昇降機WG

昇降機WG
【2014年度の目標と成果】
目標
当初、本年度の昇降機WGは、①スキップアクセスの高層棟への直線いす式
階段昇降機の検討、②設置のための合意形成という観点からニーズ調査等を実
施し各管理組合での実施検討に向けた動きを支援、する事を目標としていた。
しかしながら、本年度の検討過程において、直線いす式階段昇降機は曲線い
す式階段昇降機に変更となり、ニーズ調査等は、実施しない事となった
。(理由
等の詳細は後述)
よって、本年度の昇降機WGの目標は、スキップアクセスの高層棟への曲線
いす式階段昇降機の検討とした。
成果(今期活動で得られた結論)
1.いす式階段昇降機と他の階段避難車の比較検討
基本的に階段避難車は、歩行困難者に対する地震・火災等の災害時の避難
用であり、可搬型階段昇降機を除き下り専用である。また、可搬型階段昇降
機は、安全上の観点から、操作者は安全指導員から操作講習を受ける事が義
務付けられている。従って、WGの検討対象としているいす式階段昇降機と
は、全く異なるものである事が確認された。
(いす式階段昇降機は、鍵を持っ
ていれば、誰でもいつでも昇り降り可能)
2.選定モデルと基本的な考え方
スキップアクセスの高層棟向けいす式階段昇降機に対する基本的な考え方
は、以下の通りとなった。
①いす式階段昇降機は、必要な箇所に対してのみの設置とする。また、必
要な箇所を判断するためのニーズ調査等は、個人情報との絡みもあり実
施せず、各管理組合の判断に委ねる事とする。
②2階分連続のいす式階段昇降機は、原則考えず、全て近い方のEV階ま
たは地階までの1階分の移動とする。但し、塔状棟に限り、1階部分に
PS扉があって、昇降機の設置が難しいため、塔状棟1~2階間には設
置せず、2~3階間に設置する事にする。結果、塔状棟2階に昇降機が
必要な場合は、2~3~4階間の2階分連続の昇降機となる。
③直線いす式階段昇降機ではなく、曲線いす式階段昇降機とする。
(昨年度
は、価格並びに階段幅員での有利性から直線を考えていたが、実際に使
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う人の立場から、直線は、踊り場での乗り換えが必要になる事、上下の
出っ張り部分が大きく歩行者の障害になりかねない事、などを考慮して、
曲線を採用する事にした)
④階段の内壁に沿って設置する。(基本的に外壁には障害物が多い)
⑤屋外仕様を基本とする。(板状棟の閉鎖階段室に限り屋内仕様となる)
⑥内壁から離れた位置にある3段程度の階段部分については、別途、簡易
スロープで対応する。
⑦基本的に階段形状が同じである場合は、移設が可能である。
⑧現在内壁に設置されている手摺は、曲線いす式階段昇降機の設置にあた
り、撤去する必要はない。
(昇降機のレールは手摺より低い位置に設置さ
れる)
これらを踏まえたWGとしての選定モデルは、以下の通り。
・いす式階段昇降機「楽ちん号KFB型(型式認定品)曲線階段用」開放
階段用
・いす式階段昇降機「楽ちん号KFA型(型式認定品)曲線階段用」閉鎖
階段用
注:何れも大同工業(株)製で、販売代理店は(株)マイクロエレベー
ターです。
3.建築基準法上の合法性
昨年度の検討結果では、
①塔状棟の場合、直上階の居室面積合計が200m2 を超えないのはEV直上
階だけであるが、階段幅員が図面上120cm 以上ある事から、直線いす
式階段昇降機(レール幅が10cm 程度)であれば、全ての階で合法的に
設置可能。
②板状棟の場合、EV階と直下階を繋ぐ位置に直線いす式階段昇降機を設
置するのは、直上階の居室面積合計が明らかに200m2 以上であるため
無理があるが、EV直下階から下の階に繋ぐ位置に設置する(この場合、
2階分連続の昇降機となる)のであれば、合法的に設置可能であり、結
果、全ての階で設置可能となる。
としていた。
しかしながら、本年度の検討過程において、曲線いす式階段昇降機を採用
する事にしたため、再度、横浜市建築局に相談したところ、昨年とは全く違
う以下のような判断が示された。
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①板状棟は、階段幅員が120cm 未満である事から階段室型の建物という
扱いであり、開放廊下の存在は無視して、直上階の居室面積は左右2戸
の居室面積の合計だけで良い。(階段及び踊場の幅員は75cm 以上で良
い)
⇒これにより、板状棟は、曲線いす式階段昇降機を設置しても階段及び踊
場の有効幅員75cm 確保出来ることになり、設置可能となる。
②塔状棟は、建物の構造上、また階段幅員も120cm 確保されている事か
ら階段室型建物とは言えない。従って、直上階の居室面積の算定は、廊
下階で4戸繋がっている事から4戸の合計となる。
(廊下階以外も廊下階
と同様な扱いとなる)
⇒塔状棟の4戸分の居室面積を図面から詳細に検討してみたが、200m2
以下にはならなかった。従って、曲線いす式階段昇降機を設置すると階
段及び踊場の有効幅員120cm が確保出来ない事になり、建築基準法上、
設置不可となる。
⇒本件は、法律上の不合理であり、解決に向けて横浜市への働きかけ等を
して行く必要がある。
4.費用負担について
設置に係る費用は、原則、管理組合の積立金で賄わざるを得ないと考え
ているが、公平性の観点より、使用者個人にも、使用料名目で、一定の金
額を負担して頂くような仕組みが望ましい。
5.具体的設置の検討
若葉台の全スキップアクセス高層棟について、階段室のタイプに関して検
討した結果、5つのタイプに分けることが出来た(タイプA~E)。各タイ
プの代表棟に関して図面を引き、コスト算出を行った。
・階段室タイプ・対象号棟 一覧表:表-1
・1階段1階分の見積事例概要(タイプAの一つの階段1階分):別紙-1
【2015年度の取組み】
1. 塔状棟の法的問題点の解決に向けて横浜市への働きかけ
2. 費用負担に関する指針の作成
3. 公的助成に関する調査
4. 各管理組合への導入支援
以上
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タイプE
タイプD
タイプC
タイプB
タイプA
表-1 階段室タイプ・対象号棟 一覧表(スキップアクセス高層棟)
1・2丁目の板状棟で階段室が開放型の棟(建物)
対象号棟
1丁目
1棟、2棟、3棟、4棟、8棟、10棟
2丁目
6棟、20棟、21棟、25棟、26棟、16棟、17棟、18棟
1・2丁目の板状棟で階段室が閉鎖型の棟(建物)
対象号棟
1丁目
9棟、11棟、12棟
2丁目
5棟、22棟、19棟
1・2丁目の塔状棟の棟(建物)
対象号棟
1丁目
5棟、6棟、7棟
2丁目
4棟、23棟、24棟、7棟、8棟、9棟、12棟、13棟
4丁目の板状棟の棟(建物)
対象号棟
4丁目
19棟、21棟、22棟、23棟、24棟、9棟、10棟、11棟、12棟、13棟、3棟、4棟
4丁目の塔状棟の棟(建物)
対象号棟
4丁目
14棟、15棟、7棟、8棟
別紙-1
見積事例概要
スキップアクセス高層棟(タイプA:1階段1階分)
・ 階数:エレベーター停止階から直上階
・ 機種:楽ちん号 KF-B型(曲線式 屋外仕様)
(マイクロエレベーター社HPより挿絵流用)
・ 停止階:2停止
・ レール長さ:7.4m
階段踊り場
・ 電源:AC100V(充電器)
24V(本体)
イメージ図
停止階から直上階へ
天井照明器具より
・一次見積価格:約230万円(2015年1月現在)
タイプA~Eで 1階分として(一次見積価格)
約190万円(屋内仕様)~約240万円(2015年1月現在)