(20) (21) 2 8 安定的で持続可能な医療保険制度の実現 高齢者医療制度について(70 ~ 74 歳の患者負担等) 高齢化の進展に伴い増大する医療費を制度横断的に社会全体で支えるた 1961(昭和 36)年に ての国民が職業・ ② a を達成して以来,社会保険方式の下,全 に応じて健康保険や国民健康保険といった公的 a ② 国民皆保険 め,2008(平成 20)年 4 月に新たな 地域 旧老人保健制度で指摘されていた問題点を解消するため,(イ)高齢世代と現 役世代の 医療保険制度に加入することとなっている。そして,病気等の際には,保 険証 1 枚で一定の ③ により必要な医療サービスを受けることができ ③ 自己負担 ② を明確化し,(ロ) a ③ 制度が創設された。これは, 単位の財政運営とすることで, 原則,同じ都道府県で同じ所得であれば同じ保険料とすることなどを狙い a 高齢者医療 ② ③ 負担割合 都道府県 ④ 75 ⑤ 公平 ⑥ 保険料 としたものである。 る制度を採用することにより,誰もが安心して医療を受けることができる 制度施行以降,広域連合や市町村による運営面の努力とともに, 医療制度を実現し,世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してき ④ 歳以上に着目した診療報酬の廃止等運用面の対応を重ねてきた結果,6 年 た。 一方, ① 達成から半世紀を超え, ④ 化の進展,非正規雇用 ④ 少子高齢 目の現在,制度は概ね定着しつつある。 ④ の増加など雇用基盤の変化,医療の高度化等,医療を取り巻く環境は大き 歳以上の医療費は,2008(平成 20)年度約 11.4 兆円から 2013 (平成 25)年度では約 15.0 兆円と見込まれており,今後も高齢者の増加 く変化している。 等により増大が見込まれる。高齢者が将来にわたり安心して医療を受けら 今後とも必要な医療を確保しつつ,これらの社会経済情勢の変化に対応 できるよう,安定的で持続可能な医療保険制度の実現に向けて取り組んで れるよう,その医療給付費を世代間・世代内の いく。 ていくため,現役世代からの支援金,高齢者自身の ⑤ に留意しつつ支え ⑥ ,公費負担の 在り方などについて,社会保障制度改革国民会議の議論等を踏まえ検討し 1 ていく。 協会けんぽの財政基盤の強化・安定化 また,高齢者の患者負担については,加齢に伴い所得水準は低下する一 健康保険組合の設立が困難である中小・零細企業の労働者とその家族が 方で,医療費が大幅に高くなることに配慮する必要があり,併せて現役世 加入し,加入する事業所の約 8 割が従業員 10 人未満である協会けんぽは, ⑤ のセーフティネットとして,我が国の ① 制度を支える重要 ⑤ )10 月の協会けんぽ発足直後の経済状 ⑥ 平成 20 年 ⑦ 370 万 被 用者保険 ⑥ 況の大幅な悪化等により,協会けんぽの被保険者の平均報酬(年間)は,2008 年度 385 万円だったものが,2011(平成 23)年度 ⑦ 円へと悪化した。 それにより,協会けんぽの財政状況は極めて悪化し,その保険料率も 2010 こうした状況を踏まえ,2010 年度から 2012 年度までに講じられてきた % に引き上げる,(ロ)後期高齢者支援金の 3 分の 1 について,財政力に応じ た負担(総報酬割)とする措置を,2014(平成 26)年度まで 2 年間継続す ること等を内容とする「健康保険法等の一部を改正する法律案」を 2013(平 成 25)年通常国会に提出し,5 月 24 日,可決・成立したところである。 これにより,「160 万事業所,3500 万人」の中小企業の労働者が加入する 協会けんぽの保険料率は,前年度と同じ 10 %を 2 年間維持できる見込みで あり,その加入者の生活の安定や医療の確保に貢献するものとなる。 以降,70 ~ 74 歳の患者負担を 1 割から 2 割へ見直すこととされたが,施 行当時の状況を踏まえ,現在まで毎年度約 2,000 億円の予算措置により患 者負担を 1 割に凍結している( ⑦ は 3 割)。 これについては,当面,1 割負担を継続する措置を講じたが,本措置の ⑤ や高齢者に与える影響等について, 低所得者対策等とあわせて引き続き検討し,早期に結論を得る。※ から 10.0 %となっており,この間の上昇率は 22 %に昇る。 ⑧ を確保していかなければならない。こうした考え方 在り方については,世代間の (平成 22)年から 2012(平成 24)年まで 3 年連続で引き上げられ,8.2 % (イ)協会けんぽの保険給付費等に対する国庫補助率を 13 %から ⑤ の下,高齢者にもできるかぎり応分の負担を求める観点から,2008 年 4 月 な基盤となっている。 しかしながら,2008( 代との負担の ⑧ 16.4 ※[編注] 一部負担金等の割合を 1 割とする軽減措置については,見直し が行われ,平成 26 年 4 月 1 日以後に 70 歳に達する被保険者につ いて,70 歳に達する日の属する月の翌月以後,一部負担金等の割 合を,法律本則の割合である「100 分の 20」に引き上げることと された。 ⑦ 現役並み所 得者 (36) (37) 2 い。このためには,家庭,学校,企業,政府等が相互に連携・協力し,社 会全体で若者の育成に取り組み,その能力を十分に発揮できるようにして 育児・介護休業法 こうした状況の中,男女ともに子育て等をしながら働き続けることがで いくことが不可欠である。 きる環境を整備することを目的に,2009(平成 21)年 6 月に育児・介護休 業法の一部が改正され,短時間勤務制度の措置や所定外労働の免除の義務 化のほか, 3 仕事と育児の両立支援策の推進 a がともに育児休業を取得する場合の休業期間の延長(パ a 父母 ② 短 時間勤務 ③ 事業主 ④ 101 パ・ママ育休プラス)等,父親の育児休業取得を促進するための制度の導 1 入等が盛り込まれた。また,これまで従業員数が 100 人以下の事業主に適 現状 育児・介護期は特に a 労働者の継続就業を図るため, と ② ① の両立が困難であることから, と ② の両立支援策を重点的 a ② 仕事 家庭 直近の調査では,女性の育児休業取得率が 83.6 %(2012(平成 24)年 について,2012(平成 24)年 7 月 1 日より全面施行された。 きる職場環境の整備を支援している。 ③ にとどまっており,仕事と ③ 4割 3 育児の両立が難しいため,やむを得ず仕事を辞めた女性も少なくない。 %(2012 年度)にとどまっている。さらに,男性の子育て ④ 1.89 因の一つになっていると考えられる。 ⑤ 次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」という。)に基づき,国,地 方公共団体, や家事に費やす時間も先進国中最低の水準である。こうした男女とも仕事 と生活の調和のとれない状況が女性の継続就業を困難にし, 企業における次世代育成支援の取組み 次の世代を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境をつくるために, また,男性の約 3 割が育児休業を取得したいと考えているが,実際の取 ④ 制度,所定外労働の制限の制度及び介護休暇 いる育児・介護休業や短時間勤務制度等の両立支援制度を安心して利用で 度)になり,育児休業制度の着実な定着が図られつつある。しかし,第 1 子 得率は ② この育児・介護休業法の周知・徹底を図るとともに,法律に規定されて に推進する必要がある。 出産後も継続就業をしている女性は約 用が猶予されていた ③ ,国民がそれぞれの立場で次世代育成支援を進めて いる。 の原 ⑤ 少子化 地域や企業の更なる取組みを促進するため,2008(平成 20)年 12 月に 次世代法が改正された。この改正法の施行により,2011(平成 23)年 4 月 1 <育児休業取得率の推移> 日から一般事業主行動計画(以下「行動計画」という。)の策定・届出等が 義務となる企業は常時雇用する従業員数 301 人以上企業から ④ 人以 上企業へ拡大された。これを受けて次世代育成支援対策推進センター(行 動計画の策定・実施を支援するため指定された事業主団体等),労使団体及 び地方公共団体等と連携し,行動計画の策定・届出等の促進を図っている。 出典:平成 25 年版厚生労働白書 P205
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