材料力学 Strength of materials

No.03
σ
機械的性質 (Mechanical Properties)
1− 応力−ひずみ曲線
試験片
P
σB
l , l0
σZ
σZ
疲労破壊:降伏応力以下の小さい応力でも繰返し負荷す
ると破壊する現象
(4)
軟鋼(降伏点が明瞭)の場合,下降伏点
降伏点が不明瞭な場合
0.2% 耐力
σ0.2
○引張強さ:引張試験時の最大荷重点の応力 σB
これ以後試験片がくびれ,断面積が急激に減少.
荷重を変形中の断面積で除したくびれ部の真応力
は増加し続けるが,公称応力は見かけ上減少する.
○真破断応力:試験片破断時の真応力
σZ
○伸び:破断時の試験片伸び率
%
(5)
A0 − AZ
%
時間
(6)
A0
ここで,AZ:破断時のくびれ部の断面積
3− 弾性変形,塑性変形,延性材料,脆性材料
弾 性 域:除荷すれば元にもどりフックの法則が成立す
る領域
塑 性 域:除荷しても塑性変形が残る(破損する)領域
延性材料:変形量が大きい(塑性変形しやすい)材料
脆性材料:変形量が小さい材料(脆い)材料
σw:疲労限度
σT:時間強度(破断
繰返数 m 回)
σa
σT
繰返数 1
σw
102 m
104
106
破断繰返数 N
S−N 線図 :破断繰返数 N と応力振幅σa の関係
疲れ限度σw:疲れ破壊しない応力値
(107 回程度の繰返しに耐え得る応力)
時間強度σT:指定された繰返し数まで耐え得る応力
5− 機械的性質を表す諸量
項目
対象
測定値
試験法
降伏応力
破壊に対する
強さ
引張強さ
Strength 抵抗
疲れ強さ
引張試験
圧縮試験
疲れ試験
延性
変形・加工性 伸び,絞り
Ductility
引張試験
深絞り試験
靭性
耐衝撃性
Toughness
シャルピ衝撃値
シャルピ衝撃
試験
接触部の強度 ロックウエル硬
硬さ
各種硬さ試験
Hardness 耐摩耗性
さ,他各種硬さ値
6− 許容応力と安全率
強度設計の基本
σ ≤ σa =
ここで,lZ:破断時の評点間距離
○絞り:破断時のくびれ率
φ = 100
σa
S − N 線図
応力振幅
(2)
(3)
2− 応力−ひずみ曲線から得られる機械的性質
○ヤング率:弾性域の傾き
E
○降伏応力:塑性変形開始点の応力
σY
l0
繰返荷重波形
(1)
ここで,
A0:変形前の断面積,A:変形中の断面積
l0:変形前の評点間距離,l:変形中の評点間距離
P:引張荷重
注) σ ≈ σ(1 + ε) Q Al ≈ A0 l 0
δ = 100
ε
ε
0.002
ε
塑性ひずみ
σ = P / A0
l Z − l0
E
1
1
ε = (l − l 0 ) l 0
σ = P/ A
l dl
ε=∫
= ln (1 + ε )
l0
l
1
応力
○真ひずみ
E
1
○公称ひずみ
○真応力
σZ
4− 疲れ試験,疲労破壊
E
○公称応力
σY
E σ,
0.2
σB
σY
P
脆性材料
σ
σB = σZ
σ , σ 弾性域
塑性域
A , A0
延性材料
σS
S
(7)
σ :使用時の応力 σa:許容応力
σS:基準強さ(降伏応力,引張強さ,疲れ強さ,etc)
S :安全率
S >1 となるよう,材質寸法を決める.
安全率の決定要因
要求される安全の程度:重大事故 →S 大
材料の信頼度:欠陥,強度のばらつき
荷重の種類 :静荷重,繰返し荷重(疲れ),衝撃荷重
計算の精度 :応力集中,etc
経済性
7− 応力集中
切欠きや孔など,断面急変部で局部的に大きな応力となる
現象
P
P
S′ =
σy
4W / πd 2
=
3.14 × 10 2 × 20
4 × 1500
= 1.05
となるので,材料強度や重量のわずかな誤差が原因で棒
の応力が降伏応力を越え破損したものと考えられる.
σn
σmax
σn
σmax
問題
P
P
α = σ max σ n > 1
○応力集中係数:
(8)
ただしσmax:応力集中部の最大応力
σn=P/A:平均応力 (A:応力集中部の断面積)
○切欠係数: β = σ w σ wk
(9)
ただしσwk:切欠材の疲れ限度
σw :平滑材の疲れ限度
(1)切断荷重 F=20 tonf のワイヤロ−プを用い 10 人乗り
のエレベータを作りたい.かごの重量をいかほどにすれ
ばよいか.ただし,人の重さは 60 kgf/1 人,安全率は
S≧20 とせよ.
解 かごの重量を WC kgf とすれば,
全重量は W = Wc + 10 × 60 kgf であり,
=
20 × 1,000
となる.
Wc + 60 × 10
20,000
Wc ≤
− 600 = 400 kgf
20
W
(2)直径 d の2本の丸棒で吊るした板の上に最大 W=1,500
kgf の重量物を乗せて昇降させる下図の装置を次の様に
考え設計した.
φd
W
φd
丸棒の引張力は最大 W/2=750 kgf である.棒材には降伏
応力 σy=20 kgf/mm2 のものを使用し,安全率を S>2 とす
れば,必要な丸棒直径は
S=
σy
2W / πd 2
>2 →
d > 4W πσ y = 4 × 1500 / 3.14 × 20 = 9.77 mm
そこで,棒の直径を d=10 mm として使用していたところ
棒は破損変形してしまった.上の設計のどこが悪いか考
えよ.ただし,疲労や材料の欠陥等の影響は無かったも
のとする.
解 棒に加わる荷重が P=W/2 となるのは,W が板の中央
に乗った場合だけである.実際の作業中に左右どちらか
に偏れば偏った側の棒には最大 W=1,500kgf の荷重が加
わる.このときの安全率は
σT
P
h
b断面
P
τT
t
t
P
P
φd
穴の圧縮
P
σTC
ヒント)ピンのせん断応力τp ,板については,b 断面
のせん断応力τT ,a 断面の引張応σT ,穴の圧縮応
力σTC を求め,これらが全て許容応力以下とるよう
に,先ず,ピンの直径 d を決め,次に,板厚 t ,板
幅 B ,最後に縁幅 h を求めよ.
2) 右図の様なフックのねじ部直径 d とナットの高さ H
を決めよ.ただし,材料の許容引張応力と許容せん断
応力はそれぞれσa ,τa とする.
φd
φd
ねじ山底のせん断応力
H
φd
τm
ナット
→
F
a断面
P
B
ボルト
∴ S ≥ 20
S=
P
ピンの断面
例題
安全率は
1) 図のような引張荷重 P を受けるピン継手がある.板
材の許容引張及び圧縮応力をσTa,許容せん断応力を
τTa =0.5σTa ,ピン材の許容せん断応力をτTa ,板厚を
t とするとき必要な,板の寸法(板幅 B ,縁幅 h ),ピ
ンの直径を求め,ピンと板の材料が同じならば u≧
0.4d でよいことを示せ.ただし,穴縁の圧縮応力は
σ TC ≈ P / td である.
τf
H
τm
H
P
P
ヒント)ねじに加わる引張応力σと,ボルトのねじ山
の山底に加わるせん断応力τm を考えよ.ただし,ボ
ルトのねじ山底の有効断面積は A =κπdH (κ<1)
とする.(普通のねじではκ=0.75∼0.88 である)
3) 図のような半円状の環状切欠きを有する丸棒部材に
引張荷重 P=10 kN が作用する.必要な材料の許容応
力σa を求めよ.ただし,切欠き部の平均応力に対す
る応力集中係数は α=1.85 とする.
10 kN
10 kN
φ 20 mm
φ 16 mm