財務計画・分析 - SAP.com

次世代のクラウド型 FINANCIAL PLANNING &
ANALYSIS (財務計画・分析):
シンプル、コラボレーション、リアルタイム
2014 年 8 月
 ニック・カステリナ(Nick Castellina)、リサーチディレクター、
ビジネス計画・実行
レポートの要点
p3
Financial Planning &
Analysis(以下 FP&A)
の領域で企業が直面し
ている最大の課題は、
プロセスが難しすぎて
時間がかかりすぎること
です。
p4
トップ企業では、
クラウド型の財務アプリ
ケーションを活用してい
る割合がその他と比べ
56%も高くなっています。
p5
クラウドテクノロジーを
活用している企業の
23%が、インメモリー
分析テクノロジーの
導入を計画しています。
200 社以上の企業を対象とした調査に基づく本レポートは、
高いパフォーマンスを発揮するシンプルなコラボレーション型の
財務計画・分析(FP&A)プロセスによって高い正確性と有効性を
実現するような新世代のクラウドソリューションが、
クラウドユーザーの間で求められている現状を明らかにしています。
p6
クラウドソリューションを
活用している企業は、
意思決定にかかる
時間を過去 1 年間で
16%短縮しました。
2
次世代のクラウド型 Financial Planning & Analysis (財務計画・分析):
シンプル、コラボレーション、リアルタイム
財務計画・分析を支援する信頼性の高い IT ソリューションが利用できる
昨今のビジネス環境で
ようになる以前の企業では、勘や推測による判断が相当な比率を占め、
価値を提供するには、
その精度は今より遥かに低い状況でした。企業パフォーマンス管理
さらに進化した
(EPM)などのビジネスソリューションの導入が進むにつれ、ビジネス
リーダーは勘や推測にほとんど頼ることなく、履歴データに基づいて
次世代のクラウド型
予測を行えるようになりました。その後、分析機能が高度化したことに
財務アプリケーション
より、将来の結果を予測する計算式の作成能力も向上しました。このテ
を活用して、
クノロジーが現代の企業における FP&A ニーズをサポートする方向に
進化するなか、他方ではテクノロジーの新しい利用法が登場しました。
高いパフォーマンスを
その代表例がクラウドテクノロジーです。もはや「新出」とは呼べないほ
発揮するシンプルな
どに普及したクラウドソリューションにより、ビジネスリーダーはどこにい
コラボレーション型の
ても即座に情報にアクセスできるようになっています。こうしたソリュー
ションはコスト効果が高く、導入が容易であり、スプレッドシートに代わ
FP&A をリアルタイムで
る手法として最新のトレンドとなりました。しかし、クラウドテクノロジー
実現しなければなりま
の普及がさらに進んだ現在、ユーザーは、より盤石な機能とメリットを備
せん。
えたソリューションを求めるようになっています。200 社以上の企業を
対象とした調査に基づく本レポートは、高いパフォーマンスを発揮する
シンプルなコラボレーション型の FP&A プロセスによって高い正確性と
有効性を実現するような新世代のクラウドソリューションが、クラウド
ユーザーの間で求められている現状を明らかにしています。
最先端の FP&A
Aberdeen 社の「2014 Financial Planning, Budgeting, and Forecasting and Enterprise Performance Management benchmark
survey」(財務計画・予算・予測および企業パフォーマンス管理に関す
るベンチマーク調査 2014 年版)では、効果的な FP&A プロセスの要件
が明らかになっています(図 1)。
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次世代のクラウド型 Financial Planning & Analysis (財務計画・分析):
シンプル、コラボレーション、リアルタイム
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図 1: シンプルに、ただし効果的に
現在の予算編成・事業予測プロセスは
37%
時間と人手がかかりすぎる
市場が変動しやすいため、
32%
変化を動的に把握できる能力が必要
部門や部署間のコミュニケーション、
30%
調整、コラボレーションが
(上流工程・下流工程ともに)不十分
ビジネスの成功度を主要部門ごとに
26%
追跡できない
0%
10%
20%
30%
40%
回答者(総数 201 名)に対する割合
出典: Aberdeen Group、2014 年 8 月
この調査では対象企業に、FP&A で直面しているプレッシャーの上位
2 項目を選んでいただきました。その結果を要約すると、「現在の計画・
予算・予測プロセスは難しすぎ、業務に混乱や中断を招くことなく合理
的な時間内で完了することができない」ということになります。市場に出
ている企業向けアプリケーションを煩雑だと感じたユーザーが、プライ
ベートで使用している消費者向けアプリケーションに近いユーザー体験
が織り込まれたソリューションを探し求めるようになっていると思われま
す。また、機能面でこのプロセスを完了するのが難しいだけでなく、
市場の変動が激しいことも、予測の取り組みを困難にしており、その精
度に大きな悪影響を及ぼしています。こうした課題に直面している企業
Aberdeen の調査では成熟度を基準に
対象企業を 3 つのグループに分類して
います。 このデータは、企業の総合的
なパフォーマンスを判断するために使
われます。複数の主要指標に関して
パフォーマンスを自己申告していただ
いた内容に基づき、調査対象企業は
3 つのカテゴリーのいずれかに分類さ
れます。
• トップ企業: パフォーマンスに基
づいて判断した、調査対象企業
の上位 20%
•
平均的企業: パフォーマンスに
基づいて判断した、調査対象企
業の中位 50%
•
下位企業: パフォーマンスに基
づいて判断した、調査対象企業
の下位 30%
•
文脈によっては、残りの企業と
いう第 4 のカテゴリーも使用しま
す。これは平均的企業と下位企
業を合わせた呼び方です。
は、予測精度を高めるには、パフォーマンスに影響するビジネス推進要
因の理解を深めるとともに、より多くのステークホルダーを関与させ、
重要な情報のすべてについて説明責任を確保しなければならないこと
を理解しています。このようなプレッシャーから、FP&A プロセスとそれ
を支えるテクノロジーの両方に変革を求める声が広がっています。現行
世代のアプリケーションは、こうした新しいニーズには対応しきれま
せん。企業が求めているのは、シンプルであると同時に、コラボレー
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次世代のクラウド型 Financial Planning & Analysis (財務計画・分析):
シンプル、コラボレーション、リアルタイム
ションを可能にし、リアルタイムデータをより効果的に分析できるように
進化を遂げたソリューションなのです。
ソリューションの模索
Aberdeen 社の「2014 Financial Planning,
Budgeting, and Forecasting and
Enter-prise Performance Management
benchmark survey」(財務計画・予算・予
測および企業パフォーマンス管理に関する
ベンチマーク調査 2014 年版)によると、企
業カテゴリー別の状況は次のような結果で
した。
• 財務レポートが意思決定に必要な
タイミングで提供されると回答した
企業の割合:
•
•
トップ企業が求めているのは、計画・予算・予測を効果的に効率よく実
行するのに必要となる必須情報とプロセスフローを提供することができ
るソリューションです。この理由から、トップ企業の 44%は EPM ソリュー
ションを導入済みですが、残りの企業では 32%にとどまっています。
さらに、財務計画・予算・予測を支援するツールについても、トップ企業
の 66%が導入済みであるのに対し、残りの企業では 51%です。この
2 つの結果を見れば、精度の向上に利用できる貴重なデータを確保す
る上で、これらのソリューションが役立つことは明らかでしょう。この点を
o
トップ企業 - 94%
理解することが、業務プロセスのシンプル化だけでなく、コラボレー
o
平均的企業 - 72%
ション力と分析力の改善も同時に実現するテクノロジーを特定するため
o
下位企業 - 63%
の第一歩となります。そして多くの企業は、従来の FP&A プロセスが抱
実際原価と予算原価の差異:
o
トップ企業 - 4%
o
平均的企業 - 11%
o
下位企業 - 35%
実際収益と予測収益の差異:
o
トップ企業 - 3%
o
平均的企業 - 12%
o
下位企業 - 37%
える課題に対して新しい解決方法をもたらすテクノロジーに高い関心を
示すことになります。
とはいえ、ソリューションの選択における重要な要素の 1 つは導入方法
です。コスト面、導入の容易さ、頻繁な自動アップデートなどのメリット
から、クラウドテクノロジーはすでに、スプレッドシートから脱却して
FP&A プロセスを改善したい企業にとって魅力的な選択肢として定着し
ています。実際、クラウド型の予算・計画ソリューションが登場してから
10 年以上経過しています。また、現在でも過半数の企業はオンプレミ
ス型ソリューションを使用しているものの、現時点でクラウド型の財務ア
プリケーションを活用している割合を見ると、トップ企業の方が残りの
企業よりも高くなっています(図 2)。この結果は、現行世代のクラウド型
ソリューションが FP&A プロセスの改善ニーズを満たせることを証明し
ていますが、次のセクションでは、クラウドユーザーが追加導入したいと
考えている機能強化に目を向け、次世代のクラウドソリューションが
搭載しなければらない機能が何であるかを明らかにします。
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図 2: クラウドに対するトップ企業の関心
回答者(総数 201 名)に対する割合
トップ企業
平均的企業
30%
25%
25%
24%
20%
15%
下位企業
13%
16%
13%
15%
10%
5%
0%
オフプレミス:
-
SaaS(Software-as-a-Service)/
オフサイトまたはレンタルの
クラウド/オンデマンド:
データセンターにソフトウェア
ソフトウェアをホスティングし、
をインストールし、社内の
サードパーティーによる
ネットワークインフラを通じて
Web ベースのサービスを
ユーザーに展開
通じてアクセス
出典: Aberdeen Group、2014 年 8 月
次世代のソリューション
FP&A の領域で直面する課題と闘うためにクラウドソリューションを選択
した企業は、パフォーマンス改善に役立つ多様なテクノロジーを導入し
ています。頻繁に繰り返される自動アップデートは、継続的な改善で
ソリューションの有効性を高め続けるのに効果的ですが、それ以外にも、
クラウド型ソフトウェアに含まれる機能や特長に革命的な進化をもたら
す新しいテクノロジーが登場しています。そこで本調査では、現在のクラ
ウドユーザーが導入済みのテクノロジーと導入を計画中のテクノロジー
を調べ、状況を比較しました(図 3)。この比較により、次世代のクラウド
ソリューションにどのような機能が求められているかが明らかになりま
す。現在では、クラウドソリューションを導入済みの企業の半数がビジネ
スアナリティクスを組み込んでいます。ビジネスアナリティクスには物事
の傾向を把握する能力や、行動の影響を理解する能力を高める効果が
あり、(IT 部門などに依頼するのではなく)業務部門ユーザー自身が
データ間の関係を理解したり、将来の予測結果を視覚的に把握したり
できるようになるため、FP&A プロセスのパフォーマンスが向上します。
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ビジネスアナリティクスは、人間の能力では感知できないレベルの高度
な分析情報を提供し、計画プロセスから勘や推測をほぼ排除します。
次に、クラウドテクノロジーを導入済みの企業のうち、インメモリー分析
テクノロジーを活用しているのは 22%にすぎず、23%が導入を計画して
います。このテクノロジーは分析のスピードを飛躍的に高めるため、
ユーザーはより多くのデータソースを計画・分析できるようになります。
現在よりも遥かに大量のデータを、より詳細なレベルで、より短時間で
処理し、速やかに分析を適用できます。ビジネス条件がめまぐるしく
変化する今日の市場では、インメモリー分析テクノロジーは極めて高い
価値をもたらし、パフォーマンスの向上だけでなく、コラボレーションの
強化にも役立ちます。
図 3: 新世代のクラウド
回答者(総数 201 名)に対する割合
クラウドへの導入を計画済み
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
クラウドに導入済み
17%
23%
37%
50%
ビジネス
アナリティクス
22%
22%
インメモリー
分析
ソーシャル
コラボレーション
テクノロジーを
計画プロセス内
で活用
出典: Aberdeen Group、2014 年 8 月
次世代のクラウド型財務アプリケーションは、ソーシャルコラボレー
ションテクノロジーも取り入れる必要があります。これにより、計画プロ
セスにアクティビティストリーム(活動の流れ)機能やコメント機能を組み
込んだり、ステークホルダーからの情報が必要な場合に入力依頼を
自動的に処理したりすることが可能になります。このタスクは状況に即
して実行できるため、例えば部署別の予算を収集・集計する目的にも
利用できます。アプリケーションに組み込まれたビジネスアナリティクス、
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インメモリーコンピューティング、ソーシャルコラボレーションの融合によ
り、IT 環境に最先端の FP&A アプローチを盛り込むための土台が形成
されます。そしてこの新しい IT 環境を、シンプルかつハイパフォーマン
スな FP&A プロセスを実現する各種機能の実行基盤へと進化させてい
くことになります(図 4)。
図 4: シンプルなコラボレーション型ソリューションの必要性
回答者(総数 201 名)に対する割合
クラウドへの導入を計画済み
120%
100%
80%
60%
40%
20%
0%
クラウドに導入済み
28%
30%
41%
53%
業務部門
ユーザーが
レポート/チャート
をセルフサービス
方式で作成
できる機能
業務記述を
状況に即して
リアルタイム
でビジュアル
化できる機能
41%
37%
38%
43%
72%
21%
予算/計画
プロセス全体
体を通して
各部署が
財務部門と
協業・連携
できる機能
Aberdeen 社 の レ ポ ー ト 「 Speeding Up
and Cashing In with Financial Analytics」
(財務分析がもたらすスピードアップと収益
向上)のために収集したデータによると、
対話操作型のデータビジュアライゼー
ション機能を導入している割合は、トップ
企業が残りの企業の 2 倍以上となってい
ます。
実行中の
予測プロセス
にビジネス
推進要因を
組み込むこと
ができる機能
what-if シナ
リオと変更
分析を実行
できる機能
38%
55%
市場条件の
変化に応じて
再予測を
実行できる
機能
出典: Aberdeen Group、2014 年 8 月
例えば、現行世代のクラウドソリューションを活用している企業の 53%
では、業務部門ユーザーがセルフサービス方式でチャートやレポートを
作成できます。しかし、この機能については、さらに 30%が導入を計画
しているため、80%を超える企業が現在活用中、または近い将来に
活用したいと考えていることになります。セルフサービス方式は利用の
敷居を下げる効果があり、消費者向けソフトウェアのルック&フィール
を取り込む場所としても最適です。業務部門ユーザーは IT 部門に頼ら
なくても、自分が最も利用しやすい方法でデータをビジュアル化し、ビジ
ネス推進要因とデータソースの関係をより深く把握することができます。
シンプルさとセルフサービス方式の融合により、従業員の即応性が
向上するほか、ビジネス推進要因の変化が及ぼす影響の理解も深まり
ます。例えば、ある原材料のコストと、それがビジネスに影響を及ぼす
Aberdeen 社の「2014 Business
Management and ERP Benchmark
Survey」(ビジネスマネジメントおよび ERP
ベンチマーク調査 2014 年版)によると、
業務システムを統合して完全な記録システ
ムを構築している割合はトップ企業の 64%
に対し、残りの企業は 44%です。 また、
アプリケーション横断でデータをシームレ
スかつ透過的に共有できる割合は、トップ
企業が残りの企業より 83%も高くなってい
ます。FP&A の領域で言えば、これは従業
員が複数のデータソースを利用しているこ
とを意識しなくてすむことを意味します。
その結果、データアクセス全般が高速化
し、より効率的にタスクを完了できるように
なります。
期間を(時系列に表示されるチャートで)把握することができます。さら
に、ステークホルダーからソーシャル機能を通じて収集した情報など、
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クラウドソリューションを活用している企業
は、そうではない企業に比べ、FP&A の
幅広いパフォーマンス指標に関して大きな
メリットを実現しています。ただし同様の
メリットは、オンプレミス型ソリューションを
導入している企業も実現しています。こうし
たメリットは結局のところ、ソリューションに
含まれる機能に由来しており、オンプレミ
スかクラウドかによらず、ソリューションの
進化とともに、得られるメリットは増大して
いくと期待されます。
•
状況に即したリアルタイムの情報を幅広い従業員に提供する機能など
も実現できるでしょう。
ユーザーがシンプルでコラボレーション型の FP&A プロセスを求めてい
るだけでなく、業界トップ企業は、分析力の強化と予測精度の向上に
役立つテクノロジーであることも重要だと考えています。クラウドユー
ザーは、データのアクセスと分析を改善する機能に強い関心を示して
います。例えば、組み込み型のアナリティクスを活用してビジネス推進
要因を予測プロセスに取り込むことができる機能や、シナリオ分析など
財務レポートが意思決定に必要な
タイミングで提供されると回答した
企業の割合: 78%
です。こうした機能があれば、異なる戦略の組み合わせや比較しながら、
•
パフォーマンスデータにアクセスで
きるステークホルダーの割合: 66%
機能と結びつける高度な計算式を用いて、従来よりも容易に高精度の
•
意思決定にかかる時間の過去 1 年
間での短縮率: 16%
向上します。この機能を現在のクラウドユーザーが導入している割合は
•
収益の予算と実績の差異: 12%
•
原価の予算と実績の差異: 10%
割合を見れば、新世代のクラウドソリューションが搭載すべき機能とし
•
収益の予測と実績の差異: 11%
てのニーズが高いことは明らかです。
•
過去 24 カ月間の営業利益率の上
昇率: 6%
メリット
実現の可能性が高い結果を判断できます。パフォーマンス履歴を予測
予測を得ることができるため、FP&A プロセスのパフォーマンスが大きく
まだ少ないものの、将来的に導入を計画しているクラウドユーザーの
現行世代のクラウドアプリケーションを使用している場合でも、情報・
計画・分析機能に瞬時にアクセスできるようになれば、FP&A に関連する
幅広い指標の改善に役立ちます。例えば、クラウドソリューションを活用
している企業の方が、より多くのステークホルダーに対し、それぞれが
必要とする情報を各自の意思決定に間に合うタイミングで、より頻繁に
提供できています(左のコラムを参照)。その結果、意思決定にかかる
時間が過去 1 年間で 16%短縮され、収益とコストに関する予算と予測
の精度が向上しています。こうした情報が利用できれば、ビジネスリー
ダーはビジネスの成長に向けた意思決定を、確信を持って行うことがで
きます。クラウドソリューションを活用している企業では過去 24 カ月間
に営業利益率が 6%上昇したという事実が、このことを実証しています。
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次世代のクラウド型 Financial Planning & Analysis (財務計画・分析):
シンプル、コラボレーション、リアルタイム
とはいえ、このデータに反映されているのは現行世代のクラウドアプリ
ケーションだけです。使いやすさがさらに増すことで、より多くの従業員
にソリューションの真のメリットが行き渡るようになり、上記の指標がさ
らに改善されることを想像してみてください。あるいは、コラボレーション
機能の強化によって、重要なデータにアクセスできる従業員数が増え
たとしたら、どのようなことが実現するかを考えてみてください。最後に、
高度な組み込み型のアナリティクス機能で実現する予測精度の向上を
思い描いてみてください。こうした機能を備えた次世代のクラウドアプリ
ケーションが FP&A プロセスに大きな影響を及ぼすことに、疑いの余地
はありません。
まとめ
今日の企業では、使いにくく時間のかかる FP&A プロセスが課題となっ
ており、ビジネス推進要因に対する十分な理解・洞察が得られず、コラ
ボレーション機能も利用できません。同時に、FP&A プロセスを効果的
に実行することは、全社規模で意思決定を強化するためにも極めて
重要です。現在のクラウドソリューションは、導入の容易さ、アクセス性、
頻繁な自動アップデートといったメリットを見れば、FP&A プロセスの基盤
として利用できる水準に達しています。しかし、現行世代のソリュー
ションには、使いやすさ、コラボレーション、組み込みアナリティクスに関
してクラウドユーザーが強く要望する機能が欠けています。そのため
クラウドソリューションは、こうしたニーズを満たせるように進化しなけれ
ばなりません。しかし、優れた FP&A プロセスを確立するためには、
ソリューションの改善が不可欠であるのと同様に、社内プロセスも改善
しなければなりません。社内プロセスの改善に取り組む際は、以下の
推奨事項を参考にしてください。
 問題を特定する: 計画プロセスのどこにギャップがあるのでしょ
うか? 企業が収集したデータにアクセスして利用することはで
きても、その遅さが問題でしょうか? 現場の従業員が持つ貴重
な洞察が共有されず、本人以外は誰も活用できない状況でしょ
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次世代のクラウド型 Financial Planning & Analysis (財務計画・分析):
シンプル、コラボレーション、リアルタイム
うか? FP&A の要改善点を洗い出すことが、企業内のニーズを
的確に判断するための第一歩です。
 クラウドでもオンプレミスでも、最先端の環境を構築する: この
レポートでは、FP&A の領域で既存のクラウドアプリケーションが
もたらすメリットを説明してきました。また、昨今のビジネス環境
に関連して企業が抱えているニーズも指摘しました。とはいえ、
ここで示したような機能は、オンプレミス型のソリューションでも
実現されています。どのような導入オプションが自社の IT インフ
ラで最も効果的に機能するかを判断する必要があります。ただ
し、アプリケーション自体の機能は高いパフォーマンスを発揮す
るものでなければなりません。
 予測性と俊敏性を高める: 予測分析を駆使し、市場の変動が
ビジネスに及ぼす影響を最小限に抑えます。また、データへの
高速アクセスも活用して、ビジネス環境の変化にすばやく対応
できる能力を確保します。
 コラボレーションとシンプルさを向上させる: ソーシャルコラボ
レーションテクノロジーをインメモリー機能と組み合わせ、より
大量のデータを、より短時間で、状況に即した形で分析できる
ようにします。
 ビジネスの改善を推進する: 正確な予測を追求する最大の
目的は、ビジネスリーダーが的確な意思決定を行えるようにす
ることです。ハイパフォーマンスな FP&A で予測精度が向上して
も、それを意思決定に活かさなければ意味がありません。
以上の推奨事項を参考にすれば、高いパフォーマンスを発揮するシン
プルなコラボレーション型の FP&A プロセスを実現する次世代テクノロ
ジーについて、貴社の選択基準を改善することができるでしょう。
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次世代のクラウド型 Financial Planning & Analysis (財務計画・分析):
シンプル、コラボレーション、リアルタイム
今回およびその他の調査結果の詳細については、www.aberdeen.com をご覧ください。
関連調査
「Mobile EPM: Improving Decision-Making when Time is
of the Essence」(モバイル EPM:時間が勝負の状況に
おける意思決定の改善)、2014 年 6 月
「Beyond Spreadsheets: The Next Level in Planning,
Budgeting, and Forecasting」(スプレッドシートを超えて:
次のレベルの計画・予算・予測)、2014 年 5 月
「 Beyond Budgeting and Forecasting: Organizational
Improvement through EPM」(予算と予測を超えて:EPM
を通じた組織改善)、2014 年 3 月
「 Become a Forecast Marksman with Best-in-Class
Ammunition for Planning, Budgeting, and Forecasting」
(業界最高水準の計画・予算・予測機能で予測の名手に
なる)、2014 年 3 月
著者:ニック・カステリナ(Nick Castellina)、リサーチディレクター、ビジネス計画・実行
([email protected])
Aberdeen Group について
Aberdeen Group は 26 年間にわたり、世界中の企業のパフォーマンス向上を支援する調査レポートを発表してきまし
た。業界経験豊富な専門家による一次調査を実施し、業界トップの企業を特定しています。当社のアナリストチーム
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