平成 27 年度 一般会計予算町長提案説明

平成 27 年3月の菰野町議会第1回定例会で町長が説明した「平成 27 年度一般会計当
初予算町長提案説明」についてご紹介します。
平成 27 年度 一般会計予算町長提案説明
平成 27 年3月4日
安全安心で未来を創造する予算
3つの格差の問題
平成 27 年度は、第 5 次菰野町総合計画、前期基本計画の最終年度となる折返しを迎え、
これまで一つひとつ丁寧に積み重ねてきたことを活かし、基本構想に掲げるまちの将来像
である『自然の中に人々が集う、笑顔と活力のまち菰野』の実現に向け、足取りを確実な
ものとしていく必要があります。
従来から申し上げておりますが、人口減少と超高齢社会の到来や世界規模での経済活動
は、我が国の社会生活に、消費の低迷や投資による富の集中、安価な労働力の確保といっ
た大きな影響を及ぼし、菰野町のような「地方」の基礎自治体にまでも深刻な事態を招き
つつあります。
これらの影響は、個人の可処分所得に関わる『所得の格差』、一部の地域に人口と資本が
集中する『地域間の格差』、社会保障の受益と負担に関わる『世代間の格差』の 3 つの格
差の問題に集約されるものと考えております。
まず、『所得の格差』の問題であります。この格差の解消のための処方箋、その根幹は富
の再分配をどのように行うか、つまり税制にあります。当然、国レベルでの取組みが重要
となってまいりますが、基礎自治体においても、各種保険制度等での所得に応じた料金設
定等において修正を重ねて対応していく必要があると考えております。
次に、『地域間の格差』の問題、これは巷間取り沙汰される自治体間の競争によって解消
されるものではなく、寧ろ連携であり、自治体の創意工夫により、働く場所や人が集まる
場所をどう創っていくかというふうに、どのように地域活性化に取組み、情報発信してい
くかに関わってまいります。この観点から、平成 30 年度の新名神高速道路の町内インタ
ーチェンジの供用開始は大きな意味を持ち、優良農地や自然環境を守りつつ「右肩上がり
の発想」によらない適正規模の開発や土地利用等に関し、地域の皆さんと共に考えるのは、
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まさに今、このタイミングであると考えております。
最後に、『世代間の格差』の問題であります。年金、医療、介護等の受益と負担の格差は、
これからの世代ほど大きくなる一方であります。無論、社会保障制度の再考が必要となっ
てくる訳でありますが、例えば、財政運営面での起債や基金の活用方法により、世代間の
受益と負担の平準化を図るということも検討の余地があるのではないかと考えております。
これら 3 つの格差の問題は、どれも一朝一夕に解決できるものではなく、また、国を挙
げて取り組むべきものであります。そのためには現実を厳しく見つめ直すとともに、例え
ば「右肩上がりの経済成長」などの考えに懐疑的になること、つまり従来の発想を一旦脇
に置いて考えることも肝要であります。
以上、申し述べてまいりました人口減少と超高齢社会の到来や世界規模での経済活動と
いう社会的潮流からの 3 つの格差に対する考え方をもって予算編成に臨み、平成 27 年度
の予算は、基礎自治体レベルでの限界を認識しながらも、現状と現実をしっかりと見極め、
これからも小さな変化の積み重ねを不断に行うことにより、『安全安心で未来を創造する
予算』として編成いたしました。
防災減災
順次ご説明申し上げますと、まず、住民の安全安心を守るため、『防災減災』の取組みと
して、
○ 児童生徒の安全確保と収容避難所としての機能確保のため、小中学校の屋内運動場及び
校舎の非構造部材等について、天井、照明器具等に係る落下防止対策等の調査及び改修
を行う事業
○ 防災拠点となる庁舎や収容避難所に太陽
光発電設備や蓄電池を設置し、災害時にお
ける電源を確保するとともに、自立分散型
のエネルギー供給体制の構築により低炭
素な地域づくりを推進する事業
○ 消防救急無線のデジタル化に向け、活動波
無線及び消防指令センターを四日市市及
び桑名市消防本部とともに整備する事業
などを実施いたします。
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社会的セーフティネットの構築
次に、『社会的セーフティネットの構築』の取組
みとして、
○ 支援が必要である子どもや、子どもの成長に不
安を抱える保護者等に対して相談事業や療育
事業を実施し、乳幼児期から途切れのない支援
を行う事業
○ 要支援家庭に対して育児や家事支援を行い、親
の育児不安を軽減するとともに、地域全体で児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応
が可能となる体制を構築する事業
○ いじめや不登校の問題解決の支援や、家庭、地域、学校等の橋渡しとなるスクール相談
ネットワーカーを配置するとともに、いじめ問題対策調査委員会を設置し、いじめ防止
対策の調査研究等を行う事業
などを実施いたします。
次世代育成
次に、菰野町の未来を創造するため、『次世代育成』の取組みとして、
○ 学習環境の改善を図るため、町内全小学校の
特別支援教室を含む普通教室にエアコン を
設置すべく、その調査設計を行う事業
○ 老朽化した菰野小学校 及び菰野中学校のプ
ールを改修する事業
○ 安全かつ安心してスポーツを楽しめるよう、
大羽根運動公園東野球場の改修のための設
計やサッカー場への避雷針の設置等を行い、
スポーツ環境の充実を図る事業
などを実施いたします。
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産業振興
次に、『地域づくり、産業振興』の取組みとして、
○ 森林資源を活用したエネ ルギーの地域内
循環システムの構築に向け、町内の森林か
ら搬出した間伐材等から製造した木質チ
ップの燃焼実験を行う事業
○ 有害鳥獣による農林作物への被害対策と
して、有害鳥獣の駆除を実施するとともに、
大量捕獲おり や地域ぐるみの電気柵の設
置に対して助成するなど、地域住民の安全
を確保しつつ、有害鳥獣対策を強力に推し
進める事業
○ 農業、農村が有する水源涵養、自然環境保全等の多面的機能が将来にわたって十分に発
揮されるよう、地域活動や営農活動を支援する事業
などを実施いたします。
社会資本整備
次に、『社会資本整備』の取組みとして、
○ 平成 30 年度に供用開始予定の新名神高速道路や国道 477 号バイパス、湯の山大橋の
整備に伴う効果を最大限活用するとともに、周辺への影響も考慮し、道路や水路等の環
境を整備する事業
○ 老朽化した焼却施設の 延命化手
法による基幹的設備の改良や二
酸化炭素排出量の削減を図る、清
掃センター整備事業
○ 災害に備えた防災対策 機能を強
化するため、耐震補強を含めた橋
りょうの長寿命化を図る事業
などを実施いたします。
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予算の概要
以上に基づく予算編成により、平成 27 年度菰野町一般会計の予算規模は、歳入歳出と
もに、122 億 1,000 万円となり、前年度当初予算に対し 8 億 6,600 万円、7.6%の増と
なっております。
町民一人あたりに使われる予算額
議会費
1%
商工費
1%
公債費
4%
農林水産業費
4%
消防費
6%
民生費
36%
土木費
9%
総務費
11%
平成 27 年度
294,295 円
衛生費
14%
教育費
14%
平成 27 年 1 月 1 日人口
41,489 人
歳入についての概要
歳入につきまして、個人町民税では均等割の引上げ及び納税義務者数の増加により、ま
た、法人町民税では企業の収益改善により、前年度当初予算と比較すると増額を見込んで
おります。固定資産税では新増築家屋の増加等により増額を見込み、町たばこ税では販売
本数の減少を見込んだ結果、町税全体としては、前年度に対して 7,600 万円、1.5%増の
51 億 8,770 万円を計上しております。
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譲与税及び交付金では、地方財政計画等に基づき推計し、計上しております。
地方交付税につきまして、普通交付税では、基準財政需要額における公債費及び事業費
補正を見込むとともに、臨時財政対策債振替分の減少を見込んだ結果、前年度に対して 1
億 5,000 万円減の 12 億円を計上し、特別交付税では、交付実績等から前年度と同額の
9,000 万円を計上しております。
国庫支出金では、小学校及び中学校の屋内運動場非構造部材等改修事業に充当する学校
施設環境改善交付金、国の平成 25 年度補正予算に伴う臨時福祉給付金補助金及び子育て
世帯臨時特例給付金補助金等を見込み、国庫支出金全体として前年度に対して 2 億 763
万円、20.1%増の 12 億 4,008 万円を計上しております。
県支出金では、県政だより配布事務費及び自主運行バス補助金の廃止や、緊急雇用創出
事業市町等補助金の終了等がございますが、国民健康保険の保険基盤安定負担金、障害者
介護給付費負担金、介護基盤緊急整備等特別対策事業費補助金、子ども子育て支援システ
ム構築補助金の増加等により、県支出金全体として前年度に対して 1,233 万円、1.8%増
の 6 億 8,274 万円を計上しております。
基金繰入金では、千種小学校及び八風中学校のプール改築事業並びに千種小学校屋内運
動場非構造部材等改修事業のため教育基金繰入金 9,000 万円などの目的基金からの繰入
れを行うほか、不足する財源を補うため財政調整基金繰入金 4 億 4,000 万円を計上して
おります。
町債では、鵜川原幼保園園舎改築事業に充当する民生債、社会資本整備総合交付金事業
に充当する土木債、第 6 次拡張事業のための上水道事業一般会計出資債、消防ポンプ自動
車更新事業に充当する消防債のほか、財源不足に対処するため、臨時財政対策債 6 億円を
計上しております。
歳出についての概要
次に、歳出につきましては、限られた財源の中で事業の選択と集中を徹底し、重点化、
効率化を図っております。
性質別に申し上げますと、義務的経費では、平成 7 年度借入の減税補てん債に係る町債
の償還終了等により公債費が減少しておりますが、消防職員及び保育士の職員増による人
件費の増加並びに障害者自立支援給付費に係る扶助費の増加等により、前年度に対 し
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5,266 万円、1.1%増の 47 億 6,688 万円を計上しております。
投資的経費では、清掃センター整備事業及び再生可能エネルギー等導入事業などにより、
前年度に対し 4 億 679 万円、26.7%増の 19 億 3,289 万円を計上しております。
その他の経費では、マイナンバー制度に係るシステム改修、消防指令センター整備負担
金並びに国民健康保険及び後期高齢者医療特別会計への繰出金等により増加しております。
なお、継続費につきましては、菰野、千種の両小学校及び菰野中学校における校舎の非
構造部材等改修事業並びに小学校エアコン整備事業に関し 2 箇年の継続事業として計上し
ております。
また、債務負担行為につきましては、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行うため
の計画策定に係る支援等業務委託、平成 30 年度の評価替えのための固定資産評価事務委
託、がん検診業務委託を計上しております。
以上、提案説明と致します。
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