Intraoperative navigation evaluation of tibial translation after

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Title
Author(s)
Intraoperative navigation evaluation of tibial
translation after resection of anterior cruciate
ligament remnants
前田, 周吾
Citation
Issue Date
URL
2015-03-24
http://hdl.handle.net/10129/5620
Rights
Text version
ETD
http://repository.ul.hirosaki-u.ac.jp/dspace/
医共様式1
学位請求論文の内容の要旨
論文提出者氏名
整形外科学講座
前田周吾
(論文題目)
Intraoperative navigation evaluation of tibial translation after resection
anterior cruciate ligament remnants.
(術中ナビゲーションを用いた遺残前十字靱帯の脛骨制動性に及ぼす影響の検討)
of
(内容の要旨)
【はじめに】
膝 前 十 字 靱 帯( ACL)損 傷 は ス ポ ー ツ に お け る 膝 関 節 靱 帯 損 傷 の 中 で 最 も 頻 度 が 高 い 。
ACL は 一 旦 断 裂 す る と 自 然 治 癒 す る こ と は な く 、放 置 さ れ る こ と で 関 節 不 安 定 性 が 残 存
し 、 二 次 的 に 変 形 性 膝 関 節 症 へ と 進 展 す る 。 こ の た め ACL 損 傷 膝 に 対 し て は 再 建 術 が
治 療 の 第 一 選 択 で あ る 。 ACL 再 建 術 で は 正 常 ACL 付 着 部 に 移 植 腱 を 設 置 す る こ と が 重
要 で あ り 、さ ら に 治 療 成 績 を 向 上 さ せ る た め に 遺 残 ACL を 温 存 し た 術 式( ACL 補 強 術 )
が 行 わ れ る よ う に な っ て き た 。 遺 残 ACL は 様 々 な 形 態 で 関 節 内 に 残 存 し て お り 、 移 植
腱の成熟や膝関節の固有感覚に有利に作用すると報告されているが、関節安定性に与え
る生体力学的機能は明らかではない。我々は術中ナビゲーションシステムを用いて遺残
ACL 切 除 前 後 で の 膝 関 節 安 定 性 を 測 定 し 、 遺 残 ACL が 膝 関 節 の 生 体 力 学 的 機 能 に 与 え
る影響について検討した。
【方法】
2008 年 6 月 か ら 2009 年 12 月 に 施 行 し た ACL 再 建 術 83 例 を 対 象 と し た 。 男 性 43
名 、 女 性 40 名 、 平 均 年 齢 26.3 歳 ( 12~ 58 歳 ) で 、 受 傷 か ら 手 術 ま で の 期 間 は 平 均 34
週( 1 週 ~ 10 年 )で あ っ た 。本 研 究 で は 術 前 の CT 画 像 や 術 中 の X 線 透 視 が 不 要 な イ メ
ー ジ フ リ ー ナ ビ ゲ ー シ ョ ン シ ス テ ム ( OrthoPilot ACL version 2.0) を 使 用 し た 。 本 シ
ステムは関節内外の解剖学的ランドマークの位置情報と膝関節キネマティクスをレジ
ストレーションすることにより、コンピュータ内で膝関節の三次元座標を構築し、膝関
節 安 定 性 を 評 価 す る こ と が で き 、 そ の 精 度 は ±1mm、 ±1 ˚ で あ る 。
は じ め に 膝 関 節 内 に 関 節 鏡 を 挿 入 し 、 遺 残 ACL の 形 態 を 評 価 し た 。 鏡 視 所 見 か ら 遺
残 ACL を type 1: 後 十 字 靭 帯 に 付 着 、 type 2: 顆 間 窩 天 井 に 付 着 、 type 3: 顆 間 窩 外 側
壁 に 付 着 、 type 4: 付 着 部 位 な し 、 に 分 類 し た 。 次 に 膝 関 節 屈 曲 15 ゚~ 90 ゚ま で 15 ゚毎
に 、 ナ ビ ゲ ー シ ョ ン シ ス テ ム を 用 い て 徒 手 最 大 脛 骨 前 方 移 動 量 ( Anterior Tibial
Translation: ATT)と 脛 骨 内 ・ 外 旋 角 度 を 計 測 し た 。 そ の 後 、 鏡 視 下 に 遺 残 ACL を 切 除
し 、再 度 ナ ビ ゲ ー シ ョ ン シ ス テ ム を 用 い て ATT と 脛 骨 内・外 旋 角 度 を 計 測 し た 。本 研 究
で は 遺 残 ACL の type 毎 に 切 除 前 後 の ATT と 脛 骨 内・外 旋 角 度 の 総 和 を t 検 定 で 比 較 し
た 。 ま た 各 膝 関 節 屈 曲 角 度 に お け る ATT 変 化 量 ( Δ ATT) の type 間 の 比 較 に は 一 元 配
置 分 散 分 析 を 行 い 、 事 後 検 定 と し て Tukey 法 に よ る 多 重 比 較 を 行 っ た 。 遺 残 ACL 切 除
後 に い ず れ か の 膝 関 節 屈 曲 角 度 で ATT が 3mm 以 上 増 加 し た 症 例 の 鏡 視 所 見 を 評 価 し
た 。 統 計 処 理 に は SPSS ver. 12.0 を 用 い 、 有 意 水 準 を 5%と し た 。
【結果】
Type 3 で は 膝 関 節 屈 曲 15 ゚に お け る 遺 残 ACL 切 除 前 の ATT は 13.0±2.7mm で あ り 、
切 除 後 は 13.5±2.6mm へ 有 意 に 増 加 し た( p=0.03)。し か し 他 の 膝 関 節 屈 曲 角 度 で は 遺
残 ACL 切 除 前 後 で ATT に 有 意 差 を 認 め な か っ た 。他 の type で は 全 て の 膝 関 節 屈 曲 角 度
で 遺 残 ACL 切 除 前 後 の ATT に 有 意 差 を 認 め な か っ た 。 脛 骨 内 ・ 外 旋 角 度 の 総 和 は 全 て
の type に お い て 遺 残 ACL 切 除 前 後 で 有 意 差 を 認 め な か っ た 。 Δ ATT は 全 て の type で
有 意 差 を 認 め な か っ た 。 遺 残 ACL 切 除 後 に ATT が 3mm 以 上 増 加 し た 症 例 は 12 例
(14.5%)で あ り 、 こ の 12 例 は す べ て 遺 残 ACL が 顆 間 窩 外 側 壁 に 付 着 す る type 3 で あ っ
た。
【考察】
本 研 究 で は ナ ビ ゲ ー シ ョ ン シ ス テ ム を 用 い て 遺 残 ACL の 生 体 力 学 的 機 能 を 評 価 し た 。
遺 残 ACL が 顆 間 窩 外 側 壁 に 付 着 す る も の の 一 部 で は 僅 か に 膝 関 節 前 方 制 動 性 に 対 す る
生 体 力 学 的 機 能 が 残 存 し て い る 可 能 性 が 示 さ れ た が 、 多 く の 遺 残 ACL に は 膝 関 節 安 定
性 に 十 分 な 機 能 を 有 し て い な い こ と が 明 ら か と な っ た 。 正 常 ACL は 解 剖 学 的 に 前 内 側
線 維 束( AM 束 )と 後 外 側 線 維 束( PL 束 )の 2 つ の 線 維 束 に 大 き く 分 け ら れ る 。過 去 の
生 体 力 学 的 研 究 か ら AM 束 と PL 束 は 、 膝 関 節 の 屈 曲 ・ 伸 展 に 伴 い 異 な る 機 能 を 有 す る
こ と が 知 ら れ て お り 、 そ れ ぞ れ を 再 建 す る 二 重 束 再 建 術 が 広 く 行 わ れ て い る 。 AM 束 は
よ り 屈 曲 位 で 、PL 束 は 主 に 伸 展 位 付 近 に お い て 膝 関 節 の 前 方 制 動 性 に 関 与 し て い る が 、
本 研 究 で は そ の よ う な パ タ ー ン を 有 す る 遺 残 ACL は 存 在 し な か っ た 。 近 年 、 遺 残 ACL
を 温 存 し て AM 束 も し く は PL 束 の い ず れ か を 再 建 す る ACL 補 強 術 が 注 目 さ れ て い る
が 、 遺 残 ACL に 十 分 な 生 体 力 学 的 機 能 が な い 場 合 に は 正 常 な 膝 関 節 安 定 性 を 再 獲 得 す
る こ と は で き な い 。し た が っ て ACL 補 強 術 は 遺 残 ACL に 生 体 力 学 的 機 能 を 有 す る 症 例
に 限 定 さ れ る べ き で あ る 。 本 研 究 の 結 果 よ り 遺 残 ACL は 膝 関 節 安 定 性 に 対 す る 十 分 な
生 体 力 学 的 機 能 が な い こ と が 明 ら か と な り 、ACL 補 強 術 は 多 く の 症 例 で 適 応 と な ら な い
と考えられた。
※1
※2
乙 の 場 合 ,○ ○ 領 域 ○ ○ 教 育 研 究 分 野 に か え て ,所 属 の ○ ○ 講 座 を 記 入 す る こ と 。
論文題目が英文の場合は(
)内に和訳を付記すること。