北方山草 20 (2003) 中華人民共和国でオオヒメシロチョウを探して 札幌市 伊藤邦昭 私の研究しているヒメシロチョウ属は旧 ているが、オオヒメシロチョウは時折採集 北氏特有のもので、現在では一応 8穏が知 される個体は標高が高〈、渓谷が多かった られているが、この中で中国しか生息して が、採集きれる例休は少なく、生活史は全 いないオオヒメシロチョウ ( L e t l i d e a く分らなかった。この蝶が何という植物を g i g a n l e a ) は新種として記載されてから、 食べているか分からないときは、最も 1 1 2年問、生活史は全〈知られていなかっ な蝶の食べる納l 物から類推するしかない た。現在、外国人立入禁止 I 天域が多いので が、オオヒメンロチョウは採集される場所 自分勝手に中国会域を旅することはできな とこの蝶の特徴を考えるとこの蝶の前胸と し 、 。 中胸が真黄色であり、これは他のヒメシロ J r縁 在、は西安にある西北農業技術科学大学の チョウにはぜったいに見られないものであ 周三語教授のご好意によって付属昆虫博物館 る。しかし標本にして l 時を経るにつれてこ の特別研究貝として林学院の刻銘溺教授と の黄色は色が槌せてしまう。 この後越の黄色をもっ蝶には Aporiaエ の共同研究で中国のヒメシロチョウ属の研 究をすることになったのである。 ゾシロチョウの類がある。この蝶はメギを しかし、ここまでくるにはたいそうな時 食べる穏類が多い。 と努力が必要であった。中国ではお互に知 甘粛省第二次森林病虫普査名録 ( 1 9 9 9年 り合い、信頼を勝ち得るには永い時が必要 1 2月) (甘粛省森林病虫害防治検疫姑編)の であった。今年で 9凶日の中国行である。 p . 3 7 4に L e t t i d e as e r r a l aLee鋸紋小粉蝶 あの広大な中国ではオオヒメシロチョウを の頃に寄生、小柴砕米芥と書いており、メ 見つけることは浜辺で失った指輪を探すよ ギ科を食べている可能性があった。中図柄 うなものである。一般に目的の燥を採がす 物誌によれば小柴属 B e r b e r i s Linn は 215 ときは、その擦の幼虫が食べている(好生 種記載されていて、いずれも鋭い刺を持っ 植物)柄物を見つけるのが常道である。そ ている。日本では、日本植物詩, (大井次三 れと並行して中国中の林業試験所や研究所 郎著)によれば 4種が記載されているが稀 の標本を調べ、ヒメシロチョウ属の産地の な種もあるので、普通は 2種が普通のもの 分布図を刻教授と作成することである。ヒ である。即ち、ヒロハノヘビノボラズ メシロチョウ属はイギリスからヨーロッパ ( B e r b e r i s a l l l l l r e l l S i s ) とメギ ( B e r b e r i s 大陸、中近東、シベリア、日本、中間に分 1 h z 削除ゅのであり、この 2種は中国にも生 布していて、いずれも 7 メ科の柄物を食べ 育している。 -173ー
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