亜鉛、ニッケル - 金属資源情報

非鉄金属市況と需給動向
 非鉄金属市況(銅、亜鉛、ニッケル、金・白金)
平成28年3月8日
非鉄金属市況(2016.2/1~2016.3/4)
ベースメタル
2月上旬は、中国経済に対する懸念の緩和や米国利上げ観測後退に伴うドル安地合いを好感し、概ね堅調に推移。同
月中旬は、欧米株安や米イエレン議長発言を受けて世界的な景気減速が意識され下落する場面があったものの、原
油相場の持ち直しやドル安基調が支援材料となって再び上昇傾向に転じた。同月下旬に一時軟化した後は、累積減産
規模の増大や中国人民銀行による追加の金融緩和等を好感して約5か月ぶりの水準まで回復し、足元堅調に推移。
貴金属
2月上旬は、米国利上げ観測の後退等に伴うドル安地合いが支援材料となり、貴金属は概ね堅調に推移。同月中旬か
ら下旬にかけては原油相場の持ち直しやドル高基調が下方圧力となってほぼ横ばいに推移したものの、金は欧州株
安に伴い安全資産としての需要が高まって上昇。 プラチナ・パラジウムは3月初旬の欧米株高等が支援材料となり、
概ね堅調に推移。
米国経済
2月の製造業PMIは51.3。 労働省発表の2月非農業部門雇用者数は前月比+24.2万人(前月:+15.1万人)と市場予想の+19万人を
大きく上回った。失業率は4.9%(前月:4.9%)と引き続き2008年4月以来の低水準を維持した。
中国経済
2月製造業PMIは、国家統計局発表が48.0(前月:49.4)、同HSBC発表2月速報値では48.0(前月:48.4)と引き続き景気縮小傾向。
欧州経済
2月製造業PMIは51.2(前月:52.3)と小幅に上昇。
9.00
鉛
8.00
銅
7.00
金
6.00
5.00
4.00
亜鉛
ニッケル
アルミニウ
ム
3.00
2.00
1.00
Jun-03
Oct-03
Feb-04
Jun-04
Oct-04
Feb-05
Jun-05
Oct-05
Feb-06
Jun-06
Oct-06
Feb-07
Jun-07
Oct-07
Feb-08
Jun-08
Oct-08
Feb-09
Jun-09
Oct-09
Feb-10
Jun-10
Oct-10
Feb-11
Jun-11
Oct-11
Feb-12
Jun-12
Oct-12
Feb-13
Jun-13
Oct-13
Feb-14
Jun-14
Oct-14
Feb-15
Jun-15
Oct-15
Feb-16
0.00
主要非鉄金属価格推移(2003年5月=1)
(JOGMEC作成)
欧米中の製造業購買担当者景況指数(PMI)
1
非鉄金属市況(2016.2/1~2016.3/4)
本報告期
期初
直近
最高値
2016年
(当年)
ニッケル
LME現物
(US$/t)
LME現物
(US$/t)
LME現物
(US$/t)
金
プラチナ
パラジウム
平均
1,615.0
1,839.0
1,839.0
3月4日
1,615.0
2月1日
1,726.7
8,450.0
9,050.0
9,050.0
3月4日
7,710.0
2月11日
8,385.2
1,124.3
1,274.5
1,274.5
3月4日
1,124.3
2月1日
1,205.5
866
959.5
959.5
3月4日
861.5
2月2日/2月3日
923.1
498.5
545.5
545.5
3月4日
488.5
2月26日
507.8
3か月
4,910.0
1,843.0
9,055.0
-
-
-
12か月
24か月
4,885.0
4,880.0
4,6450
4,918.0
4,918.0
3月4日
4,310.5
1月15日
4,555.9
6,309.0
4,702.0
6,448.0
5月12日
4,515.5
11月23日
5,493.6
1,820.0
1,768.0
1,600.0
1,839.0
1,839.0
3月4日
1,453.5
1月12日
1,631.3
2,183.5
1,600.0
2,405.0
5月6日
1,487.0
11月19日
1,927.9
9,270.0
9,370.0
8,515.0
9,050.0
9,050.0
3月4日
7,710.0
2月11日
8,428.7
14,880.0
8,665.0
15,455.0
1月7日
8,160.0
11月23日
11,806.4
-
-
1,077.5
1,274.5
1,274.5
3月4日
1,077.5
1月4日
1,157.1
1,193.6
1,062.3
1,294.1
1月23日
1,053
12月3日
1,159.2
-
-
885.5
959.5
959.5
3月4日
815.5
1月21日
892.2
1,108.0
872.0
1,283.0
1月21日
830
11月30日
1,052.1
-
-
550.0
545.5
545.5
3月4日
467.5
1月12日
504.0
775
547.0
829.0
3月5日
528
12月3日
690.1
期初
直近
最高値
最安値
2015年
(前年)
亜鉛
4,534.0
4,918.0
4,918.0
3月4日
4,474.0
2月11日
4,630.4
最安値
先物
(3月4日)
銅
平均
期初
期末
最高値
最安値
平均
銅市況と需給動向(2016.2/1~2016.3/4)
■LME価格:4,534US$/tでスタートした銅は、2月初旬、中国人民銀行が人民元の対ドル基準値を約1か月ぶりの元高水準に設定した措
置や米国利上げ観測後退によるドル安地合いが支援材料となり堅調に推移。その後は、原油相場の下落や欧米株安が圧迫材料となる
中、米イエレン議長が経済減速リスク懸念を示したことを受け景気減速感が意識され下落、2/11に当該期間最安値の4,474US$/tを付け
た。同中旬は原油相場の持ち直しやドル安基調が支援材料となり堅調に推移、2/22には4,696US$/tまで回復。その後は原油安などにつ
られ一時下落したが、下旬には中国人民銀行による追加金融緩和等を好感し上伸を続け足元4,918US$/t(3/4) 。
■需給動向:LME在庫は12月末以降緩やかに増加したが1月末より減少傾向、足元で18.6万 t(約3日分)。当該期間で5.6万tの減少。
✍ 国際銅研究会(ICSG)による2015年1-11月累計の需給バランスは、 5.1万 tの供給過剰。2015年11月単月は2.7万 tの供給不足となっ
た。また、ICSG2015年秋季大会の予測によると、 2015年は 4.1万 t の供給過剰、2016年は12.7万tの供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:Glencore・ザンビアMopani鉱山、DRコンゴKatanga鉱山(総年間生産量:28万t)18か月間の操業停止(9/7)。Anglo
American、Glencore・チリCollahuasi銅鉱山で約3万tの削減計画を発表(9/29)。カナダ・Huckleberry銅鉱山、2016年8月末までケアア
ンドメンテナンス状態(2/11)。チリ・Andina銅鉱山、精鉱流出事故で輸送を停止(2/26)。
400
6,000
2015年6月
5,834
2015年7月
5,457
2015年8月
5,089
2015年9月
5,208
2015年10月
5,223
2015年11月
4,808
2015年12月
4,629
2016年1月
4,463
2016年2月
4,595
LME在庫
200
4,000
0
COMEX在庫
SHFE在庫
10
2016/1
7
4
10
2015/1
7
4
10
需給バランス
2014/1
7
-400
4
0
2013/1
-200
4
7
2,000
10
6.301
7
2015年5月
600
8,000
4
6,027
2012/1
2015年4月
10
5,917
7
2015年3月
800
10,000
4
5,494
2011/1
2015年
10
6,862
7
2014年
需給バランス /
LME在庫(千t)
1,000
銅地金の需給バランスと価格動向
価格(US$/t)
12,000
4
7,321
2010/1
2013年
10
US$/t
2009/1
銅平均価格
LME価格(Cash settlement)
3
亜鉛市況と需給動向(2016.2/1~2016.3/4)
■LME価格:1,615US$/tでスタートした亜鉛は、2月上旬、中国経済に対する懸念の緩和や米国利上げ観測後退によるドル安を好感して堅
調に推移。同中旬まで1,700US$/t台前半で推移していたところ、在庫増加に伴い緩やかに下落し、2/17当該期間最安値の1,664US$/tを
付けたものの、その後は再びのドル安進行や中国人民銀行の追加金融緩和、米欧株高が支援材料となり堅調に推移し、22日には
1,785US$/tまで急伸。その後一時反落したものの、アジア株高等が好感され3月上旬まで上昇傾向を辿り、足元は2015年10月以来の高値
水準で推移、足元1,839US$/t(3/4)。
■需給動向:LME在庫は9月中旬以降緩やかに減少、2月中旬約4万t増加したのち再び減少傾向となり、足元は46.5万 t(12.4日分)。
✍ 国際鉛亜鉛研究会(ILZSG) による2015年累計の需給バランスは、 12.3万 tの供給過剰。2015年11月単月は2.54万tの供給不足となっ
た。また、ILZSG 2015年秋季大会の予測によると、2015年は 8.8万tの供給過剰、2016年は15.2万tの供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:MMG・豪州Century鉱山資源量枯渇により7月末採掘停止、11月選鉱場停止(年間生産量48万t)。Glencore豪・
Lady Loretta鉱山とペルー・Iscaycruz鉱山の生産停止により年間50万tの削減を発表(10/9)。中国亜鉛生産者10社が価格低迷の状
況を考慮し合計55万tの協調減産発表(11/20)。Nyrstar社、経営改善のため米・Middle Tennessee亜鉛3鉱山の操業停止、同社減産
はこれで計55万t(12/7)。
亜鉛平均価格
US$/t
2014年
2,164
2015年
1,928
2015年3月
2,029
2015年4月
2,202
2015年5月
2,290
2015年6月
2,087
2015年7月
2,002
1500
2015年8月
1,810
2015年9月
1000
1,719
2015年10月
1,728
2015年11月
1,582
2015年12月
1,522
2016年1月
1,512
2016年2月
1,711
需給バランス /
LME在庫(千t)
2200
亜鉛地金の需給バランスと価格動向
価格(US$/t)
3000
2500
1700
2000
1200
700
200
500
LME在庫
SHFE在庫
SRB(中国国家備蓄局)在庫
需給バランス
2016/1
10
7
4
2015/1
10
7
4
2014/1
10
7
4
2013/1
10
7
4
2012/1
10
7
4
2011/1
10
7
4
2010/1
10
7
4
-300
2009/1
0
LME価格(cash settlement)
4
ニッケル市況と需給動向(2016.2/1~2016.3/4)
■LME価格:8,450US$/tでスタートしたニッケルは、2月初旬、原油安に対する懸念が圧迫材料となってほぼ横ばいに推移していたが、中
国の需要減衰に対応するには生産削減が不十分との見方が広がったことや世界経済の減速感の広がり、欧州株安が圧迫材料となり、
2/11に約13年ぶりに8,000US$/tを割り込み7,710US$/tを付けた。同中旬は、原油相場の持ち直しや上海株高を好感し上昇傾向に転じ
2/22に8,695US$/tまで回復。その後は中国需要に対する懸念が下方圧力となる中、米欧株高が相場を下支えしほぼ横ばい推移。3月初
旬には中国人民銀行による追加金融緩和等を好感して堅調に推移し、足元価格は9,050US$/tとなっている(3/4)。
■需給動向:LME在庫は12月に大幅増加した後、緩やかに減少していたところ、1月中旬に再び増加し、足元は43.2万t(92.9日分)。
✍ 国際ニッケル研究会(INSG) による2015年累計の需給バランスは8.07万 tの供給過剰。2015年12月単月は 900tの供給過剰となっ
た。また、INSG 2015年秋季大会予測によると、2015年は 4.9万tの供給過剰、2016年は2.3万tの供給不足。
✍ 主要鉱山操業状況:KGHM社・カナダMc Creedy West鉱山(年産生産量17千t)10/1~操業停止(9/20)。中国主要ニッケル生産者8
社、12月~合計10万tの減産実施の見込み(11/26)。中国フェロニッケル11社、2016年20%減産提議(12/15)。
ニッケル平均価格
US$/t
2014年
16,867
2015年
11,806
2015年3月
13,746
2015年4月
12,783
2015年5月
13,509
2015年6月
12,780
2015年7月
11,386
350
15,000
250
10,000
150
5,000
50
9,898
10,344
9,232
8,310
SHFE在庫
LME価格(Cash settlement)
10
2016/1
7
4
2015/1
10
7
4
10
2014/1
需給バランス
7
4
10
7
4
10
7
4
7
LME在庫
10
(50)
2013/1
8,483
0
4
8,692
2012/1
2016年2月
20,000
2011/1
2016年1月
450
2010/1
2015年12月
25,000
10
2015年11月
550
7
2015年10月
30,000
4
2015年9月
10,342
需給バランス /
LME在庫(千t)
一次ニッケルの需給バランスと価格動向
2009/1
2015年8月
価格
(US$/t)
5
金・プラチナ・パラジウム市況(2016.2/1~2016.3/4)
■金市況:当該期間1,124.3US$/ozでスタートした金は、原油相場の低迷や米国利上げ観測の後退に伴うドル安地合いが支援
材料となって上伸。2月中旬は、原油価格の持ち直しやドル高基調が下方圧力となり、ほぼ横ばいに推移した。同月下旬は原油
価格の軟化や欧州株安を受けてリスク回避姿勢が高まり、2/24には当該期間最高値の1,241.5US$/ozをつけた。その後は緩や
かに進行したドル高が下方圧力となりつつも、G20を控えて模様眺めとなる中ほぼ横ばいに推移し、足元価格は1,274.5US$/oz
(3/4)。
■プラチナ・パラジウム市況: 2月上旬のプラチナ価格は、ドル安の進行を好感して堅調に推移し、2/12に954.5US$/tの値を付
けた。同月中旬は原油相場の持ち直しに伴ってドル安の進行が一服したことで、935-938US$/ozのレンジでほぼ横ばいに推
移。下旬にはドル高の進行を受けて概ね軟調な値動きとなったものの、同月末から3月初旬にかけての欧米株高を好感して再
び上伸し、足元959.5US$/oz(3/4)。2月前半ドル安地合いが支援材料となり堅調に推移していたパラジウムは、その後のドル
高の進行で上昇分がほぼ打ち消されたが、3月はじめに発表された米国2月新車販売台数が15年ぶりの高水準となったことを
好感して大幅上伸。足元545.5US$/oz(3/4)。
金・プラチナ
平均価格
金
US$/oz
プラチナ
US$/oz
パラジウム
US$/oz
2014年
1,244
1,423
734
2015年
1,159
1,052
690
2015年3月
1,177
1,148
808
2015年4月
1,195
1,147
744
2015年5月
1,198
1,146
787
2015年6月
1,182
1,090
728
2015年7月
1,131
1,014
643
2015年8月
1,118
984
595
2015年9月
1,125
967
607
2015年10月
1,157
976
690
2015年11月
1,087
886
576
2015年12月
1,068
860
551
2016年1月
1,097
854
499
2016年2月
1,197
919
505
6