さいたま市で開 学校が夏休み期間であったこともあり親子連れ 催を予定していましたが、東日本大震災の影響 が目立ち、一般市民の方々や消防関係者など 3 で中止となりました。大会が中止となるのは初 会場に約18,000人が来場しました。 めてのことであり、この大会に向けて訓練を重 今回の大会における特筆すべきこととして、 ねてきた救助隊員の中には、残念がった者も少 東日本大震災において特に甚大な被害を受けた なからずいたことでしょう。ただ、被災地では 東北 3 県(岩手、宮城、福島)の消防本部職員 我々の仲間が復旧・復興に向けて懸命に努力し の激励と一層の士気高揚を図るため、今大会の ている中での大会開催はあまりに無理があると 特例措置として、 3 種目(ロープブリッジ救出、 判断し、中止を決定させていただきました。 引揚救助、障害突破)について、東北地区支部 したがって、今回の第41回大会は 2 年ぶりの 出場人員割り当て組数を 1 組ずつ増やして実施 開催となり、東京消防庁の主管のもと、一般財 しました。特別枠で出場されたチームの指導者 団法人全国消防協会主催、消防庁及び全国消防 の方と話をする機会がありましたが、皆さん異 長会後援のもと「心をひとつに P O W E R 口同音に感謝の言葉を述べられており、災害の O F J A P A N 」をスローガンに、昨年 8 復旧・復興に向けて多忙な業務をこなしながら、 月 7 日㈫、東京都のゆりかもめ新豊洲駅前特設 ここまで技術の錬成に努めてこられた皆さんの 御努力にただただ感銘するばかりでした。 また、閉会式においては、被災地消防本部の 消防職員の皆さんから震災時の支援に対する感 謝のビデオメッセージが会場に設置されたオー ロラビジョンに流され、皆さんの言葉に会場に いる消防職員はもちろん市民の方々も感動し、 勇気をもらいました。 2 開会式 午前 8 時55分、約18,000人が見守る中、東京 消防庁音楽隊の演奏により、国際消防救助隊、 緊急消防援助隊をはじめ、全国 9 地区支部から 写真 2 選抜された隊員982人の精鋭たちが堂々と入場 し、大会副会長である荒井横浜市消防局長の開 会宣言で大会の幕が開きました。一方、水上会 場においては、同時刻に同じく大会副会長であ 3 アトラクション ⑴ 陸上会場では、開会式終了後、歌手の小 る高橋仙台市消防局長が開会宣言を行いました。 比類巻かほるさんが登場し、 「震災活動に派 開会式ではまず、消防使命達成のため殉職さ 遣された隊員への激励」と「被災された地 れた消防職員の御霊に対して黙とうを捧げまし 域へのエール」をという思いを込めて、東 た。続いて国旗・大会旗掲揚の後は、大会会長 京消防庁音楽隊とのコラボレーションによ である北村一般財団法人全国消防協会会長【写 り、力強い歌声が披露されました。 【写真 3 】 真 1 】のあいさつ、開催地である石原東京都知 事(代理:安藤東京都副知事)のあいさつ、久 保消防庁長官、秋本日本消防協会会長の祝辞と 続き、大会審判長の櫛井北九州市消防局長によ る審判長指示がありました。その後、出場隊員 を代表して東京消防庁の廣畑隊員が力強く隊員 宣誓を行いました。 【写真 2 】 写真 3 ⑵ 水上会場である東京辰巳国際水泳場では、 ハーフタイムに宮城県気仙沼市の「気仙沼 八幡太鼓ジュニアベストチーム」が登場し ました。静かに響き渡る篠笛の音色に続き、 元気で力強い八幡太鼓の音が会場いっぱい に響き渡りました。子供たちの見事なパ フォーマンスは隊員や来場者を魅了しまし 写真 1 た。 【写真 4 】 【写真 5 】 前方を見ながら両手で交互にロープをつか み、自分の体の方に引いて渡るものです。 この渡過方法は、下が見えるため高度に対 する恐怖心を伴いますが、熟練すれば軽量 の物を携行することも可能です。 【写真 6 】 また、モンキー渡過とは、渡過する時の 恰好が猿に似ていることからその名があり ます。渡過ロープに両手両足を交互に掛け ながら渡る方法です。この渡過方法は、上 写真 4 を見て渡るため、高度に対する恐怖心をあ る程度緩和することができますが、半面、相 当な腕力と腹筋力を必要とします。 【写真 7 】 (標準所要時間 28秒) 写真 5 4 訓練 いよいよ訓練開始です。救助訓練には陸上 7 種目、水上 7 種目及び陸上、水上ごとに技術訓 練があり、全国から選りすぐられた救助隊員が 写真 6 参加して実施されました。各種目の内容につい ては、次のとおりです。 なお、各訓練種目の末尾に記した「標準所要 時間」とは、訓練種目ごとに設定された訓練時 間で、この時間を超えると超過した時間に応じ て減点されることとなっています。 【陸上種目】 ⑴ ロープブリッジ渡過(基礎訓練) 写真 7 個人で実施する訓練で、水平に展張され た渡過ロープ20メートル(往復40メートル) を往路はセーラー渡過、復路はモンキー渡 過するロープ渡過の基本的なものです。 ⑵ 「はしご登はん」 (基礎訓練) 個人で実施する訓練で、スタートの号令 とともに自らに命綱を結索し、さらに確保 このセーラー渡過は「水兵渡り」とも言 ロープに命綱をかけた後、垂直はしごを15 われ、水兵が用いたところから名づけられ メートル登るものです。災害建物への進入 たものです。渡過ロープの上に体を乗せ、 等、消防活動には欠かせない基本訓練です。 【写真 8 】 ⑷ ほふく救出(連携訓練) (標準所要時間 24秒) 3 人 1 組(要救助者を含む。 )で実施す る訓練で、濃煙が充満しているという想定 で 8 メートル先に倒れている要救助者を救 出するものです。救助隊員 1 人が空気呼吸 器を着装して検索しながら長さ 8 メートル の煙道を進入し、横たわる要救助者を発見 します。発見した救助隊員は要救助者を確 保して屋外の救助隊員と連携し、救出しま す。さらに、この 2 人の救助隊員が協力し ながら安全地点まで要救助者を搬送します。 これはビルや地下街等で煙に巻かれた人を 救出するための訓練です。 【写真10】 写真 8 (標準所要時間 1 分10秒) ⑶ ロープ応用登はん(連携訓練) 登はん者と補助者が 2 人 1 組で協力して 実施する訓練で、機材を使わずに塔上から 垂下されたロープを15メートル登るものです。 登る方法は、片足を垂下されたロープに 絡め、絡めた足に重心を乗せるタイミング で補助者が垂下されたロープを引き、足を 固定させます。順次足を固定し、体重を預 けることで、手だけを使って登るよりも省 力化され、迅速に登はんすることができます。 【写真 9 】 写真10 (標準所要時間 16秒) ⑸ ロープブリッジ救出(連携訓練) 4 人 1 組(要救助者を含む。 )で実施す る訓練で、20メートル先の地点に取り残さ れた要救助者を、展張したロープを渡過し て救出するものです。 2 人の救助隊員が水 平に展張された20メートルの渡過ロープで 対面する塔上へ進入し、要救助者を確保し て救出ロープに吊り下げます。これを渡過 せずに留まっていた残りの救助隊員 1 名が けん引して救出すると同時に、進入した救 助隊員 2 人も続いて脱出します。これは建 写真 9 物や河川の中洲などに取り残された要救助 者を、隣の建物や対岸等から進入して、救 出することを想定した訓練です。 【写真11】 (標準所要時間 1 分15秒) ⑺ 障害突破(連携訓練) 5 人 1 組(補助者含む。 )で実施する訓 練で、様々な障害を突破して災害現場へ進 入するものです。 4 人の救助隊員が堅密な 連携のもと、 一致協力して「乗り越える」 「登 る」 「渡る」 「降りる」 「濃煙を通過する」の基 本動作により 5 つの障害を突破します。災 害現場の様々な状況を想定し、いかなる状 況下においても、体力的にも精神的にも屈 することなく対応することを目指した訓練 です。 【写真13】 写真11 (標準所要時間 3 分15秒) ⑹ 引揚救助(連携訓練) 5 人 1 組(要救助者含む。 )で実施する 訓練で、低所に取り残された要救助者を安 全な場所に救出するものです。 2 人の救助 隊員が空気呼吸器を着装してロープを使用 しながら塔上から塔下へ降下し、要救助者 を塔上の 2 人の救助隊員と協力して塔上へ 写真13 救出した後、塔下へ降下した救助隊員 2 人 もロープを登り塔上へ脱出します。これは 地下やマンホール等での災害を想定した訓 練で、災害発生現場において有毒ガスの発 【水上種目】 ⑴ 基本泳法(基礎訓練) 個人で実施する訓練で、水難救助の基本 生や酸素欠乏等の状況が想定されることから、 的な泳法を習得するためのものです。要救 空気呼吸器を着装して進入します。 【写真12】 助者を見失わないように、顔を水中に沈め (標準所要時間 2 分30秒) ない飛び込み方である「じゅんか飛込み」 という方法で入水した後、常に顔が水面に 出た状態で、基本的な泳法である「抜き手」 と「平泳ぎ」でそれぞれ25メートルずつ泳 ぎます。 【写真14】 (標準所要時間 40秒) 写真12 写真14 ⑵ 複合検索(基礎訓練) ⑷ 人命救助(連携訓練) 個人で実施する訓練で、マスク、スノー 3 人 1 組(要救助者を含む。 )で実施す ケル、フィンを着装し、スノーケリングで る訓練で、これは救助者が陸上の救助隊員 障害物である救命浮環を突破しながら水底 と協力して溺れている要救助者を陸上へ救 に沈められたリング 4 個を検索して引き上 出するものです。入水する救助隊員が救助 げます。これは、水中の行方不明者の捜索 ロープに「二重もやい結び」を結索し、こ を想定したものです。 【写真15】 の救助ロープをたすき掛けにして要救助者 (標準所要時間 40秒) の位置まで泳ぎます。そこで入水した救助 隊員が要救助者をクロスチェストキャリー (片手で脇を抱えて引っ張る。 )で確保し、 陸上の救助隊員が救助ロープをたぐり寄せ て救助します。さらにそののち、水没して いる別の要救助者(訓練人形)を水面に引 き上げ、陸上まで救助する訓練です。 【写真17】 (標準所要時間 1 分13秒) 写真15 ⑶ 溺者搬送(連携訓練) 2 人 1 組(要救助者を含む。 )で実施す る訓練で、溺れた要救助者を陸上に救出す るものです。 1 人の救助隊員が「じゅんか 飛込み」で入水後、要救助者(溺者)を注 視しながら近づき、チンプール(あごを引っ 張る。 )で確保した後、ヘアーキャリー(髪 写真17 の毛を引っ張る。)により搬送します。 ⑸ 溺者救助(連携訓練) 【写真16】 (標準所要時間 42秒) 3 人 1 組(要救助者を含む。 )で実施す る訓練で、陸上の救助隊員と協力して溺れ ている要救助者を陸上に救出するものです。 入水する救助隊員と陸上に留まる救助隊員 の 2 人が協力して浮環にロープを結着後、 陸上に留まる救助隊員が浮環をプール内へ 投下し、入水する救助隊員が20メートル先 の要救助者の位置まで搬送します。この浮 環に要救助者をつかまらせ、陸上の救助隊 員がロープをたぐり寄せて救助する訓練で 写真16 す。 【写真18】 (標準所要時間 43秒) 写真18 写真20 ⑹ 水中結索(連携訓練) 3 人 1 組で実施する訓練で、水中におけ 【技術訓練】 るロープ結索技術を習得するためのもので 技術訓練とは、定められた救助方法や資機 す。水中に設定された結索環に、第 1 泳者 材に縛られることなく、創意と工夫のもとで は「もやい結び」、第 2 泳者は「巻き結び」 、 より安全で迅速・確実な訓練を発表するもの 第 3 泳者は「ふた回りふた結び」のそれぞ で、平成18年に札幌市で開催された第35回大 れ指定された 3 種類のロープ結索を行いま 会から導入されました。今大会における訓練 す。 【写真19】 内容は、次のとおりです。 (標準所要時間 1 分46秒) ⑴ 陸上の部 ① 「新築建物工事現場での転落事故」 ・訓練実施消防本部:北海道支部(札幌 市消防局) 新築建物の工事現場で作業員 2 人が転 落し、建物の壁体に宙吊り状態になって いることを想定した訓練です。はしご車 等は部署不能で屋上からのアプローチを 活動の条件とし、訓練を実施しました。 【写真21】 写真19 ⑺ 水中検索救助(連携訓練) 4 人 1 組で実施する訓練で、第 1 泳者が 水面を、第 2 泳者が水中をそれぞれ検索し、 水没している要救助者(訓練人形)を発見 して水面へ引き揚げたのち、第 3 泳者と第 4 泳者が協力して対岸の救出地点まで搬送 し、救助するものです。 【写真20】 (標準所要時間 1 分42秒) 写真21 ② 「大津波が来襲した市街地の建物にお ける要救助者救出訓練」 ・訓練実施消防本部:東北支部(大船渡 地区消防組合消防本部) 大津波が来襲した市街地において、倒 壊を免れた建物に取り残された自力歩行 不能、低体温症の要救助者 1 人を救助す ることを想定した訓練です。建物が津波 による瓦礫、海水等に覆われ救出困難で 写真23 あることを活動の条件とし、訓練を実施 しました。 【写真22】 【水上の部】 ① 「増水した河川内における要救助者救 出訓練」 ・訓練実施消防本部:東近畿支部(白山 野々市広域消防本部) 天候急変により増水した河川内に取り 残された要救助者が 3 人いることを想定 した訓練です。対岸は断崖のためアクセ スできず河川は濁流で流速が早く、多数 写真22 の障害物があることを活動の条件とし、 訓練を実施しました。 【写真24】 ③ 「地震により倒壊した建物における要 救助者救出訓練」 ・訓練実施消防本部:近畿支部(大阪市 消防局、堺市消防局、東大阪市消防局、 枚方寝屋川消防組合消防本部、豊中市 消防本部、八尾市消防本部、和泉市消 防本部、富田林市消防本部) 地震により倒壊した建物において、窓 拭き作業中で宙吊りになった作業員 1 人 及び倒壊建物に取り残された 1 人の要救 写真24 助者 2 人がいることを想定した訓練です。 倒壊建物周辺は瓦礫が散乱しており、救 ② 「自隊で考案した資機材による水中検 出困難であることを活動の条件とし、訓 索訓練」 練を実施しました。 【写真23】 ・訓練実施消防本部:九州支部(熊本市 消防局) 水深 5 メートルの位置に要救助者がい ることを想定した訓練です。潜水隊員に より自隊で考案した資機材(ウォーター レスキューフレーム及び防水ブザー)を 活用して水中検索を行い、要救助者発見 後、防水ブザーを要救助者に取り付け救 出する訓練を実施しました。 【写真25】 ⑴ 陸上会場 ① 消防体験コーナー 起震車で過去の様々な地震を体験した り、実際に消防車やはしご車に乗車し、 消防士さながらの気分を味わっていまし た。中でも、はしご車搭乗体験コーナー では、長蛇の列ができていました。 【写真28】 写真25 5 市民参加のイベント開催 訓練会場には両会場とも一般市民の見学席を 設けたことから、多数の方々から声援を送って いただきました。 【写真26】 【写真27】また、陸上 会場や近隣のショッピングセンター(ららぽー と豊洲)には様々な市民参加型のイベントも開 催しましたので、その一部を紹介します。 写真28 ② 消防車両展示コーナー 敷地いっぱいに特殊車両や新型車両が 集結し、子供から大人まで普段見ること ができない車両に興味津々でした。車両 の前で防火服・救助服・救急服の中から 好みの服に着替えて記念撮影をするなど、 皆さん大変楽しそうでした。 【写真29】 写真26 写真27 写真29 ⑵ ららぽーと豊洲会場 ① 君もレスキュー隊 ! 綱渡り体験 ! ③ 防災コーナー 地震体験、非常食の試食、防災相談等 綱渡り体験では、子供たちが救助隊員 が行われました。首都直下地震等の発生 さながらの綱渡りを体験していました。 が危惧されていることから、家具の転倒 千代田区から参加したオケソン・ニコ君 防止方法やガラスの散乱防止対策など、 も緊張した面持ちで一生懸命渡っていま 集まった方々は熱心に質問していました。 した。感想を聞くと「楽しかったけど、 また、非常食の試食では、 「思っていたよ 落ちそうになって怖かった。大きくなっ りおいしい」などの声が聞かれました。 たら消防士になりたい。 」と話していま 【写真32】 した。 【写真30】 写真30 ② 救助隊員と 5 番勝負! 写真32 ④ ぬり絵コーナー 救助隊員と子供たちが、腕相撲・指相 親子を中心に大勢の方々で賑わってい 撲・綱引き・じゃんけん・笑顔対決の 5 ました。子供も大人も真剣に消防車に色 番勝負が行われました。日頃の訓練で強 を付け、思い思いのカラフルな消防車が 靭な体を持つ隊員も子供たちとの真剣勝 できあがっていました。 中にはレインボー 負には、なぜか苦戦し、隊員に勝った子 カラーの消防車もありました。 【写真33】 供たちは記念品をもらい誇らしげでした。 【写真31】 写真33 写真31 6 おわりに 平成23年 3 月に発生した東日本大震災では、 が備わってこそ成し得るものです。その意味か らも、全国救助大会の開催意義は大きいものが あると思います。全国の消防隊員が全国救助大 約20,000人を超える人が死亡し、又は行方不明 会を目指し、救助技術を磨き、向上させること となっており、消防職員27人、消防団員254人 で、いつ発生するかわからない災害に迅速・的 も犠牲となりました。 確に対応し、市民から信頼され、期待に応えら 一 方、 消 防 庁 長 官 指 示 で、 全 国 か ら 延 べ れることが、この大会の最終的な目的だろうと 109,919人、31,166隊が緊急消防援助隊として 思います。その目標達成のために、この大会が 被災地に派遣され、同年 3 月11日から 6 月 6 日 ますます発展するよう全国の消防職員と一般財 までの88日間、消火活動、人命救助活動等を行 団法人全国消防協会が一丸となって取り組んで いました。また、この地震に起因した、福島第 まいります。 一原子力発電所で放射能漏れという大事故に際 末尾になりましたが、本大会に御支援御協力 しては、東京消防庁をはじめとする消防隊員が いただいた、財団法人全国市町村振興協会をは わが身の危険を顧みず活動したことも忘れては じめとする皆様に本誌をお借りしお礼を申し上 なりません。 げますとともに、東日本大震災における被災地 こうした極限とも思える環境下での災害活動 は、日ごろから鍛錬された体力、技術、精神力 の一日も早い復旧・復興を切に祈念し、筆をお きます。
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