母乳と薬 - 巾上ひまわり薬局・塩尻ひまわり薬局

ひまわりだより
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梅雨真っただ中、雨降りの日が続く毎日ですね。
ひまわり
蒸し暑い日が続くと体調を崩しやすくなるので、体調管理に気を
だより
つけて過ごしましょう。今月は母乳とくすりについておはなしし
ます。
母乳はお母さんの血液から作られます。お母さんが食べたも
の・飲んだものの影響を受けることは免れません。同様にお母さ
んが飲んだお薬も、血液に乗って乳腺に届きます。ほとんどのお
薬は、母乳に届きますがその量はお母さんの薬の量の1%未満と
されています。
ですが、母乳に届きやすい薬と届きにくい薬があります。どのよ
うなものが母乳に届きやすいのかというと
〇分子量が小さいもの
〇血液中のたんぱく質と結合しないもの…血液中のアルブミンな
どと結び付くと細胞膜を通り抜けられなくなり母乳へとど
きにくくなります。
〇脂溶性(油に溶けやすい)の薬…脂溶性の薬は細胞の膜を通
り抜ける速度が速く母乳に届きやすくなります。
〇弱塩基性の薬
〇M/P 比が高いもの…薬の母乳中の濃度/母体血液濃度の比で
母乳中への薬の移行しやすさをしめすもので、この比が1以
下の薬は母乳へ届きにくく、1~5 の薬は届きやすいといわ
れています。
〇薬の作用時間が長いもの…薬の消失時間が長い薬はお母さ
んの血液中の薬の濃度の高い時間が長いため母乳へも移行
しやすいといわれています。
〇薬の利用率が高いもの…生体内利用率といい、飲んだお薬が
どれだけの量でどういう速さで体内に取り込まれるかを示
します。その利用率が低い薬は母乳への影響は少ないといわ
れています。
これまでは、薬側の要因でしたが次に母子側の要因としては、
〇お母さんの薬の量や回数や投与経路・投与期間…投与経路に
ついては、同じ薬であれば、注射>内服>外用の順番に影響
は少ないとされています。
〇乳児の代謝・排泄…乳児は胃酸の分泌がすくないため胃の中
の Ph が高く、胃内の薬の停留時間・消化酵素・腸内細菌の
バランスにより薬に対する感受性が高くなっています。また、
肝臓や腎臓の働きが未熟なため薬の代謝・排泄に時間がかか
ります。
〇哺乳の量と回数…母乳中の薬の濃度がたとえ高くても、哺乳
量や回数が少なければ安全性は高くなります。
乳児にとって母乳は完璧な栄養であります。母乳は効率よく消
化され、免疫グロブリンやラクトフェリンなどが含まれ乳児の免
疫に大きく役立ちます。またお母さんにとっても、乳がんなどの
罹患率を下げたり、産後の肥満などの予防にと大きなメリットが
あります。そして、授乳という行為を通じて、お母さんと乳児の
間に深い愛情が生まれ乳児の情緒が安定
すると言われています。
今現在、母乳をあげているお母さ
んに対する薬物療法の統一されたガイドラインはありませ
んが、一般的に投与すべきではないと禁止されている薬は、
免疫抑制剤・抗がん剤・放射性薬品です。それらは母乳に
移行し乳児に影響があるとされています。一方 WHO などの
リストでは投与してはいけない薬は 3%、
注意すべきは 23%
その他の 74%は授乳中に服用しても差し支えないとしてい
ます。けれども、お母さんと乳児にとって出来るだけ安全
で、必要な薬の選択をしなくてはならないのは当然です。
お母さんが気をつけなくてはいけないものには、薬以外にもい
わゆる嗜好品といわれるもの お酒・コーヒー・たばこなどがあ
ります。
コーヒーにはカフェインが含まれており、摂りすぎると乳児に神
経過敏や不眠が起こるとの報告があります。1日3杯までなら、
カフェインは乳児の尿中には検出されないようです。コーヒーだ
けではなくお茶やその他のカフェインが含まれている飲み物に
も注意が必要です。
たばこに含まれるニコチンは、母乳の分泌量を減らします。それ
により乳児の体重増加の割合が下がり、不眠・下痢・哺乳量の低
下などが心配されます。
アルコールは分子量が小さく急速に母乳に移行します。母乳の濃
度は血中濃度の 90%に達すると言われています。アメリカではア
ルコール摂取量について1日あたり体重あたり 0.5g以下と勧告
しており60kg の女性ではビール2缶が相当量となります。アル
コールを飲んだ後は約2時間は授乳を避けることや、お母さんが
アルコールの影響を感じなくな
るまで授乳を待つ必要があると
されています。