新たな情報キャリアアップ教育の実現 − e-learning を 介 し た 全 学 情 報 教 育 の 共 有 化 − 申 請 テ ー マ : I T を 活 用 し た 実 践 的 遠 隔 教 育 (e-learning) 取組代表者:千歳科学技術大学 光科学部 光応用システム学科 助教授 小松川浩 本取組について (1)取組の概要 第一に、高校での「情報」導入に伴う大学初年度教育での情報処理能力の多様化に備え、 情 報 実 習 系 及 び 情 報 講 義 系 科 目 全 て の e-learning 化 を 図 り 、 授 業 と 連 携 し た 様 々 な 活 用 を 実 践 す る 。結 果 、コ ン ピ ュ ー タ 教 室 の 稼 働 率 や 担 当 教 員 の コ マ 数 等 の 物 理 的 ・人 的 な 制 限 を 取 り 払 い 、配 当 年 次 や 履 修 学 期 に 関 す る 制 限 や 履 修 の 人 数 制 限 の 廃 止 な ど 、学 生 に 対 し て 自 由 度 の 高 い 学 習 条 件 を 創 出 す る 。 第 二 に 、 専 門 教 育 課 程 で の 実 践 的 な IT ス キ ル 教 育 へ の 社 会 的 要 請 に 応 え て 、 情 報 キ ャ リ ア ア ッ プ 科 目 を 開 設 す る 。 学 生 は 先 の e-learning 化 し た 内 容 に 基 づ き 知 識 を 整 理 し 、ニ ー ズ に 根 ざ し た 情 報 関 連 テ ー マ に 実 践 的 に 取 組 む 。特 に 、本 学 の e-learning の 取 組 が 学 生 参 加 型 で あ る た め 、 こ れ を 情 報 キ ャ リ ア ア ッ プ 科 目 の 一 テ ー マ に 設 定 す る 。一 連 の 取 組 を 通 じ 、e-learning を 介 し た 全 学 的 情 報 教 育 の 共 有 に 基 づ く 新 た な 情報キャリアアップ教育の実現を図る。 本取組の概要図 1 (2)背景と目的 情 報 技 術 の 進 歩 と 社 会 基 盤 の 変 化 に 呼 応 し て 、情 報 教 育 の 内 容 は 柔 軟 か つ 大 胆 に 更 新 す る 必 要 が あ る 。本 学 で は 、高 校 で の「 情 報 」の 導 入 に 伴 う 大 学 の 基 礎 教 育 課 程 の 見 直 し や 、社 会で強く求められる実践的な情報スキルの獲得に向けた専門教育課程の再編成を重点課題 と 位 置 づ け 、 平 成 15 年 度 か ら カ リ キ ュ ラ ム 変 更 を 行 い 、 常 に 対 応 を 図 っ て い る 。 基 礎 教 育 課 程 で は 、入 学 時 の コ ン ピ ュ ー タ 利 用 に 関 す る 習 熟 度 の 差 を 吸 収 す べ く 、実 習 と は 別 に ソ フ ト ウ エ ア 活 用 の ガ イ ダ ン ス を 設 け て い る 。ま た 専 門 教 育 課 程 で は 、プ ロ グ ラ ミ ン グ を 中 心 と し た 実 習 系 科 目 数 を 増 や す と 同 時 に 、履 修 し た 学 生 全 て の プ ロ グ ラ ミ ン グ 能 力 の 向 上 を 目 標 に、習熟度別クラスの開設も行っている。 し か し 、コ ン ピ ュ ー タ 教 室 の 稼 働 率 や 情 報 系 教 員 の 実 コ マ 数 と い っ た 物 理 的・ 人 的 な リ ソ ース上の制約が故に、教育方法の工夫・改善に限界が生じてきた。このため本学では、 e-learning を 積 極 的 に 活 用 し て 、来 る べ き 高 校 新 課 程 の 対 策 と 社 会 ニ ー ズ に 応 じ た 実 践 的 な 情 報 に 関 す る 教 育 内 容 の 工 夫・ 改 善 に 柔 軟 か つ 大 胆 に 取 り 組 む 決 意 を 固 め た 。本 学 で は 、理 数 系 の リ メ デ ィ ア ル 教 育 の 分 野 に つ い て 、平 成 12 年 度 か ら e-learning の 取 組 を 既 に 開 始 し 、 学 部 1 年 の 数 学 ( 必 修 ) を 中 心 に ブ レ ン ド ラ ー ニ ン グ を 実 践 し て い る 。 平 成 15 年 度 に は 、 情 報 の 導 入 教 育 に 関 す る 基 本 的 な ソ フ ト ウ エ ア の 活 用 方 法 を 学 習 す る 映 像 教 材 を 制 作 し 、平 成 16 年 度 か ら は 一 部 実 習 内 容 を 置 き 換 え た 。同 様 に 、情 報 数 学( シ ス テ ム 数 学 2 )も 14 週 の 内 、 5 週 を e-learning に 置 き 換 え 、 同 5 週 分 を 少 人 数 の 対 面 型 の 口 頭 試 問 に 振 り 替 え た 。 さ ら に 、 C 及 び Java 言 語 等 の プ ロ グ ラ ミ ン グ 教 育 で は 、 平 成 15 年 度 か ら 演 習 教 材 の 一 部 e-learning 化 を 進 め て い る 。 本 学 の 教 育 理 念 は 、物 理 ・ 化 学 ・ 電 子 ・ 情 報 等 の 理 学 及 び 工 学 分 野 の 融 合 に あ る 。こ の た め、実験・実習系科目を基礎から専門教育課程への橋渡しと位置づけ、1 年次から 3 年次ま で 継 続 的・ 段 階 的 に 配 置 し て い る 。特 に 実 習 系 科 目 で は 、コ ン ピ ュ ー タ を 使 っ た 解 析 能 力 と ソフトウエアを創り出すためのプログラミング能力といった社会ニーズにマッチした高度 な情報処理能力の育成を目的としている。 本 取 組 で は 、 情 報 教 育 に 関 連 す る 全 科 目 の e-learning 化 を 図 り 、 従 来 の 一 斉 授 業 か ら 脱 却 し 、e-learning と 対 面 教 育( ス ク ー リ ン グ )を 効 果 的 に 併 用 し た 新 た な 授 業 へ と 変 更 し て い く 。こ れ に よ り 、基 礎 教 育 課 程 の 学 生 に は 、多 様 化 し た 基 本 情 報 処 理 能 力 に 対 す る き め 細 や か な 授 業 支 援 を 行 い 、専 門 教 育 課 程 へ の 接 続 段 階 に あ る 学 生 に は 、教 員 と の 密 な 相 互 作 用 を 通 じ た 専 門 教 育 へ の 具 体 的 な 動 機 付 け を 図 る 。 さ ら に 、 社 会 で 求 め ら れ る 実 践 的 な IT ス キ ル 獲 得 に 向 け て 、専 門 教 育 科 目 群 と 卒 業 研 究 を 適 合 さ せ る 情 報 キ ャ リ ア ア ッ プ 科 目 を 開 設 し 、e-learning コ ン テ ン ツ 開 発 や シ ス テ ム 構 築 に 代 表 さ れ る 学 内 及 び 地 域 ニ ー ズ に 根 ざ し た 具体的な情報関連テーマに対するプロジェクト教育を実現する。 (3)効果 本 取 組 は 、大 学 を 高 校 と 社 会 と を 接 続 す る 中 核 機 関 と し て 明 確 に 位 置 づ け 、特 に 情 報 教 育 に 関 わ る カ リ キ ュ ラ ム を 通 し て e-learning を 効 果 的 に 活 用 し よ う と す る 試 み で あ る 。 高 校 の 情 報 導 入 に よ る 大 学 の 初 年 度 教 育 の 改 訂 や 社 会 か ら 求 め ら れ る IT ス キ ル 教 育 は 、 情 報 教 育 を コ ア カ リ キ ュ ラ ム と す る 全 て の 大 学 が 抱 え る 問 題 で あ る が 、 本 学 の e-learning に よ る 取 組 は 、 社 会 的 な 波 及 効 果 が 高 い 。 教 材 は も ち ろ ん の こ と 、 e-learning の 構 築 手 法 や 授 業 方 法 を 広 く 公 開 し 、 先 行 的 に 進 め ら れ て い る リ メ デ ィ ア ル 向 け e-learning で は 、 他 の 中 等 教 育 機 関 や 他 大 学 約 60 機 関 で 9000 名 に 及 ぶ 学 習 者 が 実 際 に 利 用 す る 実 績 を 持 つ 。今 回 開 発 す る 情 報 に つ い て の e-learning 教 材 も 積 極 的 な 公 開 を 行 い 、 上 記 を 含 め た 他 教 育 機 2 関への普及に努める。 また、従来の講義・演習とは異なり、実社会に近い立場での実践的なスキル獲得に向け た取組を、大学の科目体系と連携しながら実行しようとする特色のある教育プログラムで あ る 。 大 学 と 社 会 の 乖 離 が 問 題 と な る 今 、 大 学 の コ ア カ リ キ ュ ラ ム に e-learning を 効 果 的 に 適 用 し 、 地 域 と 連 携 し た 学 生 プ ロ ジ ェ ク ト に よ る 実 践 的 な IT 教 育 を 実 現 す る こ と は 、 現 代的な教育手法として他大学の参考になるテーマと考える。 (4)特徴 本 取 組 の 独 創 性 お よ び 新 規 性 は 、入 学 か ら 卒 業 に 至 る 連 続 的 な 大 学 教 育 課 程 に e-learning を 効 果 的 に 適 用 し 、大 学 の 持 つ 教 育 ポ リ シ ー を 実 現 し よ う と す る 点 で あ る 。第 一 の ス テ ッ プ で は 、 入 学 前 の 情 報 処 理 能 力 の 多 様 化 に 対 応 す る た め の e-learning 導 入 の み な ら ず 、 大 学 で の 教 育 内 容 の デ ー タ ベ ー ス 化 に 基 づ き 、 専 門 教 育 を 含 む 全 学 情 報 系 科 目 群 の e-learning 化 を 図 る 。そ し て 次 の ス テ ッ プ で 、e-learning に よ る 取 組 に よ っ て 初 め て 開 設 が 可 能 と な る 少 人 数 対 面 型 の 情 報 教 育 科 目 を 通 じ て 、社 会 的 な ニ ー ズ に 応 え 得 る「 実 践 力 の あ る 」人 材 の 育 成 を 目 指 し て い る 。 特 に e-learning の 開 発 自 体 を 上 記 開 設 の 情 報 教 育 科 目 と リ ン ク さ せ る こ と で 、e-learning を 受 け る 側 だ け で な く 、作 る 側 に も 学 生 を 介 在 さ せ 、単 位 を も っ て 学 生 教 育 に 結 実 さ せ る 。 本 学 に お け る e-learning の 取 組 は 、 す べ て 学 内 プ ロ ジ ェ ク ト の 形 式 で進められている。 3 e-learning を 介 し た 情 報 系 カ リ キ ュ ラ ム の 関 係 図 情 報 系 科 目 で 既 に 使 わ れ て い る 本 学 オ リ ジ ナ ル な e-learning 教 材の 例 4
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