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著者:ブライアン・トレーシー
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監修:ラーニングエッジ株式会社
はじめに
こんにちは、ブライアン・トレーシーです。
仕事やプライベートにおける成功の 85%は、
次の 2 つの要素で決まると言われています。
1.どれだけ上手く自分のメッセージを相手に伝えるか
2.自分のアイディアや指示に沿って
どれだけ上手く人を動かせるか
ブライアン・トレーシー
もちろん、それ以外にも学歴やコネクション、
知性などの要因があるかもしれません。
しかし、他者と効果的な関係性を築くことができれば、
関係構築にかけた時間の分、あなたの未来への可能性は広がってゆくのです。
このレポートでは、効果的なコミュニケーションを促進するための
方法やアイディア、そしてスキルをお教えします。
ですがその前に、まずはコミュニケーションにまつわる、
2つの神話についてお話をしたいと思います。
神話 1.話すこと=コミュニケーションではない
多くの人が信じている第 1 の神話は、
『話すことがコミュニケーションだ』ということです。
調査によれば、特に男性は、大きな声で速く話すことにより、
人に影響力を与えることができると考える傾向があるようです。
また多くの人にとっては、頭に思い浮かんだ話題を
そのまま他人に伝えることに抵抗がなかったり、
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おしゃべりの才能がある人は、良い「コミュニケ―タ―」だ
と考えている場合が多いのです。
しかしほとんどの場合、真実はこの逆なのです。
たくさん話す人の多くは
「未熟なコミュニケ―タ―」であり、
さらには「ひどいコミュニケ―タ―」
になってしまっているのです。
セールスやビジネスに携わる多くの人は、
呼吸を置かずにたくさんの言葉を繰りだすことで、
他の人にメッセージを伝え、上手く理解させるようにできると考えています。
しかしほとんどの場合、このような人達は相手から
つまらない、もしくは不快な人だと見られることが多いのです。
ここではっきりとお伝えしたいのは、
話す能力とコミュニケーション能力は別物だということです。
後に触れますが、コミュニケーション能力とは、
メッセージを送る能力、受け取る能力の両方のことを指します。
そして誰かの考えや感じ方、そして行動に大きな影響を与えるものなのです。
ですから、自分自身のことを話し上手だと考えている人の多くは、実はそれほ
どの影響力はありません。
「話すこととコミュニケーションを取ることは同じだ」
という神話を信じるのはやめましょう。
コミュニケーションを行う際には、決して自己満足してはいけません。
複数の人と話す力はコミュニケーションのための最低条件です。
それは出発点に過ぎません。
効果的なコミュニケーションは全くの別物なのです。
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神話2. コミュニケーションスキルは学習可能なスキル
コミュニケーションにまつわる2つ目の神話は、
『コミュニケーションスキルは天性のものだ』
というものです。
コミュニケーション上手か否かは
そのスキルを持ち合わせているかそうでないかの違いだ、という思い込みや、
内向的で、集団行動が苦手で、社交的でもない場合には
良いコミュニケ―タ―になるための素質を持ち合わせていない、
といった考え方です。
しかしこれもまた、事実とは程遠いものです。
コミュニケーションは、学ぶことができるスキルなのです。
自転車に乗ることや、タイピングをすることと同じです。
時間がかかりますし、何度も練習が必要です。
それでも継続的に取り組めば、コミュニケーションスキルは上昇し、
あなたの人生のあらゆる場面において、
状況がすぐに改善していくのを感じられるはずです。
コミュニケーションには、
必ず送信者と受信者の両方がいます。
2 人以上の人がアイディアを交換した時には、
必ず同じプロセスが踏まれます。
まず、送信者が受信者に送りたいと考えるアイディア
やイメージを考えます。そして送信者は、アイディアやイメージを話し言葉や
書き言葉の形に変換します。それらの言葉は、受信者に送られる基本的なメッ
セージを作り上げます。
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そして受信者は、野球選手がボールをキャッチするように、
その言葉をキャッチします。
そして、送信者のメッセージを理解するために、
送られてきた言葉をアイディアやビジュアルに変換するのです。
さらに受信者はその言葉の意味を読みとり、
アイディアやイメージを言葉に変換することで返事をし、
それらの言葉を送信者に送ります。
そしてメッセージが送られ、受信者がそのメッセージを
返事として受け取ったことを確認し、受け入れ、理解した時、
コミュニケーションは初めて成り立つのです。
このプロセスは、確かに複雑です。
人と人、または組織の中で起こる問題の99%は、
コミュニケーションの破綻によって起こるもの
だと言えるでしょう。
コミュニケーションの破綻は、
送信者が自分のメッセージを明確にしていないか、
受信者がそのメッセージが意図する内容を受けとっていないか
どちらかが考えられます。
コミュニケーションの障害となりうる要素は膨大な数があり、
その中のどの要素も、伝えたいメッセージに
歪みを生じさせる可能性があります。
おそらく、あなたがこれから直面するあらゆる問題は、
何らかの形でこのコミュニケーションのプロセスの中で起こった失敗に
関わっているでしょう。
このことに関して詳しく説明します。
コミュニケーションの専門家であるアルバート・メラビアンによれば、
対面で行う全ての直接的なコミュニケーションには、3つの要素があります。
それは、言葉、声のトーン、仕草です。
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さらに伝えたメッセージのうちの7%は言葉が担っており、
38%が声のトーン、そして仕草が55%も占めているのです。
ですから、効果的にコミュニケーションを行うには、
この3つの要素が一貫していなければなりません。
もしもそこに矛盾があれば、メッセージの受信者は混乱し、
意図するメッセージの意味を受け取るのではなく、
3要素のうち最も強力で影響力のあるものから
意味を読み取ってしまうでしょう。
ごくまれに、悪気があって言ったわけではないのに、
相手があなたの言動に気分を害することがあるかもしれません。
その場合、相手に対して自分のメッセージが誤解されていることを伝えると、
相手は声のトーンが問題だったと言うでしょう。
仕草
コミュニケーションの3つ目の要素である仕草も、
とても重要です。
あなたの座り方、立ち方、
頭の傾け方や目の動きは、相手が受け取る
メッセージに大きな影響を及ぼします。
例えば、話している相手の方向に身体を傾けるだけで、
コミュニケーションの効果を劇的に高めることが出来ます。
もしも座っている状態であれば、これは簡単です。
立っている状態なら、重心を前方に向け、
話している相手に少し身体を傾けることで、同じ効果を得ることが出来ます。
また、相手の話を集中して聞いている姿勢と合わせて相手の目をまっすぐ見れ
ば、会話が持つ影響力は倍増します。
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実際、会話を止める一番簡単な方法は、
レコード盤から針を外すように、ただ相手から顔をそむけ、
相手が話している時に他の方向を見ていることです。
たいていの場合、そうすることで、相手は話すのを突如辞めてしまうでしょう。
そして会話の途中で投げ出されたと感じるはずです。
確かに言葉の選び方は大切ですが、
それ以上にあなたの声のトーンやしぐさが重要なのです。
これらの要素をより上手く使いこなすことが出来れば、
伝えたいメッセージの影響力は増し、
相手の理解度や反応は確実に良くなるでしょう。
相手の話を聞く
神様は、聞くことと話すことのバランスを取るた
めに 2 つの耳と 1 つの口を人間に与えた、という
話を聞いたことがあるでしょうか。
真実に近い言葉は、めったに話されません。
コミュニケーションが上手な人は、
皆聞き上手です。
反対にコミュニケーションが下手な人は、話し続ける人達です。
実際、メッセージの中で一番大事な部分は、
あなたの考えとアイディアの合間の沈黙によって伝えられます。
コミュニケーションの達人は、沈黙を心地よく感じることができるのです。
土がある程度の水量しか受け付けないように、
人も、ある程度の情報しか吸収できないことを、常に覚えておいてください。
土に大量の水を注ぎ過ぎると、吸収する代わりに
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水たまりとなって残ってしまいますが、人の心もこれと同じなのです。
静かに忍耐強く待ち、
相手にあなたの言ったことを吸収するための時間を与えなければ、
相手を膨大な情報量で圧倒させてしまうことになり、
それが原因で重要なポイントを見逃してしまうこともありうるのです。
コミュニケーションにおける重要な準備
効果的なコミュニケーション、
特に重要なメッセージを伴ったコミュニケーションのための
大切な条件の一つは、準備をすることです。
準備は、プロフェッショナルの証拠です。
アラバマ大学サッカーチームの没コーチ、
ポール・ブライアントの有名な言葉に、
「勝つ意志ではなく、勝つための準備が重要なのだ」
というものがあります。
あらゆるコミュニケーションの場面において
人と話をしたり交流するためには、
あらかじめ準備をするという意志が、
コミュニケーションの効果を最大限に高めることへの鍵なのです。
自分の主張を効果的に伝えられるかどうかがカギとなる、
大学や高校のディベートチームでは、
徹底的に準備を行うことが教え込まれます。
特に彼らは、自分の論点を整理することよりも、
自分の議論点とは逆の考え方について準備をするように教えられます。
弁護士は、同様のことを法科大学院で学びます。
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法廷に行く前に、弁護士は反対の立場に有利な証拠や主張を
徹底的に洗い出します。
そして、相手が強く主張してくるポイントを圧倒するための、
自分の主張を作り上げるのです。
コミュニケーションにおいて、
人の行動は相手よりも
自分の中の動機づけによって決まると
いうことを覚えておいてください。
皆「自分にプラスになることは何だろう?」
という考え方によって、
動機付けを行っています。
ビジネスでもプライベートでも、
コミュニケーションがより重要になるにつれ、
そのために準備をすることも重要になってきます。
相手がどんな考え方をする人物なのかを考えてみて下さい。
その人の視点はどこにあるでしょうか?
問題や悩みは何なのか?何を達成しようとしているのか?
議論しているテーマに対して、どれくらいの知識や情報を持っているのか?
優秀なコミュニケ―タ―は多くの言葉は使いません。
その代わりに、言葉を丁寧に、事前に選ぶのです。
人々は直接的な言い回しを好みます。
変に自分のメッセージに装飾を付けるような言い回しは避けてください。
もしも質問や考えがあり、それを伝えたい場合、
はっきりと明確に、迷わずに伝えるべきです。
そうすることで、あなた自身の精神状態は予想以上に良くなり、
あなたのメッセージに対する周りの反応もより良くなるはずです。
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効果的な質問をする
自分の意見を伝えるために最も重要なことは、
「質問する」ことでしょう。
影響力のある人々は、知りたいことについて質問するのがとても得意です。
彼らは本質的なニーズや考えを見出すために質問をします。
また、周りの人が提案している反論や問題点を
洗い出すためにも質問をします。
そして、会話を展開したり、
人の考え方への理解を深めるためにも質問をするのです。
最後に
相手に自分の主張を理解してもらうためには、
自分自身のエゴよりも、相手に意識を集中させることが欠かせません。
自分の思うように人を動かすためには、
彼らの関心や行わなければならないことをベースに、
自分の意見や主張を展開するべきなのです。
そして、重要な会話においては常に準備をすることが欠かせません。
話す前に考え、その考えを紙に書いて落とし込むことが大切です。
そして自分が話したり質問するときは常に前向きに、快く、
相手への礼儀やフレンドリーな姿勢を崩さずに接することが重要です。
周りの人に強い興味を抱き
何かを主張したり相手に何かをお願いする時に、
コミュニケーション能力は、
彼らのニーズを自分よりも優先させることで、学ぶことができます。
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集中して相手との信頼関係を築く一方で、
相手を理解しようと努力を積み重ねるのです。
そうすることで、次第にあなたはどこにいっても
影響力のあるコミュニケ―タ―として知られ、
尊敬されるようになるでしょう。
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著者 ブライアン・トレーシー
1944 年カナダ・プリンスエドワード出身。
アメリカでもっとも著名なスピーカーであり、
ビジネスコンサルタントの権威。
セールスパーソンとして全米はもちろん、
イギリス、フランス、ドイツをはじめ
世界 85 ヶ国以上を歴訪し 30 種類以上の事業を手掛ける。
シンガポールにおいて、投資信託のグローバル企業で
セールスパーソンから営業部門副社長となる。
現在はカリフォルニア州サンディエゴに本拠を置く人材養成ビジネス会社、
BRIAN TRACY INTERNATIONAL INC の会長兼 CEO。
ビジネスコンサルタントの権威として、
IBM、モービル、バンクオブアメリカ、クライスラー、コカ・コーラ等を始め、
フォーチュン 500 社に入る有力企業のうち 200 社以上に関わる。
世界に 46 ヶ所の支社があり、彼のプログラムは 55 ヶ国において
500 万人以上が受講という記録的大ヒットとなっている。
講演家にとって名誉ある、アメリカ 4000 人の講演家で構成される
「National-Speakers Association」の 5 大スピーカーの 1 人として選ばれ、
現在ではトップ 4%で構成されている殿堂入りも果たしている
(ロナルド・レーガン元大統領も殿堂中の 1 人)。
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著作権について
「ブライアン・トレーシー レポート Vol.4 なぜあの人の言うことだと聞いてしまうのか
自分の思う通りに人を動かす 4 つの方法」
(以下、本コンテンツと表記)は、著作権法で保護
されている著作物です。本コンテンツの使用に関しましては、
以下の点にご注意下さい。

本コンテンツの著作権はラーニングエッジ株式会社にあります。
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ブライアン・トレーシー レポート Vol.4
なぜあの人の言うことだと聞いてしまうのか
「自分の思う通りに人を動かす 4 つの方法」
- Getting Your Ideas Across -
著者 ブライアン・トレーシー
監修 ラーニングエッジ株式会社
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