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国公労連速報
2015 年 7 月 31 日《No.3174》
《人事院交渉》
給与局長2回目
給与局長2回目 俸給・一時金引き上げの見通し
非常勤課題ゼロ回答に強く抗議 「フレックス」勧告中止を要求
国公労連は本日、2015 年勧告にむけた重点要求をめぐる人事院給与局長交渉(2回目)を実施
しました。国公労連側は宮垣委員長など9名が参加、人事院側は古屋給与局長が対応しました。
交渉の冒頭、宮垣委員長が、勧告に向けた人事院の検討状況について回答を求めると、古屋給
与局長は「現段階における検討状況」として以下のように回答しました。
1
勧告について
●
勧告日は、来週の後半で調整中である。具体的な日程は、総長会見の際にお伝えすること
ができると思われる。
2
官民較差等について
(1) 官民較差と月例給について
●
官民較差については、現在、最終的な詰めを行っているところであるが、今年の民間企業
の春季賃金改定状況を反映して、若干のプラスとなる見通しである。
(2) 特別給について
●
特別給についても、現在、最終的な集計を行っているところであるが、民間企業のボーナ
スの支給状況を反映して、支給月数が引上げとなる見通しである。
なお、支給月数の引上げがある場合には、勤勉手当に配分することとしたい。
3
本年の改定の考え方について
●
仮に、引上げ改定を行うとした場合には、基本的な給与である俸給を、再任用職員を含め
引き上げることを考えている。
●
その場合、本年は、大半の職員が、給与制度の総合的見直しにおける俸給表水準の引下げ
に伴う経過措置額を受けており、俸給表の引上げ改定を行っても、多くの職員に実際に支給
される額は増加せず、民間給与との較差がなお残ることも想定され、給与制度の総合的見直
しを円滑に進める観点から、平成 28 年度以降に予定していた地域手当の支給割合の引上げの
-1-
一部を、本年4月に遡及して実施することが考えられる。
4
諸手当について
(1) 初任給調整手当について
●
国の医療施設に勤務する医師に対する初任給調整手当について、医療職俸給表(一)の改
定状況を勘案し、医師の処遇を確保する観点から、所要の改定を行うことを考えている。
(2) 配偶者に係る扶養手当について
●
扶養手当については、基本的に民間賃金の実態を踏まえて定めることとしている。本年の
「職種別民間給与実態調査」の結果を見ると、民間では、配偶者に対して家族手当を支給し、
その際、配偶者の収入による制限を設けている事業所が一般的である。
今後とも、民間企業における家族手当の見直しの動向や、税制及び社会保障制度に係る見
直しの動向等を注視しながら、扶養手当の支給要件等について、必要な検討を行って参りた
い。
5 給与制度の総合的見直しに係る平成 28 年度に実施する事項
● 平成 28 年度においては、職員の在職状況等を踏まえ、地域手当の支給割合を引き上げると
ともに、単身赴任手当の基礎額及び加算額の限度について引き上げることを考えている。
この回答を受けて、鎌田書記長から以下の各点について追及を行いました。
【1 官民較差等について】
(1) 官民較差と月例給について
○
「官民較差は若干プラスの見通し」との回答であるが、実質賃金が減少している状況を踏ま
えれば、国が率先して賃金引き上げの機運を高めて、景気回復を図っていくことが求められる。
そのため、本俸の大幅な引き上げ勧告となるよう最後まで努力を求める。
そのうえで配分は、民間との格差が大きい初任層とともに、生活改善につながるよう高齢層
を含めた広範層での賃金改善を求める。
(2) 特別給について
○
「支給月数引き上げの見通し」が示されているが、民間の支給実態をきちんと反映するとと
もに、職員の生活実態も勘案の上、少しでも多くの改善となるよう最後まで努力を求める。
また、回答では、
「改善の場合は勤勉手当の支給割合を拡大する」としているが、公正な評価
が困難である人事評価の結果を反映する勤勉手当は圧縮すべきであり、少なくとも、引上げ分
は期末手当に配分するよう求める。
(3) 各種手当について
○
公務員宿舎削減の影響により、住居手当の引き上げを求める声が大きい。また、新幹線等を
使用した遠距離通勤へのニーズも高まっていることや、交通用具利用の通勤手当も昨年改善さ
れたものの「持ち出し」の解消には至っていないこともあり、引き上げの要望が強い。こうし
た状況も踏まえ、住居手当や通勤手当の改善を求める。
-2-
○
なお、扶養手当については、いまの回答上、現状維持と受け止めている。国家公務員の場合、
全国異動が求められていることから、配偶者の扶養手当は、生活を維持する上で不可欠であり、
人事管理上も重要であると考えている。今後とも、職員の勤務や生活実態を踏まえた改善に努
力するよう求める。
【2 雇用と年金の接続について(再任用職員の給与)
】
○
水準引き上げも視野に入れた回答と受け止めている。これまでの交渉で繰り返し述べてきた
ように、現行の賃金水準では生活ができない。雇用と年金の接続を再任用制度で行うとしてい
る以上、生活できない賃金でよいはずがなく、各省の運用の問題ではすまされない。あらため
て、「意見の申出」を踏まえた賃金水準への改善を求める。
あわせて、今年4月以降のあらたな再任用者は、いわゆる現給保障の対象とならず、継続の
再任用者との間で実質的な賃金格差が生じている。少なくとも、これらを是正することとなる
引き上げを求める。
○
また、再任用職員を含めた業務実施体制を取っている実態からすれば、住居手当、扶養手当、
寒冷地手当などの生活関連手当が支給されないことは不合理だ。今勧告での措置を求める。
再任用職員の官職については、現在の公務の厳しい職場実態をふまえたならば、再任用者の
経験や知識を活かすことのできる職務に再任用することが重要であり、それに相応しい級の格
付けを行えるよう、人事院がモデルとなる基準を示すべきである。特に年金支給までの間は、
生活できる賃金となるよう措置すべきである。
【3 非常勤職員の労働条件
非常勤 職員の労働条件改善
職員の労働条件改善について
改善について】
について】
○
非常勤職員の処遇改善については、ゼロ回答と受け止めており、大変不満だ。勧告にむけて
は、時給最低 1,000 円以上への賃金引上げや、期末手当をはじめとした諸手当の改善とともに、
夏季休暇など休暇制度の充実を求める。あわせて、公務の非常勤職員制度が民間の模範となる
べく、常勤職員との均等待遇と雇用の安定を図るなど積極的な制度改善にむけ努力を求めたい。
【4 「フレックスタイム制
「フレックスタイム制」の
タイム制」の拡大
」の拡大について】
拡大について】
○
本日の回答ではふれられなかったが、27 日の職員福祉局長回答を踏まえて、あらためて国公
労連の意見を述べておきたい。
「フレックスタイム制」については、勤務時間管理への対応や、実効ある超過勤務縮減策な
どの国公労連の指摘には何も応えておらず、未だ、労働強化や職場の混乱への懸念が払拭でき
ない以上、拡大には反対である。
福祉局長の回答では、随所に「柔軟な働き方」を強調しているが、労働時間については、柔
軟ではだめなのである。労働基準法でも労働時間は、定量的かつ定型的であることが定められ
ており、諸外国でもそれがスタンダードである。それは、労働時間のあり方が、労働者の生活
のリズムに影響し、それが労働者の健康と命に関わることが、永年の経験で明らかになってい
るからである。したがって、柔軟な労働時間を設定する場合は、それが必要な労働者に限定す
るとともに、労使合意が必要とされているのである。それは使用者主導の労働時間の柔軟化は、
実労働時間を変えずに時間外手当を削減するという、使用者のみに都合のよい制度となる危険
性が高いからである。
勧告を目前にしたこの時期に、労使の合意がない以上、少なくとも今勧告での「新たなフレ
-3-
ックスタイム制」拡大など断じて認められない。
労働時間は、労働条件の根幹をなすものであり、労働基本権制約の代償機関として、一方的
に勧告することは、権利を侵害するに等しいものである。
あらためて、制度拡大が職場や職員にいかに影響するのかを含めて再考すべきである。人事
管理行政の専門家であり、職員の利益擁護の責務を負う人事院として、政府の要請のみに従う
のではなく、公正な判断を行うよう、重ねて強く求める。
以上の追及を受けて、古屋給与局長は以下のコメントをしました。
●
住居手当の問題は、我々も変化があることは十分認識しているが、逆に変化が大きいために
いま直ちに行えるものではない。もう少し状況を見た上で、今後の課題とさせていただきたい。
最後に、宮垣委員長は以下のように述べ、交渉を締めくくりました。
○
本日の給与局長の回答は、ベアや一時金の改定見通しがしめされたが、我々の要求からすれ
ば十分なものとはなっていない。今勧告への職員の期待は、非常に高いものがあり、なんとし
ても俸給の大幅なプラス改定、一時金の大幅な引き上げの勧告となるよう、最後まで努力を求
める。
○
「フレックスタイム制」の拡大については、職場に労働強化と混乱をもたらすだけの制度拡
充であり、国公労連として反対せざるを得ない。あらためて、我々との合意や説明責任すら果
たさないまま、今勧告で強行することがないよう申し入れておく。
○ 言われなき公務員バッシングの下でも、国民の期待に応えようと奮闘している職員の労苦に
報いる勧告に向け、最終交渉では、そうした声と我々の要求を受けとめた回答を行うよう強く
求めて交渉を終わる。
以
-4-
上