(論文)東京ディズニーリゾートの行列に関する研究

No.59
東京ディズニーリゾートの行列に関する研究
1 研究背景・目的
年間2500万人以上の来場者数を誇り、リピート率95%以上といわれている東京ディズニーリゾートは、いつ訪れても混雑しているというイメー
ジがある。1日の大半を待ち時間に費やしているにも関わらず、ほとんどのゲストが満足し「また来よう」という気持ちで帰っていく。なぜ、長い
行列に並ばなければならないと分かっていても人々は訪れるのか。そして、長い行列にも耐えられる秘密はどこにあるのか。本研究では、東京ディ
ズニーリゾートがどのように行列を捉え、どのように行列を対処しているのかを研究・調査し、東京ディズニーリゾートの行列の特徴を知ることを
目的とする。
2 研究方法
● 現地調査
● 待ち時間の記録
東京ディズニーリゾートの待ち空間の観察・記録
ケータイアプリ「Dの待ち時間」を使用し、
9 月 13 日(土) 晴れ 東京ディズニーランド
2 時間おきに待ち時間を記録。結果を表やグ
9 月 14 日(日) 晴れ 東京ディズニーシー
ハロウィン
10 月 28 日(火) 晴れ 東京ディズニーランド
10 月 29 日(水) 晴れ 東京ディズニーシー
ラフにまとめ分析。
休日の開園時間が 8 時であることが多いた
め、ある程度待ち時間が発生する 1 時間後の
11 月 26 日(水) 雨 東京ディズニーランド
クリスマス
11 月 27 日(木) 晴れ 東京ディズニーシー
9 時から記録を開始する。
待ち時間アプリ
3 待ち空間の分析
● アトラクションのタイプ別特徴
シアター系
絶叫系
ライド系
広い空間
通常の待ち空間とアトラクションを楽しむ空間の
縦の空間
乗車位置を上の方にもってく
平面空間
絶叫系のアトラクションのように縦
間に他のアトラクションでは見られない「広い空
ることで縦の空間を作り出す
の空間を利用することができないた
間」がある。収容人数が決まっているので、事前
ことができる。上下の動きが
め、平面空間全体を使いできるだけ
に人数をカウントしこの広い空間に移動してもら
ある絶叫系のアトラクション
多くのゲストが並べるように仕切り
うことで効率よくゲストを誘導することができる。
ならではの空間利用である。
が設けられている。
● レストランの特徴的なレジ形態
料理
料理
カウンター
この図はカウンターサービスにおけるレジの形態を表したものである。会計
をしてから料理を受け取るという流れは、一般的なファストフード店と同じ
であるが、レジの両サイドに列があり交互にお会計をしていくところはディ
ズニー特有の特徴であるといえる。片方の列のお会計をしている間に、もう
レジ
レジ
レジ
片方の列の料理を提供することでカウンター前の混雑を防いでいる。
交互に会計
お土産文化
● ショップの混雑への対応
その土地の有名な食べ物を
日本人特有の習慣
→
お土産文化
→
ショップ混雑
買ってくるという特徴がある
お土産の中でも特に売り上げが多いお菓子
部屋の中央にレジを配置し、
専門のショップは、商品を販売する空間と
レジを囲むように列を作るこ
レジの空間を完全に分離させている。レジ
とで、直線で列を作るよりも
の空間を広く設け、レジの数を増やすこと
使用する面積が小さくなる。
でひとつひとつの行列が長くなりすぎない
ように工夫をしている。
4 待ち時間の分析
写真1
● 待ち時間の長さと待ち空間の特徴
待ち時間の長いアトラクション
予想を上回る混雑の場合の対処法
→
→
木々や屋根を設置し日差しや雨対策をしている
パーク内には至る所に写真1のような穴があ
り、この穴に写真2のようにポールを立てて
写真2
ひもをつなぐことで、すぐにパーテーション
として利用することができる。元々用意され
た待ち空間では収まりきらない場合や、待ち
空間の用意されていないワゴン販売などの行
列の整理に使われる。
● 天候による待ち時間の変化
● 曜日ごとの待ち時間の変化
どちらの表も平日の晴れの日と雨の日の待ち時間を比較したものであるが、表 1 は
・日曜日の夜よりも土曜日の夜の方が混雑する
最大待ち時間の差が 110 分あるのに対し、表 2 は 30 分しか差がないことが分かる。
→翌日が平日になるため、早めに帰宅する必要がある
寒い時期に記録したため、水に濡れるスプラッシュマウンテンは影響を受けてし
まったといえる。
・月曜日は休日並みの混雑になる場合もある
スプラッシュマウンテン
待
ち
時
間
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
モンスターズ・インク”ライド&ゴーシーク”
11月26日(水) 雨
10月28日(月) 晴れ
9:00
待
ち
時
間
11:00 13:00 15:00 17:00 19:00 21:00
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
→学校や幼稚園が振替休日に利用することが多い
・月曜日・金曜日は他の平日よりも混雑する
11月26日(水) 雨
11月7日(金) 晴れ
9:00
→有給を取り休日と合わせ連休にするゲストが多い
11:00 13:00 15:00 17:00 19:00 21:00
5 行列に関わるしくみ
● ディズニー・ファストパス
● 障害者への対応
事前に受け取ったファストパス・チケットに記載された時間内であれ
車椅子を使用しているゲストなどは「ゲストアシスタンスカー
ば優先的にアトラクションに乗ることができるシステム。通常待ち時
ド」というカードを表示することで行列に並ばず他の場所で待
間が 2 ~ 3 時間あるものでも、10 分~ 15 分で入場できる。
つことができる。
問題点:開園ダッシュによる事故が起こる
6 「待ち」対する工夫
・待ち時間の表示、少しずつ進む行列
・隠れミッキー、待ち空間のデザイン
→人間の心理に基づく工夫を施すことでイライラを減少
→待っている間に隠れミッキーを探したり、待ち空間をアトラクションのストー
リーに合わせたデザインにすることで待っている間も退屈させない
・予約システム
→事前予約により待ち時間を減少
・パスポートへの一本化
→パスポートの確認は入園時の 1 回のみ
7 まとめ
●待ち空間の特徴
●待ち時間の特徴
・アトラクションの形態に合わせた待ち空間の利用
・待ち時間の長いものには屋外待ち空間に屋根の設置
・ディズニー独自の会計方法
・パーテーションによる行列の整理
・混雑状況に合わせたレジ形態
●行列に関わるしくみ
●
「待ち」に対する工夫
・ディズニー・ファストパス→待ち時間の短縮
・心理に基づく工夫 ・待ち時間を楽しませる工夫
・ゲストアシスタンスカード→障害者への対応
・流れをスムーズにさせるための工夫
高阪研究室 北野有香