PROGRAM

プログラム
0
第1回
東北静脈フォーラム
時
間:2016 年 3 月 12 日(土)
会
場:福島コラッセ
福島市南三河南町 1 番20 号
当番幹事:
TEL: 024-525-4098
福島県立医科大学心臓血管外科
1
佐戸川弘之
第 1 回東北静脈フォーラム開催のご挨拶
当番幹事
佐戸川弘之
このたび第 1 回東北静脈フォーラムを開催させていただくこととなりました。なに
しろ初めての会でありますので、どのくらい演題が集まるかもわからず不安がいっぱ
いでしたが、この機会を与えていただきました山本浩史会長をはじめ、関係各位に心
より御礼申しあげます。
東北静脈フォーラムは、日本静脈学会の東北地方会としての位置付けとして立ち上
げました。東北地区はご存知のように、静脈学会総会も数回開催されており静脈学の
歴史と実績もそれなりのものがあります。一方日本静脈学会の地方会としては、瀬戸
内・西日本支部総会が既に定期的に開催され実績をあげています
(http://1st-jsp-sw.jimdo.com/)。それに対抗したわけではないのですが、静脈学のメ
ッカ(?)でもある東北地区でも設立しようとなったのがきっかけです。そ のため、
昨年 3 月に郡山市に東北の静脈学に興味を持つ有志が集まり、磐梯静脈フォーラムを
開催いたしました。この会はクローズドの会でしたが、静脈瘤の血管内治療、静脈血
栓症のテーマで熱い論議を重ねました。それを踏まえ、今回第 1 回の東北静脈フォー
ラムの正式の会開催となった状況であります。
会の意義は、東北地区の静脈学の研究、発展を目的として、静脈学会の東北地区の
会員の先生方による学術研究会を開催し、親睦を深めるためのものであります。 その
ため、この会は医師のみではなく、看護師、医療技師、検査技師、さらに多くの スタ
ッフの皆さまの会でもあります。下肢静脈瘤ではレーザーや高周波焼灼術が保険で認
められ、静脈血栓塞栓症では、予防の重要性、さらに新規抗凝固薬の登場でますます
関心が高まってきており、患者さんもどんどん増えてきています。反面、スタッフ不
足は相変わらずです。よって東北地区の静脈学の発展と充実のためには、この会の意
義は重要なものと考えられます。
今回は、一般演題と特別講演を企画いたしました。おかげさまで、一般演題は多数
応募いただき、多くの職種の先生に応募いただいております。また特別講演では、横
浜南共済病院の孟真先生に「圧迫療法の真髄」についてお話しいただくことになって
おります。圧迫療法は、静脈疾患においては必須の治療ではありますが、知識と技術
が必要となります。極めて有意義なお話が聞けると期待しております。
会の運営には、至らないところがあるかもしれません。スタッフは自前でやります
ので、何卒お許しください。
多くの先生方やスタッフの皆さまに参加していただき、実り多い会となりますよう
祈念しております。
2
会場周辺案内図
コラッセふくしま
4階
会議場
http://www.corasse.com/
402 号室 A、B
福島市南三河南町 1 番20 号
TEL: 024-525-4098
3
第1回
東北静脈フォーラム
プログラム
平成 28 年 3 月 12 日(土)
15:15~15:20
開会の辞
佐戸川弘之
15:20~16:10
一般演題1
(福島第一病院
央
(山形済生病院
16:10~17:00
(山形済生病院
(盛岡友愛病院
(JR 仙台病院
一般演題2
座長
臨床検査部)
血管外科)
外科)
下肢静脈瘤・リンパ浮腫
菅原弘光
(JR 仙台病院
外科)
伏在静脈径が 8 ㎜以上の症例に対する血管内焼灼術の早期成績について
小川智弘
2-2
臨床工学部)
カテーテル穿刺キットに付属した簡易メスを用いて行う静脈瘤切除
菅原弘光
2-1
臨床病理検査科)
当院における下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の治療成績
佐藤
1-5
心臓血管外科)
下肢静脈瘤における血管内焼灼術後の EHIT について
廣谷綾子
1-4
(山形済生病院
GSV における TLA 麻酔液注入圧の比較について
小林芳則
1-3
廣岡茂樹
当院における血管内焼灼術に対する検査技師の取り組み
千木崎誠司
1-2
心臓血管外科)
下肢静脈瘤
座長
1-1
(福島県立医科大学
(福島第一病院
心臓血管外科)
当院での下肢静脈瘤血管内焼灼術への取り組み
~臨床工学技士(CVT)として~
千葉直也
2-3
(JR 仙台病院
臨床工学科)
リンパ浮腫予防から複合的治療までの当院の取り組み
~地域のがん患者を支える中核病院として~
出島裕子
2-4
リハビリテーション科)
難治化した下腿潰瘍の治療選択を考える
黒木ひとみ
2-5
(白河厚生総合病院
(山形済生病院
看護部)
当院バスキュラーラボ室におけるリンパ浮腫指導の現状
笹原咲織
(済生会山形済生病院
4
看護部)
17:00~17:50
一般演題3
静脈血栓塞栓症・静脈瘤治療
座長
3-1
高瀬信弥
(福島県立医科大学
心臓血管外科)
難治性皮膚潰瘍に対するイミペネム/シラスタチン(チエナム ®)を用いた経動脈
的塞栓療法
青島雅人
3-2
(秋田大学
憲
(東北大学
移植再建内視鏡外科)
妊娠 30 週に DVT を発症し NOAC で加療した 1 例
千代谷真理 (弘前大学
3-5
心臓血管外科)
外科的摘除を施行した感染性下大静脈血栓の1例」
土田
3-4
放射線科)
外傷性膝窩静脈瘤が塞栓源と考えられた肺血栓塞栓症の 1 例
桐生健太郎
3-3
(総合南東北病院
胸部心臓血管外科)
VTE を合併した下大静脈内伸展腎癌の1手術例
若松大樹
( 福島県立医科大学
~
18:00~19:00
休憩
心臓血管外科)
~
特別講演
第一三共株式会社協賛
座長
山本浩史
(秋田大学
心臓血管外科)
圧迫療法の真髄:圧迫療法と圧迫圧
孟
19:00
真
(横浜南共済病院
心臓血管外科)
閉会の辞
若松大樹
15:20~16:10
(福島県立医科大学
一般演題1
下肢静脈瘤
5
心臓血管外科)
1-1
当院における血管内焼灼術に対する検査技師の取り組み
福島第一病院臨床病理検査科
千木崎
誠司 1),本間
1)
李香 1),安斎
福島第一病院心臓血管病センター 2)
桃子 1),小川
智弘
2)
【目的】下肢静脈瘤治療における血管内焼灼術は患者の身体的・時間的負担が少なく
年々増加傾向にある。今回その取り組みについて報告する。
【対象および方法】当院では年間 200 例余の下肢静脈瘤治療を行っているが、焼灼術の
適応は H26 年度では約 80%であった。技師は術医による血管マーキングから立会い、
患者の患肢の状態を把握する。手術時は、マーキング下端での穿刺血管の描出、目的血
管へのガイド、麻酔剤注入の確認等をサポートしている。焼灼後には EHIT の有無も確
認している。
【結果】技師による術中サポートは医師自身がエコーガイド下に実施する焼灼術に比し、
術中カテーテル操作が容易となり、術中時間の短縮にもつながっていると考えられる。
また技師の病態や治療への知識が深まることで患者対応にも大きな効果があると考え
られる。
【結語】技師による術中サポートは治療時間の短縮とパフォーマンスを向上するうえで
大きな効果がある。
1-2
GSV における TLA 麻酔液注入圧の比較について
済生会山形済生病院 ME 機器管理室臨床工学技科 1)
同
心臓血管外科 2)
小林 芳則 1)、矢作 尊章 1)、安達 拓平 1)、五十嵐 奈摘 1)、根本 嵩大 1)、土田 知佳 1)、
長岡 健 1)、廣岡 茂樹
2)
【背景・目的】
当院では 2013 年より下肢静脈瘤の治療にて 980nm レーザー治療を導入し、現在は
1470nm レーザー治療、ラジオ波治療を行っている。焼灼目的肢に対して Saphenous
Compartment に TLA 麻酔液を浸潤するが、その際 20ml シリンジ手押しによる注入か
ら加圧バックを用いた圧一定型注入方法へと変更した。そこでより安定した TLA 麻酔
液浸潤を得るための注入圧について検討したので報告する。
【対象・方法】
治療肢 782 本(男/女:267/515)を対象に、シリンジ手押し注入、注入圧 200mmHg、
250mmHg、300mmHg、350mmHg に分類し、性別・年齢・BMI 別で 1cm あたり注入
量(ml/cm)、穿刺 1 回あたり注入長(cm)、1 分あたり注入量(ml/min)を算出して GSV に
おける TLA 麻酔液の注入の違いを比較した。
【結果・まとめ】
注入圧上昇にともない多く入る傾向があり圧に依存している結果となったが、年齢によ
る違いはなかった。性別では女性が血管周囲に多く入り、男性では直線的に入る傾向に
あり、BMI 値が高くなると注入時間がかかる結果となった。今後も適切な TLA 麻酔液
の浸潤を再検討しながら手順の構築を行いたい。
1-3
下肢静脈瘤における血管内焼灼術後の EHIT について
6
済生会山形済生病院臨床検査部
1)
同
廣谷綾子
1)
佐藤美佐子
1)
吉澤絵理
1)
工藤祐一
1)
安孫子剛宏
1)
廣岡茂樹
2)
心臓血管外科
齋藤紀子
1)
2)
眞木由美子
1)
齋藤郁子
1)
下肢静脈瘤治療について焼灼方法と血管径の違いで EHIT の発生に差があるか検討した。
対象:2014 年 9 月から 2015 年 9 月までに大伏在静脈(GSV)に対して血管内焼灼術を行
った 450 肢を用いた。
方法:術後 1 日、1 週間、1 か月に超音波検査で EHIT の確認を行ない、レーザー治療と
ラジオ波治療で EHIT の発生率について比較した。また術前の GSV の血管径の違いが
EHIT の発生率に関与するか検討した。
結果:EHIT は術後1日から1週間で多く検出され、EHIT 発生率はレーザー治療よりラ
ジオ波治療の方が高かった。血管径の平均値では、血管径が大きいほど EHIT の発生率は
高くなった。
まとめ:術後 1 日から 1 週間で EHIT の確認を行うことが望ましいと思われ、ラジオ波治
療や血管径が大きいなどの要因がある場合は注意深く観察する必要があると考えられた。
1-4
当院における下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の治療成績
盛岡友愛病院血管外科 1 )
佐藤
国民健康保険山形診療所 2 )
央 1)、中島隆之 1)、吉田弘之 2 )
【目的】当院の下肢静脈瘤治療は 2012 年 5 月からレーザー血管内焼灼術(EVLA)を開
始し、治療の主流となっている。当院における EVLA の治療成績について検討した。【対
象】2012 年 5 月から 2015 年 12 月までの 3 年 7 か月間に下肢静脈瘤手術総数は 701 例、
そのうち EVLA は 341 例であり男性 116 例、女性 225 例、平均年齢 60.5 歳(23 歳~85
歳)であった。左 GSV が 188 肢、右 GSV は 215 肢、そのうち両側 GSV は 71 例、左 SSV
が 5 肢、右 SSV は 3 肢であった。2012 年 5 月~2015 年 5 月まで 980nm レーザーを使用
し、2015 年 5 月から 1470nm レーザーを導入した。
【 結果】術翌日に EHIT Class 1 : 4 例、
Class 2 : 2 例、Class 3 : 2 例を認めたが、術後 1 週間以降では EHIT は認めなかった。再
疎通は GSV に 3 肢認め、1 肢は再手術にてストリッピングを行なった。知覚障害 2 例、
皮下出血 2 例、熱傷 1 例を認めたが、いずれも改善した。
【結語】1 例に再手術を要したが、
重大なもしくは長期に及ぶ合併症は無く、治療成績は良好であった。
1-5
カテーテル穿刺キットに付属した簡易メスを用いて行う静脈瘤切除
7
JR 仙台病院外科
1)
同
臨床工学士
2)
菅原弘光 1 、市来正隆 1 、蔡景襄 1 、鎌田啓介 1 、佐藤博子 1 、千葉直也
2
下肢静脈瘤治療に対する血管内焼灼術が保険収載され広く行われている。その後、痛
みと内出血のないレーザー・高周波機器が続けて薬事承認された。機器変更により術後
疼痛の訴えは焼灼部位にあったが、瘤切部位に移行した。焼灼術低侵襲化により下腿分
枝処理法が注目されてきた。当科は TLA 麻酔による stab avulsion 法を用いた瘤切除を
一期的に施行してきた。皮膚切開幅が 3mm を超える場合もしばしば経験した。カテーテ
ル穿刺キットに付属する簡易なメスを使用すると皮膚切開幅が常に一定で 3mm 以下にな
ることに気がついた。刃先が細く短いため Stab(刺す)しても 2.5mm 以上にならない。瘤
切後の創幅は常に 3mm 以下になった。十数カ所の皮膚切開に使用しても最期まで使用可
能であった。術後ガーゼ出血も少なくなったように思われた。疼痛に関しては観察中で
あるが、患者の満足度は向上したと思われた。静脈瘤手術のさらなる低侵襲化のため下
腿分枝の処理法を工夫していく必要があると思われた。
16:10~17:00
2-1
一般演題2
下肢静脈瘤・リンパ浮腫
伏在静脈径が 8 ㎜以上の症例に対する血管内焼灼術の早期成績について
福島第一病院心臓血管外科
小川智弘
はじめに:下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術が保険適応になってから急速に普及してい
る。日本静脈学会のガイドラインでは平均 10mm 径以下の伏在静脈に対してその適応を
定めている。伏在静脈径の大きい症例に対する血管内焼灼術の早期臨床成績について検
討した。
方法:1 年間の下肢静脈瘤治療患者 441 人のうち伏在静脈径が 8 ㎜を超える症例に対し
て血管内焼灼術を施行した 50 例 51 肢について、術後 3 か月までの臨床経過を検討した。
結果:441 例のうち血管径で血管内焼灼術を断念した症例は認めなかった。51 肢のち静
脈径が 10 ㎜を超える症例は 5 例のみであった。術後全例(47 肢:大伏在静脈,2 肢:
小伏在静脈,2 肢:副伏在静脈)伏在静脈が完全閉塞しており、術後 3 か月で静脈径が
拡大した症例は認めていない。術後合併症は 3 肢に血栓性静脈炎を認めたのみで、経過
観察にて軽快している。
結語:伏在静脈径が 8 ㎜以上の症例でも、術後早期成績は良好であると考えられた。
2-2
当院での下肢静脈瘤血管内焼灼術への取り組み
8
~臨床工学技士(CVT)として~
JR 仙台病院臨床工学科
1)
同
外科
2)
千葉直也 1)、菅原弘光 2)、市来正隆 2)、佐藤博子 2)
当院では 2011 年より下肢静脈瘤血管内焼灼術を施行し、昨年の施行件数は 307 件で
あった。現在は医師 3 名、手術室看護師 7 名、臨床工学技士(以下 CE)1 名のチームで日々
手術に取り組んでいる。今回は 5 年間下肢静脈瘤血管内焼灼術に取り組んできての当院
での変化や業務改善、コスト削減に取り組んだ結果を報告する。
2011 年当初、年間施行件数は 99 件であり、手術中は医師 1 名・看護師 2 名・CE1 名
の 4 人で施行していた、だが現在は件数の増加に伴い業務効率を見直し、術中は医師 1
名・看護師 1 名・CE1 名の 3 人で施行している。CE は医療機器操作・外回り・器械出
し業務を担当している。また、コスト削減の取り組みとして使用材料においてもパック
化や購入量などの見直しにより購入価格を下げることができた。
現在の業務を確立できたのは医師・看護師の信頼を得ることができたからである。
CVT(血管診療技師)を取得していたことは大いに役に立った。今後もコスト削減含め CE
として医療に貢献してく。
2-3
リンパ浮腫予防から複合的治療までの当院の取り組み
~地域のがん患者を支える中核病院として~
JA 福島厚生連白河厚生総合病院リハビリテーション科
福島県立医科大学心臓血管外科
1)
2)
出島裕子 1)、松本美香子 1)、佐戸川弘之 2)
【はじめに】当院はがん診療連携拠点病院として承認され、がん患者数が多い病院であ
るが、リンパ浮腫患者への対策が課題となっていた。今回、当院が始めたリンパ浮腫予
防と複合的治療提供までの取り組みを報告する。
【経過】リンパ浮腫発症患者が民間リンパマッサージへ通う現状があった。その為、が
ん相談支援センターが、リンパ浮腫リスク有患者と発症患者に予防と治療を提供できる
体制を提案した。多職種で入院・外来リンパ浮腫指導実施と複合的治療を開始し、院内
で取り組みの啓蒙も行った。
【考察】多職種で入院・外来の予防指導を行った事で早期発見と治療提供が行えたと考
えられる。また、院内啓蒙により地域で放置されていたリンパ浮腫患者の治療依頼が増
え、地域に少しずつ認識もされてきた。今後、リンパ浮腫外来を立ち上げ、地域病院と
の連携や一般の方への啓蒙を行い、リンパ浮腫を発症させない悪化させない地域作りを
していく必要がある。
2-4
難治化した下腿潰瘍の治療選択を考える
9
済生会山形済生病院看護部
1)
同
黒木ひとみ 1)、村山智美 1)、廣岡茂樹
心臓血管外科
2)
2)
日常生活において、活動性の高い症例の静脈性下腿潰瘍治療を数例経験した。できる
限り入院治療を短期にし、退院後は、通常の日常生活を送りながら早期治癒を目標にし
ていかなければいけない難しさがあった。初診時、どの症例も、発症してから長時間経
過しており、難治性となり QOL が低下していた。そのため、治癒期間にも時間を要する
ことが予想されたが、手術前から医師を中心に多職種で連携し介入することにより、創
治癒が得られている。症例の状態・状況に合わせて、生活指導を行い、創傷管理方法を
選択し治療を行った、48 歳男性、60 歳男性、62 歳女性の 3 症例の治癒までの経過を報
告する。
【倫理的配慮】
口頭で同意を得て、個人が特定されないよう配慮した。
2-5
当院バスキュラーラボ室におけるリンパ浮腫指導の現状
済生会山形済生病院リハビリテーション部
笹原咲織
当院では、バスラボ室においてリンパ浮腫療法士認定資格を持つ理学療法士が H27
年 2 月からリンパ浮腫指導を行っている。H27 年 2 月~12 月の新規依頼件数は 12 件、
入院からの継続患者も含めると計 21 件、指導実施回数は延べ 86 回であった。
患者は月 1 回程度フォローされている。指導・治療内容は、用手的リンパドレナージ
を中心に行い、セルフドレナージ指導や弾性着衣の指導も行っている。浮腫状態に応じ
、弾性包帯での圧迫療法を実施している患者もいる。
リンパ浮腫患者は今後も増加が予想され、外来での頻回フォローを望む声もあり、リ
ンパ浮腫指導枠の増設が課題と言える。また、リンパ浮腫治療について専門診療科以外
の医師や一般の方にも知っていただけるよう啓蒙活動が必要である。当院での取り組み
について知っていただき、地域での連携体制が強化されることにより山形県内のリンパ
浮腫患者治療に貢献していきたい。
17:00~17:50
一般演題3
静脈血栓塞栓症・静脈瘤治療
10
3-1
難治性皮膚潰瘍に対するイミペネム/シラスタチン(チエナム ®)を用いた経動脈的塞
栓療法
総合南東北病院放射線科
1)
福島県立医科大学放射線科
2)
青島雅人 1)、川倉健治 1)、今井茂樹 1)、関野啓史 2)、黒岩大地
2)
慢性難治性潰瘍である炎症性潰瘍において、近年、炎症と微小血管新生が相補的に増悪
させる機序が明らかになりつつある。ここで、同微小新生血管の塞栓が治療となる可能性
がある。微小血管に対して安全かつ効果的な塞栓物質とされるイミペネム/シラスタチン
(チエナム ®)を用いた経動脈的塞栓療法を施行し、良好な結果が得られた 5 症例を経験した
ので報告する。断続的な疼痛を有し、既存の治療法にて軽快しなかった難治性皮膚潰瘍を
有する 5 症例に対して表題治療を施行した。病変は全症例下腿に存在した。CT angiography
にて動静脈短絡である異常造影域と早期静脈灌流を確認した。2Fr マイクロカテーテルに
てできるだけ末梢の病変部血管を選択し造影した。イミペネム/シラスタチンと造影剤の懸
濁液を 0.5 から 1.0ml ずつ病変部のマイクロシャントが消失するまで複数回注入した。全
症例において手技後 1 ヶ月以内に疼痛は完全に消失し、潰瘍病変は完全に治癒あるいは劇
的に縮小した。
3-2
外傷性膝窩静脈瘤が塞栓源と考えられた肺血栓塞栓症の 1 例
秋田大学心臓血管外科
桐生健太郎、角浜孝行、山浦玄武、千田佳史、白戸圭介、高木大地、山本浩史
今回我々は外傷性膝窩静脈瘤が塞栓源と考えられた肺血栓塞栓症(PTE)の 1 例を経
験したので文献的考察を加え報告する。
症例は 59 歳女性。失神と低酸素血症により近医へ救急搬送となった。造影CT検査に
てPTEと診断され、ヘパリンによる抗凝固療法を開始された。その後精査にて下肢残存
血栓は認めなかったものの、40x28 ㎜大の左膝窩静脈瘤を指摘された。静脈瘤自体は過去
に同部位の外傷既往があり、外傷性静脈瘤と考えられた。
下肢深部静脈に残存血栓は認めなかったが、文献的には内科的治療のみでは再発の可能
性が高いとされており、外科的治療の方針に関して当科紹介となった。
11
3-3
外科的摘除を施行した感染性下大静脈血栓の1例
東北大学移植再建内視鏡外科
土田
3-4
憲
妊娠 30 週に DVT を発症し NOAC で加療した 1 例
弘前大学胸部心臓血管外科
千代谷真理、福田和歌子、谷口哲、福田幾夫
【症例】32 歳妊婦。妊娠 30 週に左股関節痛を自覚し、下肢静脈エコーで左 EIV 以下に
DVT を指摘。通院中の近医産科入院となり、リクシアナ 15mg で加療された。妊娠 33 週
に当科紹介。【経過】初診時下肢症状は改善。エコーでは陳旧性血栓を右ヒラメ静脈に
認めるのみ。リクシアナを継続し退院可とした。妊娠 37 週に下肢静脈エコーで再評価。
静脈血栓の増加無く、リクシアナ継続し自然分娩の方針とした。妊娠 39 週 2 日に産徴
を認めリクシアナ中止、39 週 5 日に自然分娩となった。分娩時の異常出血なし。分娩後
は未分画ヘパリンの皮下注射及び低分子ヘパリンの皮下注射を産褥 5 日まで継続し抗凝
固療法を終了、母子ともに合併症なく自宅退院となった。
12
3-5
VTE を合併した下大静脈内伸展腎癌の1手術例
福島県立医科大学心臓血管外科
若松大樹、佐戸川弘之、高瀬信弥、佐藤善之、瀬戸夕輝、黒沢博之、籠島彰人、
山本晃裕、高野智弘、藤宮剛、横山斉
腎癌進行例での下大静脈内へ伸展する例に対し最近は積極的な外科治療が行われて
いるが問題点も少なくない。教室では、術前に静脈血栓塞栓症を合併した腎癌の手術例
を経験したので、文献的考察を加え報告する。
[症例]62歳、男性。右腎腫瘍にて精査施行中、左下肢の腫脹が出現。左総腸骨静脈を
中心とした深部静脈血栓症と診断され当科入院となった。CT にて左右肺動脈内に血栓
を認め肺血栓塞栓症も合併していた。右腎腫瘍は cT3bN0M であり、腎遠位部下大静脈
内へ伸展する腫瘍栓を認めた。
[治療経過]一時留置型下大静脈フィルターを挿入し、血栓溶解療法を2週間施行。その
後根治的右腎腫瘍塞栓摘除術を施行した。腫瘍栓は下大静脈遮断下に摘出し、下大静脈
切開部は直接形成した。その後の経過は良好であった。
13
18:00~19:00
特別講演
第一三共株式会社協賛
座長
山本浩史
(秋田大学
心臓血管外科)
圧迫療法の真髄:圧迫療法と圧迫圧
孟
真
(横浜南共済病院
心臓血管外科)
プロフィール
昭和 53 年に群馬大学医学部卒業し、
横須賀米国海軍病院にインターンとし
て勤務、英語力を磨く。
昭和 61 年に横浜市立大学第一外科
に入局し、現在まで所属している。
その間、平成 1 年~2 年米国 ベイラー
大学医学部(USA 医学部では上位 10 位以
内に入る)に留学した。
さらに平成 9 年~10 年、平成 12 年~14
年には、米国カリフォルニア大学サンディエ
ゴ校心臓血管外科に留学し、有名な
Jamiesen 教授に師事。肺血栓塞栓症の手
術の手技を磨き、ライフワークとして静脈血栓
塞栓症の研究に日夜従事した。
現在、横浜南共済病院心臓血管外科の部長を勤める。
日本静脈学会の弾性ストッキングコンダクター養成委員会の委員長として、弾性ストッキングコン
ダクターの講習会を全国で企画主催している。下肢静脈疾患およびリンパ浮腫の圧迫療法の臨
床および研究では日本の第一人者である。
主な学会活動
日本静脈学会理事・弾性ストッキングストッキングコンダクター養成委員長
日本血管外科学会評議員
日本心臓血管外科学会評議員・国際会員
日本脈管学会評議員
日本下肢救済足病学会評議員
日本フットケア学会評議員
下肢静脈瘤血管内焼灼術実施管理委員会 委員
血管外科症例検討会 幹事
横浜循環器セミナー 世話人
14
講演内容
圧迫療法は静脈、リンパ疾患の基礎的な治療であり適切な理解と施行が専門医にと
り必須である。同じ弾性着衣でも圧迫圧は安静時の圧迫圧と運動時の圧迫圧では異な
る。特に運動時の圧迫圧は弾性着衣の性状に大きく影響される。弾性着衣が圧迫圧を
発揮する機序は複雑で、P(Pressure):圧(安静時の圧)、La(Layer):層(何層
に着衣を着用するか、包帯ならどれぐらい重ねるか)、C(Component):構成要素(多
層であるか単層であるか、どのような素材か、自着性であるか)、E(Elasticity):伸
縮性(どれぐらい伸びやすいか)と分けてそれぞれの要素(PLACE)を考えるとわかり
やすい。PLACE の概念は診療の現場でも治療方針決定の手助けとなる。また圧迫療法の
成功には患者のコンプライアンスの向上が必須である。PLACE の因子を考慮にいれなが
ら患者の受け入れられる圧迫療法を行うことが大切と思われる。
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