峰澤鋼機株式会社 先進的にIT化に取り組む機械工具商社が 生産性と収益力を高める販売管理システムや 高度な情報管理体制の構築を実現 導入の狙い 情報漏えい対策やBCP対策を実現したい 現場の生産性を高め、収益力を向上させたい 導入システム 販売管理システム『MATE』 (オリジナル開発) Hyper-V仮想サーバー×3台、共有スト レージ×1台、ADサーバー×1台+バック アップサーバー×1台、シンクライアント× 110台ほか 統合型クライアントシステム 『Citrix Xen App』 クライアント運用管理ソフトウェア 『SKYSEA Client View』 『たよれーる マネージドネットワーク サービス ハウジングサービス』 導入効果 シンクライアント導入で情報漏えい リスクを軽減した 遠 隔 地での サ ーバー のレプリケー ションによりBCP対策を強化した 入力作業を軽減し、仕入れ・物流業務 を効率化した — U S E R P R O F I L E ——————————————————— 峰澤鋼機株式会社 ●業種:機械工具商社 ●事業内容:機械工具・配管資材・輸送/搬 ものづくりを支える機械工具商社として、生産現場に必要なあらゆるモノを取りそろえ、迅速に対応できる体制を整えている 峰澤鋼機株式会社は、明治元年創業の機械工具商社だ。特にトヨタグループとの 取引は長く、部品の仕入先に対し、情報漏えい対策やBCP対策の適用を厳しく求 めるトヨタグループからの要件への対応が必須となっていた。そこで同社は2007 年に業界に先駆けてシンクライアントを導入。加えて、フルオーダーした新・販売管 理システムを2012年に稼働を開始させた。2014年には、サーバー仮想化と遠 隔地へのレプリケーションを実現し、コスト・消費電力を低減しつつBCPの強化も 果たした。 送(マテハン)機器等販売、管工事業・鋼 構造物工事業・機械器具設備工事事業 ●従業員数:140名 (2015年1月現在) 先進的にIT化に取り組み、高度な情報管理体制 を構築した峰澤鋼機株式会社 2015年1月取材 製造業全般に機械工具を提供 中国・タイ・インドネシアに進出 峰澤鋼機が取り扱う商品は、大きく 分けると規格品とオリジナル商品の2 種類になる。規格品は一般に流通して 峰澤鋼機株式会社(以下、峰澤鋼 いるアイテムで、作業用の電動工具や 機)は、明治元年に創業した140年以 油圧機器、配管機器などを取りそろえ 上の歴史と伝統を持つ機械工具商社 る。顧客にとっては、同社に依頼すれ だ。愛知県岡崎市を地盤とし、 トヨタグ ば、さまざまなメーカーの商品が一度 ループとの取引が長く、自動車関連製 に手に入るメリットがある。一方でオリ 造業の生産現場に機械工具や配管設 ジナル商品は、生産現場のライン設備 備など多数の商品を納入している。 などだ。協力会社と共に、設計・製作か 1 峰澤鋼機株式会社 ら現地での据え付けまでを一貫して 近年では取引先の海外進出に伴い、 先進的にIT化に取り組み 情報漏えい対策にシンクライアントを採用 中国・タイなどでの工場立ち上げ時に 同社のコンピュータシステムへの取 自社現地法人が支援する機会も増え り組みは古く、1985年までさかのぼ ている。2014年2月には、インドネシ る。伝票を発行するオフコンを導入し アに海外4社目となる現地法人も設立 たのが最初だ。当時は売上伝票や仕入 した。経営管理部 次長の小島 孝浩氏 伝票の発行をオフコンで行い、受注台 は、 「設立したばかりのインドネシア現 帳や注文書は手書きで入力していた。 地法人を早く軌道に乗せたいです。ま オフコンの老朽化が進んだ1995年に た、今後も、お客様が必要な工具を迅 は第二世代に刷新。クライアント-サー 速かつお値打ち価格でご提供できる バーシステムを導入し、業務を自動化 ように、ニーズがあればほかの国にも するためのシステム範囲を徐々に拡張 展開していきたいです」 と語る。 していった。パソコンのOSはDOSか 峰澤鋼機は創業以来、安定した経営 ら始まり、その後、Windows XPに移 を続けてきたが、2008年のリーマン・ 行。基幹システムは独自開発しており、 ショックで業績低迷に陥った。その後V 2000年代に入ってからは、在庫管理 字回復したが、この経験から自動車産 のプログラムを新たに追加した。 業に特化してきたこれまでのビジネス 「 以 前は、注 文 のたびに倉 庫まで を見直し、ほかの業界にも徐々に取引 行って在庫があるかどうかを確認して を広げている。また、2013年11月 いました。それではビジネスの進展は には、トヨタスタジアムでプライベート 望めません。お客様から問い合わせが 展示会「SMARTフェア」を2日間にわ あった時に、いつまでに何個出荷でき たって開催。出展メーカー107社の るのか、迅速に回答できるようにした イチオシ商品を展示し、ビジネス拡大 いと考えました」 と小島氏。 の機会を提供していった。展示の目玉 そして2008年には、第三世代への として、同社が公式スポンサーを務め リニューアルを計画。その背景には、 る 「Team LandCruiser TOYOTA 第二世代のインフラの老朽化と、当時 A U T O B O D Y 」がファラオラリー 多発していた個人情報漏えい事件を 2011に参戦したレーシングカーを展 受けて、自動車メーカーが仕入業者に 示したり、ものづくりの現場で近年話 対して高度なセキュリティレベルを求 題の3 Dプリンターを展示したりする めたことにあった。 など、多くの来場者の注目を集めた。 「自動車メーカーは、昨今の情報漏 また、2014年7月からは一般のお えい事件を重大に受け止め、社内のセ 客様向けに工具のネット販売も開始。 キュリティを強化していきました。取引 「M I N E楽天市場」をオープンし、 先にも情報漏えい対策の徹底を求め、 プロ仕様の工具を個人向けに販売す 一定レベルを保たないと、取引データ るなど、新しい業態にもチャレンジし の授受ができなくなるという通達が ている。 あったのです」と小島氏は当時を振り 対応できるのが同社の強みだ。 返る。 2 経営管理部 次長 小島 孝浩氏 「大塚商会さんは当社の業務内容や業界 動向を熟知してくれているので、信頼してお 任せしています。さらなる改善のための提案 やITの最新情報の提供を期待しています」 同社オリジナルの販売管理システム 『MATE』 は、現場の 生産性や経営スピードの向上につながった 倉庫内にある膨大な数の商品は、販売管理システム 『MATE』 によってバーコードで管理され、リアルタイムに 在庫状況が把握できる仕組みを構築している そこで峰澤鋼機は、同社のシステム 業が発生しており、現場の生産性が上 開発を担ってきた大塚商会に相談。大 がらなかったこと。モノの面では、余 塚商会は、セキュリティマニュアルの 分な在庫が増え、出荷までに時間がか 作成支援から始まり、さまざまなシス かっていたこと。情報の面では、自動 テム提案を行っていった。その中で峰 車メーカーが求める高度な情報管理 澤鋼機がまず導入したのが、統合型シ 体制の構築と、各種業務実績を把握す ンクライアントシステム『Citrix Xen るのが翌日になっていたことなどが挙 App』 とシンクライアント端末だ。 げられた。 「以前は、USBメモリに入れたデー こうした課題を解決するために、大 タやPC端末を外部に持ち出して仕事 塚商会はシステム開発に着手。2012 をしていました。しかし、これだと情報 年8月に、第三世代の販売管理システ 漏えいの危険性が高い。その点、シン ムが稼働を開始したのである。第三世 クライアントなら、業務アプリケーショ 代のシステムは『M A T E』と名付けら ンやデータはすべてサーバーに格納 れた。 されているので、P C端末を紛失して も情報漏えいの危険性がありません。 こともできません。これは当時として 現場の生産性、経営スピードが向上 事業継続性の向上にも取り組む は画期的な取り組みでした」と小島氏 最新の販売管理システム『MATE』 が言うように、2007年にシンクライ の稼働により、さまざまな面で効果が アントを導入した同社の取り組みは、 生まれている。ヒトの面では、発注段 非常に先進的であった。 階での単価確定や入荷時点での仕入 第三世代の基幹システム開発にあ れ自動計上処理により、仕入れ・物流 たっては、ヒト・モノ・情報の三つの視 業務の工数が軽減された。モノの面で 点からシステム課 題を抽 出していっ は、過去実績や直近計画、出荷予測に た。ヒトの面では、仕入業務や物流業 より必要な発注数を高精度に割り出し 務において入力作業の重複や後手作 て在庫を圧縮できるようになった。さ またU S Bメモリでデータを持ち出す サーバーレプリケーションによるBCP対策 大塚商会 本 社( 岡 崎 ) iDC大阪データセンター 5F サーバールーム 仮想サーバー 毎日深夜にレプリケーション(複製)を実行 仮想ゲストサーバー AD 基幹業務 仮想ゲストサーバー ファイル サーバー AD 3 基幹業務 バックアップ ファイルサーバー バックアップ メタサーバー Thinクライアント管理 峰澤鋼機株式会社 らに物流業務の効率化により、当日入 マネージドネットワークサービス ハ 荷翌日出荷ベースの配送を実現した。 ウジングサービス』を利用し、重要な 情報の面では、職務分掌に応じたシス サーバーデータを毎日深夜に、県外 テム統制やログ監視機能により、高度 のデータセンターへとレプリケーショ な情報管理体制を実現。さらに、意思 ンしている。これにより、万が一、本社 決定に必要な各種情報をタイムリー サーバーに障害が起きても、データセ に閲覧・分析することも可能になった。 ンターのサーバーへ切り替えること 小島氏は『M A T E』を「初任者でも で、業務の継続が可能になる。 簡単に使えるシステム」だと表現する。 また、シンクライアント端末110台 「このシステムは、業務の流れが自然 を含むクライアント135台を入れ替 と身に付き、会社の ルー ルから外れ え、クライアント運用管理ソフトウェア ることはシステム的にできないように 『SKYSEA Client View』を導入。 なっています」 と小島氏。 『MATE』は、 シンクライアント環境にも対応した資 同社の従業員のまさに “規定” なのだ。 産管理・ログ管理を実現し、セキュリ 『MATE』を構築する一方で、同社 ティのさらなる強化を図っていった。 14台あったサーバーを4台の仮想サーバーに集約。また、 BCP対策の一環として、免震装置を設置している ではインフラの刷新を計画。東日本大 震災により、大規模災害時にも業務を B C P対策に積極的に取り組んでいっ オフィスのITを 大塚商会がワンストップで支援 たことを受けて、新インフラには徹底 基幹システムからサ ーバー、イン したBCP対策が盛り込まれた。 フラ構築、さらにはネットワーク環境 「工場だけ動いていても、工場で利 の敷設まで、大塚商会が一手に引き 用する機械・工具などの供給元である 受けている。その理由として小島氏は 私たちが止まってしまっては、生産を 「PC1台ならまだしも、システムやプ 続けることはできません。このため、 ログラムとなると、私どもの業務を理 自動車メーカーは取引先にもBCPを 解してくれていないと難しい。大塚商 厳しく求めたのです」 (小島氏)。 会さんとは長いお付き合いなので、い 継続できるように、自動車メーカーが また、サーバールームの省電力化 ちいち説明しなくても済み、非常に助 も、社会的要請として求められた。そ かっています」 と説明する。 こで、既 存 の 1 4 台 の 物 理サ ーバー 今後は、海外現地法人を含めた社 をHyper-V仮想サーバー3台と、AD 内情報(データ)の一元化と拠点間コ サーバー1台、バックアップサーバー ミュニケーションの強化を図り、グロー 1台に集約。共有ストレージを導入し バルビジネスを加速させていくとい て仮想サ ーバーの冗長化を図った。 う。さらに小島氏は、ショールームで サーバーの仮想化により、投資コスト 行っている商品展示をさらに拡張して、 を低減すると共に、設置スペースや消 「さまざまな工 具を店 頭 販 売するプ 費電力を大幅に低減。新しくサーバー ロショップを作りたい」という会社とし が必要になっても、仮想サーバーを追 ての夢を語って頂いた。その時にも、 加するだけで柔軟に対応可能になっ 大塚商会が同社のITパートナーとして た。さらに、大塚商会の『たよれーる 大きな役割を担っていくに違いない。 峰澤鋼機株式会社のホームページ http://www.minezawa.co.jp/ ・会社名、製品名などは、各社または各団体の商標もしくは登録商標です。 ・事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものであり、配付される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。 ・この記事は2015年2月に作成されました。 Copyright©2015 OTSUKA CORPORATION All Rights Reserved. 4
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