韓国雪岳(ソラク)山 に登頂成功

(第2637回例会報告)
京交山岳部海外例会
韓国雪岳(ソラク)山
(1,707.9m)
に登頂成功
井戸 澄夫
2009年の京交山岳部60周年記念登山で、台湾の最高峰である玉山(3,952m)が、
台風被害のため登れず、代わりに第2の高峰である雪山(3,882m)に登ったのは、記憶
に新しいところである。しかし、玉山への思い絶ちがたく、今年の秋に京交山岳部と
しては恐らく初めて、一般の例会として海外登山を企画し、玉山へ登る事とした。だ
が、今回についても玉山の排雲山荘の改修工事完成が大幅に遅れたため、止む無く断
念し、その代替案として、韓国の雪岳(ソラク)山に登ることになった。当初から参加
希望してくださった方々には大変迷惑をかけ、参加者も7名から5名に減りましたが、
なんとかソラク山に登頂できたことを報告します。
ソラク山は韓国では3番目に高い山ですが、山水画を思わせる切り立った岩稜と渓
谷で、韓国では最も人気のある山です。特に秋の紅葉の美しさは特筆のもので、登山
客や観光客で山には長蛇の列ができるといいます。我々が行ったのは11月初旬で、
既に紅葉のピークは過ぎていましたが、麓のほうではまだまだ紅葉が綺麗でした。ソ
ラク山は位置的には韓国の東北部の束草市にあり、北緯38度線をはさんで、北朝鮮
の金剛山と対峙している。日本でいえば仙台くらいの緯度の位置にある。
束草へはソウルから高速バスで入った。束草は日本海(韓国では東海)に面した港町
であり北朝鮮に近く、朝鮮戦争で避難してきた人々が住み着いたアバイ村は、韓ドラ
「秋の童話」のロケ地となったことから人気となり、ケッペと呼ばれる渡し舟が日本の
テレビでもよく紹介された。我々はアバイ村や中央市場を散策し、市外バスターミナ
ルから登山口の五色温泉に行き、グリーンヤードホテルの大浴場に入浴し、民宿(モー
テル)に宿泊した。翌日朝5時にライトを点灯して出発した。登山口の事務所には担当
者が宿泊していたが、当初予期していた入山料を取らなかったし、また登山届けもい
らないといわれて、意外な気がした。このコースはソラク山の主峰大青峰(1707.9m)に
直登する最短ルートであり、1300m の標高差を一気に登る。松を主体にした樹林帯の
急斜面を登るが、道は幅の広い石段や鉄製階段がしっかりと整備されており、危険な
場所はない。天気は前日は雨であったが、幸いにして雨はあがり曇り空であった。中
間部の滝を過ぎた頃から、岡田氏の足が痙攣し、いつもよりきつい症状であった。ゴ
ムひもによる締め付けなどして、休み休みなんとか大青峰に登頂できた。山頂では残
念ながら周囲の眺望は悪く、切り立った岩峰群を見ることはできなかった。山頂から
少し下ったところに、中青待避所がある。ラーメンや水を売っていると事前に調べて
きたのだが、袋入りラーメンのみ販売し、それを自炊して食べろと言われがっかりし
た。飛行機に乗るのでガスバーナー等の道具はもってきていない。
このことは下山途中の小屋でも同じ対応で、どうやら11月はオフシーズンとなり、
ラーメンのサービスはなくなるようである。11月中旬から12月中旬までは山火事
対策で閉山になるらしい。下山は千仏洞渓谷を下る長いコースであり、1500m を一気
に下る。すばらしい渓谷美である。谷の両側は鋭く切り落ち、尖塔のような岩稜が天
に向かって突き抜けている。美しい滝や滑が連続する。険しい渓谷には、幅広の鉄製
通路や階段が設置されていて、容易にハイキングできる。紅葉は既に終盤であり、枯
葉散る季節であるが、10月のシーズンにはハイカーで長蛇の列になるという。岡田
氏の痙攣は下りになると治まったが、階段の下りが延々と続くことから、皆さんの足
の筋肉(太もも、ふくらはぎ)が痛み出した。小森氏の症状がきつく、階段を下るペー
スが遅くなる。飛仙台山荘の手前で暗くなってしまい、ヘッドライトを使うことにな
った。飛仙台山荘は食堂があり、皆でチジミを食べて一息ついた。日が暮れているの
に山荘には軽装のハイカーが次々到着する。なかには足をひきづり涙目になっている
女性もいる。足元を照らすライトを持っていない人もいる。我々には日帰りのコース
としては長いと思うが、韓国では普通のハイキングコースなのかもしれない。しかし、
日が短くなったので、思いもかけず暗闇の歩行となったということか?
飛仙台から先は観光客が来る道で、幅広く平坦である。ソラク公園入口でうまくバ
スに乗れて、予約した宿(モーテル)に落ち着いた。
翌朝(8日)は再度バスでソラク公園に行き、ロープウェイで権金城に登った。山頂
からは標高の低いウルサン岩などは見えたが、恐竜尾根などの岩稜はガスに隠れてい
た。麓の新興寺は紅葉がまだ残っており、観光客で賑わっていた。昼前に現地のキム
ソノクさんが車で迎えに来てくれ、刺身団地の食堂に連れていってくれた。そこに現
地在住の国貞さんも来て、2台の車で観光案内してくれた。まず統一展望台で38度
線の向こうに海金剛を展望した。残念ながら金剛山は曇って見ることができなかった。
次に山寺で薬茶を飲んだ。夕食は束草中心部で石焼韓定食であった。夕食後、エキス
ポタワーに上って、束草の夜景を楽しんだ。その後、高速バスでソウルに戻った。
9日は岡田氏、方山さん、井戸の3人でソウル近郊の北漢山に登った。北漢山は標
高 836.5m で、ソウル近郊では最も高い山でソウル市民の憩いの場である。山は韓国で
よくある岩の山である。北方民族の侵攻を防ぐために造った城壁が残っており、万里
の長城の韓国版である。山頂からはソウル市街が一望できる。岩の壁ではロッククラ
イミングも盛んである。平日にも拘わらず、多くの登山客で賑わっていた。残りの2
人は筋肉痛や下痢のため、ホテルで休養していた。
10日は10時過ぎまで自由行動でゆっくりすごし、午後の飛行機で帰国した。
ソラク山は曇りで山水画の景観を十分に見ることができなかったし、10月の紅葉の
シーズンにもう一度、渓谷美を楽しみに行きたいと思っている。また、超円高という
経済状況で、今回の例会にかかった費用は、飛行機・宿・交通・食事・観光すべて含
め1人あたり7万円程度で済んだ。なお宿や食事、山での情報不足等々、いたらない
点があったことについて、この場を借りてお詫びいたします。
山岳部のホームページに写真を掲載しますので見てください。
[参加者]
[日程]
岡田茂久、方山宗子、小森 浩、井戸澄夫 F1
(5名)
11月5日(土)∼10日(木)
(5 日) チェジュ航空
関空 16:40 発→ソウル金浦空港 18:40
地下鉄で明洞へ(約1時間)、ホテルセジョンイン(泊)、夕食、両替
(6 日)AM6:30 ホテルで朝食後、地下鉄で江南高速バスターミナルへ、AM7:50 の高速
優等バスで束草へ(約2.5時間)
昼食後、アバイ村、ケッペ(渡し舟)中央
市場散策後、市外バスで五色温泉へ(泊)
(7 日)AM5:00 出発-----5:45 登山口発----11:30 大青峰山頂----11:50 中青待避所----13:20
喜雲閣待避所----14:40 陽漠待避所----18:00 飛仙台山荘----19:20 ソラク公園入口
(バス乗車)20:00 ソラク公園管理事務所前、宿(モーテル)泊。
(8 日)7:30 朝食―8:00 バスで再度ソラク公園へ、ロープウェイで権金城へ、新興寺見
物、11:30 キムさんが車で出迎え、国貞さんと合流して刺身団地で昼食、
13:00 昼食後、2台の車で統一展望台から38度線、金剛山方面展望
17:00 山寺で韓国薬茶賞味、18:30 夕食に石焼韓定食、19:00 エクスポタワーへ
上る、20:00 高速バスターミナルからソウルへ、22:30 江南高速バスターミナル、
地下鉄で明洞へ、ホテルセジョンイン(泊)
(9 日) ソウル自由行動日
(岡田、方山、井戸)は北漢山へ。
8:00 地下鉄(忠武路→水喩)タクシーでウイドン登山口へ
9:45 登山開始----10:15 峠----11:00 ぺクンデ山荘----11:45 北漢山頂(836.5m)、
山頂下の衛門で昼食 12:35----13:45 ウイドン登山口、タクシーと地下鉄でホテル
へ、
午後自由行動、ホテルセジョンイン(泊)
(10 日)10:30
ホテル出発、地下鉄で金浦空港へ
チェジュ航空
金浦空港 14:10 発→関空 16:10
帰路
海外例会 韓国 雪岳(ソラク)山 (1)
ソラク山主峰 大青峰(1,707.9m)に全員登頂成功
頂上直下の小屋から大青峰を見上げる
海外例会 韓国 雪岳(ソラク)山 (2)
千仏洞渓谷を下る(五蓮瀧)
切り立った岩峰が林立する(山水画の世界)
海外例会 韓国 雪岳(ソラク)山 (3)
ソラク山麓の新興寺は紅葉の盛り
新興寺の大仏
海外例会 韓国 雪岳(ソラク)山 (4)
ロープウェイ山上(権金城)からのソラク山塊(あいにくの曇り空)
北朝鮮との境界(38度線)を隔てて海金剛を見る
海外例会 韓国 雪岳(ソラク)山 (5)
ソウル近郊の山、北漢(ブッカン)山
北漢山頂上(836.5m)、背後にはソウル市街