有機機器分析(11) NMR 1 本日の資料 http://takenaka.che.kyutech.ac.jp/2014/membe r/sato.html 九州工業大学 >工学部応用化学科 >機能設計化学研究室(竹中研) >研究グループ >「佐藤しのぶ」をクリック 2 ボルハルト・ショアー 10章 NMR分光法 復習 質量分析(ハイマス)で化学式がわかっても、その構造まではわからない。 有機化合物の詳細な構造を知ることができる 1H-NMR(水素核磁気共鳴) 個々の核、とくに水素および炭素の近傍の構造を精査し、 分子内の原子のつながり方においての非常に詳しい情報を提供する。 異性体の構造を決定することができる。 3 復習 10-3 1H-NMR 核スピンはラジオ波の吸収によって励起することができる プロトン(1H) 正に荷電しているので、その回転 運動は磁場を形成する。 プロトン(1H)は 棒磁石と見なすことができる。 外部磁場と同じ向き αスピン状態 エネルギー的に安定 外部磁場と逆向き βスピン状態 エネルギー的に不安定 磁石の中に置くと、配列する。 4 10-4 NMRスペクトルを用いて分子構造を解析する:水素の化学シフト 復習 NMRシグナルの位置はその核の電子的環境に依存する H R C H H 電子密度は以下の影響を 受ける 結合の極性 結合している原子の混成 電子供与基 電子吸引基 5 復習 しゃへい化とは? H R C H H 核自身の近くに電子雲が存在すると、 NMR装置の磁石からシールドされること。 ※電子雲が少ないと、シールドされる量も少ない。 このような場合、反しゃへい化される、という。 低磁場 高磁場 6 有機化合物の一般的な化学シフト 表10-2 ※重要 7 トリプレットの場合 復習 カルテットの場合 8 ダブレットの場合 カップリング定数 J(Hz) 分裂の距離のこと 復習 同一炭素上の水素同士 ジェミナルカップリング 隣接する炭素に結合 している水素同士 ビシナルカップリング エタン CH3-CH3の場合は、NMRピークはシングレット一本のみ 等価な水素の場合、スピン-スピン分裂を示さない!!! 9 10-7 スピン-スピン分裂: 複雑な場合 見かけ上、シングレットに見える 10 遮蔽効果が大きいClには注意! / Brはカップリングへの影響は小さい。 本来なら、Ha×1個、Hc×3個でプロトンは、4個なので、 4+1=5つに分裂するはず Clの影響を受けているので、Hの状況が大きく異なっている 11 10-9 13C-NMR 炭素-13は磁場が存在すると、1H-NMRと似た挙動を示す。 ただし!!! 天然には炭素-13は1.11%程度しか存在しないため、シグナルが弱い。 何度も測定して(積算、といいます)、強度を増大させる必要あり(測定時間がかかります)。 化学シフトは、1H-NMRの時と同様に定義される。 基準はテトラメチルシラン (CH3)4Si 測定範囲は、200 ppm ※1Hはおよそ10 ppm 12 ブロモエタンの分裂 b2 a Cに結合した二つ のHa3つに分 裂そのHaは隣 の炭素の水素Hb とカップリングす る。このとき、Hb は3つあるので、4 つに分裂 13 CH3CH2CH2Br H 4つに分かれて(q) それぞれが3つに分かれる (t) H H H C C C H H H qt ttq tt Br 14 qt tq 水素のデカップリングによって、カップリングはなくなり、 単一線のピークになる!!! 時期的に異なる炭素はいずれも13C NMRスペクトルでは、 単一線のピークのみ与える。 15 プロトンをデカップリングした13C NMRは種類の異なる炭素の数だけ、ピークを与える。 環境の異なる炭素の数がわかる! 16 アルキル、エーテル、 アルコールは5-90 ppm カルボニル基は 170~210 ppm アルケン、芳香族は 100~160 ppm これだけは覚え ておこう! 17 1H-NMR 13C-NMR 飽和アルカン 0.8-1.7 ppm付近 5-90 ppm エーテル 3.3-3.9 ppm アルコール 3.3-3.9 ppm カルボニル 10-11 ppm 電気的に陰性な原子 に隣接する水素 3.1-4.0 ppm アルケン 4.6-5.5 ppm 芳香族 6.0-9.5 ppm 170-210 ppm 100-160 ppm 18 アルケンの1H-NMR 19 20 21 ベンゼンの1H-NMR 22 23 24 次回の内容 2/6 期末試験 (8-1A) 2/10までに試験結果および再試験について、 掲示するため、掲示板を確認すること。 2/13 の授業はありません!!! 2/1-3, 2/11-14は海外出張で不在です。 25
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