メッセージ

飯島
正三
労働基準法というと、道交法とともに、最も守られていない法律と言われて
いるようです。私は、学生時代からこれまで(会社員、労働基準監督官、労働
衛生コンサルタントとして)約 40 年間、労基法や労働安全衛生法との付き合い
がありますが、確かに、労基法などは何かと実態とのかい離が多く、日頃の労
使の「行動規範」のようなものとは、相当にズレがあると感じることが多くあ
りました。
ここ 20 年、日本の労働環境は大きく変化し、多くの方が様々な形でこれまで
と異なった労務管理が必要であると発言されています。実際、過重労働による
脳心臓疾患や精神疾患の労災認定に関係する訴訟等を見ますと、これまでの事
業場における健康管理や労働時間管理といった労務管理の在り方の問題点が見
えてきます。そして、そういった労務管理の背景にある関係法令の考え方の偏
りのようなもの(改善の余地)も、浮かび上がってくるように思います。
労基法や労働安全衛生法は、関係する労使にとって、適正かつ有効な指針で
あるべきものと思います。各法制度の目的や仕組みを、いくらかでも主体的か
つ積極的に解釈することで、健康的で明るい職場づくりに結び付くヒントが見
つからないか・・・そんなことを考えていきたいと思っています。