新たな均衡を探り始めた 金融市場 新たな均衡を探り始めた 金融市場

Vol.214
2016
3
新たな均衡を探り始めた
金融市場
○2016年に入って以降続く金融市場の動揺は、一時的なリスク回避姿勢の高まりという
より、金融政策に過度に依存してきた市場環境からの転換を示唆しているのだろう。
○金融市場では、世界経済の先行きへの見方が変化しつつある。米国経済は二極化
し、世界的な景気後退の可能性は高まりつつある。米国が利上げを続けることに金
融市場は懐疑的になっている。
○こうした状況下で導入された日本のマイナス金利は、金融市場に金融政策の限界
を意識させると同時に通貨切り下げ競争への懸念も高めた。
○金融市場環境の本格的な改善には、世界経済全体として潜在成長率を高めること
につながる構造改革が打ち出されることが最も効果的だろう。
図1 日銀の金融政策に対する金融市場の反応
(円/米ドル)
130
円/米ドル(左軸)
TOPIX(右軸)
120
(ポイント)
1,800
14年10月
日銀、QQEを拡大
1,600
13年4月
日銀、量的・質的金融緩和(QQE)
を導入
110
1,400
100
1,200
15年6月
黒田日銀総裁発言
「これ以上の円安はありそうにない」
90
15年12月
日銀、QQEの補完的措置を導入
80
70
12年12月
安倍首相
就任
60
12/01
12/07
14年4月
消費税率
引き上げ(8%)
13年7月
自民党
参院選勝利
13/01
16年1月
日銀、マイナス金利付きQQEを導入
14年12月
自民党
衆院選勝利
13/07
14/01
14/07
15/01
15/07
800
600
15年9月
安倍首相
新三本の矢を発表
14年11月 安倍首相、2度目の
消費税率引き上げ延期を表明
1,000
16/01
16/07
400
(年/月)
(出所) Bloombergデータ、各種報道より野村アセットマネジメント作成
当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて
作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の
見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。
投資環境レポート
1
Vol.214 2016.3
投資の視点
新たな均衡を探り始めた金融市場
●動揺する金融市場
●世界経済に対する見方の変化
2016年に入って以降、金融市場が動揺している。株式
市場は日米欧とも大きく調整し、原油価格の一段の下落
もあって、米国を中心にハイ・イールド債スプレッドも拡大
した。為替市場でも、米国と日本・ユーロ圏の金融政策格
差を背景に2014年後半以降続いた米ドル高、ユーロ・円
安の流れが反転した。
最も大きな金融経済環境の変化は、世界経済の先行き
への見方が変化しつつあることだろう。米国はこれまで堅
調な国内需要に支えられ、「利上げを許容できるほど景気
が強い」と見られていた。しかし、昨年末以降、この景気拡
大が最終局面に入りつつあるとの見方が市場参加者の間
で強まった。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ期待
を背景に進んだ米ドル高が、実体経済に事実上の金融引
き締め効果を及ぼし始めたためだ(図3参照)。米ドル高は
原油安と相まって、輸出や設備投資を抑制したため、製造
業を中心に米国の企業収益は悪化し始めている。一方、
米ドル高と原油安の恩恵を受ける消費は堅調で、サービ
ス業を中心に雇用環境は引き締まっている。米国経済は
悪化する製造業と投資、好調を続けるサービス業と消費
といった形で二極化しているのだ。金融市場は、この歪み
を警戒し始めており、FRBが雇用の好調を背景に利上げ
を続けることに懐疑的になっているのだ。
金融市場の変動が高まった背景としては、中国金融市
場を巡る不透明感や米欧でのクレジットリスクの高まりな
どの要因が指摘され、投資家のリスク回避姿勢が高まっ
たと見る向きもある。しかし、実体経済や金融市場全体の
動きを見ると、一時的なリスク回避姿勢の高まりが主因と
は考えがたい。中国の金融市場を巡る不透明感は完全に
は払しょくされていないものの、人民元相場は1月半ば以
降安定している。また、投資家の警戒感の高まりを示す
VIX指数は過去の市場混乱時に比べてさほど高まってい
ない(図2参照)。
世界景気の拡大が既に相当期間に及び、景気後退の
可能性が高まりつつあることも金融市場の懸念材料だ。
経済協力開発機構(OECD)の発表する景気先行指数
(Composite Leading Indicator : CLI)に基づくと、世界景気
は昨年後半以降後退局面入りしたように見える(図4参
照)。先進国では実際の経済指標で目立った悪化が確認
された訳ではないものの、景気に減速感が見えつつある
ことに金融市場は警戒的にならざるを得ない状況だ。
年初来の金融市場の動揺は、金融経済環境の転換に
よるものとみるべきだろう。2012年から2015年に至るまで、
世界の株式市場は、緩和的な金融環境を背景にバリュエ
ーションの拡大を伴う形で上昇を続けた。2015年以降は、
米国が利上げのタイミングを模索し始めたこともあってこ
の動きが頭打ちとなる中、為替市場では米ドルの独歩高
が生じた。しかし、足元では米国で通貨高を懸念する声が
出始め、世界景気拡大の持続性にも疑問が生じつつある。
金融経済環境が転換しつつある中、金融市場は新たな均
衡点を探り始めたようだ。
図2
●金融政策への期待の剥落
こうした中、1月29日に決定された日銀のマイナス金利
付き量的・質的金融緩和の導入は、結果的に金融市場の
VIX指数の推移
図3 米国の金融環境指数
(ポイント)
90
(ポイント、逆目盛)
-8
80
-6
70
-4
60
6
5
4
-2
50
3
0
40
2
2
30
4
20
10
1
0
98/3 00/3 02/3 04/3 06/3 08/3 10/3 12/3 14/3 (年/月) 緩和
社債スプレッド
家計純資産
実質実効為替レート
FF金利誘導目標値(右軸)
0
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(年)
(%) 引締め
7
貸出基準
実質金利
金融環境指数
(注) 2008年12月以降のFF金利誘導目標値は、レンジの上限値。
(出所) BIS、OECD、CEIC、Datastreamデータより野村アセットマ
ネジメント作成
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて
作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の
見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。
投資環境レポート
2
Vol.214 2016.3
下げ競争の懸念はむしろ円に上昇圧力をかけた形だ。
転換を促すきっかけとなった。発表直後は121円/米ドル
台まで下落した円はその後反転し、2月末までの約1ヵ月
間で112円/米ドル台まで上昇した。日本の国債利回りは、
マイナス金利導入が発表されたことで2月末までに10年ま
での年限でマイナス圏内に低下したものの、同時に米国
債利回りも低下し、結果として日米金利差はあまり変化し
ていない。
●金融市場安定化の条件
足元の金融市場の動揺は、金融政策に過度に依存し
てきた市場環境からの転換を示唆しているのだろう。すな
わち、世界金融危機以降続いた大規模な金融緩和が資
産価格を押し上げ、これが実体経済を下支えするといった
市場環境の持続性に疑念が生じているのだ。日本やユー
ロ圏では、金融緩和の限界が意識され、その実効性にも
疑念が生じている。一方で、米国では労働市場が完全雇
用に近いと見られる中、賃金上昇圧力の高まりに対する
懸念は残るため、FRBが早晩に利上げ終了を宣言するの
も容易ではない。しかし、景気に減速感が見られ始めた中
で、FRBが利上げ継続を余儀なくされれば、米国景気には
一層の下押し圧力がかかる可能性がある。こうした中で
は、米国景気の力強さが再び確認されるなどの形でリスク
が払しょくされない限り、金融市場は不安定な動きを続け
ざるを得ないだろう。
急激な円高には、日本の金融政策に対する金融市場
の期待に変化が生じたことも影響したようだ。これまで黒
田日本銀行総裁は繰り返し量的・質的金融緩和(QQE)に
限界はないとの見方を示してきた。しかし、2015年12月に
日銀がQQEを補完するための諸措置を導入したことも相
まって、マイナス金利導入決定は市場参加者にむしろ金
融緩和の限界を意識させる結果となった(図1参照)。QQE
の積み増しは難しいとの見方だ。マイナス金利導入が日
銀の期待する貸出や投資の増加につながるのかについ
ても懐疑的な見方は多い。むしろ、マイナス金利が金融機
関の収益を圧迫し、結果として金融機関のリスク許容度を
低下させるとの懸念もある。こうした思惑の変化を反映し、
2013年以降恒常的に積みあがっていた投機筋による円の
売り持ち超過のポジションは2016年に入って以降反転し、
円高が進む中で買い持ち超過に転じている(図5参照)。
より長い目で金融市場が安定的に改善するためには、
世界経済全体として潜在成長率を高める政策が打ち出さ
れることが必要だ。世界経済は過去20年以上の間に幾度
かの金融危機を経験したが、その度に金融緩和に依存し
た景気回復が図られてきた。しかし、この結果、金利は低
下を続け、追加的な金融緩和余地は限界に近づきつつあ
る。金融市場環境の本格的な改善には、潜在成長率を高
めることにつながる構造改革が打ち出されることが最も効
果的だろう。
また、ユーロ圏に続いて日本でもマイナス金利が導入さ
れたことは、世界的な通貨切り下げ競争の懸念も生じさせ
た。2015年を通じて米ドルや中国人民元は対外競争力を
測る総合的な指標とされる実質実効為替レートで大きく増
価したが、足元では米国で通貨高懸念が高まりつつあり、
人民元は下落圧力に晒されている。一方、円の実質実効
為替レートは過去20年来の安値水準にあった。通貨切り
図4
OECDのCLIによる世界の景気循環
1.0
水
準
景気減速期
図5 投機筋の日本円ポジションと円/米ドルレート
(千枚)
150
景気拡大期
100
(
10年12月
13年12月
50
14年12月
0
11年12月
、
0.5
長
期
ト 0.0
レ
ン
ド -0.5
比
%
藤田 亜矢子(経済調査部)
-1.0 景気後退期
-2.5
-1.5
15年12月
-50
12年12月
景気回復期
-0.5
0.5
変化 (6ヵ月前比、 %)
1.5
-100
-150
11/01
12/01
13/01
(円/米ドル、逆目盛)
70 円買い持ち
円高
75
日本円ポジション
80
円/米ドルレート(右軸)
85
90
95
100
105
110
115
120
125 円売り持ち
円安
130
14/01
15/01
16/01
(年/月)
(注) 日本円ポジションは、シカゴIMM通貨先物ポジション
(買い枚数-売り枚数)。
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
)
(出所) OECDデータより野村アセットマネジメント作成
当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて
作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の
見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。
投資環境レポート
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Vol.214 2016.3
為替レート
円
ユーロ
2016年2月末の対米ドルの円相場は1米ドル=
112.7円となり、1月末の121.1円に対して7.0%の円
高となった。11日にかけて円高が進み、一時110
円台に至った。その後は概ね111-114円台での推
移となった。
2016年2月末の対米ドルのユーロ相場は、1ユ
ーロ=1.087米ドルとなり、1月末の1.083米ドルに
対して0.4%のユーロ高となった。11日にかけてユ
ーロ高が進み、一時1.13米ドル台後半に至った。
その後、ユーロは下落基調で推移した。なお、対
円では、米ドル安(円高)の影響もあり、1ユーロ=
131.2円から122.5円へ6.6%のユーロ安となった。
金融市場のリスク選好度や米国の金融政策に
関する観測などが円の変動要因となった。1月の
米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況
感指数が市場予想を下回ると、米連邦準備制度
理事会(FRB)の利上げ先送り観測が強まった。12
日に発表された1月の米小売売上高が市場予想
を上回ったことなどを受け、円は下落する局面も
あったものの、下旬には、原油安によるリスク回避
的な動きから円は対米ドルで再び上昇した。月末
に発表された1月の米個人消費支出やコア個人消
費支出価格指数が市場予想を上回ったことから、
やや円安方向に値を戻したものの、その後に発表
された2月の米シカゴ購買部協会景気指数が市場
予想を下回り、円は対米ドルで上昇した。
金融市場のリスク許容度の変化や欧米金融政
策に関する観測がユーロの変動要因となった。上
旬は弱い米国経済指標やイエレンFRB議長発言
などを手掛かりにFRBの利上げ期待が後退し、ユ
ーロは対米ドルで上昇した。その後、米国で堅調
な経済指標が発表された一方、ユーロ圏の低イン
フレ長期化懸念が高まったことで欧州中央銀行
(ECB)の追加金融緩和が意識され、ユーロ安基
調となった。ユーロ圏のインフレ期待が低下傾向
となる中、月末に発表されたユーロ圏の1月のイン
フレ率改定値は速報値から下方修正され、2月の
インフレ率速報値は市場予想よりも低下した。
今後の円相場を見る上で、引き続き日米の金
融政策が重要だ。金融市場の混乱が米国経済に
与える影響が懸念される中、インフレ率は高まり
つつあり、FRBは難しい舵取りを迫られている。一
方、日本の金融政策について、金融市場参加者
の多くは年内の追加緩和を見込んでいる。日米金
融政策格差が拡大するかどうか注意したい。
今後のユーロ相場を見る上では、米欧の景気
や金融政策スタンスが重要だ。また、2015年12月
の総選挙後、新政権の枠組みが決まっていない
スペインで再選挙実施の可能性があり、6月に英
国で欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票が実施さ
れる予定だ。このような政治的な不透明感が為替
相場に与える影響についても留意しておきたい。
円
ユーロ
(円/ユーロ)
150
122
130
1.30
118
120
1.20
114
110
1.10
円高
110
2015/2
2015/5
2015/8
2015/11
100
2015/2
2016/2
(年/月)
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
2015/5
2015/8
2015/11
ユーロ安
140
円安
126
(米ドル/ユーロ)
1.50
対円(左軸)
対米ドル(右軸)
1.40
ユーロ高
(円/米ドル)
130
1.00
2016/2
(年/月)
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて
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投資環境レポート
4
Vol.214 2016.3
ブラジル・レアル
豪ドル
2016年2月末の対米ドルの豪ドル相場は、1豪ド
ル=0.714米ドルとなり、1月末の0.708米ドルに対
して0.8%の豪ドル高となった。豪ドルは、月後半に
かけて上昇基調で推移したものの、月末に下落し、
月間を通じて概ね横ばい圏の動きとなった。なお、
対円では、米ドル安(円高)の影響もあり、1豪ドル
=85.8円から80.5円へ6.2%の豪ドル安となった。
2016年2月末の対米ドルのレアル相場は、1米ド
ル=4.02レアルとなり、1月末の4.00レアルに対し
て0.4%のレアル安となった。レアルは一時1米ドル
=3.85レアルまで上昇する場面もあったものの、そ
の後下落し、月間を通じて概ね横ばい圏での推移
となった。なお、対円では、米ドル安(円高)の影響
もあり、1レアル=30.3円から28.1円へ7.4%のレア
ル安となった。
豪ドル相場は引き続き海外市場の動向に左右
される展開となった。月初の豪ドルは、世界的にリ
スク回避の動きが広がったことで、下落したものの、
その後原油価格の反転を受けて反発するなど、値
動きの荒い展開となった。しかし、その後は、FRB
のイエレン議長の議会証言を受けて、早期の米利
上げ観測が後退したことや、海外市場でリスク回
避の動きが一巡したことを受け、豪ドルは上昇基
調で推移した。
月初は、1月の貿易収支が市場予想を上回る黒
字幅となったことや、一時的な原油相場の反発を
受け、レアルは上昇した。その後は、金融市場でリ
スク回避の動きが強まる局面でレアルが下落に転
じる場面もあったものの、総じて底堅く推移した。
また、24日には、大手格付機関の一つが、ブラジ
ル国債の格付を2段階引き下げ、格付見通しも「ネ
ガティブ」とすると発表したものの、金融市場の反
応は限定的なものにとどまった。
今後の豪ドル相場を見る上では、引き続き米国
の金融政策が注目される。金融市場ではFRBの
早期利上げ観測が後退しているものの、米国の雇
用情勢は堅調であり、利上げを巡る先行き不透明
感は依然強い。豪ドル相場はこうした思惑に左右
されやすい展開となるだろう。また、金融市場は原
油価格急落が資源国や資源関連企業へ与える波
及効果に警戒感を強めており、原油価格の動向も
豪ドル相場を左右するだろう。
今後のレアル相場を見る上での注目点はブラ
ジルの財政緊縮の動向だ。足元では、政府が今
年の基礎的財政収支目標を引き下げる可能性に
言及しており、金融市場は政府の財政規律の喪
失を懸念している。また、今後レアル安によりブラ
ジルの国営石油会社などの財務体質が悪化すれ
ば、ブラジルの財政再建の不透明感に拍車がか
かる可能性もあり、注意を要する。
豪ドル
90
(米ドル/豪ドル)
1.00
対円(左軸)
対米ドル(右軸)
0.90
80
38.0
3.35
70
0.70
34.5
3.65
60
0.60
31.0
3.95
2015/8
2015/11
豪ドル安
2015/5
0.50
2016/2
(年/月)
27.5
2015/2
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
2015/5
2015/8
2015/11
レアル安
0.80
豪ドル高
41.5
(レアル/米ドル)
2.75
対円(左軸)
対米ドル(右軸)
3.05
50
2015/2
(円/レアル)
45.0
レアル高
(円/豪ドル)
100
ブラジル・レアル
4.25
2016/2
(年/月)
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
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Vol.214 2016.3
株式・債券
先進国株式
先進国債券
2016 年 2 月 末 の 日 本 の 10 年 国 債 利 回 り は
-0.06%となり、1月末から0.16%低下した。上旬は、
株安に加え、日銀の長期国債買入れオペによる
良好な需給などを背景に、利回りは史上初のマイ
ナスとなった。その後、黒田日銀総裁と安倍首相
の会談を受け、政策期待が高まったことなどをきっ
かけに、利回りは上昇した。月後半に、日銀当座
預金の一部へのマイナス金利適用が開始される
と利回りは再び低下に転じ、過去最低を更新した。
2016年2月末のTOPIXは、1,297.85ポイントとな
り、1月末から9.4%下落した。前月末の日銀のマ
イナス金利導入の効果は限定的となり、利ざや縮
小による収益悪化懸念の高まりや欧州大手金融
機関の信用不安報道などから金融株を中心に大
幅下落となった。押し目買いの動きも見られたが
原油価格や為替相場に連動する形で振れ幅の大
きな展開は続いた。月後半は米国株の上昇など
から若干反発したが月前半の下落を埋めるには
至らなかった。
2016年2月末の米国の10年国債利回りは1.73%
となり、1月末から0.19%低下した。月前半は、株
安・原油安を背景に安全資産への需要が高まった
ことや、イエレンFRB議長が議会証言において、利
上げが緩やかなペースとなる可能性を改めて示し
たことから、利回りは低下基調で推移した。その後
は、株価や原油価格の動きに連れて、利回りは横
ばい圏で推移した。
2016年2月末のS&P500は、1,932.23ポイントとな
り、1月末から0.4%下落した。上旬は、世界的な景
気減速懸念や、原油価格下落によるエネルギー
関連企業の収益悪化懸念が高まったことなどを背
景に大幅下落となった。中旬以降は、米国で発表
された経済指標が相次いで市場予想を上回ったこ
とや、一部の主要原油輸出国が増産凍結に合意
したことなどが好感され上昇し、月間ではほぼ横
ばいとなった。
2016年2月末のDAXは、9,495.40ポイントとなり、
1月末から3.1%下落した。上旬は、世界の景気減
速懸念や、欧州の一部の自動車メーカーや銀行
の決算が市場予想を下回ったことなどが嫌気され
大幅に下落した。中旬以降は、原油価格の反発
や良好な米国経済指標が好感され上昇したが、
月間では下落となった。
2016 年 2 月 末 の ド イ ツ の 10 年 国 債 利 回 り は
0.11%となり、1月末から0.22%低下した。月前半
は株安・原油安に加えて、銀行の信用リスクが高
まったことなどから、安全資産への需要が高まり、
利回りは低下した。月後半は、2月のユーロ圏製
造業・サービス業購買担当者景気指数(PMI)が約
1年ぶりの低水準まで落ち込むなど景気減速の兆
候が見られる中、ECBの追加緩和への期待が高
まり、利回りはさらに低下した。
株価指数
10年国債利回り
(ポイント)
2,500
(ポイント)
15,000
(%)
1.00
(%)
3.0
2,200
13,000
0.75
2.7
1,900
11,000
0.50
2.4
1,600
9,000
0.25
2.1
7,000
0.00
1,300
1,000
2015/2
TOPIX(左軸)
S&P500(左軸)
DAX(右軸)
2015/5
2015/8
2015/11
5,000
2016/2
(年/月)
-0.25
2015/2
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
日本(左軸)
ドイツ(左軸)
米国(右軸)
2015/5
2015/8
2015/11
1.8
1.5
2016/2
(年/月)
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて
作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の
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投資環境レポート
6
Vol.214 2016.3
データ・グラフ集
新興国株式
新興国債券
(ポイント)
1,200
(ポイント)
750
MSCI新興国(米ドルベース)
JPモルガン新興国債券指数
1,000
700
800
650
600
2014/2
2014/8
2015/2
2015/8
600
2014/2
2016/2
(年/月)
2014/8
リート
(ポイント)
300
2015/2
2015/8
2016/2
(年/月)
コモディティ
(ポイント)
S&P先進国リート指数(左軸)
東証リート指数(右軸)
(米ドル/バレル)
(ポイント)
400
3,000
200
ロイター/ジェフリーズCRB商品価格指数(左軸)
WTI原油スポット価格(右軸)
250
2,500
300
150
200
2,000
200
100
150
1,500
100
50
100
2014/2
0
2014/2
1,000
2014/8
2015/2
2015/8
2016/2
(年/月)
0
2014/8
2015/2
2015/8
2016/2
(年/月)
金融市場の動き
<変化率、%>
■株式
日経平均(日本)
TOPIX(日本)
日経ジャスダック平均(日本)
NYダウ工業株(米国)
S&P500(米国)
NASDAQ(米国)
FTSE100種(英国)
DAX(ドイツ)
ハンセン指数(香港)
上海総合(中国)
S&P/BSE SENSEX(インド)
MSCI新興国(米ドルベース)
1ヵ月
-8.5
-9.4
-5.5
0.3
-0.4
-1.2
0.2
-3.1
-2.9
-1.8
-7.5
-0.3
3ヵ月
-18.8
-17.9
-12.4
-6.8
-7.1
-10.8
-4.1
-16.6
-13.1
-22.0
-12.0
-9.1
6ヵ月
-15.2
-15.6
-9.2
-0.1
-2.0
-4.6
-2.4
-7.4
-11.8
-16.2
-12.5
-9.6
<変化率、%>
1年
-14.7
-14.8
-3.6
-8.9
-8.2
-8.2
-12.2
-16.7
-23.0
-18.8
-21.7
-25.2
■為替
円/米ドル
円/ユーロ
米ドル/ユーロ
円/英ポンド
円/豪ドル
円/カナダ・ドル
円/ブラジル・レアル
円/トルコ・リラ
円/南アフリカ・ランド
1ヵ月
-7.0
-6.6
0.4
-9.1
-6.2
-4.0
-7.4
-7.3
-6.9
3ヵ月
-8.5
-5.8
2.9
-15.4
-9.5
-9.7
-11.8
-10.1
-16.7
6ヵ月
-7.0
-9.9
-3.0
-15.7
-6.7
-9.8
-16.2
-8.6
-22.2
1年
-5.8
-8.5
-2.9
-15.1
-13.8
-12.9
-33.4
-20.3
-30.8
(注) マイナスは円高方向に動いたことを示す
(米ドル/ユーロの場合は米ドル高)
<変化率、%>
<変化率、%>
■商品・リート
1ヵ月 3ヵ月 6ヵ月 1年
ロイター/ジェフリーズCRB商品価格指数
-2.1 -10.6 -19.2 -27.2
WTI原油スポット価格
0.4 -19.0 -31.4 -32.2
東証リート指数
5.2
6.9 14.6 -1.7
S&P先進国リート指数
0.6 -2.1
3.3 -8.4
■債券
米国ハイイールド債券指数
JPモルガン新興国債券指数
1ヵ月
0.0
1.8
3ヵ月
-4.1
0.1
6ヵ月
-6.1
1.7
■債券利回り
日本10年国債
米国10年国債
ドイツ10年国債
1月末 2月末 前月差
0.10 -0.06 -0.16
1.92
1.73 -0.19
0.33
0.11 -0.22
1年
-8.8
1.2
<%>
記載されている市場データは野村アセットマネジメントのホームページでご覧になれます(一部掲載されていない場合があります)。
(注) 変化率は2016年2月末を基準として算出している。
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて
作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。ここに示された意見などは、当資料作成日現在の当社調査部の
見解であり、事前の連絡無しに変更される事もあります。投資に関する決定は、お客様御自身の判断でなさるようにお願いいたします。
投資環境レポート
7
Vol.214 2016.3
経済カレンダー
SUN
3/
13
MON
14
(日)1月機械受注
20
2016年3月13日~2016年4月16日
21
TUE
WED
15
16
(日)金融政策発表
(米)2月生産者物価指数
28
(米)2月個人消費支出
23
3
4
(米)2月製造業受注
10
11
24
30
5
4/
7
(中)3
(日)2月機械受注
月マネ (中)3月消費者物価指数
ーサプ (中)3月生産者物価指数
ライ
(4/10~
15)
1
2
8
(米)2月貿易収支
(独)2月鉱工業生産指数
(米)3月ISM非製造業景況
感指数
(豪)金融政策発表
13
26
(日)2月消費者物価指数
(米)10-12月期GDP(確報
値)
(日)2月新設住宅着工戸数 (日)3月調査日銀短観
(ユーロ圏)3月消費者物
(米)3月雇用統計
価指数
(米)3月ISM製造業景況感
(トルコ)10-12月期GDP
指数
(ユーロ圏)2月失業率
(中)3月製造業PMI(購買
担当者景気指数)
(ブラジル)3月貿易収支
6
12
19
(米)3月ミシガン大学消費
者信頼感指数
(メキシコ)金融政策発表
25
31
(日)2月鉱工業生産指数
(米)3月ADP雇用統計
SAT
18
(日)2月貿易収支
(米)10-12月期経常収支
(米)2月景気先行指数
(英)金融政策発表
(南ア)金融政策発表
(米)2月新築住宅販売件数 (米)2月耐久財受注
(ブラジル)2月経常収支
(トルコ)金融政策発表
29
(日)2月失業率
(日)2月有効求人倍率
(日)2月家計調査
(米)1月S&Pケース・シラ
ー住宅価格指数
(米)3月コンファレンスボ
ード消費者信頼感指
数
FRI
17
(米)金融政策発表
(米)2月住宅着工件数
(米)2月消費者物価指数
(米)2月鉱工業生産指数
22
(米)2月中古住宅販売件数 (独)3月Ifo景況感指数
(独)3月ZEW景況感指数
27
THU
9
(日)2月経常収支
(日)3月景気ウォッチャー
調査
(ブラジル)3月消費者物価
指数(IPCA)
14
15
(日)3月マネーストック
(米)3月消費者物価指数
(日)3月国内企業物価指数 (英)金融政策発表
(米)3月生産者物価指数
(中)3月貿易収支
16
(米)3月鉱工業生産指数
(米)4月ミシガン大学消費
者信頼感指数
(中)1-3月期GDP
(出所) Bloombergデータより野村アセットマネジメント作成
※経済カレンダーは作成時点で利用可能な最新の情報を用いておりますが、経済指標等の発表日は変更される可能性があります。
日本・米国・欧州経済指標
<年間>
2013年 2014年 2015年
日
本
米
国
欧
州
日銀短観(大企業製造業)(ポイント)
実質GDP成長率(前期比年率、%)
消費者物価指数(前年同月比、%)
完全失業率(%)
実質GDP成長率(前期比年率、%)
消費者物価指数(前年同月比、%)
失業率(%)
実質GDP成長率(前期比、%)
消費者物価指数(前年同月比、%)
失業率(%)
16
1.4
0.4
3.7
1.5
1.5
6.7
-0.3
1.4
11.9
12
0.0
2.7
3.4
2.4
1.6
5.6
0.9
0.4
11.4
12
0.4
0.8
3.3
2.4
0.1
5.0
-
0.0
10.4
<月次>
3月
4月
5月
6月
2015年
7月
8月
12
4.2
2.3
3.4
0.6
-0.1
5.5
0.5
-0.1
11.2
-
-
0.6
3.4
-
-0.2
5.4
-
0.0
11.1
-
-
0.5
3.3
-
0.0
5.5
-
0.3
11.0
15
-1.4
0.4
3.4
3.9
0.1
5.3
0.4
0.2
11.0
-
-
0.2
3.3
-
0.2
5.3
-
0.2
10.8
-
-
0.2
3.4
-
0.2
5.1
-
0.1
10.7
9月
10月
11月
12月
2016年
1月
2月
12
1.3
0.0
3.4
2.0
0.0
5.1
0.3
-0.1
10.6
-
-
0.3
3.2
-
0.2
5.0
-
0.1
10.6
-
-
0.3
3.3
-
0.5
5.0
-
0.1
10.5
12
-1.4
0.2
3.3
1.0
0.7
5.0
0.3
0.2
10.4
-
-
0.0
3.2
-
1.4
4.9
-
0.3
10.3
-
-
-
-
-
-
-
-
-0.2
-
(注) 欧州はユーロ圏。年間の値について、消費者物価指数は平均値、日銀短観、失業率は期末値。月次の値について、日銀短観、GDPは四半期。
(出所) 日本銀行等、当局データより野村アセットマネジメント作成
※投資環境レポートでは作成時点で利用可能な最新の経済指標を用いておりますが、経済指標等は発表後に訂正や改定が行われることがあります。
商 号:野村アセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第373号
加入協会:一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会
www.nomura-am.co.jp/
当資料は情報の提供を目的としており、当資料による何らかの行動を勧誘するものではありません。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて
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投資環境レポート
8
Vol.214 2016.3