2016年03月7日報道機関提供資料(PDF:230KB)

資料提供
平成28年3月7日(月)
保健福祉部 保健予防課健康危機管理対策室 担当:主査 園部 広由喜
結核集団感染事例の発生について
このことについて,県立中央病院に間質性肺炎で入院していた患者を初発患者として,その接
触者から新たに結核患者5人と結核感染者6人が確認され,結核の集団感染と判断しましたので
下記のとおり情報提供します。
なお,今回感染を受けた結核患者5人については,結核菌を排菌しておらず他者へ感染させる
状況にはないことが確認されております。
記
1 経過
(1)間質性肺炎で入院していた患者1人が,結核(菌検査塗抹陽性で他に感染させる恐れがあ
る)に罹患した旨の結核発生届が平成27年11月27日に県立中央病院から水戸保健所に
提出されました(初発患者)。
(2)水戸保健所及び県立中央病院では,初発患者の接触者である家族並びに濃厚接触者である
医療従事者に対して,平成27年12月と平成28年2月に接触者健康診断を実施しました。
(3)この健康診断の結果,家族から結核患者1人(A患者),感染者2人,が確認されました。
また,医療従事者から結核患者4人(B~E患者),感染者4人確認され,いずれも治療を
順次開始しています。
(4)水戸保健所では,本日,開催した水戸保健所結核集団感染対策委員会において,専門家を
交えて検討した結果,今回の事例が集団感染であることを確認しました。
(5)水戸保健所では,引き続き県立中央病院等の協力を得て,健康診断の対象者を拡大し,適
切な対応をとってまいります。
2 結核患者等の発生状況等
【 結核患者 6名 】
結核患者
発生届日
結核菌検査結果
現在の状況
備 考
初発:80歳代 女
H27.11.27
塗抹陽性(排菌有り)
死亡(間質性肺炎)
初発患者
H28.3.3
塗抹陰性(排菌無し)
通院治療中 (症状なし)
X線検査で発病発見
H28.3.2
塗抹陰性(排菌無し)
通院治療中 (症状なし)
X線検査で発病発見
H28.3.4
塗抹陰性(排菌無し)
通院治療中 (症状なし)
X線検査で発病発見
H28.3.4
塗抹陰性(排菌無し)
通院治療中 (症状なし)
X線検査で発病発見
H28.3.4
塗抹陰性(排菌無し)
通院治療中 (症状なし)
X線検査で発病発見
A:50歳代
(患者家族)
男
B:30歳代
(看護師)
女
C:20歳代
(看護師)
女
D:30歳代
(看護師)
女
E:40歳代
(看護師)
女
【 結核感染者 6名 】
性 別
男:1人 , 女:5人
年 代
20歳代: 2人 30歳代:2人
50歳代: 2人
3 保健所及び病院の対応
これまで下表のとおり健康診断を行ってきましたが,集団感染が確認されたことから,今後,
病院等における接触者の範囲を拡げ,さらなる健康診断を実施する予定です。
○接触者健康診断結果
対象区分
実施時期
対象者
H27.12
~H28.3
H28.2
~H28.3
患者家族
医療従事者
(優先接触者)
合
(単位:人)
計
結
果
患者
感染者
4
1
2
0
1
0
18
4
4
0
10
0
22
5
6
0
11
0
検査中
異常なし
未受診
【 参 考 】
○ 結核集団感染の定義
同一の感染源が,2家族以上にまたがり,20人以上に結核を感染させた場合をいう。
なお,発病者1人は6人が感染したものとして感染者数を計算する。
計算にあたっては,初発の患者を含めない。
今回の事例の計算式
患者5人×6 + 結核感染者6人 = 36人
【結核患者】
結核に感染後,X線画像で病変が確認,たんの検査で結核菌が検出されるなど,発病したことが確
認できた者を結核患者という。なお,結核患者でも,X線画像のみで排菌していな患者は,他の者に
結核を感染させることはない。
【結核感染者】
結核菌に感染しているが,X線検査等では明らかな発病は確認されない状況であり,将来発病の危険
性が高い者。結核菌への感染の有無は,免疫学的方法(IGRA検査等)により確認を行う。発病を予防する
ための治療の対象となり,抗結核薬のINH(イソニコチン酸ヒドラジド)の服用を行う。なお,他の者
に結核を感染させることはない。
※IGRA検査:IGRA検査とは,血液検査で感染の有無を判別する検査法。
県民の皆様へ
(1)2週間以上せきが続いたら早めに受診しましょう
結核の初期症状は,かぜとよく似ています。2週間以上,咳や痰・発熱などの
症状が長引く場合は,早めに医療機関を受診しましょう。
(2)定期的に胸部X線検査を受けましょう
市町村で行っている住民健診や職場等で健康診断の対象者の方はすすんで健康
診断を受け,早期発見に努めましょう。
(3)乳児のBCG接種は必ず受けましょう
感染した場合の重症化を防ぐため,乳児は必ず生後1歳までに1回のBCG
接種を受けましょう。
【 参考資料 】
1 本県における結核集団の発生状況(H17年~H27年)
件数
発生年
発生場所
老人保健施設
H19
2
事業所
事業所
飲食店(居酒屋)
H20
4
飲食店
飲食店
H22
1
病院
病院
H23
2
事業所
事業所
H24
2
病院(精神)
H27
1
老人保健施設
(人)
患者
2
3
2
2
3
3
2
2
1
2
5
4
結核感染者
10
14
14
18
6
4
18
12
30
17
15
7
※なお,H17,H18,H21,H25,H26は集団感染事例がありませんでした。
2 全国における結核集団感染の発生状況(H17年~H26年)
(件)
家族・ 社会福祉
大 学 中学校 小学校 その他
年
件数 事業所
医療機関
塾
友人
施 設
専門学校 高 校 幼稚園 (不明を含む)
H17
37
13
6
2
11
2
1
-
-
8
H18
38
16
9
4
4
2
4
2
-
10
H19
42
20
10
2
5
-
-
1
1
12
H20
48
23
12
3
10
1
-
2
-
7
H21
31
13
8
3
4
-
2
3
-
7
H22
39
18
7
6
9
1
-
1
-
5
H23
69
25
16
5
19
3
3
3
-
11
H24
53
30
24
6
10
-
3
1
-
4
H25
45
21
21
5
10
4
4
1
1
2
H26
29
18
11
1
9
-
1
1
-
5
※ 集団発生の場所が1件で2か所以上の場合があり,発生場所の合計と件数は一致しない。
3 結核の発生状況(H21年~H26年)
区分
H21
新登録患者数
本県
446
(人) 全国
24,170
年末時登録患者数 本県
1,091
(人) 全国
59,573
全結核罹患率
本県
15.1
(人口10万人対)
全国
19.0
結核死亡者数
本県
33
(人) 全国
2,159
H22
410
23,261
972
55,573
13.8
18.2
46
2,129
H23
431
22,681
933
55,196
14.6
17.7
49
2,166
H24
401
21,282
929
52,203
13.6
16.7
45
2,110
H25
382
20,495
944
49,814
13.0
16.1
47
2,087
H26
387
19,615
830
47,845
13.3
15.4
47
2,100