オフィス・住居ともにPMの専門性を追求 最近では大型・複合施設を次々

REPORT| PM 会社それぞれの個性と強み
▶総合・複合型
オフィス・住居ともにPMの専門性を追求
最近では大型・複合施設を次々に受託
ベストプロパティ
和田啓志
東京の PM パフォーマンスを評価され
氏
取締役副社長
名古屋・大阪で大型オフィスビルを受託
ベスト・ プロパティは、ビルメンテナンス大手のビ
ケンテクノ傘下の PM 会社として、2002 年の設立以
来、着実に地歩を固めている。昨今は、REIT やファ
ンドが保有するオフィスとレジデンス両面での PM 能
力が高く評価されており、大型ビルの受託も増加して
いる。同社が順調に業績を伸ばしている要因として、
早期の稼働率アップを実現するなど、長年にわたり
オフィス
65.0%
培ったリーシング力に裏付けられた「実績と信頼」が
あげられる。既存クライアントが新規物件を取得した
▶ COMMENT
当社が目指すのは、どのプロパティマネジャーが担当しても
同様のパフォーマンスが出せることであり、そうした実績を
積み重ね高い評価を頂けるようになることです。そのため
には個人のスキルアップはもちろん、好事例などの情報共
有やチーム制を敷いて全体のレベルアップを図ることで AM
の期待に応えられる人材をより多くしていきたい。それが結
果として PM 会社としての差別化、PM フィーの適正化に
つながるということになると思っています。
際は、必ず声がかかるという。
住居
25.0%
その代表例といえるのが、今年 1 月から PM 受託
よってグループの一員とした社宅管理代行サービス
している「目黒雅叙園アルコタワー」で、総床面積が
のマイムコミュニティーなどとの連携、相乗効果もあ
15 万㎡に上る超大型物件は同社にとって最大規模
げられる。マイムコミュニティーは上場企業をはじめ
となる。また、同社が得意とするオフィスとレジデンス
100 社以上とのネットワークをもち、それら企業の窓
の複合ビル分野では、6 月に受託した水天宮の「リ
口となる総務部門とのコンタクトからオフィス移転や
バーゲート」があげられる。同物件では受託後、数か
増床ニーズを捉えやすい。
「現在も、建替え予定のオ
月で稼働率を大きく改善している。さらに、
「東京で
フィスに入居している取引先に移転先を紹介し、成
のオフィス PM の実績が評価され、同じクライアントか
約をいただいた」(和田氏)。併せて社員の異動によ
ら名古屋 ・ 大阪で大型オフィスビルを受託できた」と
る転居を同社が管理する住宅とのマッチングなどに
同社取締役副社長 和田啓志氏は言う。
も活かせるという優位性もある。実際、その面からの
アルコタワーやリバーゲートの受託について和田氏
成果もあり、AM にとってもリーシング上から期待し
は「苦戦を続けてきた天王洲エリアで、他のビルに
たいところだろう。
先駆けて天王洲ファーストタワーの稼働を上げ、満室
オフィス環境の好転から、いまや賃料も底打ちした
にできた実績が評価されてのこと」
と分析する。さらに
といわれており、同社の受託物件でもテナントの入替
「大型物件の受注プレゼンテーションでは同等物件
え・ 更新のタイミングでレントアップに成功する例が
の稼働率改善策、賃料改定の実績などをデータで示
出ているようだ。
すことでアピールしている」と語る。こうした実績の積
ただし現在、業況が改善しているからといって中
み上げを訴求することが最大の営業力であり、各種
長期的にどうなるかは不透明なだけに、同社では全
物件の受託に結びついているに違いない。
物件のレントロールをデータベース化し、現行賃料と
商業
マーケット賃料とのかい離を常にウォッチして、AMと
5.0%
ホテル
5.0%
テナントリレーションに強みを発揮
綿密な打ち合わせを行っているという。
「当社はテナ
リーシング、レントアップのタイミングに活かす
ントリレーションには自信を持っている。その強みを
活かしてタイミングよく賃料増額に結びつくような交渉
同社の営業上の強みとして、2008 年に M&A に
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PROPERTY MANAGEMENT 2015 Nov.
を行っていきたい」
と和田氏は語る。