2016年02月15日 教区報第66号

九州教区報 第66号 2016年2月15日
日本福音ルーテル教会 九州教区
巻頭言
日本福音ルーテル教会
「緊急でなく重要なことは何か」
九州教区
九州教区報
発行所 日本福音ルーテル九州教区事務所
〒812-0028 福岡市博多区須崎町 3-9
℡092-281-4204・Fax092-262-6373
E-Mail [email protected]
HP http://www.jelc-kyushyu.org
教育部長
立野泰博
発行人
編集責任者
教区長 小泉 基
書 記 岩切 雄太
教会の宣教と成長とは何か。そんなことを考えていたときがあります。そこで成長している
会社や企業などをテーマにしているセミナーに参加しました。もう20年前の事です。講師の
話を聞くたびに、このままでは教会の将来はないなと思いました。教会は成長しないでよい、
いまのままでよいのであれば何も問題はありません。しかし、そう思っている牧師・信徒が多
いのであれば教会の未来はどうなるんだろうと考え込んでしまったのです。
話の中で「起こっている未来」という言葉が印象に残っています。10年後の教会の姿はす
でにいま起こっているというのです。例えば大江教会の今は、10年後の今でもあります。信
徒の高齢化、教会財政の危機、礼拝出席の低迷、何も動きがない教会ならば、10年後も同
じ。しかももっと悪くなっている。もうすでに10年後の未来は見えているというのです。そういう
観点で見ていくならば、教区の中で成長する教会はあるか。成長している教会はどこかの時
点で何らかの変革している教会です。10年後の自分の教会を今に見ることができます。いか
がです?
大江教会はある視点をもって宣教・組織を考えています。一つは「変革」です。いままでに
ない教会の姿を模索しています。これは信徒も感じておられるでしょう。もう一つは「緊急で
なく重要なこと」を中心に置くことです。それは何でしょうか。私たち自身を考えると「緊急で
かつ重要なこと」をまずしています。いわゆる、電話の応答、メールの返事、期限付きの約束、
目の前の行事準備などなど。それも大切なことですが、教会にとっては毎日の行事消化にし
かなりません。
しかし「緊急でなく重要なこと」は将来の目標をもってやることです。いわゆる教会の使命
(ミッション)を考え行う事です。緊急な事ばかりに振り回されずに、教会にとって本当に重要
なことは何かをまず考えるのです。それは教区教育部にもあてはまります。Teensの育成など
は緊急のことではなく重要なことです。教会の未来はそこにあるからです。
「礼拝堂の整備、集会室のカフェ化、宣教体制の見直しは今やることですか」「他にいまや
る緊急なことはないのですか」と思われるでしょう。もちろんあります。しかし、10年後のルー
テル教会を見据えて今やることがあるのです。
教会にとって「緊急でなく重要なこと」は何ですか。10年後の教会の姿はすでにいまの教
会に見ることができます。
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九州教区報 第66号 2016年2月15日
日本福音ルーテル教会 九州教区
宣教懇談会
歩み出した宣教懇談会
伝道部長 角本浩
今期より伝道部で始めた新しい取り組み。その名も宣教懇談会。各教会の歩みを振り返
り、現状とこれからの展望や課題を牧師、役員の方々と話し合うプログラムです。伝道部員
の竹内兄は「おじゃました私の方がいちばんいい勉強ができました」とおっしゃいます。私も
同感です。伝道部員の特権とすら思えます。
教会のたどってきた歩みには、それぞれの出来事や思いがあります。わたし自身もそうで
すが、実は、自分の教会の歴史について、牧師も十分把握していないことがあります。宣教
懇談会を開催するにあたって、ご準備くださる中で当該教会の牧師先生、そして信徒の
方々も先達の方々の思いや祈りを改めて学ばれることもあります。
箱崎教会から始まって、合志教会、鹿児島教会、二日市教会と続きました。今年は、牧
師が常駐していない教会に行って、そういった教会の信徒の皆さんのご努力や、これから
の展望などをご一緒に考えて行きたいと願っています。でも、牧師のいらっしゃる教会でも
「うちの教会に来て!」とご遠慮なくお申し出ください。立候補のあった教会こそ最優先とし
たいと思っていますから。
宣教懇談会報告 合志・荒尾教会
木下理
2013年から毎年8月に、合志教会、荒尾教会、愛泉保育園、清泉保育園、シオン園、
シオン園保育所が合同でリトリートを行っています。
リトリート三回目となる2015年は、西南女学院短大の財津たか子先生の主題講演「キリ
ストにつながる喜び」をとおして、み言葉を学びました。さらに、各園から「受け身ではなく、
目的をもって参加したい」という提案があり、グループ製作に取り組み、出来た作品の発表
会を行いました。作品は、それぞれの保育現場で活用されています。参加された方からは、
「雰囲気が良かった。参加してよかった」という声が多く聞かれました。意義ある内容とする
ために、リトリートの実施までに四回の実行委員会行いました。各委員が熱心に話し合った
成果でもあります。
合志教会と荒尾教会は、共に二つの施設を有しており、施設をとおして地域の方と交わ
る機会の多い教会です。これからも二つの教会と四つの施設が互いに助け合い、祈り合い
ながら、共に成長したいと思います。
助言をいただいた角本先生、池谷先生に心より感謝いたします。
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九州教区報 第66号 2016年2月15日
日本福音ルーテル教会 九州教区
各報告
九州セミナリオ
報告
野村陽一
九州セミナリオでは、この3年間、ルターと宗教改革にテーマを絞り開催してきました。
理由が2つあります。セミナリオ委員会の信徒委員から、ルーテル教会員でありながらルタ
ーについてしっかり学んだ経験がないとの意見が出されたことと、2017年宗教改革500年を
視野に入れてのことによるものです。最初に、徳善義和先生により『マルティン・ルター』(岩
波新書)をテキストに総括的にルターの生涯と信仰を学び、翌年には高井保雄先生により
『エンキリディオン小教理問答』を学びました。そして2015年は11月14日(熊本教会)と15日
(箱崎教会)に、江藤直純先生によりメランヒトン『アウ
グスブルク信仰告白』を学びました。参加者は計74
名でした。当日は、出版社から届いた出来立てほや
ほやのテキストを手に取り、アウグスブルク信仰告白
の成立過程や時代背景、告白の概要を学びました。
2017年はルター『キリスト者の自由』を学ぶことにして
います。
熊本地区宗教改革記念合同礼拝
報告
立野泰博
熊本地区宣教会議主催「宗教改革記念合同礼拝」が10月25日(日)520名が集い、九
州学院ブラウンチャペルで行われました。地区宣教会議の担当は大江教会で、熊本地区
らしく、教会・学校・施設のつながりをフル活用した「ルーテルグループ大集合」という礼拝
を目指しました。
礼拝を中心に企画され、改訂新式文を用いることに
しました。音楽の部分が完成していないので、教会讃
美歌、讃美歌21にあるキリエ・グロリア他を用いました。
この部分を地区合同聖歌隊が組織され、練習を重ね
て本番を迎えました。素晴らしい讃美でした。それに
加え、九州学院吹奏楽部、放送部、敬愛会、ルーテル
学院ハンドベル、弦楽四重奏、各学校のボランティア
部の賜物も生かすことができました。
何よりもブラウンチャペルに集い、洗礼・聖餐式で地
区が一つになりました。チャペルでの洗礼式は何年ぶ
りでしょうか。恵まれた宗教改革合同礼拝でした。
2017年教区合同礼拝が楽しみです。
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九州教区報 第66号 2016年2月15日
日本福音ルーテル教会 九州教区
田主丸教会のクリスマス
牧師
宮川幸祐
田主丸教会では、毎年12月25日にクリスマス礼拝・祝会を行なっています。筑後地区の
他教会や施設にも呼び掛け、大勢の方が集まります。普段の礼拝では一人一つ「悠々」と
使っているベンチも、この日はたくさんの方で「ギュウギュウ」。まずは礼拝で主の誕生の喜
びを分かち合い、その後には愛餐会。クリスマスですが、メニューは和食ばかり。以前洋食
に挑戦してみたところ反応が今ひとつだったそうで、「田主丸はやっぱり和食!」と、今年も、
ご飯、煮物、漬け物など、教会員が腕をふるっていました。食後の楽しい交わりの中では、
田主丸教会主催のビンゴ大会の他に、参加教
会・施設の方の絵本・ゲーム・歌など、様々な
出し物が行なわれました。霊的な恵み、日ごと
の糧、交わりによる喜び……教会に与えられた
神様からの贈り物を改めて豊かに感じるひとと
きでした。
奈多愛育園のクリスマス
園長
浜砂
志津子
1951(昭和26)年創立の奈多愛育園は、今年64回目のクリスマス会を迎えました。
奈多愛育園では、12月にクリスマス会を3回行います。1回目は、リハーサルを兼ねて、
祖父母の方々を招きます。2部構成で1部は0・1・2歳児、2部は3・4・5歳児の生活発表会と
なっています。歌やお遊戯、ミュージカル等、各年齢に合ったものを披露します。今年も80
名を超える祖父母の方々の参加がありました。2回目は、一週間後の土曜日、保護者の
方々を招きます。子ども一人にセブンポケットという時代、毎年会場はいっぱいになります。
今年は300名余りの方が来られました。3回目は、25日の園内クリスマス会です。各クラス燭
火礼拝後、年長児(光組)の降誕劇「イエスさま おめでとう!」を全園児、職員で観劇し、イ
エスさまの誕生をお祝いします。3時のおやつの≪クリスマスケーキ≫も楽しみの一つです。
64年の歴史をもつ光組の降誕劇には、見に来られる祖父母の方々の中にも、保護者の
方々の中にも卒園生、兄姉が卒園生という方がたくさんおられます。それぞれに特別な思
いがあり、配役(子ども、孫)を決める時からご家族の思いが込められているように感じます。
「私は村の人の役をして卵を持って行った。落としたら割れると思って緊張した~」「私はラ
クダの役だった。今はラクダ役はいないんだね」「昔より衣装が豪華になったね」等々、遠く
懐かしむ声や子どもたちの演技に感嘆の声があちこちから聞かれました。子どもたちからも
「お母さんが天使だったので私も絶対天使役がしたい」「お父さんと同じ役がいい」との声が
あり、伝統ある降誕劇が幼い子どもたちの中にしっかりと受け継がれていくように感じます。
今年は、箱崎教会の和田牧師、
博多教会の池谷牧師と二人のチ
ャプレンに恵まれ、週一度の礼拝、
毎月一回の誕生会と見守ってい
ただいています。今年のクリスマ
ス会も両牧師に、祖父母、保護者
そして子どもたちにクリスマスメッ
セージをいただきました。恵み溢
れるクリスマスを迎えることが出来
たことを感謝いたします。
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九州教区報 第66号 2016年2月15日
日本福音ルーテル教会 九州教区
連載 教会物語
宮崎教会物語
秋山
仁牧師
宮崎教会は、今年で創立55年を迎えます。1961年5月の全国総会で宮崎の開拓伝道が決
定、萩原重信牧師が水俣教会より赴任したことから歴史は始まります。初期の集会は、仮住居
であった集会所と家庭集会が主でした。延岡教会の応援もあって、65年、現在地、宮崎市船
塚に集会所兼牧師館が完成します。そして、同年にはD・ジョンソン宣教師が協力宣教師として
派遣されます。69年、会堂と会館が完成。特に会館は、柔道の道場として用いられ、ユニーク
な柔道を通しての宣教活動が行われます(萩原牧師は柔道七段で、宮崎地区の柔道顧問)。
記録によれば、教勢も伸び安定した時期を迎えたようですが、ジョンソン宣教師の帰国を境にし
て、礼拝出席者が激減し、伸び悩みの時代が長く続いたそうです。82年に東九州地区伝道強
化が、教区方針として出され、R・サノデン宣教師が赴任。それを契機に教勢を挽回し、84年に
は、自給教会となるまでに至りました。その翌年、萩原牧師は定年退職で引退し、渡辺 進牧
師が赴任します。以降、90年に南里卓司牧師、2003年に日笠山吉之牧師、11年に木下理
牧師を歴代教職として迎え、13年からは現職の秋山 仁牧師が赴任しています。なお、宣教師
としては、サノデン師の後、ピーライネン宣教師が赴任しています。
08年には、新会堂が完成しています。
南里牧師の時代、信徒は自分で聖書に取り組むことを鍛えられたと言われています。現在で
も、聖書研究会では、参加者一人一人が交代で聖書研究を行い発表するやり方を踏襲してい
ます。また、社会的な問題にも目を向けることを促されたそうです。
現在の宮崎教会の特徴の一つは、教会音楽による伝道を心が
けていることです。
南里牧師の時代、98年にオランダのオルガン工房のエツケス
氏によるオルガンを建造。それ以来、昨年7月に熊本のルーテル
学院中学・高等学校に移設されるまでの17年間、美しく多彩な
音を響かせ、礼拝や諸集会を導いてくれました。来年には、新し
いオルガンが建造されます。宗教改革五百年に合わせて、お披
露目のコンサートができそうです。また、日笠山牧師が始めたメサ
イヤコンサートは、昨年十周年を迎え、現在も指導者を得て続い
ています。
少子高齢化の時代、宮崎教会も例外ではありませ
ん。しかし、ここに教会がある限り、私たちは、これま
で宮崎教会が培ってきたものを大切にしながら、これ
からも福音を伝えて行きます。
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九州教区報 第66号 2016年2月15日
日本福音ルーテル教会 九州教区
壮年連盟報告
2014年度教区壮年連盟総会に於て筑後地区が次期担当と決まり、
話し合いの結果、私光延が今期の連盟会長に選ばれました。年齢的に
出来るか不安もありますが、皆が協力していくからということで、お引き受
けした次第です。引き受けた以上は久留米・大牟田・田主丸・甘木・日田
からなる筑後地区五教会の皆で力を合わせて、総会・修養会を盛り上げ
て、楽しく、為になる会となるようにしたいと思います。
教区の壮年の皆様の御協力を、よろしくお願いします。
壮年連盟会長
光延 一博
女性会報告
昨年11月に女性会連盟役員研修会に参加させていただきました。
直接に顔を合わせ、お話を伺うことで、遠い場所に住んでいても心の距離
はとても近くなったように思います。九州教区の各教会女性会の元気さに
(特に高齢者の働きっぷりに!)とても感銘をうけられたようでした。若い
者?も負けてはいられません。「九州が更に元気になるために、何をしまし
ょうか?」と主に問いかけつつ、2016年も会員の皆様のお声を伺っていき
たいと思います。
女性会会長
原 真理
女性会連盟役員研修会
青年会報告
12月13日(日)夕方から箱崎教会にて、今年は初の試みとして、福岡地
区信仰継承プログラム(デイサムエル)、教区中高生と合同でクリスマス礼拝
+祝会(鍋、ビンゴゲームなど)を行いました。参加者は34名(おとな18名、
中高生10名、こども6名)でした。佐賀、大分、広島(鹿児島教会の青年)から
も参加してくれ、初めて来てくれた青年も数名いました。とても楽しく、恵ま
れたときを過ごすことができました。
青年会会長
因 てい子
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