力学 II 演義(スタンダード) No.2 (2015 年 4 月 28 日提出分) 小テスト: なめらかな水平面上でばね定数 k のばねの片方の端を固定し,もう片方の端に質量 m の質点をつけ る.ばねに沿って x 座標を設定し,座標原点はばねの釣り合いの位置に選ぶ.ばねを座標正の向きに x0 > 0 だけのばして時刻 t = 0 にそっと(つまり初速ゼロで)手を離す.この質点にはばねの力以外に粘性抵抗 F = −γv が働く. (1) 質点の運動方程式を書き下せ. (2) 以下,ばねの力の方が抵抗より強く,4mk > γ2 を満たす場合を考える.この不等式の両者の次元が等し い事を確認せよ. (3) 問題の初期条件に対応する解を求め,x(t) がどういう振る舞いをするか,絵を描くなどして定性的に示せ. ————————————————————————————– 問題1 (速度・加速度ベクトル) 考えている質点の時刻 t における位置ベクトルを r = (x, y, z) とする.このと き座標原点から質点へ向く単位ベクトル er = r/r を導入する.以下,ベクトルの大きさを r = |r| のように表 記する.また ṙ = dr/dt のように時間微分をドットで表す. (1) 速度ベクトルを v ≡ ṙ とするとき,ṙ = v · er を示せ.一般には ṙ , v (≡ |v|) である事を,適当な絵を描い て説明せよ. (2) 次式を証明せよ. v2 = ) 1 ( (r · v)2 + (r × v)2 2 r (1) これらの結果から,運動エネルギーを ṙ と角運動量 L = r × (mv) を使って,以下のように書き下せる. 1 2 1 2 L2 mv = mṙ + 2 2 2mr2 (2) 問題 2 (鎖の引き上げと仕事): 床にたまっている鎖の片方の端を手で持って鉛直上向きに引き上げる.鎖はほ ぼ一様とみなせ,単位長さ当たりの質量は ρ とする.引き上げられた部分の鎖の長さを x,重力加速度を g と する.隣接する鎖の輪はしっかりかみ合わないと運動しない.すなわち床にたまっている部分の鎖の速度はゼ ロのままであり,引き上げられた部分だけが速度を持つとする. (1) 時刻 t から t + ∆t までの間に,引き上げ速度が v から v + ∆v へ,引き上げられた部分の鎖の長さが x か ら x + ∆x へ変化したとする。この間に鎖の運動量がどれだけ変化するか、微少量 ∆v, ∆x の一次近似で求 めよ。 (2) 引き上げ速度を一定値 v0 に固定する.この時,綱を引き上げるために手で加える力 F を x の関数として 求めよ. 問題3(ロケットの運動)運動量保存則の応用として,無重力空間を運動するロケットの一次元運動を考えよ う.時刻 t から微小時間 dt の間にロケットの質量が m から m + dm へ減少したとする(つまり、dm < 0) .減 少した分の質量 |dm| = −dm はガスとなってロケットから見た一定の相対速度 −u < 0 で噴射されロケットか ら離れていく (つまり噴射はロケット後方).以下,時刻 t におけるロケットの速度を v(t) とする. (1) 時刻 t + dt でロケットの速度が v + dv に増加したとする.このときロケットと (時間 dt の間に噴射され た) ガスの運動量の全系の和を,2 次以上の微少量を無視して求めよ. (2) 運動量保存則から,m,u,dv,dm の間に成り立つ関係を求めよ. (3) これから得られる微分方程式を解き,ロケットの初速が 0,最初と最後の質量が m0 、m1 のときにロケッ トが達する速度 v1 を求めよ.
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