第34回 大会の報告はこちら - 一般財団法人 日本緑化センター

「第34回 工場緑化推進全国大会」開催
(一財)日本緑化センター 企画広報部
平成 27 年 11 月 2 日、石垣記念ホール(東京都港区)
工場の他に、地ビールレストラン、ホール、グラウンドゴ
において「工場緑化推進全国大会」が開催されました。
ルフ場、ミュージアム、創業記念館、ベーカリーなどに
今 年で第 34 回目を迎える大会では、大臣賞 3 工場、
年間 48 万人が訪れます。ガーデンは社員4名とパート
会長・会長奨励賞 13 工場のあわせて 16 工場が栄誉を
従業員 5 名で管理しています。工場外周は竹林に囲ま
受けることとなりました。
れ、ガーデンの象徴的な風景を演出しています。台風が
当センターの進藤会長による開会の挨拶では、本日
多いため、タケノコは春先に少し多めに残し、台風時
の受賞工場も合わせ、769 件の緑化優良工場の表彰を
期を過ぎてもう一度間引きします。敷地の中央道路沿い
行ってきており、環境緑化の推進に大きな役割を果た
の花壇には、秋から春、パンジーやチューリップ、夏に
している。今般、台風などで根元から倒れる樹木が多
ニチニチソウやマリーゴールドなど季節の花が咲いてい
く見受けられ、根っこがしっかり張っていない、幹や根
ます。これからも霧島ファクトリーガーデンが企業と地域
の内部が朽ちているといった、普段目に見えにくい部分
を結び、地域の憩いと交流の場であり続けられるよう、
が原因で、実は見えない部分が非常に大切であること
研鑽していきたいと述べられました(本誌 p.22 参照)。
を痛感している。地球温暖化など、地球規模の環境問
なお、霧島酒造は平成 21 年に当センター会長賞を受賞
題からすると、日頃皆様が取り組んでおられる緑化活
されています。
動も地域の人たちからは見えにくい部分なのかもしれな
いが、非常に大切であるとお伝えしました。
林経済産業大臣のご祝辞は、経済産業省井内地域
経済産業審議官が代読されました(後掲)。
続いて、会長賞を受賞した(株)山櫻 八王子の森工
場からは、
「豊かな自然と調和する山桜の丘の成長を社
員の手で」をテーマに取り組みが紹介されました。
八王子の森工場は平成 21 年に完成し、森の中に立
続いて、緑化優良工場等選考委員会の黒川委員長よ
つ工場のように周囲の緑が豊かで、紙の材料は木材チ
り会長賞受賞工場について、経済産業省鎌田立地環境
ップ(=森)からつくられるという思いも込めて、
「八王
整備課長より大臣賞受賞工場について選考経過のご報
子の森工場」と命名しました。工場敷地は道路から見上
告をいただきました。
げる広い法面があることを生かし、ヤマザクラ系の種類
緑化優良工場の報告は、大臣賞受賞工場である霧
「産業・文化・ふれあい
島酒造(株)志 比田工場より、
の施設が融合したガーデンパーク」と題する報告がなさ
れました。
志比田工場は、昭和 61 年に第 2 工場として竣工し、
平成 8 年、産業と文化、市民と企業とが触れ合うガー
デンパークを整備する「ファクトリーガーデン構想」を立
ち上げました。経営方針のひとつに「地域に根ざし、地
域と共に発展する企業をつくる」を掲げ、まさに地域の
農業と自然の恵み、地域とそこに住む人々に支えられて
きた企業といえます。霧島ファクトリーガーデンは、焼酎
12 GREEN AGE 2015/11
第34回 工場緑化推進全国大会 記念講演のようす
特集 ▶▶▶ 生物多様性を保全する工場緑化を考える/第 34 回工場緑化推進全国大会
を中心に 36 品種の稀少なサクラ 144 本を植樹し、将
祝 辞
来はサクラの名所となる想いを込め「山桜の丘」と名づ
けています。当工場のシンボルツリーは樹齢 71 年のヤ
エベニシダレであり、これらのサクラは 3 月末から 4 月
本日、平成27年度緑化優良工場等経済産業大臣賞並び
に一般財団法人日本緑化センター会長賞及び会長奨励賞を
受賞されます皆様方に対し、心からお祝い申し上げます。
後半にかけて開花していきます。社員を中心に「チーム
工場は、地域社会や住民からの支持がなければ健全な生
さくら」を編成して、毎月第1 ・第 3 火曜日の午後に約
産活動を続けることはできません。工場緑化の取組によって、
50 分間を定例の活動日として、草刈り、側溝に溜まっ
地域環境との調和を図ることで地域社会から親しまれる工場
た泥や草を除き、ゴミ拾いなどを行います。
工場建屋 5 階にはカフェテリアがあり、屋上庭園と
となり、そこで働く人々の作業効率や企業イメージの向上に
つながり、地方における安定した雇用の創出にも寄与するも
のと期待されます。
周辺の山並みを眺望できるように全面がガラス張りとな
今回、経済産業大臣賞を受賞される群馬県利根郡昭和村
っています。将来山桜の丘を散策できるように、法面に
の「キヤノン電子株式会社 赤城事業所」は、工場外周を約
13 か所の木製階段を完成させました。
これからも美しい緑地を未来に向け管理し、ヤマザ
クラの成長と花に囲まれた憩いの工場の実現を目指し、
努力することを述べられました(本誌 p.18 参照)。
2 工場の報告の後、記念講演は、
(株)地域環境計
画の増澤技術統括部長より「生物多様性を保全する工
1,000 本の桜で囲み、開花時期には地域住民を始め、多くの
方々が桜の花を楽しまれています。また、地域の小中学校を
対象とした環境教育にも取り組んでおられます。
静岡県袋井市の「NSKワーナー株式会社」は、ツツジの
植栽をランドマークとしながら、隣接する山林と一体となった
緑化に取り組んでおられ、周辺道路への植栽などを通じて、
地域住民との交流も深めておられます。
また、宮崎県都城市の「霧島酒造株式会社 志比田工場」
場緑化」のご講演を受けました。草地を残す、水辺をつ
では、管理の行き届いた芝生広場が一般に開放され、公園
くる、エコトーンをつくる、生息地をつなげ広げることは、
のように利用されているほか、食事や土産物の購入もできる
工場がまず始められることであり、工場緑地のセキュリ
地域の観光拠点施設としても機能しております。
ティを生かした希少種の保全サイトとなるなど、地域の
生物多様性に十分貢献できるものである、という力強い
メッセージをいただきました(本誌 p.25 参照)。
最後に当センター小禄専務理事により閉会の挨拶を
述べ大会を終了しました。
大会には 82 名の皆様にご参集いただき、会場を移し、
懇親会の場において引き続き意見交換を行いました。
経済産業大臣表彰
本日受賞されます工場の取組を参考に、全国各地の工場が、
積極的な工場緑化の取組や地域住民との交流などを通じて、
地域に親しまれる工場となることを期待いたします。
最後になりましたが、受賞者の皆様の今後の御発展と、本
大会の開催に御尽力された一般財団法人日本緑化センター及
び関係機関の皆様、そして本日御列席の皆様のますますの御
健勝を祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。
経済産業大臣 林 幹雄
日本緑化センター会長表彰
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