先進のユーザー事例❻ IT内部統制・セキュリティ対応 王子エンジニアリング株式会社 IT内部統制とDR対策を同時に推進 連携性を重視し、複数のシリーズ製品を導入 POINT ● System i環境における3つの統制項目を洗い出す ● 運用管理効率を高めるため、導入製品の連携性を重視 ● 連携性を評価し、1社のシリーズ製品で統一 川上是好氏 管理部 72 2008 No.7 理、仕入支払管理、工事原価管理、会 計管理、手形管理のサブシステムから 王子製紙株式会社の100%子会社 RPG621本、その他CL等含めて総数 で、紙パルプ製造設備のコンサルティ 3351本で、 「全てRPGを使った自社開 ングから設計・製作、施工、サービス 発」 (管理部の川上是好氏)である。 成 る。 ま た、 プ ロ グ ラ ム の 総 数 は に着手し、2008年3月までにバックア 3項目について 統制項目の洗い出し ップ機の敷設なども含めて本番移行を プロジェクトでは最初に、基幹シス 終えた。このスピーディな移行は、同 テムを搭載するSystem i環境の「セキ 社システム担当者の精力的な活動に加 ュリティ」 「障害」 「開発運用」の3項目 えて、連携性に優れた複数ツールの同 について統制項目の洗い出し作業を行 時採用が最大の要因である。 った。 今回のプロジェクトは、親会社の王 セキュリティについては同社ではそ 子製紙がグループ各社の情報システム れまで、基幹システムにアクセスする の開発・保守・運用面での情報システ ためのユーザー IDを拠点単位に付与 ムリスクを管理するルールを内部統制 しており、個人別にしていなかった。 およびセキュリティ管理の視点から規 そこで、個人ごとにユーザープロファ 程として策定し、その実施をグループ イルを整理し、パスワードやオブジェ 各社に要請してきたことに始まる。 クトに対するアクセス権の設定を行っ 王子エンジニアリングでは1989年 た。また並行して、データベースやフ に、当時登場して間もないAS/400を ァイル/データへのアクセスを制限し 導入し、基幹システムを構築した。そ たり、監視や監査ログを取るためのツ れまでのシステム/38上の会計システ ールの選定にも取りかかった。 ムがRPGで作られていたのがAS/400 一 方、 障 害 に つ い て は、 新 規 に グは、2007年にIT内部統制への対応 練合純一氏 創業:1964年 本社:東京都中央区 資本金:8億円 売上高:432億円(2006年度) 従業員数:672名(2007年3月) http://homepage.ojieng.co.jp/ 王子製紙グループを一貫する 内部統制規定への対応 までをカバーする王子エンジニアリン 管理部 主任 COMPANY PROFILE 採用の理由で、その後2度のリプレー System i 520を 導 入 し、 従 来 の ス を 経 て(AS/400 600→iSeries iSeries 820をバックアップ機とする 820)現在に至っている。 高可用性システムの構築を決めた。 基幹システムは、工事受注売上管 これについてもHAツールの検討を進 めた。 ジャパンのツールは相互に自動的な連 ムジャパンの3製品を導入し、セキュ ここで、同社の旺盛な行動力と選択 携機能を持つため、運用管理を効率化 リティと障害監視と二重化を行うこと 眼が発揮される。というのは、各ツー できると考えました」と語る。具体的 とした。各リソースの監査ログの退避 ルの選定にあたって、スタッフ自らが に は、Hybrid SECURITYとME SSA 先はPCサーバーである。 足を使い、目で確かめるという方法を GE/400の連携により異常メッセージ 2008年1月から各ツールの導入を 取ったのだ。 「カタログでは詳細が分 の 時 間 外 通 知 や 外 部 通 知 が 行 え、 進め、3月に完了し、サービスインし からないので、各ツールベンダーを訪 Hybrid SECURITYとJOURNAL/400 た。3製品のほぼ同時期の導入であり 問し、実際に目で見て話を聞いて検討 の連携により各種ジャーナル情報のバ ながら、 「問題はほとんどなく、スムー しました」と管理部主任の練合純一氏 ックアップ機へのリアルタイム退避が ズに完了した」 (練合氏)という。また、 は振り返る。検討対象は「数社の数製 可能となる。 従来は朝一番に監査ログを手動で取得 品」となり、うち1社については東京 また、練合氏は「JOURNAL/400の していたが、現在は自動的にPCサー から大阪にまで足を伸ばして製品の確 機能の1つとして、本番環境のデータ バーへ吐き出されるので「ログを取得 認を行っている。 ベースや監査ログをPCサーバーへ退 するという意識がなくなり、負担が消 導入するツールは、最終的にヴィン 避できる点も評価しました。これによ えた」 (川上氏)と評価する。 キュラムジャパンの「Hybrid SECURI り本番機やバックアップ機のディスク 同社のシステムには、関係会社4社 T Y」 「JOURNAL /400」 「MESSA を圧迫する懸念がなくなり、管理工数 の基幹システムも搭載されている。こ GE/400」の3製品に決定した。Hybrid を軽減できます」と語る。不採用とし の4社の基幹システムについても今年 SECURITYは外部アクセス管理やロ た他製品は、画面が英語表示になる点 度 中に、IT内 部 統 制 対 応を進 める計 グ取得の機能を持つ統合セキュリティ やシステム規模が大きすぎる点などが 画。練合氏は、 「今回のプロジェクトに ツール、JOURNAL/400はリアルタイ マイナスの評価となった。 よって、IT内部統制の基盤がほぼ整備 ムのミラーリングツール、MESSAGE できたと考えています。今後は、障害 である。 今後は関係4社の IT内部統制対応を実施 アップ機への切り替えテストなども実 1社の製品に絞ったことについて川 シ ス テ ム は、 本 番 機 のSystem i 施して問題点の洗い出しを行う予定で 上氏は、 「IT統制の対象項目は多岐にわ 520にLPARにより「本番用」と「開発 す」と語っている。 たり、その個々について正確な管理と 用」の2区画を設け、この2区画とバッ 統制が要求されます。ヴィンキュラム クアップ機のそれぞれにヴィンキュラ /400はメッセージ監視・通知ツール 発生時の運用手順書の整備や、バック 本番機 System i 520 本番区画 開発区画 Hybrid SECURITY スプール Hybrid SECURITY MESSAGE/400 出荷 受注 JOURNAL/400 アクセスログ JOURNAL/400 アクセスログ MESSAGE/400 リアルタイム・ミラーリング スプール 出荷 受注 JOURNAL/400 障害・警告通知 告 Hybrid SECURITY System i ログ管理サーバー ー アクセスログ MESSAGE/400 監視サーバー PC 携帯 MESSAGE/400 バックアップ機 iSeries 820 図表 王子エンジニアリングのシステム概要 http://www.imagazine.co.jp/ 73
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