第5学年 算数科学習指導案

第5学年
算数科学習指導案
平成27年7月8日(水)
第5学年2組
指導者
1 単元名
大内
35名
勝裕
「小数のわり算」
2 単元の目標と評価規準
【目標】
除数が小数の除法の意味や計算の仕方について理解する。
【評価規準】
関心・意欲・態度
除数が小数の場合について、計算の意味を整数の場合を基により広く一般化して
用いられるように考えたり、計算の仕方を十進位取り記数法の仕組みを基に考え
たりしようとする。
数学的な考え方
除数が小数である場合の除法の意味や計算の仕方について、数直線や除法の性質
などを用いて考え、説明し、まとめることができる。
技 能
除数が小数の場合の除法の計算をすることができる。
知識・理解
除数が小数の場合の除法の計算の意味や計算の仕方について理解する。
3 単元について
本単元で学習する除法については、第3学年で整数の除法を、第4学年で除数が整数である場合の 小数
の除法を学習してきている。本単元では、除数が小数である場合の小数のわり算の意味と、その計算方法を
理解させることを意図している。
計算技能を習熟することも大切であるが、機械的に商を求めるのではなく、計算の仕方を考えたり小数で
わる意味を理解したりすることも丁寧に指導していきたい。また、文章問題で立式が苦手な児童は多い。文
章の意味をしっかり理解した上で立式ができるように、数直線を活用していく。問題に出てくる数値の関係
を視覚的にとらえさせ、言葉と数直線と式を関連させて考えさせることで、立式が確実なものとなる。
前単元の「小数のかけ算」の学習でも数直線を活用してきた。本単元でも、文章の意味を考え、数直線
に表すことで、立式ができるようにしていきたい。
4 児童の実態
算数への意識を調査したところ「①算数の授業は楽しいですか。」に対して、授業が楽しいと肯定的に捉
えている児童は、約8割であった。また「②5年生の学習(授業)はよく分かりますか。」に対して、約9
割の児童が「分かる」と評価していた。数字だけ見れば高いように感じるが、児童の振り返りや分かったこ
とを改めて説明することを求めると、自分の言葉で説明することが難しいようである。ただ、意欲的に取り
組み「できるようになりたい」という意識は高く、課題に真剣に取り組む様子が見られる。
図や言葉などで説明する学習を進めているが、「小数のかけ算」の単元から数直線を活用した説明につい
て指導している。数直線を書く練習を積むことにより、問題場面をより分かりやすく捉えることができるよ
うになってきた。「③数直線を書くことができますか。」に対して、約9割の児童が書くことができるとし
ている。ほとんどの児童が書けているように感じるが、児童のノートを見ると正しく書けているとは言い難
い。「④数直線を使って式を正しく立てることができますか。」では、約2割の児童が自信をもって立式す
1
ることができていない。このような実態を踏まえ、数直線を使った考え方を「小数のわり算」の学習におい
ても定着を図りながら、正しく立式できるようにさせたいと考えている。
最後に、「⑥友達の考えを聞き、役立っていますか。」に対しては、ほぼ全員が友達の考えが自分の理
解に役立っていることが分かった。一方で「⑤自分の考えを相手に分かりやすく伝えることができますか。」
に対しては、3割の児童が苦手と感じている。自分の考えを表現する中で、教師や友達から価値付けられ
る体験を重ねることにより、説明の仕方も向上していくと考える。算数が楽しいと感じている中で、挙手
をして積極的に発言する児童だけに頼るだけではなく、友達との交流による学び合いの中からクラス全体
で理解を深められるようにしていきたい。
算数アンケート
回答数(35人)
①算数の授業は楽しいです
か。
②5年生の学習(授業)はよ
く分かりますか。
③小数のかけ算・わり算で数
直線を書くことができます
か。
④数直線を使って式を正しく
立てることができますか。
⑤自分の考えを相手に分かり
やすく伝えることができます
か。
⑥友達の考えを聞き、役立っ
ていますか。
⑦友達との交流でよかった場
面はどんなときでしたか。
はい
16
(45%)
22
(64%)
21
(60%)
どちらかというとはい
12
(34%)
11
(31%)
11
(31%)
どちらかというといいえ
7
(20%)
2
(5%)
3
(9%)
20
(57%)
6
(17%)
8
(23%)
18
(52%)
7
(20%)
11
(31%)
23
11
1
(66%)
(31%)
(3%)
・自分の考えが違ったとき「ああそうなんだ」「なるほど」と新しい発見ができ
る。
・友達が考えを説明する際、例を用いていたとき
・みんなの意見を参考にして考えることができるようになった。
・自分がまだ知らないことを教えてくれて「その考えがあったのか。」とひらめ
くとき。
・自分がまちがっていたときに教えてくれたとき
・自分とはまったくちがう考え方で理由もしっかりしていて、今度はこうやって
みようかなと思った。
・式は同じでも、考え方がちがう人もいっぱいいるので、その考えを聞いて人に
自分の意見を伝える時に分かりやすく説明できたとき。
・聞いて自分の考えが変わったとき。
・分からなかった時に分かりやすく、詳しく説明してくれたとき。
・自分の意見が相手に伝わったとき。
・同じ意見で確認し合ったとき。
・小数のわり算を学習室でやったときに、お店を開いてみんなの考えをきくこと
ができてよかったとき。
・友達の考えを使ってやってみようと思ってやるとき。
2
5 指導計画
時
1
・
2
3
・
4
目標
学習内容
○小数でわることの意味や
・自分の考えで立式する。
整数÷小数の計算の仕方を
・その式になる理由を、数直線や言葉
理解し、その計算ができる。 の式などを用いて考え説明する。
・300÷2.5 の計算の仕方を考える。
・300÷2.5 の計算の仕方をまとめる。
○小数÷小数の計算の仕方
・7.56÷6.3 の計算の仕方を考える。
について理解する。
・小数÷小数の筆算の仕方をまとめ
○小数÷小数の筆算の仕方
る。
を理解し、その計算ができる ・2.34÷3.9、1.8÷2.4、8÷2.5 の筆
ようにする。
算の仕方を考える。
5
○純小数でわると、商は被除
数より大きくなることを理
解する。
6
○小数の除法で余りの意味
・2.5mのリボンを、1人に 0.7mずつ
を理解し、余りを求めること 配ると何人に配れて、リボンはどれだ
ができる。
け余るかを考える。
・小数の除法の、余りの小数点を打つ
位置についてまとめる。
○小数の除法で商を概数で
・わり切れないときの商の表し方につ
求めるときの処理の仕方を
いて考え、上から2桁の概数で求め
理解する。
る。
・わり算でわり切れないときや商の桁
数が多いときなど、商を概数で表すこ
とがあることをまとめる。
○数直線を用いた除法の演
・4.5mの重さが 0.9 ㎏のホースにつ
算決定について理解を深め
いて、ホース1mの重さ、1 ㎏の長さ
る。
を求める式を、数直線を活用しながら
考える。
7
8
(
本
時
)
9
10
11
12
・
13
・
14
・240÷1.2 と 240÷0.8 の計算をして
商と被除数の大きさを比べる。
・純小数でわると、商が被除数より大
きくなることをまとめる。
主な評価規準
【関】÷小数という式の根拠や計算の
仕方を比例や小数倍の考えを用いて、
説明しようとしている。
【考】整数÷小数の意味や計算の仕方
を既習事項や数直線を用いて考える。
【考】小数÷小数の計算の仕方を、除
法の性質を用いて整数の計算に帰着
して考え、説明している。
【技】小数÷小数の筆算(商が純小数
や、被除数に0を補う場合を含む)が
できる。
【知】小数÷小数の筆算の仕方を理解
している。
【考】1を基準とした除数の大小に着
目して、被除数と商の大小関係につい
て、数直線を用いて考え、説明してい
る。
【技】除数を見て、商と被除数の大小
を判断することができる。
【技】余りを求める場合の小数の除法
の計算ができる。
【知】筆算による余りの小数点の位置
を理解している。
【技】小数の除法の商を、必要な桁数
の概数で求めることができる。
【考】問題場面に合った除法の立式の
根拠について、数直線を用いて考え、
説明している。
○比較量、基準量が小数の場 ・3.6 ㎞、1.8 ㎞は 2.4 ㎞の何倍か(2.4
合も、倍を求めるときは除法 ×□)を求める方法を考える。
を用いればよいことを理解
・比較量や基準量が小数の場合でも倍
する。
を求める除法を使うことができるこ
とをまとめる。
○倍を表す数が小数の場合
・630gが基準量の 1.8 倍にあたると
も、基準量を求めるときは□ きの、基準量の求め方を考える。
を用いて除法の式に表し、除 ・基準量を求めるには、□を使って乗
法を用いて□を求めればよ
法の式に表して考えればよいことを
いことを理解する。
まとめる。
○差による比較の他に、倍を ・150÷120、1530÷1500 の計算をして、
使っても比較できることを
値段の上がり方を、倍を使って比べ
理解する。
る。
【知】比較量、基準量が小数の場合で
も、倍を求めるには除法を用いればよ
いことを理解している。
○学習内容を適用して問題
・「力をつけるもんだい」に取り組む。
を解決する。
・「しあげ」に取り組む。
○学習内容の定着を確認し、
理解を確認する。
【技】学習内容を適用して、問題を解
決することができる。
【知】基本的な学習内容を身につけて
いる。
3
【技】倍を表す数が小数の場合も、未
知数を□として用いて数量の関係を
乗法の式に表し、基準量を求めること
ができる。
【知】目的に応じて倍を使って比較す
る場合があることを理解している。
6 本時について(8/14)
(1) ねらい
数直線を用いた除法の演算決定について理解を深める。
(2)展開
○学習活動 T主な発問 C予想される児童の反応
☆指導上の留意点 ◎評価【観点】
○本時の課題を捉える。(5分)
4.5mのホースがあります。重さは、0.9 ㎏です。
T
どんな式になりそうですか。
☆課題を提示後、問題の続きを類推させ、問題場
C
求めるものが分からない。
面を設定し、解決するための意欲付けを行う。
T
では、この続きのわり算の問題はどうなりますか。
また具体物を提示することにより、課題のイメ
C
1mの重さは何㎏ですか、という問題。
ージを持たせる。
T
1mあたりの重さを求める問題ですね。他にはありま
すか。
☆児童の発言から、「1mの重さ」や「1㎏の長
C
1㎏の長さは何mですか、という問題。
さ」を板書することによって、2つの問題場面
T
1㎏あたりの長さを求める問題もできそうですね。
があることを捉えさせる。
T
それぞれの問題について式を正しく立てることができ
そうですか。
C
できる。
C
あまり自信がない。
T
式を立てるためにわり算の学習で使ってきた考え方は
何がありましたか。(昨日までのノートを見てみまし
ょう)
☆既習したノートを振り返らせることで数直線を
C
数直線。
活用したことを想起させる。
T
そうですね。では、2つの問題について、数直線を使
って式を立て説明しましょう。
数直線を使って式を立て、説明しよう。
○自分で考える。(8分)
C
1mの重さは何㎏ですか。
☆時間内に最低1つの問題を解くように促す。自
分で考える活動では、①数直線を書く、②数直
×4.5
0
□
0.9
線に必要な数値、矢印、単位を書く、③式を立
重さ
㎏
てる、この過程を踏みながら説明することを伝
長さ
m
える。
0
1
4.5
×4.5
1mのときの重さが分からないから□とする。
4.5mのときの重さは0.9㎏。
長さが4.5倍になっているから、重さも4.5倍。
□×4.5=0.9
□=0.9÷4.5
答え
0.2 ㎏
4
修正及び誤記がありました。(両面記載です。)
÷4.5
0
□
×4.5
0.9
重さ
㎏
長さ
m
0
1
×4.5
4.5
÷4.5
4.5mを 4.5 で割ると1になる。
だから 0.9 も 4.5 で割る。
0.9÷4.5
C
1㎏の長さは何mですか。
☆課題解決に時間を要する児童、苦手な児童に対
×0.9
0
4.5
□
して、数直線の書き方が分からないのか、式の
長さ
m
重さ
㎏
0
0.9
説明に自信がもてないのかなど助言する。
1
×0.9
1㎏のときの長さが分からないから□。
0.9kg のときの長さは4.5m。
重さが0.9倍になっているから、長さも0.9倍。
□×0.9=4.5
□=4.5÷0.9
答え
5m
○友達と学び合う。(ペア学習・少人数(3~4人)学習)
☆学習形態の工夫として、複数の相手と説明した
(10分)
り、聴いたりしながら学び合う活動を設定する。
1問(2問)を自力解決し、交流させる。
T
2つの問題の式が正しいか、数直線を使いながら相手
に分かるように説明しましょう。
A組:2問を解くことができる。
B組:1問
自分の考えと比較したり、友達の考えの良い所を見つ
けたりしながら聞く、分からないことがあれば、相手に
C組: 数直線を書いたが立式まででき
なかった(0問)
質問しましょう。
☆基本は2問を解いたことを前提に進めるが、1
問だけ解くことができた、または数直線が書け
なかった児童がいることも想定されるので、実
態に応じながら交流させる。
(A-C、B-Bで始める。)
→(A-B、A-Cで始める。)【修正案】
【話し手】相手に分かってもらえるように数直線
を使いながら立式した過程を説明させる。
【聞き手】相手がどんな考えをしているか聞き取
るようにさせる。必要に応じて質問し、式の根
拠を理解させる。
5
☆友達の考え方と比較しながら問題に適した数直
線が書けなかった際、友達に質問しながら徐々
に理解できるようにする。
○みんなで確かめる。(共有する)(8分)
T
☆交流後ノートをまとめ直す時間を設定し、考え
二つの問題について、立式の仕方が分かるようになり
を修正させる。
ましたか?
C
よく分かった。
☆説明の仕方が良かった児童、分かるようになる
C
分かるようになってきた。
C
あともう少し。
T
みんなで確認してみましょう。
まで努力していた児童を賞賛し、価値付ける。
☆2つの問題に適した数直線を提示し、数直線を
1mの重さを求める
→
0.9÷4.5(答え
0.2 ㎏)
見比べさせ、ペア・少人数集団による交流後、
1㎏の長さを求める
→
4.5÷0.9(答え
5㎏)
本当に式が正しいかどうか全体で確認すること
により、理解を深められるようにする。
T
数直線の図を見ると、数直線の下(重さ)の方が倍に
なっているから、上(長さ)も倍になる。だから□を
☆数直線の書き方を児童と確認しながら補助指導
を行い、確かな理解を図るようにする。
出すために、わり算を使えばいいですね。
☆全体で共有したことを本当に理解できているか
どうか、隣席の児童同士で確認させる。
○学習内容を活用する。(11分)
T
学習を生かし、次の問題を解きましょう。
1.5L のオリーブオイルがあります。重さは 1.2 ㎏です。
問題を選択し、問題に合った数直線を書いて正しい式を
立てましょう。
☆本時の活動で学習したことを活用しながら問題
を解決させる。
①このオイルの1Lの重さは、何kgになりますか。
C
1.2÷1.5=0.8
(答え
0.8 ㎏)
◎問題場面に合った除法の立式の根拠について、
②このオイルの1㎏の体積(量)は、何Lになりますか。
C
1.5÷1.2=1.25
(答え
数直線を用いて考え、説明している。
1.25L)
【考】→ノート(数直線の表現)
○今日の学習を振り返る。(3分)
T
今日の学習は、式を立てるために数直線を使って説明
する学習でした。学習する前と今では、どのようなこ
とが分かるようになりましたか。
C
数直線を書くと、何の数で割ればよいか分かるので正
しい式が立てられる。
C
正しい式かどうか、数直線を書いて確かめることがで
きる。
6
☆児童の振り返りからまとめの言葉へとつなげる
ようにする。
(3)
板書計画
7/8
あ数直線を使って式を立て、説明しよう。
<1>4.5mのホースがあります。
重さは、0.9 ㎏です。
→2つの問題ができる。
・1mの重さは何㎏ですか。
×0.9
0
□
0
0.9
重さ
㎏
長さ
長さ
m
重さ
0
1
4.5
×4.5
<3>
・1㎏の長さは何mですか。
×4.5
<2>
1.5Lのオリーブオイルがあります。重さは、1.2 ㎏です。
□×4.5=0.9
□=0.9÷4.5
(答え 0.2 ㎏)
4.5
□
m
・1Lの重さは何㎏ですか。
1.2÷1.5=0.8
(答え 0.8 ㎏)
㎏
0
0.9
1
×0.9
□×0.9=4.5
□=4.5÷0.9
(答え 5m)
※少人数算数ノートの書き方に準じている。
<1>問題 <2>自分の考え方 <3>友達の考え方
<4>まとめ
7
・1㎏のかさは何Lですか。
1.5÷1.2=1.25
(答え 1.25L)(㎏:誤記)
<4><5>
数直線を書けば、正しい式かどうかが分かる。
何の数で割ればよいか分かりやすくなる。
<5>学習感想・報告