№108 平成27年9月1日 【発行】 豊橋市立栄小学校 校長室 [email protected] 終わってみれば、あっというま。45 日間の夏休みが 先生も違っているよ 終わりました。今年は、皆さんにとって、どんな夏休 みだったでしょうか。 夏休みが始まる前、それぞれが「こんな夏休みにし よう」と目標を立てたことと思います。私からも四つ のお願いをしておきました。夏休みが終わった今、充 実度を自己採点すると何点ぐらいになるでしょう。 数人の欠席はあったものの、元気な子どもたちが学 校に戻ってきました。大きなけがや事故、病気もなく、 栄っ子全員が9月を迎えられたことを大変うれしく思 います。教室を回って各クラスの様子を垣間見させて もらうと、どのクラスもいつもどおり和やかな空気に 包まれ、夏休みの作品を紹介し合ったり、楽しい想い 出を語り合ったりしていて、滑り出しは上々かな、と いう印象をもちました。 8月20日の出校日や今日の打ち合わせでお話した ように、9月1日は、児童生徒の自殺が最も多い日と 言われています。子どもたちにとって、夏休みという 特別な時間から、学校生活という日常へは、かなり隔 たりがあるということの表れでもあります。目の前の 「この子」のわずかな変化を見逃すことなく、早め早 めの対応を心がけるようにしましょう。 夏休み前から少しずつ準備を進めきた学校訪問が、 9月18日に控えています。先生がたにとっては、教 育委員会指導主事の先生がたに授業を見ていただく年 に一度のチャンスです。 授業案はすでに完成しました。夏休み中のご多用の 中をありがとうございました。当日の授業に向けての 準備やら、諸帳簿や環境の整備など、これからすべき こともたくさんあります。時間に限りがありますので、 さっそくスイッチを入れましょう。前期のまとめの時 期とも重なり、同時進行しなくてはならないこともあ りますが、いつにも増して計画的に、そして着実に準 算数の小数点の学習でのこと。黒板に 3.45 と書いて何て読むかを子どもたちに尋ねた。 私は少し自信なさそうに挙手するS男を指名 した。S男は「さんてんよんじゅうご」と、 小さな声で読んだ。ところが、多くの子が「え え、ちがうよ。 『さんてんよんご』だよ」と騒 ぎ始めた。S男は少し戸惑った様子で下を向 いてしまった。このままS男に、 「S男君、こ れは『さんてんよんご』と読むんだよ。覚え ておこうね」と言えば、そのまま学びは終わ ってしまう。しかし、せっかく発言したS男 は、多くの子どもたちに、自分の考えを否定 され、結果的に算数嫌いの子になってしまう だろう。 そこで、私は多くの子どもたちに向かって 投げ返した。 「先生もS男君と同じ読み方なん だけど…」。一瞬静まった教室で、顔を上げた S男と目が合った。そして、多くの子どもが 再びざわめき始めた。 「先生も違っているよ」。 そこで、もう一度子どもにたちに投げかけた。 「じゃあ、S男君と先生を納得させるように 説明してごらんよ」。その言葉で、子どもたち は真剣に考え始め、次々と多くの考え方が出 された。やがてO子から、「それなら、3.458 なら『さんてんよんひゃくごじゅうはち』っ て言うの?同じ位置にある「4」の読み方が 変わるのはおかしいよ」という考えが出され た。その言葉から、子どもたちは、位取り記 数法の本質に迫っていった。 子どものまちがいを安易に訂正するのでは なく、まちがいを取り上げることで、授業の 本質に迫ることがある。そのためにも、本質 を見極める教師の力量や教材解釈が必要とな ってくる。 「教育羅針盤」第二集より 備を進めていくようお願いします。 裏面もお読みください。 夏休み後半、毎日のように世界陸上 2015 北京大会の模様が放映されていました。スポーツ好きのかたは、きっとご覧に なったことでしょう。私もそのうちの一人です。50 ㎞競歩で銅メダルを獲得した谷井孝行選手、7 位入賞を果たし、はや くもリオ・オリンピックの切符を手にした女子マラソンの伊藤舞選手らの活躍が光りました。 そのなかにあって、大会最終日女子 5000mの豊橋市出身・鈴木亜由子選手の活躍には胸が熱くなりました。彼女の栄光 の陰には、多くの苦悩や挫折があることを知っているからよけいです。4年前、鈴木亜由子選手のことをまとめたことがあ りましたので、今回裏面にて紹介させていただきます。 テレビ観戦した方も多かったはず。「愛知駅伝」 のことです。 第6回目となる市町村対抗愛知駅伝が、12月3日 (土)開催されました。結果はすでにご存じのとおり、 わが豊橋市がみごと3連覇を達成しました。 ル部に所属しながら、陸上競技の大会にも出場し続け ました。2年生、3年生のとき、全国中学校陸上競技 大会に出場し、中距離2種目で2連覇を果たしました。 高校は陸上競技の強豪校ではなく、地元の進学校を 選択しました。高校3年間の彼女は、まさに試練の連 3連覇の立役者は、なんといっても7区を快走した 続でした。中学校のときライバル関係にあった伊澤 鈴木亜由子選手(名古屋大2年)です。テレビ中継で 菜々花選手(栄小学校卒)が豊川高校へ進み、すばら は何度も「ロンドンオリンピック出場も夢ではない」 しい成績(全国高校駅伝2連覇等)を収める一方、彼 との話がもちあがっていました。今年の愛知駅伝で、 女は二度も骨折してしまい、ほとんど競技できずに終 華々しく復活した印象を多くの県民に知らしめました。 わってしまったのです。いつしか鈴木亜由子の名前は でも、ここまでくるには、度重なるアクシデントと苦 聞かれなくなっていきました。 しみを乗り越えてのものだったということを知ってい る人は、そんなには多くないと思います。 彼女を初めて見たのは、小学校5年生のときでした。 5年生の彼女が、市内小学校陸上競技大会1000m そんな彼女が、見事完全復活を果たしたのです。 「ス ーパー中学生」として初めて注目を集めた場所と同じ 愛知駅伝。彼女にふさわしい舞台です。これから彼女 の活躍に目が離せなくなりました。 に出場してきたのです。周りの選手よりもふたまわり 豊橋がスポーツ王国と呼ばれた時代があった。その時代 ほども小さな可愛らしい女の子は、スタートの号砲と を支えた「部活バカトリオ」がいた。陸上、バレーボール、 ともに、すさまじい勢いで飛び出しました。端で見て バスケットボール。 いた私は、 「あれれっ?あの子は100m走と勘違いし ているんじゃないの」と思ったほどです。 「そのうちス タミナが切れて、順位を下げるだろう」。誰もがそう思 っていました。400mトラックを1周したところで、 わたしたちの方こそが勘違いしていたことを思い知ら されました。スピードは落ちるどころか、2位以下を ぐいぐい引き離していったのです。400mトラック をわずか2周半のレースなのに、2位以下を100m 以上も引き離して、ぶっちぎりの優勝でした。この年 その後、現場を離れ、エリートコースを歩んだ。一部に 批判もあった。しかし教育長になっても志は曲げなかっ た。 「いつか復活させてやる」 豊川工が高校駅伝の常連となり、近年豊川高が女子で全 国制覇するなど、 「駅伝の豊川」が定着した。内心、面白 くない。 母校の石巻中を駅伝の常連校に育て、豊川工を下支えす る体制も整えた。愛知万博後、市町村駅伝が始まった。会 場に近い豊田や岡崎が先行した。面白くない。 闘争心に火がついた。豊橋出身の実力者をピックアップ から、彼女にはもはやライバルは存在しませんでした。 した。勝ちにこだわり、五輪選手まで招聘(へい)した。 小学校時代は連覇を達成したはずです。6年生のとき 3連覇のかかった今回、尋ねると、 「難しいかも」と弱 にたたき出した大会記録は、男子の大会記録を大きく 気だった。いつもなら、多少雲があっても真っ青だという 上回っています。地元の陸上関係者からは、かなりの ぐらい強気なのに慎重だった。達成直後、満面の笑顔でテ 注目を浴びていました。 レビ画面に映った。 中学校での競技生活は華々しいものでした。進学し た中学校には陸上部がなかったため、バスケットボー 平成23年12月4日付け「東日新聞」コラム“風針”より
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