山形県立図書館所蔵 郷土関係貴重資料の特別展示 「 義光物語 全 」 山形藩の藩祖最上義光の一代記。「最上義光物語」「最上記」とも言われる。 最上家に仕えて七代目の家臣が、最上家の改易により武蔵国葛西で籠居中に まとめたもの。寛永十年(1634 年)が原本の成立年と考えられる。 筆者については不詳であるが、山形県立図書館所蔵本の奥書では「八鍬孫九 郎」とする説を伝える。 「 最上物語 一 ~ 六 」 「最上義光物語」の異本のひとつ。この山形県立図書館所蔵本は完本ではな いが、流布本より記載が詳しく、他本にない内容の記載もある。 たとえば、義光による白鳥十郎謀殺については、他本ではその理由がいま一 つ明確でないが、これによれば、白鳥が最上の主と偽って織田信長に献上品を 贈ったことに対し、信長が義光に白鳥追討の許可を与えたことになっている。 従来知られていない系統の「最上義光物語」と言える。 「 最上盛衰記 上・中・下 」 「最上義光物語」は通常 25 話であるが、本書は上冊 16 話、中冊 13 話、下冊 17 話、合わせて 46 話ある。 本書には、流布本にない「最上家代々之事」、「上山善政松原合戦伊達輝宗加 勢之事」、「里見民部逆心之事」、「里見内蔵助か妻子奥州へ落行事」、「白鳥十郎 息女日吉姫の事」、 「東海林隼人推璵力の事」、 「沼の平館に義兵を挙くる事」、 「山 形勢発向之事」、「海味白岩軍並一吽軒謀略の事」などの記載がある。 ここから、流布本は、原「最上義光物語」から本書にある独自な話を削除し て成立したと考えられる。本書は明治 39 年(1906 年)の書写物であるが、原 「最上義光物語」を知るうえで貴重な資料である。 「 景勝公御武功記 全 」 上杉景勝の戦功記で、新発田攻めからはじまり、慶長 6 年(1601 年)の「景 勝公御上洛之事」までを記載している。 山形県立図書館所蔵本のほかには所蔵が確認されていない貴重な史料である。 「 戊辰戦争始末 」 明治 10 年 2 月に、正院修史局からの命を受けて、白井重髙(藩校致道館の 助教兼典学を務めた漢学者)が執筆した。庄内藩側の視点で書かれた戊辰戦争 の貴重な記録である。(鶴岡郷土資料館にも所蔵がある。) 山形県立図書館所蔵本は、芝田正利がその原本を明治 14 年 3 月に借り受け て書写したもの。
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