歯科訪問診療の実態と 取組みポイント

10 2015
2016 年診療報酬改定の注目点
歯科訪問診療の実態と
取組みポイント
❶ 増加する歯科訪問診療ニーズと重点評価
❷ 中医協 特別調査にみる
歯科訪問診療の実態
❸ 歯科訪問診療開始に必要な準備と
連携強化
❹ 歯科訪問診療における報酬請求時の
留意点
2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
増加する歯科訪問診療ニーズと重点評価
高齢化の進展にともない、高齢者の歯科診療受診患者は増加しており、3人に1人以上
が 65 歳以上(65 歳から 74 歳 20.7%、75 歳以上 15.4%)となっています。2014 年診療報
酬改定の中でも、「在宅歯科医療の充実等」が今後の取組の課題として挙げられており、
歯科訪問診療は、患者からの需要の他、歯科医院経営の観点からも重要なポイントとなっ
ています。
1.高まる高齢者の歯科需要
(1)増加する高齢者の歯科受診患者
全国の歯科診療所を受診する1日当たりの推計患者数を見ると 65 歳以上の患者数が増
加を続けています。
(中医協 H27.7.31 総会議事録より)
1
歯科経営情報レポート
2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
(2)診療報酬改定における重点評価
2014 年の診療報酬改定より、在宅歯科医療、在宅療養、医科医療機関との連携等を行っ
ている歯科診療所に対し、評価できるようになるなど、訪問診療に対して重点的に配分が
されてきました。今後もこの傾向は続くと思われます。
■新規施設基準
●訪問診療のうち、在宅療養を行っている患者に対する訪問を中心に実施している
歯科診療所の評価
(新)在宅かかりつけ歯科診療所加算
100 点
〈歯科訪問診療料 1 の加算〉
●在宅歯科診療における医科医療機関と歯科医療機関の連携による評価
(新)歯科医療機関連携加算
100 点
【医科点数表】
〈診療情報提供料の加算〉
■歯科訪問診療2の見直し及び歯科訪問診療3の新設等
(現行)
(改定)
同一建物に居住する患者数
同一の建物に居住する患者数
1人
患者一人につき
診療に要した
時間
2人以上
1人
歯科訪問診療 歯科訪問診療
1【850点】
2【380点】
歯科初・再診料
20分未満
【218点・42点】
2人以上9人以下
10人以上
歯科訪問診療 歯科訪問診療
1【866点】
2【283点】
20分以上
歯科訪問診療3【143点】
●歯科訪問診療料
1
歯科訪問診療 1
850 点
866 点
2
歯科訪問診療 2
380 点
283 点
(新)3
歯科訪問診療 3
143 点
●在宅患者等急性歯科疾患対応加算
イ
同一建物居住者以外の場合
170 点
ロ
同一建物居住者(同一日に 5 人以下)85 点
ハ
同一建物居住者(同一日に 6 人以上)50 点
同一建物居住者 55 点
(算定には詳細条件がありますので、留意してください。
)
2
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2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
2.増加する歯科訪問診療等の算定患者数
中医協の H26 診療報酬改定に係る特別調査の速報によると、平成 23 年と平成 24 年の9
月の「歯科外来患者総数(1 ヶ月延べ人数)」は 2.1 人のマイナスとなっています。一方
で「歯科訪問診療患者総数」「歯科訪問診療料 1」「歯科訪問診療料2」「歯科疾患在宅
療養管理料」「口腔機能管理加算」「訪問歯科衛生指導料」の算定患者1ヶ月延べ人数は
下記の通り、全て増加しています。
■歯科外来患者総数・歯科訪問診療患者総数・各種算定患者数(1施設あたり平均、1ヶ月)
【歯科外来患者総数(延べ人数)(n=1096)】
【歯科訪問診療患者総数(n=1113)】(単位:人)
80
600
500
505.3
68.7
503.2
62.9
60
400
300
40
200
20
100
0
0
平成23年
平成24年
平成23年
【歯科訪問診療1(n=1075)】(単位:人)
【歯科訪問診療料2(n=1013)】(単位:人)
80
80
60
60
45.1
40
20
49.8
40
13.9
15.3
平成23年
平成24年
20
0
0
平成23年
【周術期口腔機能管理料(Ⅰ)(n=1084)】
(単位:人)
80
60
60
40
40
20
20
項目なし
0.1
平成23年
平成24年
平成24年
【歯科疾患在宅療養管理料(n=1013)】
80
0
平成24年
18.9
21.2
平成23年
平成24年
0
【口腔機能管理加算(n=993)】(単位:人)
【訪問歯科衛生指導料(n=1029)】(単位:
1029)
80
80
60
60
40
20
40
14.5
17.9
34.1
35.6
平成23年
平成24年
20
0
0
平成23年
平成24年
(中医協
H26 診療報酬改定に係る特別調査の速報案より)
3
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2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
中医協 特別調査にみる歯科訪問診療の実態
平成 26 年 12 月、中医協より平成 26 年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の速報
案が公表されました。以下に、全国の在宅療養支援歯科診療所の届出を行っている歯科診
療所 2,000 施設を調査対象とし、回答のあった 1,106 施設の主な調査結果について解説し
ます。
1.歯科訪問診療開始の要因
近隣にある介護施設から直接の依頼や施設入居者の家族からの依頼により、歯科訪問診
療を始めた医院が最も多く、施設入居者が通院していた医療機関からの依頼、歯科医師会
からの依頼と続きます。
■歯科訪問診療を実施するようになったきっかけ
(歯科訪問診療を実施している施設、複数回答)
施設入居者・家族からの要望
78.3
地区医師会・歯科医師会等からの
依頼・紹介
35.4
施設入居者が入院・通院していた
医療機関からの依頼・紹介
34
介護保険施設からの依頼・紹介
29.2
居宅介護支援事業所からの
依頼・紹介
28
在宅医療を行っている
医療機関からの依頼・紹介
19.8
訪問看護ステーションからの
依頼・紹介
18.1
行政からの依頼・紹介
14.2
42.3
その他
0
20
40
(中医協
4
60
80
100 %
H26 診療報酬改定に係る特別調査の速報案より)
歯科経営情報レポート
2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
2.訪問先状況
歯科訪問診療先としては、自宅が多く、次に介護施設等となっています。また、歯科を
標榜していない病院もあり、歯科訪問診療先への需要の掘り起こしはまだまだあると思わ
れます。
82.6
患者の自宅:戸建て
42.2
患者の自宅:集合住宅
有料老人ホーム、グループホーム等の
居宅系高齢者施設
45.9
48.8
介護保険施設
46
歯科の標榜がない病院
その他
1.5
無回答
11.8
0
(中医協
20
40
60
80
100 %
H23 在宅歯科医療及び障害者歯科医療の実施状況調査より)
3.歯科訪問診療の実施時間帯
実施時間帯については、一般外来診療の時間を調整している診療所が 27.6%と一番多く、
次に昼休み又は診療時間外が 25.9%、特定の曜日・時間に実施 21.7%と続きます。
一般外来歯科診療ではなく、
歯科訪問診療を中心に行っている
1.4
午前中は一般外来歯科診療を行い、
午後に歯科訪問診療を行っている
2.2
午前中は歯科訪問診療を行い、
午後に一般外来歯科診療を行っている
0.2
患者の要望があれば、一般外来歯科診療の実施時間を
調整し、歯科訪問診療を行っている
27.6
昼休みまたは一般外来歯科診療の診療時間外に歯科訪
問診療を行っている
25.9
午前・午後とも外来診療、訪問診療も行っている(歯科
医師の複数名体制を敷いている等)
12.4
21.7
特定の曜日・時間に歯科訪問診療を行っている
その他
2.4
歯科訪問診療を実施していない
5.8
0.5
無回答
0
10
20
30
40
50 %
(中医協
H26 診療報酬改定に係る特別調査の速報案より)
5
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2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
4.歯科訪問診療を行うスタッフ数
歯科訪問診療を行う職員数を見ると、常勤・非常勤を合わせた歯科医師は平均 1.9 人、
歯科衛生士は平均 2.7 人、歯科技工士は平均 0.3 人、その他の職員は平均 2.4 人となって
います。訪問専門と外来診療併設では人数は違うと思いますが、一歯科医院平均値が 7.3
人、中央値が6人となっています。
■職員数全体(n=994)
(単位:人)
歯科医師
歯科衛生士
歯科技工士
その他
合計
平均値
1.9
2.7
0.3
2.4
7.3
標準偏差
1.4
2.3
0.6
2.2
4.9
最大値
11.5
22
4
16
45
最小値
0
0
0
0
1
中央値
1
2
0
2
6
■常勤職員数(n=994)
(単位:人)
歯科医師
歯科衛生士
歯科技工士
その他
合計
平均値
1.5
1.8
0.3
1.6
5.2
標準偏差
0.9
1.8
0.6
1.6
3.6
最大値
10
18
4
14
38
最小値
0
0
0
0
1
中央値
1
1
0
1
4
■常勤職員数(n=994)
(単位:人)
歯科医師
歯科衛生士
歯科技工士
その他
合計
平均値
0.4
0.9
0.0
0.7
2.1
標準偏差
0.9
1.3
0.2
1.4
2.6
最大値
6
13
34
13
16
最小値
0
0
0
0
0
中央値
0
0.2
0
0
1
訪問対象患者数は着実に増加していますが、今後の課題として、外来診療を行いながら
歯科訪問診療の時間をいかに確保するか、また、訪問診療の業務ができる歯科衛生士等ス
タッフの確保がポイントとなってきます。
6
歯科経営情報レポート
2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
歯科訪問診療開始に必要な準備と連携強化
歯科訪問診療を開始する際には、既存患者への認知活動や、医療機器の購入等の準備の
他、医療機関との連携構築が必要となります。以下に、そのポイントを解説します。
1│訪問歯科診療の認知活動
(1)既存患者への認知活動
訪問歯科診療の患者は、一般歯科のように、待っていても来院しません。まずは、訪問
歯科診療を始めたことを、知って頂くことが必要です。通院している患者に、院内にてお
知らせを掲示するとともにホームページでのお知らせ、お医者さんガイドのような雑誌へ
掲載して、徐々に認知度を高めていきます。
(2)介護事業所等への認知活動
ターゲットとなるのは近隣にある介護事業所等です。介護事業所にいるケアマネージャ
ーから紹介を頂くか、既存患者に担当のケアマネージャーを紹介して頂く方法が最も効率
が良いでしょう。
介護事業所といっても、さまざまな種類があります。サービスで分類すると、入所系、
通所系、訪問系です。それぞれの特徴を学び、それにあった集患方法を構築していくこと
が必要です。
また、近隣の状況を知る方法の一つに、地域包括センターを利用する方法があります。
地域包括センターとは、2005 年の介護保険法で定められた施設で、地域全体の保健衛生、
高齢者を中心とした介護、社会福祉全般をマネージメントしている施設です。ここで、近
隣事業所のリストを入手することが出来ます。
■主な介護事業所の種類
●介護3施設 = 介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設
●通所介護 = デイサービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、老人福祉セン
ター他)
●通所リハビリテーション = デイケア(介護療養型医療施設、診療所他)
●短期入所生活(療養)介護 = ショートステイ(介護老人保健施設、介護療養型医
療施設他)
●特定施設入居者生活介護 = 指定有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホー
ム等
●認知症対応型共同生活介護 = 認知症高齢者グループホーム
7
歯科経営情報レポート
2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
(3)歯科訪問診療の周知方法
歯科訪問診療実施の周知方法をみると、
「診療室や待合室、受付・会計窓口などの歯科診
療所内にポスターを掲示する」「ホームページで告知する」「介護関係機関等へリールレッ
ト等を置かせてもらう」と続いています。その他、
「地区歯科医師会支部へ働きかける」
「地
区のケアマネージャー等に紹介依頼を行う」等が有ります。
前章にもある通り、訪問歯科のきっかけは施設入居者からの要望(同居家族や知人友人
への口コミ)が一番多いため、幅広い認知活動が重要となります。
■歯科訪問診療実施の周知方法(複数回答)
(単位:%)
診察室や待合室、支払窓口等の施設内に
ポスターを掲示している
54.8
22.2
ホームページで告知している
6.1
介護関係機関等にリーフレットを置いている
その他
22.7
19
無回答
0
20
40
60
80
100
注)「その他」を回答した施設について、その具体的な内容を整理すると「何もしていない」
(63 件)、
「歯科医師会」(19 件)等となった。
(中医協 H23 在宅歯科医療及び障害者歯科医療の実施状況調査より)
尚、介護保険の居宅療養管理指導を請求する際には、院内に「居宅療養管理指導運営規
定」「居宅療養管理指導重要事項説明書」を掲示しておかなければいけません。
2.訪問診療を行うための医療機器
在宅歯科診療には特別な医療機器等の準備が必要です。主な医療機器を下記に整理しま
した。
■在宅歯科診療用の医療機器
●パルスオキシメータ
●血圧計
●ポータブルタービン
●吸引器
●ポータブルレントゲン
●携帯型デンタルユニット
●ポータブルエンジン
●光CR重合器
●聴診器
●ミラー
●スケーラー
●エクスプローラ(プローブ)
●エクスカベーター
など
8
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2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
3.他の医療機関との連携
訪問歯科を行うにあたり、他の医療機関との連携は必須となります。歯科訪問診療の患
者は必ず医科の訪問診療も受診していて、どのような急変にも対応できる体制づくりが必
要です。また、医療機関同士の連携から患者の紹介も出てくるため、単なる連携ではなく、
情報の共有化を含めた医療機関との担当窓口や上部とのコミュニケーションをしっかり取
ることです。
医療機関先としては、
「一般診療所」
「病院」、次いで「他の歯科診療所」となっています。
歯科の医療機関
他の歯科診療所
25.3
歯科大学病院もしくは
歯科部付属病院
61.7
28.8
病院(歯科大学病院もしくは
歯学部付属病院を除く
58.3
39.4
12.1
72.8
13.6
医科の医療機関
43
一般診療所
病院(救急医療機関を除く)
28.9
病院(救急医療機関)
34
0%
13
48.6
13.6
口腔保健センター
13
20%
44
13
56.6
14.5
51.8
40%
あり
14.1
60%
なし
80%
100%
無回答
注)歯科の医療機関のうち「その他」の施設と連携している施設:15 施設(1.5%)
医科の医療機関のうち「その他」の施設と連携している施設:6施設(0.6%)
■連携施設数(単位:箇所)
平均値
医科の
医療
機関
最大値
最小値
中央値
2.3
7.4
98
1
1
1.3
0.6
5
1
1
1.4
0.8
8
1
1
口腔保健センター(n=118)
1.2
1.4
16
1
1
その他(n=12)
4.3
10.8
40
1
1
一般診療所(n=377)
1.5
1.0
10
1
1
病院(救急医療機関を除く)(n=259)
1.4
0.9
7
1
1
病院(救急医療機関)(n=310)
1.3
0.6
5
1
1
他の歯科診療所(n=233)
歯科の
医療
機関
標準偏差
歯科大学病院もしくは
歯科部付属病院(n=271)
病院(歯科大学病院もしくは歯学部付
属病院を除く(n=372)
(中医協
H23 在宅歯科医療及び障害者歯科医療の実施状況調査より)
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2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
歯科訪問診療における報酬請求時の留意点
導入が進んでいます
歯科訪問診療を実施する場合、診療報酬請求において外来診療と異なる項目、摘要欄の
書き方等、留意しなければならない点があります。以下にそれらの留意点を整理しました。
1.歯科訪問診療にかかわる診療料
基本診療料は外来診療と同じですが、特掲診療料と加算については、下記のとおりさま
ざまな算定項目があります。特掲診療料は、医学管理と在宅医療に分かれます。
■特掲診療料
周術期口腔機能管理計画策定料(300 点)
周術期口腔機能管理料(Ⅰ)(280 点・190 点)
医学管理等
周術期口腔機能管理料(Ⅲ)(190 点)
診療情報提供料Ⅰ・Ⅱ(250 点・500 点)
(情Ⅰ)患者紹介加算(100 点)
退院時共同指導料 1(600 点・300 点)
退院時共同指導料 2(300 点)
歯科訪問診療料(866 点・283 点・143 点)
訪問歯科衛生指導料(360 点・120 点)
在宅医療
歯科疾患在宅療養管理料(140 点・130 点)
在宅患者歯科治療総合医療管理料(140 点)
在宅患者連携指導料(900 点)
在宅患者緊急時等カンファレンス料(200 点)
■在宅医療:歯科訪問診療料の加算分
在宅かかりつけ歯科診療所加算(100 点)
在宅患者等急性歯科疾患対応加算(170 点・55 点)
歯科訪問診療補助加算(110 点・45 点)
歯科診療導入加算(1 回目のみ・250 点)
歯科診療所特別対応加算(175 点)
診療時間加算(100 点)
地域医療連携体制加算(300 点)
緊急歯科訪問診療加算(425 点・140 点・70 点)
(出典:一般社団法人
日本訪問歯科協会
10
医療事務ゼミナール
特別講座)
歯科経営情報レポート
2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
2.診療報酬請求の摘要欄の書き方
歯科訪問診療の理由の第一は「通院ができない」ということですが、診療報酬請求の摘
要欄に通院困難理由の記載が必要となります。記載方法としては、「病名」「状態」「理由」
の順序で短い文章を作成することです。
病名
状態
理由
脳出血
全身麻痺
寝たきり
脳梗塞後遺症
右/左半身麻痺
通院困難
重度の認知症
下半身麻痺
単独歩行不能
多機能不全
機能全廃
通院不能
動脈硬化性足壊疽
両足湾曲
外出不能
クモ膜下出血
大腿切断
透析中
筋萎縮症
体感基幹機能障害
単独外出不能
脊椎損傷
右/左上肢機能全廃
主治医より外出許可おりず
脊椎圧迫骨折
下肢麻痺
脳性小児麻痺
全盲
パーキンソン病
神経障害有り
変形性腰椎症
全身体力低下
胸椎圧迫骨折
認知不能
見当識障害
判断力低下
記憶障害
(出典:一般社団法人
日本訪問歯科協会
医療事務ゼミナール
特別講座)
3.介護保険対象の居宅療養管理指導
居宅療養管理指導とは、歯科医師が行う医学管理上の指導、歯科衛生士が行う口腔ケア
等に係る実地指導のことです。居宅には、グループホームや老人ホームなどの介護施設も
含まれますが、介護老人保健施設、介護老人福祉施設、介護療養型医療施設は含みません。
行う者
歯科医師
歯科衛生士
介護予防:居宅療養管理指導
(1)同一建物居住者以外の者に対して行う場合(一人)
503 単位
(2)同一建物居住者に対して行う場合(複数)
453 単位
(1)同一建物居住者以外の者に対して行う場合(一人)
357 単位
(2)同一建物居住者に対して行う場合(複数)
302 単位
歯科医師は月2回を限度、歯科衛生士は月4回限度として算定する
(出典:東京都福祉保健局
11
はじめての在宅歯科医療より)
歯科経営情報レポート
2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
4.介護保険の給付調整
(1)医療保険の算定ができない項目
介護保険で歯科医師が行う(介護予防)居宅療養管理指導費(503 単位または 453 単位)
を算定した場合には、以下の医療保険の項目は算定できませんので、注意が必要です。
●歯科疾患管理料(歯管)
●歯科特定疾患療養管理料
(特疾管)
●歯科疾患在宅療養管理料(歯材管)
●診療情報提供料(1)で以外のもの
(市町村または指定居宅介護事業者等に対する場合)
(「情1加2」に係る 100 点加算)
また、居宅(居住系施設も含む)で介護保険の要支援・要介護認定を受けた患者の場合
についても同様に、以下の医療保険の項目は算定できません。
●訪問歯科衛生士指導料(訪衛指)
●在宅患者連携指導料
(2)介護施設と居宅扱いの違い
一般的に介護施設という言葉は、広く使われていますが、保険請求上は「施設扱い」と
「居宅扱い」が明確に区分されています。施設扱いとなるものは、いわゆる介護3施設の
みで、有料老人ホームやグループホームなどは、居宅扱いとなります。
■介護施設の取り扱い
(出典:東京都福祉保健局
はじめての在宅歯科医療より)
12
歯科経営情報レポート
2016 年診療報酬改定の注目点! 歯科訪問診療の実態と取組みポイント
■参考文献
厚生労働省 HP
中医協
平成 26 年度診療報酬改定に係る特別調査
中医協
平成 23 年度在宅歯科医療及び障害者歯科医療の実施状況調査
一般社団法人
日本訪問歯科協会
東京都 8020 運動推進特別事業
医療事務ゼミナール
はじめての在宅歯科医療
13
特別講座
東京都福祉局発行
歯科経営情報レポート