Ⅰ 体育学部・各学科の紹介

履修の手引
Ⅰ
体育学部・各学科の紹介
体育学部の目的と特色
国際武道大学体育学部はその建学の精神に則り、精神文明と物質文明の調和と我が国の伝統的な武道
精神を基調として、豊かな国際的教養と感覚を身につけ、国際平和に貢献できる適正な世界観、人生観
を備えた人間性豊かな武道・スポーツの指導者の育成を目指しています。
また、現代社会は物質優先の時代から、ゆとりと豊かさを実感できる人間らしい生活を大切にする社
会へと大きく変化を始めています。とりわけ、生涯にわたる自己実現のための活力あるライフスタイル
の確立が求められています。このことに武道、スポーツはきわめて重要な役割を果たすと考えられます。
このような時代において、体育学部で学ぶ学生は将来、武道、スポーツの指導者として活躍するために、
ライフサイエンスに関する幅広い知識と教養を身につけ、人間として偏りのない多面的な能力が要求さ
れます。そこで、これらの知識を学修するために『人間総合科目』を設定しました。また、指導に際し
ては個人を大切にし、対象となる一人一人の能力を把握し適切に対応できるスペシャリストであること
が求められます。これを実現するために『基礎専門科目』と、幅広いニーズに対応できるよう『展開専
門科目』を設定し、より高度な専門的知識と技能を習得できるよう配慮しました。
さらに、チューター制やオフィスアワーを通して学生の個性を伸ばすきめ細かい充実した指導体制も
整えています。
体育学部では、以下にあげる人材の育成を目標としています。
1.武道精神を基調として人間として偏りのないライフサイエンスに関する幅広い知識と教養、さら
には高度な専門的学識と技能を備えた人材の育成を目標とする。
2.人々が生涯にわたり、ゆとりと豊かさを実感できる生活を実現するために、それぞれのニーズに
基づいた生涯にわたる健康で質の高い生活の獲得を、武道、スポーツの専門家としてサポートでき
る人材の育成を目標とする。
3.豊かな国際感覚を持ち目標意識を持って事に当たる行動力があり、武道、スポーツを通し国際平
和に貢献できる人材の育成を目標とする。
その人材を育成するために2001年度から4つの学科を設置し、新たなカリキュラムのもとにスター
トをすることになりました。その4つの学科は「武道学科」、「体育学科」、「スポーツトレーナー学科」、
「国際スポーツ文化学科」です。
武道学科
武道は日本の長い歴史の中で、社会背景や思想と関わりながら、単なる戦いのための武術から、教育
手段として変遷してきた我が国固有の伝統運動文化です。
この文化としての武道を正しく伝承するために、正しい技術の修錬を通して、その理論的・科学的追
求をはかるとともに、歴史や思想等の多様な領域との関連を検討することによって、「術」を超えた
「道」の精神を学び取ることを目指します。
そして、21世紀を迎え益々多様化する現代社会において、武道が果たすべき役割について工夫・研
究をするとともに、正しい普及・発展に貢献できる人材・指導者を育成するのが本学の武道学科の教育
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目標です。
この教育目標を達成するために、次の内容を重視した教育を目標としています。
1.武道の技術・理論の修錬を通じて、心身ともに健全で社会に対応できるようにする。
2.相手を尊重する態度や、公正な態度を養い、社会的に望ましい行動がとれるようにする。
3.礼節を守り、協調性を保ちながら自主的な行動がとれるようにする。
4.武道の真の楽しさ、喜びを味わい、生涯を通じて武道に親しむことのできる能力・態度を養うよ
うにする。
5.学生の個性を尊重し、豊かな国際教養を身につける。
これらを実現するために、武道学科では個々の学生の目標に合わせ、柔道専修・剣道専修・武道専修
(弓道・空手道・合気道・少林寺拳法・なぎなた)の三つの専修を設定しました。
なお、保健体育の教員免許は全学生が取得可能です。
体育学科
体育学科では、建学の精神に基づき、様々な身体活動やスポーツの実践を通して体育・スポーツを幅
広く経験・研究し、指導法やトレーニング方法を学びながら、時代をリードし世界に通用する人材の育
成と体育・スポーツを通じた人間教育を目指しています。
そのために体育学科においては、体育、競技スポーツ、健康や生涯スポーツ、レクリエーションの4
領域を軸として、内外の最新の研究成果を取り入れつつ、これらの理論と実践について研究・教育をし
ています。また、幅広い運動実践を通して優れた運動技能と競技力の向上をはかるとともに、基礎的か
つ専門的な知識を総合的に養うことによって、豊かな人間性を兼ね備えた質の高い指導者や選手の育成
に努力しています。
これらの教育目標を達成するために、体育学科では次のような内容を重視した教育を行っています。
1.多様な能力、適性を持った学生の自主的・自発的な学習への取り組みを促しつつ、個別のニーズ
に対応できる細かな教育・指導に力を注いだ教育を重視する。
2.人の心や感性を大切にし、幅広い視点に立って状況判断・対処ができる人間性豊かな教養教育や
人格形成のための教育を重視する。
3.体育、競技スポーツ、生涯スポーツ、レクリエーション、健康に関する専門的教育を充実させ、
その理解を深めるとともに、実践的かつ合理的な学習活動を重視する。
4.スポーツに親しみ、運動技能や競技力の向上を目指し、自ら積極的に行動できる態度と習慣を身
につけさせるような教育を重視する。
5.体育の持つ教育的価値とスポーツが社会にもたらす可能性や素晴らしさを理解し、普及させる能
力を身につけさせるような教育を重視する。
これらの教育目標に対応できるよう、体育学科では次の3つの志向をイメージしたカリキュラム構成
となっています。
(1)体育指導者志向
学齢期の青少年(児童・生徒)に対して、教育的視点に立った体育指導ができる人材の育成を
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目指します。スポーツを通じて、発育・発達期にある青少年を対象とした学校体育におけるス
ポーツ教育や健康に関わる理論と指導法を学びます。
(2)競技スポーツ志向
競技スポーツにおけるアスリートやコーチなど、スポーツの現場に関わる人材の育成を目指し
ます。スポーツ科学の成果を取り入れながら、競技力向上のメカニズムを理論と実践を通して理
解し、様々な競技スポーツの現状や指導法・トレーニング方法について学びます。
(3)生涯スポーツ指導者志向
生涯スポーツやレクリエーションに関わる幅広い視野と指導力を備えた人材の育成を目指しま
す。老若男女を問わず、人々をスポーツやレクリエーション活動へと導き、健康的な社会生活を
実現するための各種理論や方法論について学びます。
なお、本学科の志向(体育指導者志向)に関係なく、他の志向や他学科においても、保健体育の教員
免許は取得可能です。
スポーツトレーナー学科
本学科は、アスリートを支える人材、人々の健康づくりに寄与する人材を育成します。近年は各種ス
ポーツの競技レベルが高度化し、専門家がチームを組んで選手をサポートしなければ、トップレベルの
選手たちも世界で活躍できない時代になっています。また、発育発達期にある子どもたちが健全に成長
し、スポーツ障害によって夢をあきらめることがないように、中高年選手やスポーツを楽しんでいる
人々が怪我をせずに長くスポーツが行えるように、スポーツ医科学に基づいた障害予防や身体のケアの
専門的知識・技術を持ったアスレティックトレーナーの必要性も広く認識されるようになってきました。
また、トレーニング科学やコンディショニング科学の専門的知識に基づき、合理的で効率のよいト
レーニングプログラムを作成し指導することによって選手の競技力向上や体力強化をになうストレング
スコーチ、コンディショニングコーチ、フィジカルコーチなどと呼ばれる専門職の重要性も注目されて
います。
一方、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病予防や、寝たきりになるのを防ぐ転倒予防・介護
予防の目的でウォーキングや筋力トレーニング等の健康志向型の運動を行う人々も増えています。医療
費・介護費の抑制が重要な課題となっている現在の日本において、スポーツ医科学の知識に基づいた安
全で効果的な運動を処方し、運動になじみのない一般の人々にも楽しく運動を指導できる人材が求めら
れています。
そこで本学科では、上記のような社会的ニーズに応えるため、アスレティックトレーナー、ストレン
グス&コンディショニングコーチ、フィットネストレーナーの3つの「志向」を設定しています。そし
て、各志向に必要な専門的知識・技術を確実に効率よく修得できるよう、基礎的な科目から専門的な科
目へ体系的に学習できるカリキュラムを用意しています。また、現場で通用する「真の実力」を養うた
めに少人数での実習形式の授業を重視し、社会に貢献できる人材育成を目標にしています。学生のみな
さんは将来の目標や進路に応じて、これら3つの志向のひとつを集中的に学ぶことも可能ですし、複数
の志向を平行して学ぶことも可能です。
なお、保健体育の教員免許は志向に関係なく取得可能です。
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国際スポーツ文化学科
水泳の「平泳ぎ」という運動を、英語圏では“Breaststroke”(Breastは「胸」、strokeは「水を掻
く」)、中国語圏では“蛙泳”と表現します。同じ運動を言葉で表現すると変わってきます。日本では
「平ら」が強調され、欧米文化圏では「腕のかき」、中国語圏では「蛙足キック」が強くイメージされ
ることを物語ります。そしてそのイメージは運動の指導にも現れていきます。ちなみに、2004年アテ
ネ五輪と2008年北京五輪において、平泳ぎ2種目連続金メダルに輝いたのは北島康介選手ですが、彼
の最大の武器は、世界一を誇る水中姿勢、つまり「平ら」な姿勢です。
サッカーなどでは、「ホーム&アウェイ」という方法で試合を行います。なぜ、「ホーム」と「アウェ
イ」なのでしょうか?サッカー(フットボール)のルールの統一化が進んだのは19世紀半ばでしたが、
その当時、学校(パブリック・スクールや大学など)やクラブなどでは、個々に独自のルールを持って
サッカーを行っていて、他校や他クラブとの試合をするとなると、相互に異なったルールで試合を行わ
ざるを得ず、その結果、「ホーム」と「アウェイ」という必然性が生まれたわけです。
欧州、特にイギリスで盛んなサッカー、ラグビー、クリケットなどが、アメリカではアメリカン・
フットボールやベースボールという形で発展を見せます。そうした「遊び心」がバレーボールやバス
ケットボールを生んでいきます。そして、多くのスポーツが「する」魅力と同時に「見せる・見る」魅
力も備えてゆきます。そうなると「する」側と「見る」側とを結びつける役割も必要となり、最初は
「する」ことの環境づくりの役割であった機関が、徐々にプロモーター的な存在に変化していくのも当
然の帰結でしょう。
スポーツには国境がありませんが、独立精神の強いアメリカで新しいスポーツが次々に誕生したよう
に、言語や文化の違いがスポーツに味わいをもたらしています。また、オリンピックを見るまでもなく、
スポーツが国際社会の理解や友好のシンボルにもなり得ます。わが国においても、1964年東京五輪開
催を契機にスポーツが一気に拡大しました。特に学校体育において、数多くのスポーツを親しむ文化を
育み、世界でも類稀な学校体育文化を形成しています。
国際スポーツ文化学科ではスポーツを文化としてとらえ、そうした文化が発展する際に社会とどう関
係していくのかを理解し、自らがスポーツを通じて社会を豊かにすることを実践する学科です。こうし
た教育を展開していく中で、次のような具体的事例を築き上げています。
(1)カンボジアでの学校体育に「運動会」という文化を持ち込んだこと
(2)インドネシアに「野球」というスポーツ文化をもたらしたこと
(3)日本がボイコットしたモスクワ五輪の“幻の柔道代表選手”のモスクワ派遣の契機を作ったこと
(4)地域密着のスポーツクラブで、環境問題への啓蒙活動や農業との連携を実現したこと
(5)障害者とのスポーツを通した交流活動を活性化したこと
こうした実践力のある人材を育成することを目標としているため、大学入学時点からきちんと方向性
を見定めることができるよう、「初年次教育(First Year Experience)」を導入しています。高校まで
の体験や学習を、「スポーツを通じて社会を豊かにする」という方向に結びつける役割が「初年次教
育」です。本学では国際スポーツ文化学科でのみ展開されているものです。初年次教育では、スポーツ
の社会的広がりやその可能性の大きさを知り、自身がどういう形でスポーツと関わりを持つかをじっく
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り考えます。自身の考え、仲間との議論を経て、自身の果たす役割を強く自覚してゆくことに気づくこ
とでしょう。そうした「気づき」がその後の学習への動機付けとなることは言うまでもありません。
「スポーツを通じて社会を豊かにする」ことを合言葉に、さらなるスポーツの発展につなげられる人
材の育成を目指して国際スポーツ文化学科は前進していきます。
学生指導制度(チューター制度)
体育学部は、武道学科、体育学科、スポーツトレーナー学科、国際スポーツ文化学科によって構成さ
れ、各学科ともにクラス制度はありません。したがって、1・2年次は、ひとりのチューターが何名か
の学生を担当する少人数制の学生指導を行います。
チューターとは、本学の学生指導教員であり、学科ごとで学年別に決められています。チューターは、
教科の履修、学習方法、経済的な相談など、学生生活のあらゆる面について、随時、学生に必要な助
言・指導を行います。
なお、チューターは、原則として1・2年次を継続して担当します。また、3・4年次では、演習担
当教員がチューターとなります。
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