結核集団感染事例の発生について

資料提供
平成28年10月21日(金) 午後16時30分
保健福祉部 保健予防課健康危機管理対策室 担当:室長補佐 深谷 均
保健福祉部 厚生総務課 担当:首席医療指導監 吉澤 良知
結核集団感染事例の発生について
このことについて,医療法人滝田会丸山荘病院(石岡市柿岡3787:院長 滝田 泰彦)におい
て結核患者3人と潜在性結核感染者が18人確認され,土浦保健所では結核の集団感染と判断し
ましたので下記のとおり情報提供します。
なお,結核患者3人のうち1人は発生届時には結核菌を排出しており,結核病床を有する医療
機関に入院となりましたが,治療は順調に経過しており,残りの2名は結核菌を排出しておらず
通院治療中となっています。
記
1 経過
(1)丸山荘病院Ⅱ病棟の入院患者1人が,結核に罹患した(結核菌を排出しており他に感染さ
せる恐れがある)旨の結核発生届が平成28年8月8日に医療機関から土浦保健所に提出さ
れました(患者A)。
(2)土浦保健所では,患者Aの接触者である同病棟の医療従事者,及び入院患者に対して,平
成28年8月~10月に接触者健康診断を実施しました。
(3)その結果,肺結核患者が入院患者から2人(患者B,C)確認され現在通院治療中です。
また,潜在性結核感染者が医療従事者から1人,入院患者から17人確認され,発病を予防
するための治療を開始しております。
(4)接触者健康診断の結果を受け,土浦保健所では,10月21日に集団感染対策委員会を開
催し,検討の結果,今回の事例が集団感染であると判断しました。
(5)土浦保健所では,対策委員会の結果を受け,接触者健診の対象者を拡大するとともに,今
回の接触者健康診断において,異常がなかった方についても,丸山荘病院と協力して,経過
観察していくなど,適切な対応をすることにより,感染拡大防止に努めます。
2 結核患者等の発生状況
【 結核患者 3人】
結核患者
A:50歳代
(初発患者)
男
B:80歳代
(入院患者)
男
C:70歳代
(入院患者)
男
結核菌検査結果
現在の状況
備 考
H28.8.8
塗抹陽性(排菌有り)
結核病床入院治療中
症状有り医療機関で発見
H28.9.20
塗抹陰性(排菌無し)
通院治療中
X線検査で発見
H28.9.23
塗抹陰性(排菌無し)
通院治療中
X線検査で発見
【 潜在性結核感染者
発生届日
人 数
年 代
18 人
18人 】
( 男:12 人 ,女:6人 )
30歳代1人,50歳代1人,60歳代4人,70歳代8人, 80歳代4人
3 保健所の対応
○接触者健康診断の実施結果
(単位:人)
検査結果
対象区分
実施時期
対象者
医療従事者
H.28.8~
H28.9
同病棟(Ⅱ)
入院患者
H.28.8
~H28.10
合
計
結核患者
潜在性
結核感染者
異常なし
未受診者
26
0
1
25
0
59
2
17
40
0
2
18
65
0
85
【 参 考 】
○結核集団感染の定義(厚生労働省)
同一の感染源が,2家族以上にまたがり,20人以上に結核を感染させた場合をいう。
なお,発病者1人は6人が感染したものとして感染者数を計算する。
計算にあたっては,初発の患者を含めない。
今回の事例の計算式
患者 2人×6 + 潜在性結核感染者 18人 = 30人
【結核患者】
結核に感染後,X線画像で病変が確認されるなど,発病したことが確認できた者を結核患者という。
なお,結核発病者でも結核菌を排菌していない患者は,他に結核を感染させることはない。
【潜在性結核感染者】
結核菌に感染しているが,X線検査等では明らかな発病は確認されない状況であり,将来発病の危険
性が高い者。発病を予防するための治療の対象となり,抗結核薬のINH(イソニコチン酸ヒドラジド)
の服用を行う。なお,他の者に結核を感染させることはない。
【お願い】
今回の情報提供は,県民への結核に関する啓発及び医療機関等における再発防止を促すために行うものであ
ることから,報道にあたっては,患者等のプライバシー保護にご配慮をお願いします。
県民の皆様へ
(1)2週間以上せきが続いたら早めに受診しましょう
結核の初期症状は,かぜとよく似ています。2週間以上,咳や痰・発熱などの
症状が長引く場合は,早めに医療機関を受診しましょう。
(2)定期的に胸部X線検査を受けましょう
市町村で行っている住民健診や職場等で健康診断の対象者の方は,すすんで健康
診断を受け,早期発見に努めましょう。
【 参考資料 】
1 本県における結核集団の発生状況 H17年~H28年(本事例の前まで)
(人)
件数
発生年
発生場所
結核発病者
潜在性感染者
老人保健施設
2
10
H19
2
事業所
3
14
事業所
2
14
飲食店
2
18
H20
4
飲食店
3
6
飲食店
3
4
H22
1
病院
2
18
病院
2
12
H23
2
事業所
1
30
事業所
2
17
H24
2
病院
5
15
H27
1
老人保健施設
4
7
1
病院その他
12
18
H28
1
病院
3
13
※なお,H17,H18,H21,H25,H26は集団感染事例がありませんでした。
2 全国における結核集団感染の発生状況(H17年~H26年)
(件)
家族・ 社会福祉
大 学 中学校 小学校 その他
年
件数 事業所
医療機関
塾
友人
施 設
専 門 学 校 高 校 幼稚園 (不明を含む)
H17
37
13
6
2
11
2
1
-
-
8
H18
38
16
9
4
4
2
4
2
-
10
H19
42
20
10
2
5
-
-
1
1
12
H20
48
23
12
3
10
1
-
2
-
7
H21
31
13
8
3
4
-
2
3
-
7
H22
39
18
7
6
9
1
-
1
-
5
H23
69
25
16
5
19
3
3
3
-
11
H24
53
30
24
6
10
-
3
1
-
4
H25
45
21
21
5
10
4
4
1
1
2
H26
29
18
11
1
9
-
1
1
-
5
※ 集団発生の場所が1件で2か所以上の場合があり,発生場所の合計と件数は一致しない。
3 結核の発生状況(H22年~H27年)
区分
H22
新登録患者数
本県
410
(人) 全国
23,261
年末時登録患者数 本県
972
(人) 全国
55,573
全結核罹患率
本県
13.8
(人口10万人対)
全国
18.2
結核死亡者数
本県
46
(人) 全国
2,129
H23
431
22,681
933
55,196
14.6
17.7
49
2,166
H24
401
21,282
929
52,203
13.6
16.7
45
2,110
H25
382
20,495
944
49,814
13.0
16.1
47
2,087
H26
387
19,615
830
47,845
13.3
15.4
47
2,100
H27
345
18,280
789
44,888
11.8
14.4
45
1,955