1.2015春季生活闘争に臨む各産業の状況と課題

1.2015春季生活闘争に臨む各産業の状況と課題
連合山形と(一社)山形県経済社会研究所(連合山形総研)は、2015春季生活闘争を前に、2015年
1月21日に民間構成組織の代表者6人から、今春季闘争に臨む方針と産業を取り巻く情勢等について
意見交換を行いました。以下、内容をまとめたものです。
〈出席者〉
電機連合山形地協事務局長 井上 正則
JAM南東北山形県連絡会会長 細谷 眞
運輸労連山形県連合会書記長 青木 孝典
UAゼンセン山形県支部支部長 角谷 俊一
情報労連山形県協議会議長 設樂 正
(一社)山形県経済社会研究所 顧問 高木 郁朗 (一社)山形県経済社会研究所 所長 立松 潔
(一社)山形県経済社会研究所 専務理事 梅津 庸成
連合山形副事務局長 舘内 悟
連合山形副事務局長 小川 修平
連合山形組織広報部長 柏木 実
※交通労連山形県支部事務局長 高橋 末雄 (欠席のため文書にて報告)
高木(山形県経済社会研究所顧問)
今年は例年と趣を変えまして、連合としての方針について話をしていた
だいた後に、情勢等について話をしてもらうことにしました。
それでは、まず、連合本部としての本年の2015春闘方針の基本と連合山
形の方針(要求)の特徴を話していただき、その後、今春闘に臨む闘い方
について議論していきたいと思います。では、よろしくお願いします。
1.連合の2015春闘方針の基本と連合山形の方針について 髙木 郁朗さん
(山形県経済社会研究所)
舘内(連合山形副事務局長)
2014春闘を振り返りますと、安倍首相の経済界への賃上げ要請により、一部、官製春闘と揶揄され
ながらも、「デフレからの脱却」と「経済の好循環実現」のために、月例賃金の引き上げにとことん
こだわった闘いを行ってきました。結果、多くの組合で有額回答を引き出すことができました。水準
的ものは満足できるようなものではありませんでしたが、デフレ脱却の第一歩となったものと考えま
す。
しかし、連合山形集計では回答妥結額は前年を上回ったが、大幅な引き上げとはならず、大企業と
中小企業の格差が拡がるような形となりました。アベノミクスでいうトリクルダウンを完全否定する
わけではありませんが、春闘結果を見ても中小までの効果は表れておらず、現在の日本の経済状況を
踏まえれば、もっと、中小企業への支援策をしっかりしなければ、本当の意味での「経済の好循環実
現」は果たされず、「悪いインフレ」へ進んでいくこととなります。
このようなことを踏まえ、2015春闘に関しては、昨年の賃上げを確実なものとし、大企業と中小企
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業、中央と地方の格差是正、非正規労働者への波及をはかるために、今年も、昨年同様の2%の賃
上げを掲げ取り組むこととしました。金額的には、連合山形加盟組合平均賃金水準の2%相当額が
5,000円でありますが、連合本部の掲げる目標が6,000円でありましたので、その差額1,000円を中央
との格差是正分として、連合山形として賃上げ、ベースアップとして6,000円を目標に掲げました。
また、連合全体として重点的に取り組む項目として、「賃上げ」「時短」「政策・制度実現」を3本
柱としました。今年の特長点としては、1点目は月例賃金の引き上げ要求をすべての組合がかかげる
としたこと。2点目は、非正規労働者の処遇について「均等処遇」の実現としたことです。これまでは、
「均等、均衡処遇」としていたが、正規とのバランスではなく、あくまでも、働きに応じた適正な処
遇を確保することを目標としております。
それに対し経営者側は、昨年末に行われた政労使会議で「賃上げに対し
最大限努力する」ことを合意し、昨日出された経労委報告でも「ベアは選
択肢の一つ」としておりますが、賃上げは、月例賃金に拘らず「年収ベー
スの引き上げ」も考慮しており、慎重となっています。
連合山形が具体的に取り組む内容については、要求書が提出されていな
い組織に訪問し状況確認及び支援を行うことや、経営諸団体との懇談、特
に今年は、中小企業家同友会と初めて懇談を持つ予定であり、県民へのア
ピールとしての街頭行動では、各地域協議会縦断でのタスキリレーを行う
舘内 悟さん
(連合山形)
予定としています。
今年も、官製春闘などと言われておりますが、健全な労使関係のもと、最後まであきらめずに交渉
を行い、勝ち取ることが本当の春闘であります。連合山形は、月例賃金の引き上げにこだわり構成組
織のみなさまと勝利のため取り組んでまいりたいと思います。
高木
ありがとうございました。続きまして、立松所長から情勢について話をしてもらいたいと思います。
2.2015春季生活闘争をめぐる情勢の特徴について
立松(山形県経済社会研究所所長)
情勢の特徴について、簡単にまとめてお話したいと思います。
まず、昨年12月8日に発表された GDP 速報では、昨年の7-9月期に
年率換算で前期比2%近く(1.9%)消費が減少していることが明らかに
なり、そのために消費税の10%移行が延期されるということになりました。
その7-9月期の数字を1年前(前年同期)と比べてみますと、GDP は
年率換算で6.2兆円(1.2%)減少していますが、消費は8.6兆円も減って
います。設備投資、公共事業は増えていますので、消費の減少が景気後退
の最大の原因となっています。
立松 潔さん
(山形県経済社会研究所)
実質賃金については、一昨年の2013年7月以降、昨年11月まで17か月連続で減少しています。これ
では消費が増えようがないわけですので、実質賃金を増やしていくことが経済成長にとっても重要な
ことが明らかです。
また、昨年の7-9月期の雇用は前年同期比で54万人増えています。しかし、その54万人のうち正
規雇用は10万人だけで、44万人が非正規です。低賃金である非正規が増えているわけですから、平均
賃金が増えようがない。そうしたことも、実質賃金減少の要因になっているわけです。
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地方の景気の伸びが鈍いという点も特徴です。百貨店の統計では7-9月期が最新ですが、1年前
と比べて、全国平均で1.4%マイナスとなっています。東北地方では、さらに低く、2.3%マイナスで
す。東京のような大都市圏では増えていても、地方の所得が伸びていないために全体の景気を下げて
いるという現象が起こっています。非正規、正規の雇用格差、地方、都市間の経済格差が深刻になっ
ているということです。
現在の安倍政権の政策ブレーンである官庁エコノミスト、民間シンクタンクのエコノミストは、地
方のことをあまり知りません。また、株価を上げるために外国人投資家をひきつけるための政策が立
案される傾向にあります。先日、ホワイトカラーエグゼンプション(残業代ゼロ法案)がまとまった
ということですが、これもそうした観点からの施策であり、外国人投資家を引きつけるためにやらね
ばならないというような話になっているようです。安倍政権の成果として目立っているのは、「株価
の上昇」くらいであり、これがなくなれば、支持率も低下し困ったことになるというわけです。この
ように、雇用問題、地方問題に鈍感な安倍政権に対して、地方の声、中小企業の声などを反映させて
いくということがとても大事だと思います。
3.各構成組織における情勢と春闘の取り組みについて
高木
ありがとうございました。では、電機連合の井上さんから電機連合の情勢についてお願いします。
井上(電機連合山形地協事務局長)
電機連合といたしましては、具体的な要求として、開発・設計職基幹労
働者の賃金について、水準改善額を6,000円以上、産業別最低賃金(18歳
見合い)で現行水準より4,000円の改善(16万500円)で要求したいと考え
ています。もう一つは統一目標基準ということで、製品組立職基幹労働者
については、開発・設計職の6,000円以上引き上げに見合った額を要求し
たいと考えています。なお、年齢別最低賃金については、年齢25歳最低賃
金(基本賃金)として、179,500円以上の水準に改善(4,000円の引き上げ)、
40歳の最低賃金(基本賃金)として226,500円以上の水準(4,000円の引き
井上 正則さん
(電機連合)
上げ)、高卒初任給161,500円以上の水準(3,000円の引き上げ)、大卒の初任給211,000円以上の水準
(4,000円の引き上げ)、技能職群(35歳相当)ミニマム基準については、210,000円の要求をしてい
きます。
また、賃金の指標について、①必要基準、②到達基準、③目標基準、④中期に目指す目標基準と
いったランク付けをして取り組むことになっています。今年は、開発・設計職については、最低でも
25万円以上、中期的に35万円という4つの基準を設けて取り組みます。
さらには、産業内格差改善の取り組み、男女機会均等、均等処遇の確立、非正規労働者の賃金の取
り組みについても取り組むことにしています。
一時金についてですが、平均で年間5か月分、最低年4か月以上という指標で取り組みます。時間
外割増率については、①1か月の時間外労働時間の積算方法、②時間外割増率、改正労働基準法にお
ける猶予措置への対応の3つの要素について、時間外、平日30%、休日45%、深夜30%に到達してい
ない企業については、これに取り組んでもらいたいという考えです。
その他、厚生年金基金制度見直しに対する取組、労働協約関連の要求として、労働総時間短縮につ
いても取り組む。そして労働協約関連の取り組みとしては、ワークライフバランスに向けた取り組み
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について、インターバル休暇の導入に向けた取り組み、次世代育成にむけた取組について取り組んで
いきたい。非正規労働者に対する取り組みについては、3つの取り組みを行います。また、最後に、
メンタル、安全衛生取組についても主張し、これらで春闘に臨んでいきたいと考えています。
高木
ありがとうございました。では、JAMの細谷南東北山形県連会長いかがでしょうか。
細谷(JAM南東北山形県連絡会会長)
JAMの方針といたしましては、昨日中央委員会があり、全体としての
確認がなされました。プロセスを申し上げますと、12月初頭に中央討論集
会が開催され、そこで提起された方針案について、各地方に持ち帰り、各
地方での議論、更に各単組での議論を重ね、昨日の中央委員会で確認した
ということです。
特徴的な部分について申し上げますと、JAMの場合は、過年度物価上
昇分と生活改善分を勘案して、9,000円ということで明示しています。J
AMの全国平均賃金は30万円を超すくらいで、3%と言いますと9,000円
細谷 眞さん
(JAM)
ということになります。舘内事務局長が先ほど、「連合としては2%」という説明をされましたが、
連合の本来の明示では2%以上というとなっており、各産別の中で様々な事情があり、3%というと
ころもあれば、2%というところもあるために、2%以上ということになっていると理解しております。
JAMの場合は、中小企業が多いということに加え、大手との格差を何とかせねばならないという事
情もありますが、3%という数字が先行すれば、
(額での)格差がさらに広がりかねないということで、
9,000円という数字を明示することになりました。
2001年からの実質賃金の目減りが7,500円ということになっているわけですが、単組によっても異
なるものの、2011年からの5年間で毎年1,500円ずつ取り戻していこうという取り組みをしてきた経
緯もあり、本年度が最終年度になるわけです。この1,500円についても是正が必要な単組については、
さらに上乗せするべきだという議論がなされ、結果全体としては、10,500円が純粋な要求で、昨日の
中央委員会でも確認されました。地方からは、この金額ではついていけないという意見も強く出され
ました。
山形においても、10,500円は高すぎるのではないかという議論がありました。JAM南東北として、
福島、宮城、山形間でいろいろ議論したわけですが、最後まで高すぎるという意見が残り、この金額
を提示し、使用者側に要求してどれだけ成果が得られるのかという議論や、成果が得られなかったと
いうことになれば、組合執行部が組合員に信頼されなくなるということで組合員の顔を大変気にした
議論がなされました。低い金額の要求を提示して成果を獲得したとしても、格差はそのまま残るわけ
だから、要求は要求だからということで、10,500円という高い金額が、厳しい金額であったとしても、
格差をなくすことを目標に10,500円を要求し、ベアも連合と同様に要求して、企業の生産性もあわせ
て議論し、もし、これが獲得できないというのであれば、企業として賃金アップができない理由を労
使間で議論していくべきだという議論もなされたわけです。
ミニマム等の要求は例年通りです。もう一つの特徴は、非正規の問題ですが、この部分については、
連合と同様の取り組みを行うが、具体的には、最重点項目として、一時金の支給を挙げています。ま
た、年次有給休暇の取得を進めようということにしています。事業所ごとに考えた場合、派遣の部分、
請負の部分まで入り込めるかということはありますが、とりわけ中にいるパートを含めて具体的に取
り組んでいくことになると思います。ワークバランスについては、インターバル休暇を取り入れてい
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こうということが目玉になると思います。
高木
山形的な特徴はありますか?
細谷
全国も山形も地方は同じです。JAMは分野が幅広く、いろんな産別を集めたようなもの。物づく
りとはいうものの、電機産業に近いところ、自動車産業に近いところ、その他、サプライヤーに近い
ところ、建設機械に近いところなどなど、様々あるわけですが、とりわけ、自動車、建設機械などは
忙しくて、昨年の交渉結果も良い状況にあります。一時金なども出ているわけですが、あまりに良く
て数字を伏せてくれというくらい良いところもあるようです。他方、そうでない分野もあります。電
機関係はそうでない分野でしょうか。全国的にも傾向は一緒で、具体的にやっていく部分としては、
連合と一緒になって、単組へのきめ細やかな指導をしていかなければならないということだと思って
います。会社側が「経営が厳しい」と言うとそれを労働者側はそのまま受け入れてしまう。「どう厳
しいのかというような、会社の経営数字をもらっているのか?」というと、材料費等の細かいところ
まではもらっていない。そこまで入り込んでいくことが大事だと言うことで、そうした点の指導も、
組合としてはしていかなければならないと思っています。
高木
そうしたきめ細やかな指導をする専門家が少ないですよね。
細谷
JAMもプロパーを全国に配置しているわけですが、レベルが明らかに落ちてきていると感じてい
ます。ここのところ、ベアアップの要求がなされてこなかった経緯から、プロパーでも、ベアアップ
の要求の経験をしていないものが少なくありません。そうしたことも踏まえ、全国レベルでの指導が
できるよう、昨年から中央に集めての教育をやり始めています。
高木
では、次に運輸労連県連合会書記長の青木さん、お願いします。
青木(運輸労連山形県連合会書記長)
統一要求については、定期昇給分1.5%、過年度分2%、格差是正1%
で合計4.5%とし、所定の労働時間に乗ずるということで、1万900円を要
求額としました。要求の考え方としては、交通労連のトラック部会と共同
して取り組むことになっており、共同ベースとして、24万3,082円となっ
ています。一時金についてですが、額で年間120万円以上、5か月以上と
しています。
その他の要求は賃金制度の確立改善として、定期昇給用としての賃金体
青木 孝典さん
(運輸労連)
系を持っていない事業体については、改善に取り組むこと、また、企業内
最賃、特定最賃に取り組むことにしていますが、山形では企業内最賃については既に2単組が協定を
結んでいます。他方、特定最賃については、過去に一度取り組んだ経緯があるが、経過はあまり芳し
くない現状です。まずは企業内最賃に取り組むことを重視して実施していく予定です。
これらについてと、65歳までの雇用確保についてと総労働時間短縮、割増の引き上げについても取
り組むことにしていますが、我々の業界は、労働時間が長く、賃金がそれに見合った歩合給と言う側
面があり、総労働時間短縮と言うのがなかなかできない環境にあります。また、割増率については、
中小企業が対象除外ということですので、いわゆる2重基準になっています。運輸労連としては、中
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小企業が基準になるのですが改善が進んでおらず、この辺は連合の取り組みにも協力してもらい、取
り組んでいきたいと考えています。
非正規処遇改善、労働協約、退職金の充実、安全、福利厚生については、単組の事情により、それ
ぞれが要求をするという形にしています。
なお、運輸業界における企業の情勢についてですが、昨年までは燃油費が高騰していましたが、こ
こ最近は下がってきています。が、我々としては、どの程度影響があるのかまだ注視している現状で
す。2月まで見てどのくらい企業に対する影響があるのかを判断した上で、山形としての独自の要求
を考えていきたいと思っていますが、基本的には本部の方針を踏まえて要求をしていきたいと考えて
います。昨年、賃上げに拘って闘争に取り組んだわけですが、正直、目に見える成果がありませんで
した。この春闘では賃金にこだわり、是が非でも1円でも多く引き上げできるようにしていきたいと
思っています。
高木
組合員からの期待はどうですか?
青木
やはり賃金ですね。月例賃金が上がれば、一時金が上がりますので、これまで可処分所得が減って
きているので、なんとか獲得したい。過去の闘争では、燃油費高騰だからと言って、会社側が賃金に
手をつけ、賃金が下がってきたという経緯があるわけですので、燃油の下落には賃上げで報いるのが
当たり前ということで闘うのがこの春闘ではないかと思っています。
高木
なるほどですね。
では、UAゼンセン山形支部長の角谷さん、いかがでしょうか。
角谷(UAゼンセン山形県支部支部長)
本部の方針が決まりましたので、部門別にこれから決めていくことに
なっていますが、1月28日に決定される予定です。賃金体系について
は、連合の話でも出ましたように、2%以上の要求をしていこうという
ことになっています。具体的には、4,500円(3%)賃金体系維持分を含
め1万500円の要求を行い、組合格差をなくすよう要求していこうという
ことです。賃金引上げの要求については、到達基準以上の企業について
は3%以上、それ以外については、2%以上ということになっていますが、
部門別・業種別に格差があり、部門別に決めていくことになっています。
角谷 俊一さん
(UAゼンセン)
具体的には、電子部品、自動車に関係する企業では抜きん出ているところがありますが、そうでな
いところもあり、そうしたところは、要求自体が絵にかいた餅にならないようにしなければならない
と考えています。さらに、要求すらできないところが20%もあるという現実もある。そうした点を良
く見て、景気回復とは程遠い企業(不況業種)が現実としてあり、物価上昇をカバーできないところ
があることも踏まえ、雇用を如何に守るかという側面も考慮し、部門別の取り組みをしていかねばな
らないと考えています。
UAゼンセンはほとんどが流通部門ですが、これも格差があり、収益にも開きが大きいです。地方
百貨店も生き残りをかけ、生存競争を行っている現状です。最近は、ネットで何でも手に入るので、
ブランドをこの百貨店でなければというところがなくなってしまいました。百貨店で買うステータス
というものがなくなり、百貨店に買いに行かなくても購入できる。東京などの大都市では外国人観光
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客が札束を持って買いに来てくれますがが、一方で地方にはそれがない。
UAゼンセン内で情報交換しても、今行われている経営政策、産業政策に、ここで一つ一つの組合
の力が試されるという現状にあり、個別の各組合にはなんとか踏ん張ってもらう必要があります。
県内の企業については、過去最高益の企業もあるが、他方、厳しい企業もある。しかし、そうした企
業でも、昨年はベアを要求したが獲得できなかったが、今年はベア獲得に期待をして交渉する動きも
あります。
個々の単組の経営者に会って、実態を見た上で、1万500円要求は一体何を見て要求しているのか?
と経営者側が言うようなことにならないよう、世間の流れを見ながら要求と妥結までのプロセスにメ
リハリをつけて、きめ細やかに交渉していくということではないかと思っています。
高木
では、最後に情報労連県協議会議長の設樂さん、お願いします。
設樂(情報労連山形県協議会議長)
情報労連は、賃金引上げについては、定期昇給分ということで、賃金
カーブを維持していくということと、加えて、物価上昇と企業業績の上乗
せをしていくということが基本です。具体的な改善額は個別の労組で決め
ていくということになっています。情報労連の最低目標としては、18歳賃
金水準15万8,000円、35歳(勤続17年)25万7,000円というように、5歳毎
に賃金水準を設定し、年齢によって要求をすることになっています。
非正規労働者への対応については、賃金の引き上げ・改善を行います。
情報労連は地域ごとに最賃を設定していますので、山形県の法定最賃は
設樂 正さん
(情報労連)
680円ですので、一定率3%乗せし、804円の賃上げを要求します。併せて非正規労働者については、
正社員への転換、正社員との処遇格差を改善するという点から、手当の新設や改定を行っていくとい
う考え方です。
一時金については、昨年レベルで要求していきます。
それから労働時間については、インターバル休暇の導入について、今年度も要求していくことに
なっています。時短の関係では、36協定のことを言えば、月60時間以上の場合、割増賃金をすべての
企業において50%以上となるよう要求します。特別条項については、延長時間を750時間以下にして
いこうということで、時短と併せての要求になります。
労働関係法制については、労働契約法、労働者法、雇用者安定法おいて、働く環境を整えていこう
ということと、障がい者の雇用促進を図っていくという観点から働きやすい職場づくりということが
大きな骨格になっています。
去年もお話しさせていただいたが、情報労連については情報通信産業で働く労働者を中心に構成さ
れていますが、産業分野が幅広いので、各企業の経営状況を見た上で格差是正中心に要求していこう
という考えで取り組んでいきます。
高木
ありがとうございました。山形的なところはありますか?
設樂
情報労連の場合は、中央本部の方針に従い、全国レベルの基準に従って取り組んで行こうというこ
とですので、方針に基づき要求します。
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高木
わかりました。ありがとうございました。
さて、皆さんのお話を伺っての感想ですが、従来は遠慮がちだった要求を、今年はしっかりしてい
こうという方向に変わったというか、前進したという風にとらえて良いでしょうか?(一同首肯)
賃金の要求で、3%の要求というのと2%以上というところとあるようですが、何か部内での具体
的な意見があったのでしょうか?
細谷
JAMは最終的には、先ほど申し上げたとおり「%」ではなく「金額」で要求することになったわ
けですが、内部での議論をお話しした通り、強い意思でこれを示すことにしたものです。
全国平均賃金が30万円と申し上げましたが、南東北で言うと24万円程度です。これらの3%といい
ますと、南東北では7千円ちょっととなってしまい、全国平均との格差が更に出てしまうことになり
ます。そうした格差のある要求をするということは地方にとって良いこととは思えません。ですから、
「%」では、考えないことにしたわけです。
高木
基準を決めて、きめ細かに要求をしていくというようなやり方は、過去にもあったと思うのですが。
細谷
過去のことはさておき、地方の連合としても、産別としても、今年の春闘は、きめ細やかな指導を
しないといけないということになりそうな気がいたします。
高木
情報労連は全国的な基準で闘争を行うのかもしれませんが、職種ごとに違いがあるのでその点も考
えていかなければならないのだろうと思いますが、賃上げだけでなく、たとえばインターバル休暇な
どについても、職種ごとの状況を踏まえて指導をしていくことが必要になるのではないかと思います。
もう一つ感じたのは、ミニマム規制についてです。この点について、各職種で共通しているのだろ
うか、非正規を含むのか含まないのか、18歳と決めた場合に、これには非正規を含めていくというこ
となのか、組合員のみなのか、その点については、各業界としてはどうでしょうか?
細谷
ミニマム規制についてですが、JAMは組合員だけの要求です。企業内最賃という点では非正規労
働者についても含まれていますが。
青木
運輸労連は含まれています。特定最賃についても、全て含まれています。
高木
青木さん、特定最賃については、高知だけでしたでしょうか?
青木
先ほどの点について付言しますと、最賃に関する要求については、大型・普通運転手、さらにその
他と分けているわけですが、これには非正規も含まれています。特定最賃については高知だけ締結さ
れております。
高木
それから、角谷さんから流通の話がありましたが、東京一極集中、大都市集中というのは、我々が
感じている以上に進んでいると思うのですが、地域レベルでいうと、地域の活性化と言う意味でも、
労働組合が力を入れていくということが大きな政策課題になると思うのです。皆さんの認識はそれで
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良いでしょうか?
角谷
そもそもお客さんが来てくれないと利益が得られないという現状です。
高木
デパ地下だけは良いようですが(笑)。
角谷
衣料なども、タグナンバーなどを控えて家に帰って、直接ネット等で買うことができるようになっ
ています。そうしたことから、デパートまで買いに行く必要が全くなくなっているのです。
細谷
銀座のデパートも外国人観光客が多いようですね。東日本大震災で観光が落ち込み、外国人観光客
の数は、震災前のレベルに山形は戻っていないということが報道されていました。以前は7万人強の
観光客を迎えていたが、現在もその時の7割程度だと。中国人をはじめとする観光客の購買意欲とい
うのは大変なものがあるようであり、そうした点についても、考えていかなければなりませんね。
高木
皆さんからの話の中で、雇用不安、雇用の維持・確保ということについてもお話しがありましたが、
雇用が危ないというところは本当にあるのでしょうか。
井上
来年の3月で拠点統合による閉鎖方向が決まっているところもあるのが現実です。外資系について
は、中途退職者を求め、出たら若い人を入れるというやり方が始まっています。優秀な技術者は中途
退職されても、再雇用されるという点はありましょうが、まだまだ雇用情勢が厳しい中で、40代、50
代の人にとっては、たまったものではない。
勢いのある企業はニッチ商品、コア技術をもっているところが多く、そうした企業は強い。今、再
生してきています。大量生産、コモディティ商品をやっているところは、心配があります。外資は、
構造を変えて先ほどのようなことをやり始めてきており、現場の雇用不安は増加していると思います。
今後は、企業の体質をダイレクトに強化するやり方が必要なのではないでしょうか。国の政策の基
本は補助金ですが、企業体質の強化というような点に対するものではありません。個人的に申し上げ
て恐縮ですが、私も参加して取り組み始めているのですが、山形大学では、ものづくりシニアインス
トラクターを育成しています。その人たちが中小零細企業のコンサルをしている。これは、企業体質
の強化につながっていると思います。普通はコンサルタントを雇うのでしょうが、雇えば何千万円に
もなってしまう。シニアインストラクターは時給数千円程度です。しかも手軽に来てもらえる。そして、
この方々達のほとんどは企業の退職者です。退職者の活用、ものづくりの伝承という意味もあります。
この動きは、経営学と物づくりを体系化し、標準化して活用しようという動きですが、従来は経営
学は基本がアメリカ式でした。それを日本的にしようと山形大学の柴田教授が取り組んでいます。
山形大学のものづくりシニアインストラクターの取り組みは、経営者も参加する養成スクールに
なっていますが、中堅、中小企業が衰退しないように、こうした講座を日本全国で設置をし、その中
で、経営者も、労組のリーダークラスも学んでいけばより良い企業体質の強化ということになるので
はないかと思います。
この点は連合にも、取り組むべき政策課題として提言したいと思います。
高木
その通りですね。人への投資というのは連合も掲げており、春闘課題の一つではないかと思います。
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賃金表を確立するということを申しておられた方がいらっしゃったが、これについて、ちょっとお
話しいただけますか?
青木
はい。運輸業界は年功序列ではなく、働いてナンボという歩合給というのが賃金体系の基本として
いるところがまだまだ多いのが現実です。そのために、年功序列の賃金体系を取り入れていくことが
大事なのではないかということなのです。
高木
中小企業は、賃金体系がないところの方が多いのではないでしょうか。その点は連合山形なり、研
究所で共通課題として研究していただくことが良いのではないかと思うのですが。
それはそれとして、最近、働いた分を支払うという歩合給にすべきたという議論があるのですが、
やはり年功序列というのが良いということでしょうか。
青木
加齢とともに、出費が多くなるという現実もあります。私どもの業界では、身体が資本という点か
ら考えると、目が悪くなってきて長距離運送ができなくなるといった具体的な問題があったりするわ
けですので、そういう点については、年功序列を取り入れることにより、経験年数で考えていただく
ということが雇用の安定という点からも大事なことだと思うのです。
高木
非正規との格差を解消するという点で歩合制が良いのではないかという議論もあるのですが、そう
ではないということですね。
立松
円安が進んでいるため、輸出企業にとっては有利とも言われているわけですが、その点はどうで
しょうか。
青木
運輸業界にとっては、円安と言うよりも、原油安の影響が大きいわけですが、経営者と話をすると、
もう少し様子を見たいというのです。正直、燃油は前年より30円近く安くなっている。その分は、ま
るまる企業の利益になるはずなのです。30円は大きいですよ。東京までの往復で200リットル×30円
で6,000円近く違います。リーマンショック前は70円台ですから、今の値段が90円台であることを考
えると、まあ、そこまで行っていないから様子を見たいということなのかもしれません。
立松
70円台までいっていないというのは、円安が相殺しているということですね。
細谷
JAMの中では、円安については企業によって、影響の差が激しいですね。消費税の転嫁もできず、
また、円安の利益を全く受けていないところがあるかと思えば、自動車関連企業のように大きな利益
を得ているところもあるのです。
高木
企業減税の影響はどうですか?
細谷
JAMはあまり影響はありません。そもそも赤字企業が多いことに加え、8割は300人以下の企業
ですから。
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高木
確かにそうですね。
今年の春闘の闘い方について、そして、連合山形への注文などがあればと思いますが、いかがです
か?
設樂
全体的に言えば、賃上げをするという全体的な方向性の中でどこまで粘って交渉できるか、どこま
でやって決着を付けるかということではないかと思っています。例年の春闘と比べれば、マイナスの
要素はないと思っていますので、様々な方策を駆使しながら、満額決着ができるようにしていきたい
と思っています。
高木
今まで以上に積極的にということでしょうか?
設樂
私どもは連合と一緒の春闘になるので、協力をしながら、しっかり取り組んでいきたいと思います。
角谷
現状の経済状況、経営状況に経営者がどう対応するか、景気底上げになる、勤労者のモラルアップ
になるという点を経営者がどこまで認識するのかということだろうと思うのですが、「ない袖は振れ
ない」ということもあり、山形の場合は、どうも「闘う」という言葉が適切ではないのかもしれません。
「経営者と一緒になってやっていきましょう!」というやり方で春闘を進めることが必要なのかなあ
と思っています。
高木
介護クラフトユニオンのようなケースはどうですか。
角谷
中央で経営者と交渉することになるわけですが、国の制度が介護従事者にとにかく冷たい。介護職
に就く人がいなくなったらどうするのかということもあるわけで、そういう部分の政策面での要求を
整理をしていかなければと思うのですが、政権がとれないと国を動かせない。
高木
介護については、UAゼンセンとしてだけでなく、連合全体で底上げをしていくことが必要ではな
いでしょうか?
角谷
私自身も部会に出席しているのですが、介護事業者については、まだ行き届いていない、政治家も
あまり実感していないのではないかと思っています。どこまで、政治家は考えているのか?この点に
ついては、政権を持っていない弱さを感じています。
高木
青木さん、これからの具体的な動きはどういうスケジュールになりますか?
青木
産別闘争として要求書を提出する予定ですが、山形は2月下旬を予定しています。3月上旬には、
労使との懇談会を毎年やっているので、これをキックオフとして、交渉をすることにしていますが、
大手が3月中旬、中小企業は4月中旬ということで、今年もこのスケジュールを採用するということ
になると思います。戦術委員会を開催し、情勢把握、企業情勢把握などをして、切り口を勉強し、共
有して交渉していきたいと思っています。特に、燃油費の低下、法人税減税を賃上げの原資・交渉材
-29-
料として要求していく考えです。方針は2月22日に決定予定です。
高木
運輸労連と言っても、大手と、山形県の中小とあるわけですが、闘い方の違いはありますか?
青木
大手は賃上げ、定期昇給相当分は確保しています。中小は、ここのところ定期昇給はほぼ0。一時
金もままならないのが現実です。人手不足が大きな課題になっており、それが運賃アップの原因になっ
ており、また、その運賃アップが製造業の価格上昇の一因ということを使用者側は外に言っているわ
けですから、その分は是非いただきたいと思っています。
細谷
JAMでは、統一要求日を2月24日としてあります。リーマンショック以降、統一要求日に、要求
できない単組が多くなってきていますが、一昨年は30%台まで、統一要求日までに要求書を出すこと
ができた単組数は落ち込んでいました。
昨年は見直しをして43%まで回復しましたが、統一要求基準日に提出するのを6割目標としていま
す。ベア要求を昨年からしていますが、JCM(金属労協)と共闘して、JAMが先導的役割を担う
ということで単組に登録して貰うことで、中小でも満足いくまでには至りませんが、1,500円近いベ
アを獲得しており、途中であきらめず粘り強い交渉をする、あきらめさせないということがとても大
事で、今回の春闘でも取り組みの重要な点だと思っています。
この点は、連合山形の取り組みと一緒にできるのではないかと思っています。
井上
電機連合としては、基本方針として、「実質的な生活の維持・向上を図り、経済への好循環を実現
する~「人への投資」により、電機産業の維持的成長を確かなものとし雇用の確保・創出を図る」こ
ととしています。こうした課題認識を踏まえて、生活不安、雇用不安、将来不安の3つの不安の払
しょくや電機産業の再生・発展と雇用の維持・創出を図るとともに、すべての労働者の生活の安心・
安定をめざす」こととし、6つの方向性を掲げています。
私どもとしては、統一闘争をどうすべきかということを議論してきた結果として、「なんとしても
守るべき領域」、「主体的に処遇改善に取り組む領域」の2領域に分けて闘うのが今年の特徴だと思っ
ています。
企業実態、業績は、まだら模様です。これにどう対応するか、議論されてきた結果がこの特徴につ
ながっていると思っておりますが、一時金でも6か月を超えているところもあるが、4か月に届かな
いところもあるというように、県内でも良い所と悪い所のばらつきがあるわけですから、あまりに頑
張りすぎて企業がおかしくなっても困るので、将来の雇用の動向も踏まえた各単組への支援をしてい
くことが大事だと思っております。
高木
共通していますのは、粘り強い交渉、そのためのきめ細やかな指導というのがキーワードになるの
だろうと思います。業績が良い企業は、取れるだけ取ればよいと思うのですが、下を引き上げていく
ことが大事だと思うので、そうした形になるようにしていくことが必要ではないでしょうか。
連合山形への取り組みについてありますか?
細谷
例年申し上げていますが、運輸労連からも話がありましたが、賃金体系(制度)を持っているとこ
ろはしっかりとした交渉が出来るのですが、制度を持っている比率があまりにも低すぎると思います。
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連合として、賃金体系の整備をどう進めていくのか?これから決めていくことになるわけですが、制
度を持っていると、統計上出てきているものがすべてではないので、もっと情報を取ってもらいたい
と思います。
この点については、連合として、年間を通じた研究、勉強会が必要ではないかと思っています。各
産別の実態について、賃金表についてどう作っているのか、オープンで議論するようにしてはどうか
と思います。是非、取り組みをお願いしたい。
高木
多くの産別に共通するわけですから、各企業に共通の賃金表についての研究会開催することは意義
があると思うので、是非取り組んでもらいたいですね。
私の研究会での調査でも、例えば、辞める介護職の人が少ないのは賃金表があるところであるとい
う話があります。そういうこともあるので、是非、この点の研究を進めてもらいたいですね。
井上
ものづくりシニアインストラクターの立場で実際に企業に行って指導しても、従業員のモチベー
ションという点については触れられないのが現実です。企業コンサルもそこまでやっていない。日本
の良さは、集団的にやる気になれば、力が発揮される。連合本部がその点について研究をすることは
大事だと思います。経営者もその点を良くわかってくるのではないでしょうか。とにかく人が活用さ
れていない。稲盛さんが来てJALはなぜ復活したのか、カルロスゴーンがきてなぜ日産は復活した
のか?従業員は変わっていないのです。従業員のやる気がでるだけで異なってくる。そうした点を連
合本部でも研究してもらいたいですね。
設樂
今春闘は、組合員の目線からするとマイナスの要素はないと認識されています。労働組合の結成率
が低下していることもありますので、労働組合の本領を発揮していかなければならないなあと考えて
います。
角谷
組織率が低いということもあり、底上げのためには、実態が見えないところがゴロゴロあります。
連合と協力して手を差し伸べていくことが必要だと認識している。UAゼンセンは特異かもしれませ
んがその点を組織化する中でアプローチをしながらしっかり取り組んでいきたい。
高木
地域最賃について三者協議で1000円を目指そうとしているわけですが、そのためには、毎年50円ず
つ上げていかなければならないわけです。
青木
安倍政権の労働条件の改悪については、地方からも声を上げてもらい、改悪阻止の運動を是非お願
いしたいですね。外国人の導入などの問題もあります。
高橋(交通労連山形県支部事務局長:欠席のため、文書にて報告)
交通労連の要求の特徴、産別全体としては、賃金については、「年収の引き上げ」に向けて業種横
断的な賃金の確立と底上げを目指します。特定最低賃金の確立を進めるため、企業内最賃協定の締結
を推進していきます。また、均等・均衡待遇の実現と労働条件の底上げ、職場内における組織拡大に
つなげる、としています。
具体的な要求基準の設定にあたっては、各部会で策定するとして、定昇もしくは定昇相当分の確
認・確立に努め、定昇制度を確実に実施していくため粘り強く取り組んでいきます。どのような業種・
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働き方であっても、公平・公正な賃金制度・体系の確立は少なくとも必要であり、未確立の組合に対
する指導を強化する。各組合は、定昇制度の確立・個別賃金水準を重視した取組みを通じて、企業の
枠を超えた銘柄(年齢・勤続・職種・熟練度など)ごとの賃金水準や賃金引き上げ額の社会的横断化
をめざします。
各業種別部会の要求についてですが、トラック部会は10,900円とし、内訳は、定昇並びに賃金カー
ブ維持分1.5%(3,640円中心)、賃上げ並びに賃金改善分2%(4,861円)格差是正分1%(2,430円)
です。軌道・バス部会については、定昇分1.41%(3,000円)、消費増税など過年度物価上昇分1.9%
(4,200円)を要求し、目標最低基準3,000円とします。ハイヤー・タクシー部会については、7,500円(定
期昇1,000円+過年度物価上昇・格差是正6,500円)。自校・一般部会については、賃金カーブ維持分
4,500円と過年度物価上昇を踏まえた実質賃金の確保、生活向上をはかる原資として9,000円です。
臨時給については、年間での要求及び賃金と同時要求・同時妥結を基本として、年収の引き上げに
取り組むとして、トラック部会は1人100万円中心、軌道バス部会は目標5ヶ月以上、最低でも3ヶ
月以上、ハイヤー・タクシー部会は昨年実績+9万円、自校・一般部会は6ヶ月以上、最低でも4ヶ
月以上を要求します。臨時給は、他産業では実績がプラスのようですが、交通労連の実態は、夏は春
闘交渉でほとんど決まるのですが、冬の臨時給については期別交渉であり、増えることはなく、特に
今年度は4月の消費税増税で収入を落としたのが要因で交渉も厳しかったです。
バス産業をめぐる状況についてお話します。昭和40年代はバス事業の全盛期でありました。
しかし、その後マイカーの普及で、50年代をピークにその後、路線の廃止等で減少傾向にはいり、
未だにバスの乗客の一掃が続いている。平成10年に乗合事業の自由化、平成12年には貸切事業が自由
化になり、特に小泉・竹中コンビによる政権下での規制緩和によって価格競争が激化して、結果して
乗合事業にツアーバスがどんどん進出して価格を下げ、大阪でのスキーバス死亡事故が発生しても国
がなんの対策もせず、その7年後に、2年前関越自動車道でのツアーバス事故で7名の方が死亡、38
名が重軽傷の事故があって、やっと国交省が動いた。結果から言わせてもらえば、バスの料金には安
全・安心の料金も入っているということです。
今、バス事業で大きな問題は燃料価格の高騰とバスの乗務員不足、雪国での道路にまく塩カリによ
るバスの腐蝕です。燃料については今年度については7月がピークであり心配されましたが、その後
少しずつ下がってきたので少しほっとしていますが、今の経済情勢では油断はできません。乗務員不
足では東日本大震災以降に復興事業で建設関係に行かれる方など多く、規制緩和以降労働環境が特に
悪化して、魅力のある産業ではなくなっているのが現実です。バスの腐蝕の問題では、平成元年に雪
道には以前スパイクタイヤを使用していたのが、粉じん公害で廃止となり、その代り事故を防ぐため、
塩カリという凍結融雪剤を散布するようになった。反面、塩カリは塩ですので鉄を腐蝕させてしまう
大きな問題があるのに、未だになんの対策を打てずに、事業者だけがその修繕経費を負担している現
状です。スパイクタイヤを廃止と同時に塩カリ問題を議論してほしかった。さびない塩カリの開発や
腐蝕にかかる車両の修繕経費補助などを切に願いたい。
次に、ハイヤー・タクシー産業をめぐる状況ですが、少子高齢化・人口減少社会の到来と消費税増
税に伴う利用控えなどで、ハイヤー・タクシ―業界は厳しい毎日が続いております。特に、小泉政権
下での規制緩和により、需給バランスや、適正運賃の収受が崩れ、行き過ぎた緩和策に歯止めをかけ
るべく、業界労使一体での陳情要請が実り、再規制の特措法が施行されたのが平成21年10月1日民主
党政権下での事でありました。しかし、その秋の衆議院選挙で自民党に政権が戻り、昨年の1月27日
に改正新特措法が施行されました。当初の特措法は供給過剰と認定された155の交通圏はこの間準特
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定指定地域となり、曖昧なままもうすぐ1年が経過し、先ごろの新聞報道によれば規制改革会議方針
の約半分の地域が特定地域に指定される見込みとのことである。人口30万人以上の都市とか、平成21
年と比較し10%以上数値が悪化していることなどの要件を満たす内容のようですが平成21年はリーマ
ンショックなどの影響下で、1台あたりの営業収入は極めて低い時期でありました。その実績と比較
すれば第1次規制で減車したこと等もあり、現在の1台当たりの収入は増えています。規制をはずせ
ば、また過当競争に陥る懸念があります。先ごろのタクシー裁判において下限割れの事業者が勝訴す
る事例も気になるところです。山形市近辺のタクシーの夜のお客さんが減っており、年間収入も毎年
減っている現状にある。福祉有償運送や代行の免許制度がきちんと法を守られているのか疑問です。
次に索道事業についてですが、我々の産別に蔵王山に関係する索道事業があります。蔵王中央ロー
プウェイ、蔵王坊平にあるリフト・レストラン・ロッジ等の営業収入が落ちております。これは、東
日本大震災のときも福島原発の風評被害で大きな打撃を受け、また、今年度は御嶽山の噴火大災害と
熊本阿蘇山の噴火等で蔵王山の状況報道がされてから、宿泊客やスキー客の相次ぐキャンセルがあり、
3月までの今期決算が大変厳しい状況での春闘交渉になります。少子化やレジャーの多様化で、そう
でなくてもスキー人口が減っている中であり、今後の索道事業が大変心配されます。
連合の春闘要求についてですが、産別は連合の要求水準をもとに方針を決めるようですが、中央と
地方のひらきは相当あるわけですので、賃金引き上げ分を地方が本部と同じ水準にしなくてもいいの
ではないか。あまり高すぎると、組合員からどうせ届かない要求は控えたほうがよいとの声が出てき
ます。また、連合古賀会長が消費税増税をすべきとの発言があったが、今年度の4月の増税でも収入
が必ず減るわけで、結果して昨年からGDPがプラスになったのは、1月から3月までの駆け込み収
入があった1期だけです。われわれの産業、消費が減れば利益が減るわけで、もっと地方とその地域
の産業も全体で考えてほしい。
統一地方選挙とのかかわりについてですが、制度政策の要求実現が産別では重要ですので、まずは
山形県として、県政・市政から我々の声を国まで届けてほしい。産別のなかでも山形は北国東北であ
り、東北でも日本海側の雪によるリスクが大きいところでもあるので、寒さ対策雪国補助制度も連合
としても国に要求してほしい。収入が同じでも経費が大きく経営は厳しい現実を見てほしい。我々の
声を市政・県政・国政へ届けてくれる議員を精一杯応援したい。
高木
連合山形から、柏木さん最後にご発言ください。
柏木
きめ細やかな指導をしていく春闘だという話がだされました。先日、一昨年、労働組合を立ち上げ
てれんごう山形ユニオンに加盟している組合の会社を訪問し、経営者と話をしてきました。そもそも
労組ができた理由が、ボーナスの査定で、就業時間中にトイレに行った回数や年休の取得回数などが
カウントされ、差し引かれているという不満や年休が取れないという相談が発端でした。賃金表がな
く、ボーナス査定の基準が不透明なこと、手当がつく対象者の基準がどうなのかもわからないという
ことでした。それを聞き、不透明な賃金実態を明らかにして、賃金表を作っていく方向性を進めてい
くのが大事だと思った次第です。賃金実態調査をすれば、1歳間の昇給額が分かってくるので、賃金
カーブを維持し、プラスアルファを求めるといったきめ細やかな指導をしていくのが大事だと思いま
すので、連合山形としても中小組合にそうした闘いをこの春闘を通じて波及させていきたいと思って
おります。
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立松
地方創生という話がありますが、経営者や労働者の能力が向上していくことが大事だと思います。
山形大学でも工学部と他学部との協力で地域価値創成のための体制を整備し、地域の企業の経営力の
向上に貢献できるよう努力しているところです。単に統計数字だけを見て判断するのではなく、個々
の事例を具体的に踏まえてアドバイスできるようにしていかなければならないと思っています。
高木
山形市で昨年取り上げられた、公契約条例については、建設労働者の確保と言う観点からは良い施
策のはずなのに、一番はじめに公契約条例を作ったと言われるのは嫌だといったそんな議論で公契約
条例はダメになった。経営者に対する労働教育が大事だということとを痛感しました。
本年の闘争も、しっかりときめ細やかに行われ、成果が得られるように皆さんの活動を期待したい
と思います。
本日は、ありがとうございました。
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